2025.02.20
クラウドファンディングのリターン設定方法を解説！
クラウドファンディングを活用すると、多額の資金調達が可能になり新しいプロジェクトに大きな可能性が生まれます。とはいえ、実際にリターンをどのように設定していけばよいのか、悩んでいる方は多いでしょう。
この記事では、クラウドファンディングのリターンとは何か、具体的な金額の相場や、支援者の心理を踏まえた金額設定の方法を解説します。的確なリターン設計ができれば、最終的な資金集めがスムーズに進みやすくなります。
クラウドファンディングのリターンとは
クラウドファンディングにおけるリターンとは、支援者が出資した金額に応じて受け取る見返りのことです。プロジェクトの性質によって内容はさまざまですが、その目的は支援者の満足と共感を得ることにあります。
リターンは単なる商品やサービスだけを表すのではなく、支援者がプロジェクトに参加する意義を感じたり、応援する意欲を高めたりするための手段として機能します。
リターンの種類
クラウドファンディングは大きく分けると、購入型、寄付型、投資型の3つに分類されます。購入型は商品やサービスなどの対価としての資金提供であり、寄付型は社会貢献や慈善的な活動を目的とした非営利的な性格が強いのが特徴です。そして投資型は、株式や配当など経済的なリターンを得られる形式となります。
このようにリターンには多様なパターンが存在し、それぞれにメリットやリスクがあります。自分のプロジェクトがどのタイプに該当するかを明確にし、支援者が期待する要素を十分に盛り込むことが重要になります。
リターンの重要性
クラウドファンディングの世界では、資金を集めるだけでなく支援者とのつながりを築く場としても活用されています。リターンが魅力的であればあるほど、支援者は「応援したい」「一緒に盛り上げたい」という気持ちを強めてくれるでしょう。
さらに、リターン内容が魅力的だと話題性を生みやすくなります。拡散力が高まれば、それだけ多くの人の目に留まり、新たな支援者を獲得できる機会が増えます。結果として、目標金額を達成しやすくなる流れができるのです。
リターン金額の相場
リターンを設定する上で、多くの方が悩むのが金額設定の目安です。ここでは相場データを参考にしながら、支援が集まりやすい金額設定を考えてみましょう。
リターン金額の目安
購入型クラウドファンディングでのリターン金額は、おおよそ1万円前後がひとつの目安といわれています。プロジェクト分野や規模によって変動はありますが、あくまでも商品購入のイメージであるため、フード関連なら5千円～7千円ほどの設定が比較的人気です。
平均出資額としては約7千円程度という事例が多く、支援者の心理としては1万円を超えると少し躊躇してしまう傾向があります。そこで、5千円から1万円未満のリターンを充実させることで、幅広い層を取り込むことが期待できます。
リターンに適した金額帯
実際には、1万円以下や5千円以下のリターンが最も多くの支援を集める傾向にあります。その理由としては、支援者が購入型クラウドファンディングに参加するときにまず試してみようと思える範囲だからです。
特に初めて支援する人や、そこまでリスクを負いたくない人にとっては、数千円程度であれば心理的ハードルが低くなります。一方で少し高額のリターンを用意することで、より強く共感してくれた支援者からのまとまったサポートを得る期待ももてます。
高額リターンの活用
一定数の支援者を集めるためには、5千円から1万円以内の価格帯にリターンを多めに用意するのが良いでしょう。ただし、10万円以上の大口リターンを準備しておくと、ごく少数でも大きな資金を提供してくれる支援者を逃さず取り込める可能性があります。
高額リターンを導入する場合は、充実した内容にすることが理想的です。支援者が特別感を感じられるような要素を取り入れ、限定的な特典や体験を盛り込むと高い満足度を得られるでしょう。
寄付型や投資型のクラウドファンディングのリターン設定のポイント
寄付型や投資型のクラウドファンディングにおいて、リターンの設定次第で資金調達の成否が大きく変わります。ここでは具体的な戦略や金額設定の秘訣を深掘りしていきます。
共感を得る目標金額
まず大切なのはプロジェクトの目的や世界観を明確に示し、それに見合った目標金額を設定することです。あまりに高額な目標にすると「本当に達成できるのか」と思われ、支援者が出資をためらいがちになります。
一方で低すぎる目標では、支援者にこのプロジェクトは本気度が足りないという印象を与えてしまうこともあります。適正な目標金額を導き出し、リターン内容とも齟齬がないようにすることで、共感を得やすくなるでしょう。
3分の1の法則と松竹梅
クラウドファンディングを成功に導く考え方として、よく使われるのが3分の1の法則と松竹梅の法則です。まず3分の1の法則では、以下の流れを想定します。最初の3分の1は家族や友人などごく近しい人々、続いてコミュニティ、最後に一般層から集めるというものです。
一方、松竹梅の法則では、複数の価格帯を用意することで、中間のリターンを選びやすくする心理的効果を狙います。具体的には、低価格帯・中価格帯・高価格帯を設定し、中間の価格帯が魅力的に映るように工夫します。これら2つを組み合わせるのが有効で、初期の支援を固めながら、幅広い価格帯のリターンを用意することで達成率を上げるアプローチです。
リターンを増やす際の注意点
設定したリターンが、もっとこうした方が支援を得られるかもしれないと公開後に思い立っても、編集制限がある場合があります。クラウドファンディングのプラットフォームによって規定は異なるため、事前に追加や修正が可能かどうかを把握しておくことが大切です。
また、支援者は日々増減するため、リターンを追加するタイミングも重要です。公開後の早い段階で複数のリターンを提示しておくと、支援者は自分にぴったりのリターンを選びやすくなります。
リターン設計で避けたい失敗
リターンをしっかり計画しても、想定外のトラブルが起こることがあります。ここでは、特に注意したいポイントを見直すための視点を確認しておきましょう。
余裕をもった費用計算
リターンに必要な経費を設定するとき、最終的に予想より費用が掛かってしまったという事態は決して珍しくありません。商品開発、輸送費、パッケージ、消費税など、さまざまなコストが合計されると、想定を超えることが多くあります。
こうしたリスクを回避するには、余裕をもった費用計算に加えて、送料や手数料をあらかじめ含んだ金額設定を徹底することが欠かせません。支援者に追加料金を請求するような状況を避けるため、可能な限り総額で提示し、誤解を与えないようにするのが基本です。
スケジュールの管理
やや複雑なリターンや製作に手間のかかるリターンでは、実際に支援を受け取ってから完成・配送までに長い時間が必要です。そこで、現実的なスケジュールを組んで支援者に明示しておくことが重要になります。
もし遅延が発生しそうな場合は、早めに支援者へ連絡し、状況を丁寧に説明することが求められます。クラウドファンディングは多くの場合、支援者とのコミュニケーションも成功の鍵となるため、誠実な対応が好印象につながります。
リターンの修正を計画的にする
プラットフォームによっては、一度公開するとリターン内容の変更が制限される場合があります。そのため、可能であれば公開前に複数パターンのリターンをしっかり準備しておくことが理想的です。加えて、余裕をもってリターンの追加や変更を見込む戦略を組み込んでおくと安心できます。
リターン内容に修正を加えると、すでに支援してくれた人との条件面の差が生まれる可能性も慎重に考慮しなければなりません。公開後の変更は多くの手間がかかるので、最初から計画的に行うのが良いでしょう。
まとめ
本記事では、クラウドファンディングのリターン設定の基本や金額相場などについて詳しく解説してきました。リターンは、プロジェクトの魅力を支援者に伝えるうえで欠かせない要素です。
支援者の興味や目的に配慮しながら適切にリターンを設定し、発信やコミュニケーションを継続して行うことで、資金調達の成功確率は高まります。クラウドファンディングを通して多くの人とつながり、共感を得るプロジェクトを実現してみてください。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
