2025.05.09
資金調達でファクタリングを利用するメリットは?流れや注意点、銀行融資との違いについても解説
事業を運営していると、売掛金の入金待ちが長引き、資金繰りが苦しくなることがあります。そうした状況を改善する手段の一つとして、ファクタリングがあります。
ファクタリングとは、売掛金を早期に現金化できる資金調達方法であり、銀行融資が難しい場合でも利用できる点が特徴です。
この記事では、ファクタリングの仕組みをはじめ、具体的なメリットやデメリット、銀行融資との違い、さらに利用する際の流れや適切な活用シーンまで詳しく解説します。また、手数料の目安や利用する会社を選ぶポイントなどの情報も紹介します。
ファクタリングとは
ファクタリングは、企業が保有する売掛金(未回収の債権)をファクタリング会社に売却することで、即時に現金化する資金調達方法です。通常、売掛金の回収までには30日から120日ほどかかりますが、ファクタリングを利用することで最短即日の資金化が可能になります。
この方法は融資とは異なり、借入ではなく資産の売却となるため、貸借対照表上の負債として計上されません。つまり、財務状況を悪化させることなく資金を調達できる点が大きな特徴です。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングの基本的な流れは、売掛金を持つ企業(売主)がファクタリング会社(買主)に売掛債権を売却し、その対価として売掛金額から手数料を差し引いた金額を受け取るというものです。その後、売掛金の支払期日が来ると、債務者(取引先)はファクタリング会社に対して支払いを行います。
ファクタリングには、主に「2社間(2者間)ファクタリング」と「3社間(3者間)ファクタリング」の2種類があります。2社間ファクタリングは取引先に通知せずに利用できるのに対し、3社間ファクタリングは取引先への通知が必要となります。
最短即日での資金化が可能なため、急な資金需要や入金タイミングのずれによる、一時的な資金不足を解消するのに効果的です。審査から契約、入金までの時間が短いことも、緊急の資金調達手段として注目される理由の一つです。
ファクタリングによる資金調達
ファクタリングは、銀行融資や私募債などの、従来の資金調達手段を補完する選択肢として位置づけられています。特に、創業間もない企業や一時的に業績が悪化している企業など、銀行融資を受けにくい状況にある企業にとって有効な手段です。
また、季節的な売上変動がある業種や、大型案件の受注により一時的に資金需要が高まる企業にも適しています。プロジェクトベースの事業形態を持つIT企業やコンサルティング会社などでは、プロジェクト完了から入金までの期間をカバーするために活用されることが多くあります。
ファクタリングは、単なる資金調達手段としてだけでなく、売掛金管理の効率化や貸倒リスクの軽減といった経営改善の側面も持ち合わせています。戦略的に活用することで、資金繰りの安定化だけでなく、企業経営全体の最適化にも寄与します。
資金調達におけるファクタリングのメリット
ファクタリングを資金調達手段として活用する際には、いくつかの明確なメリットがあります。従来の融資との違いを理解し、ビジネスシーンに合わせて有効活用することが重要です。
即日の資金調達が可能
ファクタリングの最大の特徴は、申込みから資金化までのスピードの速さです。銀行融資では、数週間から数ヶ月の審査期間を要することがありますが、ファクタリングでは最短即日での資金調達が可能です。
特に2社間ファクタリングでは、取引先への通知が不要なため、迅速な手続きが可能となります。必要書類を提出し審査が通れば、その日のうちに資金を受け取れるケースも少なくありません。
急な資金需要への対応ができるため、予期せぬ機会や危機に柔軟に対処することができます。例えば、予想外の大型受注や設備の緊急修繕など、待ったなしの資金需要に素早く対応できる点は、経営の安定性を高める大きな要因となります。
財務状況が悪くても利用可能
銀行融資では、企業の信用力や財務状況が審査の中心となりますが、ファクタリングでは、主に売掛先(取引先)の信用力が重視されます。そのため、自社の財務状況が一時的に悪化していても、取引先の信用力が高ければ資金調達が可能です。
赤字決算や債務超過の状態でも、大手企業や官公庁との取引がある場合には、その売掛金を活用して資金調達ができる点は、経営危機を乗り越えるための重要な選択肢となります。
また、創業間もない企業や事業転換期にある企業など、財務指標だけでは評価しにくい状況にある企業にとっても、有効な資金調達手段です。実績ある取引先との継続的な商取引があれば、自社の信用履歴が浅くても利用できます。
負債にならず財務健全性の維持が可能
ファクタリングは売掛債権の売却であり、借入金ではないため、バランスシート上の負債として計上されません。このため、自己資本比率や負債比率といった財務指標を悪化させることなく、資金調達が可能です。
財務分析において重要視される、DEレシオ(負債資本比率)に影響を与えないため、他の借入余力を温存しながら資金調達ができる点は、将来の資金計画を立てるうえで大きなアドバンテージとなります。
財務体質の改善にも寄与するため、今後の融資や投資を受ける際の交渉力向上にもつながります。現金比率の向上や流動比率の改善など、財務状態を良好に保ちながら必要な資金を確保できる点は、経営者にとって大きな魅力です。
貸倒れリスクの軽減効果
ノンリコース型(償還請求権なし)のファクタリングを利用すれば、売掛先の倒産などによる貸倒れリスクをファクタリング会社に転嫁することができます。取引先の経営状況が不安定な場合でも、確実に資金回収ができる安心感があります。
特に中小企業にとって、大口顧客の支払い遅延や債務不履行は経営を揺るがす重大なリスクとなります。ファクタリングを活用することで、このようなリスクをヘッジしながら事業継続が可能になります。
また、貸倒引当金の計上も不要になるため、会計処理の簡素化にもつながります。特に、多数の取引先を持つビジネスモデルや、新規取引先との大型案件を扱う場合には、リスク管理の観点からも有効な選択肢となります。
ファクタリング資金調達におけるデメリット
ファクタリングには多くのメリットがある一方で、いくつかの留意点やデメリットも存在します。資金調達方法として選択する前に、これらのデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。
銀行融資より高い手数料コスト
ファクタリングの最大のデメリットは、銀行融資と比較して手数料が高額になる点です。一般的に銀行融資の金利が年利1~5%程度であるのに対し、ファクタリングの手数料は売掛金額の2~20%程度と大きな開きがあります。
特に、2社間ファクタリング(取引先非通知型)は、リスクが高い分、手数料が10~20%と高めに設定されていることが多くあります。資金調達の緊急性が高い場合や、短期間の利用であれば許容できても、長期的・継続的に利用する場合はコスト負担が大きくなります。
総コストを十分に検討し、ファクタリングの利用が本当に最適な選択肢かを見極めることが重要です。販売利益率の低い商品・サービスの売掛金をファクタリングに出すと、利益が大きく目減りする可能性があるため注意が必要です。
売掛金額が調達額の上限となる
ファクタリングで調達できる資金の上限は、保有している売掛金の金額に制限されます。大規模な設備投資や事業拡大など、売掛金額を超える資金が必要な場合には、単独での調達手段としては不十分となります。
また、すべての売掛金が適格となるわけではなく、取引先の信用度や取引実績によっては、ファクタリング会社が買取を拒否するケースもあります。特に、個人事業主や小規模企業、創業間もない企業との取引から生じた売掛金は、買取対象外となる可能性が高まります。
さらに、将来の売上から前倒しで資金を調達するため、将来の資金繰りに影響を与える可能性がある点も考慮すべきです。継続的に売掛金を生み出す仕組みがなければ、長期的な資金調達手段としては機能しにくくなります。
取引先への通知が必要な場合がある
3社間ファクタリング(取引先通知型)では、売掛先に対してファクタリングの利用を通知し、支払い先の変更手続きを行う必要があります。取引先によっては、資金繰りに問題があると認識され、取引関係に悪影響を及ぼす懸念があります。
特に、長年の取引関係がある重要顧客や、今後の取引拡大を期待している取引先の場合、ファクタリング利用の通知は慎重に判断する必要があります。業界や取引先の企業文化によっては、ファクタリング利用に対する認識が否定的な場合もあります。
取引先との関係性を考慮したうえで、2社間と3社間のどちらが適切かを判断することが重要です。信頼関係が構築されている取引先であれば、事前に相談することで理解を得られる可能性も高まります。
銀行融資とファクタリングの資金調達方法としての比較
資金調達手段として、銀行融資とファクタリングには、それぞれ異なる特徴があります。企業の状況や資金ニーズに応じて、最適な選択をするための比較ポイントを見ていきましょう。
審査基準の比較
銀行融資では、自社の財務状況や業績、信用履歴が審査の中心となります。過去の決算書や事業計画、担保・保証人の有無などが総合的に評価され、融資の可否や条件が決定されます。
一方、ファクタリングでは、売掛先(取引先=第三債務者)の信用力が主な審査対象となります。自社の業績や財務状況よりも、売掛先が確実に支払いを行うかどうかが重視されます。そのため、自社の財務状況が一時的に悪化していても、大手企業や官公庁などとの取引があれば、資金調達が可能です。
審査の視点の違いを理解することで、自社の状況に合わせた最適な選択ができます。業績が安定しているなら銀行融資、財務状況は厳しいが優良取引先との取引がある場合はファクタリングが有利となります。
調達スピードの比較
資金調達のスピードは、銀行融資とファクタリングで大きく異なります。銀行融資では、申込みから実行までに数週間から数ヶ月を要することが一般的です。特に、初めての融資や大口の融資では、審査に時間がかかります。
一方、ファクタリング、特に2社間ファクタリングでは、最短即日での資金化が可能です。必要書類を提出し、審査さえ通れば、その日のうちに資金を受け取れるケースも少なくありません。
急な資金需要がある場合や、タイムリーな資金調達が事業機会の獲得につながる場合は、ファクタリングの迅速性が大きなアドバンテージとなります。計画的な設備投資など、時間に余裕がある場合は、コスト面で有利な銀行融資を選択するという使い分けが効果的です。
コスト面の比較
コスト面では、銀行融資とファクタリングには明確な差があります。銀行融資の金利は年利1~5%程度であるのに対し、ファクタリングの手数料は売掛金額の2~20%と高めです。短期間の資金需要であれば許容範囲でも、長期的な利用ではコスト負担が大きくなります。
財務への影響も重要な違いがあります。銀行融資は負債として計上されるため、自己資本比率や負債比率に影響します。一方、ファクタリングは売掛債権の売却であり、負債として計上されないため、財務指標を悪化させることなく資金調達が可能です。
財務状況に応じた最適解を見つけることが重要です。例えば、すでに借入金が多く財務指標の悪化が懸念される場合は、負債にならないファクタリングが適しています。一方、長期的な資金が必要で、財務状況に余裕がある場合は、コスト面で有利な銀行融資が適しているでしょう。
ファクタリングを活用した資金調達の流れ
ファクタリングを実際に利用する際の一般的な流れを理解しておくことで、スムーズな資金調達が可能になります。初めての利用でも迷わないよう、各ステップを詳しく解説します。
申込みから契約までの流れ
ファクタリングの利用は、まず複数のファクタリング会社への問い合わせや見積もり依頼から始まります。各社の手数料や対応の速さ、信頼性などを比較検討し、自社に最適な会社を選びます。
申込みの際には、売掛先情報、売掛金額、支払期日などの基本情報に加え、取引の証明となる書類(請求書、契約書など)を提出します。多くのファクタリング会社では、オンラインでの申込みも可能です。
必要書類の事前準備をしておくと、審査がスムーズに進みます。一般的に、以下のような書類が必要になります。
- 会社の登記簿謄本
- 直近の決算書(1〜2期分)
- 売掛先との契約書
- 請求書のコピー
- 取引の履歴がわかる資料
- 代表者の本人確認書類
審査通過後は、契約内容の確認を行います。この段階で、手数料率や支払条件など重要な項目を確認し、不明点があれば質問することが大切です。特に償還請求権(リコース)の有無は、リスク管理の観点から重要なポイントです。
入金後の対応
契約締結後、ファクタリング会社から指定口座に入金が行われます。入金額は、売掛金額から手数料を差し引いた金額となります。入金確認後は、契約内容に応じた対応が必要です。
2社間ファクタリングの場合、支払期日に取引先から入金があった際、その資金をファクタリング会社に送金する義務があります(回収代行契約の締結が一般的です)。送金遅延や未送金は契約違反となるため、入金管理を徹底する必要があります。
3社間ファクタリングの場合は、取引先に対して支払先変更の通知を行い、期日に取引先からファクタリング会社へ直接支払いが行われるようにします。通知文書の送付や確認の連絡など、ファクタリング会社の指示に従って対応します。
支払期日に、取引先からの入金が遅延するケースも想定されます。特にリコース(償還請求権あり)型のファクタリングでは、取引先の支払い遅延時に自社が返済義務を負うことになるため、取引先の支払い状況を注視し、必要に応じてリマインドを行うことも重要です。
ファクタリング会社選びのポイント
ファクタリングを利用する際、適切な会社選びは非常に重要です。手数料の違いだけでなく、サービス内容や信頼性など、多角的な視点から比較検討することが必要です。
信頼性と実績の確認
ファクタリング会社を選ぶ際、最も重要なのは信頼性の確認です。残念ながら、悪質な業者も存在するため、慎重な選定が必要です。まずは会社の基本情報を確認しましょう。
具体的には、法人登記の有無、設立年数、事業実績、所在地の実在性などをチェックします。オフィスが実際に存在するか、電話対応は適切か、といった基本的な点も重要です。また、金融庁の登録業者リストや、日本ファクタリング協会などの業界団体への加盟状況も確認するとよいでしょう。
口コミや評判も参考になります。ただし、インターネット上の情報だけでなく、可能であれば実際に利用した企業の声を聞くことをおすすめします。取引のある金融機関や顧問税理士などに相談すると、信頼できるファクタリング会社を紹介してもらえることもあります。
手数料体系の比較
ファクタリング会社によって、手数料体系は大きく異なります。単純に手数料率だけでなく、手数料の計算方法や追加費用の有無など、総合的なコストを比較することが重要です。
手数料は、一般的に2~20%の範囲ですが、売掛先の信用度、売掛金額の大きさ、支払期日までの期間などによって変動します。一見すると手数料率が低くても、さまざまな名目で追加費用が発生するケースもあるため、最終的な実質コストを確認する必要があります。
具体的なチェックポイントとしては、事務手数料や審査料などの追加費用の有無、支払遅延時のペナルティ、早期支払割引の有無などがあります。また、継続的に利用する場合の優遇条件があるかどうかも確認するとよいでしょう。
複数社からの見積もり比較が効果的です。同じ条件(同じ売掛先、同じ金額、同じ期間)で複数のファクタリング会社に見積もりを依頼し、総コストを比較することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
サービス内容の比較
手数料だけでなく、サービス内容や利用条件も会社選びの重要なポイントです。特に、資金化までのスピード、対応可能な売掛金の条件、最低・最高取扱金額などを確認しましょう。
例えば、即日の資金化を謳っていても、実際には数日かかるケースもあります。また、対応可能な売掛先の条件(上場企業限定など)や、取扱可能な業種に制限がある場合もあるため、自社の取引に適合するかを確認することが重要です。
契約条件も重要なチェックポイントです。特に、リコース条項(償還請求権)の有無と適用条件は慎重に確認すべきです。取引先の倒産時だけでなく、支払遅延時にもリコースが適用される場合もあるため、契約書の細部まで確認が必要です。
また、継続的な利用を検討している場合は、担当者の対応力や相談のしやすさも重要な選定基準となります。メールや電話での対応の迅速さ、質問への回答の明確さなども、実際に問い合わせてみて判断するとよいでしょう。
まとめ
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる資金調達手段として、特に緊急性の高い資金需要や銀行融資が難しい状況で有効な選択肢です。最短即日での資金化が可能であり、財務状況が厳しい時期でも利用できる点が大きな特徴です。
ただし、銀行融資と比較して手数料が高いため、コスト面での検討は慎重に行う必要があります。自社の状況や資金需要の性質を踏まえ、銀行融資とファクタリングを適切に使い分けることが重要です。ファクタリング会社を選ぶ際は、信頼性や手数料体系、サービス内容を多角的に比較し、自社に最適なパートナーを見つけることがポイントとなります。
最短即日の無担保無保証融資!HTファイナンスのビジネスローン
資金調達の方法として、ファクタリングは確かに有効な選択肢の一つですが、状況によっては他の方法も検討する価値があります。特に、短期間での返済が見込める場合や、手数料負担を抑えたい場合には、無担保・無保証のビジネスローンも有力な選択肢となります。HTファイナンスが提供するビジネスローンは、担保や保証人が不要で、スムーズかつ迅速な資金調達が可能です。
HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。
銀行実務とコンサルティングで培った経験を活かし、無担保無保証の融資やファクタリング、財務改善など、お客様の経営課題に合わせた最適な解決策をご提案しています。また、スピーディーで柔軟な審査体制により、成長に必要な資金を迅速にお届けできます。
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