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2025.05.09

法人の銀行融資の利率の目安は?計算方法、利率に影響する要因も紹介

銀行融資は、法人が事業の拡大や運転資金を確保するために利用する、一般的な資金調達方法の一つです。その際、経営者にとって気になるのが利率でしょう。特に、金利が上昇傾向のある時期は、利率のわずかな違いが返済総額に大きな影響を与えることがあります。

このように重要な融資の利率ですが、実際には企業の財務状況や担保の有無など、さまざまな要因によって決定されるため、自社の条件にあった目安を理解しておくことが必要です。

この記事では、法人が銀行融資を受ける際の一般的な利率の目安や計算方法、利率がどのような要因で決まるのかを解説するとともに、より良い条件で融資を受けるためのポイントもご紹介します。

銀行融資の利率の目安

銀行融資を検討する際、まず気になるのは平均的な利率の水準でしょう。業種や企業規模、融資タイプによって異なりますが、一般的な目安を把握しておくことは重要です。

タイプ別の利率

銀行融資には複数の種類があり、それぞれ利率の目安が異なります。融資タイプによる一般的な利率の範囲は、以下の通りです。

融資種類 利率(年利)目安
プロパー融資(銀行直接融資) 1.0%~3.0%
信用保証協会付き融資 1.0%~3.0% + 保証料(約0.5%~2.0%)
不動産担保融資 2.0%~8.0%
ビジネスローン(無担保) 1.5%~14.0%

プロパー融資は、銀行が直接企業に融資するタイプで、企業の信用力によって利率が大きく変動します。財務内容が良好な企業では、1%台前半という低い利率での借入も可能です。

一方、信用保証協会付き融資は、表面上の金利に加えて保証料がかかることに注意が必要です。実質的なコストとしては、金利と保証料を合わせた総負担率で考える必要があります。

規模別・業種別の利率

企業規模や業種によっても、融資の利率には傾向があります。一般的に、企業規模が大きいほど、また業績が安定している業種ほど、低い利率が適用される傾向にあります。

大企業であれば、1%を切るような低金利融資も可能ですが、中小企業の場合は2〜3%程度が標準的です。また、不動産業やIT業界などの成長産業と比較して、飲食業や小売業などの競争が激しい業界は、リスク評価が厳しくなりやすく金利が高めに設定されることがあります。

スタートアップや創業間もない企業では、実績不足から4〜5%以上の利率となることも珍しくありません。このような場合は、創業融資制度など公的支援を活用することで、有利な条件を引き出せる可能性があります。

銀行融資の利率が決まる要因

銀行融資の利率は一律ではなく、さまざまな要素によって個別に決定されます。どのような要因が利率に影響するのかを理解することで、交渉の材料にすることができます。

基準金利

銀行融資の利率を構成する最も基本的な要素は、基準金利です。日本では、主に短期プライムレートやTIBOR(東京銀行間取引金利=Tokyo Inter Bank Offering Rate)などが基準として使われます。

短期プライムレートは、銀行の最優良企業向けの貸出基準金利で、各銀行が独自に設定します。2023年現在、主要銀行の短期プライムレートは、約1.5%前後となっています。

TIBORは、銀行間での資金貸借の際の金利指標で、市場の実勢を反映したものです。基準金利が上昇すれば融資金利も連動して上がるため、金融政策や市場動向にも注意が必要です。

多くの銀行融資では、この基準金利にスプレッド(上乗せ金利)を加えた形で最終的な金利が決まります。例えば、短期プライムレート+1.0%といった形式です。

企業の財務状況や信用力

融資を受ける企業の財務状況や信用力は、利率を左右する重要な要素です。銀行は、企業の返済能力をさまざまな指標から判断します。

具体的には、自己資本比率、売上高利益率、債務償還年数(借入金÷年間キャッシュフロー)、固定長期適合率などの財務指標を分析します。特に、自己資本比率が高く安定した利益を出している企業ほど低金利で融資を受けられる傾向にあります。

また、過去の借入返済実績も重要です。延滞や返済条件の変更などがあると、リスク評価が厳しくなり金利上昇につながります。逆に、長期的に良好な取引関係を築いている場合は、有利な条件での融資が期待できます。

担保・保証の有無

担保や保証の有無も利率に大きく影響します。担保とは、融資の返済が滞った場合に、銀行が換金して返済に充てることができる資産のことです。

不動産や有価証券などの担保を提供できる場合、銀行にとってリスクが低減されるため、無担保の場合と比べて低い利率が適用されることが多くあります。特に、流動性の高い資産を担保とした場合は金利優遇を受けやすいでしょう。

同様に、代表者個人の連帯保証や第三者保証があることで、リスク分散が図られ金利が抑えられることがあります。ただし、近年は経営者保証に依存しない融資も増えており、必ずしも保証が必要とは限らなくなっています。

融資期間と融資金額

融資の期間や金額も利率を決める要素となります。一般的に、融資期間が長くなるほど金利は高くなる傾向があります。これは、長期の資金拘束によるリスクが増加するためです。

例えば、1年の短期運転資金融資と10年の設備投資融資では、後者の方が金利は高くなります。ただし、不動産担保融資などでは、期間が長くても低金利で融資を受けられるケースもあります。

融資金額に関しては、一般的に金額が大きいほど銀行側の審査が厳格になりますが、交渉次第では優遇金利を引き出せる可能性も高まります。特に、大口融資では銀行の利益も大きくなるため、金利交渉の余地が生まれやすいでしょう。

銀行融資の利息の目安

融資を検討する際には、実際にいくらの利息を支払うことになるのか、その計算方法を理解しておくことが重要です。利息計算は意外とシンプルですが、返済方法によって総支払額が変わってきます。

基本的な利息の計算式

銀行融資における利息の基本的な計算式は、以下の通りです。

利息額=元本×年利率×借入日数÷365日

例えば、1,000万円を年利2.0%で30日間借りた場合の利息は次のようになります。

1,000万円×2.0%×30日÷365日≒16,438円

この計算式は単利計算の基本形で、多くの銀行融資で採用されています。正確な利息額を把握するためには日割り計算が重要です。

なお、利息の計算方法は、金融機関によって若干異なる場合があります。例えば、365日ではなく360日で計算する方式(アメリカンメソッド)を採用している場合もあるため、契約書の細則を確認することをおすすめします。

元利均等返済と元金均等返済の違い

銀行融資の返済方法には、主に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があり、それぞれ利息の総支払額が異なります。

元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)が一定になるよう計算される方法です。初期の返済では利息の割合が大きく、徐々に元金の返済割合が増えていきます。住宅ローンなどの長期融資で多く採用されています。

一方、元金均等返済は、毎月一定額の元金に加えて、その時点の残高に対する利息を支払う方法です。返済が進むにつれて利息負担が減少するため、毎月の返済額は徐々に少なくなります。

返済方法 特徴 向いている企業
元利均等返済 ・毎月の返済額が一定
・初期は利息の比率が高い
・総支払利息額が多め
・返済計画を立てやすい安定した収益がある企業
・キャッシュフローを一定に保ちたい企業
元金均等返済 ・毎月の元金返済額が一定
・返済が進むと総額が減少
・総支払利息額が少なめ
・総コストを抑えたい企業
・将来の業績向上を見込んでいる成長企業

同じ融資条件でも返済方法によって総支払額が変わるため、自社のキャッシュフロー状況に合わせた選択が重要です。特に長期融資では、この違いが大きな金額となって表れます。

実質金利と表面金利の違い

銀行融資を検討する際には、表面上の金利(表面金利)だけでなく、手数料や保証料を含めた実質的な負担(実質金利)を考慮することが重要です。

例えば、信用保証協会付き融資では、銀行に支払う金利(表面金利)に加えて、信用保証協会に保証料を支払います。この保証料は、融資金額の0.5%~2.0%程度で、信用力によって変動します。

表面金利が1.5%で保証料が1.0%の場合、実質的な負担は2.5%となります。また、事務手数料や振込手数料なども考慮すると、さらに実質コストは上昇します。

異なる融資オプションを比較する際は実質負担で判断することで、より正確な判断が可能になります。特に、公的融資制度と民間金融機関の融資を比較する際には、この視点が重要です。

銀行融資の利率を抑えるためのポイント

融資を受ける際には、少しでも利率を抑えることが、長期的な返済負担を軽減することにつながります。企業側が実践できる利率交渉や、準備のポイントをご紹介します。

財務体質の改善

銀行から有利な条件で融資を受けるためには、財務体質の改善が最も基本的かつ効果的な方法です。銀行は財務諸表を詳細に分析して、融資条件を決定します。

まず重視すべきは、自己資本比率の向上です。具体的には、利益の内部留保による純資産の増加、増資による資本金の増加などが方法として考えられます。自己資本比率30%以上を目指すと金融機関からの評価が大きく変わることが多いものです。

また、安定した収益力の証明も重要です。過去3期分の決算書で、安定した利益を出していることが理想です。季節変動が大きい業種でも、年間を通じた安定収益を示せることが評価につながります。

さらに、不要な資産の売却や経費削減により、キャッシュフローを改善することも効果的です。特に、債務償還年数(借入金÷年間キャッシュフロー)が短いほど、返済能力が高いと評価されます。

複数銀行との交渉

銀行融資は、一方的に条件が決まるものではなく、交渉の余地があります。特に、複数の金融機関と並行して交渉することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

まず、メインバンク以外の金融機関とも、取引関係を構築しておくことが重要です。複数の取引実績があると、競争原理が働き条件交渉がしやすくなります。

具体的な交渉では、他行からの提案内容を伝えることで条件改善を促すことができます。ただし、過度な条件比較は銀行との信頼関係を損なう可能性があるため、誠実な対応を心がけましょう。

また、融資の目的や資金使途を明確に説明し、返済計画の実現可能性を示すことも重要です。事業計画書を準備し、融資によってどのように企業価値が向上するかを具体的に提示できれば、交渉が有利に進む可能性が高まります。

担保・保証の活用

担保や保証の提供は、銀行にとってのリスク低減につながるため、利率の引き下げ効果が期待できます。効果的な担保・保証の活用方法を検討しましょう。

不動産担保は、最も一般的で効果的な担保です。自社所有の不動産だけでなく、代表者や関連会社の不動産も担保として活用できる場合があります。特に、市場性の高い不動産は高い担保評価を受けやすいため、利率引き下げ効果も大きくなります。

また、売掛金や在庫などの流動資産を担保とするABL(動産・債権担保融資)も選択肢の一つです。特に、製造業や卸売業などでは有効な手段となります。

保証については、信用保証協会の保証制度を活用する方法があります。保証料は必要ですが、銀行のリスクが低減されるため、金利が優遇される場合があります。特に、中小企業向けの制度融資では、自治体による利子補給もあり、実質的な金利負担が軽減されることもあります。

融資の目的別におすすめの銀行融資

銀行融資にはさまざまな種類があり、資金調達の目的によって最適な選択肢が異なります。ここでは、目的別に適した融資タイプとその特徴を解説します。

運転資金調達に適した融資

運転資金とは、仕入れや人件費など日常的な事業活動に必要な資金のことです。比較的短期間の資金需要に対応するための融資を選ぶことが重要です。

運転資金調達に最も一般的なのは、銀行の当座貸越やビジネスローンです。特に当座貸越は、必要なときに必要な分だけ借入できる柔軟性が最大のメリットです。限度額の範囲内で自由に資金を引き出すことができ、使わなければ利息も発生しません。

また、季節的な資金需要がある場合は、短期運転資金融資も選択肢となります。通常6ヶ月〜1年の期間で、繁忙期前に借り入れて、閑散期に返済するというサイクルで活用できます。

資金繰りに余裕を持たせたい場合は、信用保証協会付きの運転資金融資も検討する価値があります。保証料は必要ですが、比較的長期(3〜5年)の返済期間を設定できることが多く、月々の返済負担を軽減できます。

設備投資・事業拡大のための融資

設備投資や事業拡大には、多額の資金が必要となるため、長期的な視点での融資選択が重要です。返済計画を立てやすい、安定した条件の融資を選ぶことがポイントです。

設備投資には、設備資金融資や不動産担保融資が適しています。返済期間は通常5〜20年と長期になり、投資から得られる収益で徐々に返済していくことが可能です。特に、導入する設備自体を担保とするケースでは有利な条件が得られやすいでしょう。

また、日本政策金融公庫の設備資金貸付なども選択肢となります。民間銀行より金利が低く設定されていることが多く、特に中小企業の設備投資を支援する制度が充実しています。

M&Aや新規事業立ち上げなどの大規模な事業拡大には、シンジケートローン(複数の金融機関による協調融資)も検討できます。単一の銀行では対応しきれない、大口の資金需要に対応できる手段です。

創業時に活用できる融資制度

創業時は、信用実績がないため通常の融資を受けにくい状況ですが、創業者向けの特別な融資制度も多数存在します。これらを活用することで、比較的有利な条件での資金調達が可能です。

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、創業者向けの代表的な融資で、無担保・無保証人での融資が可能です。創業計画の実現性が重視され、自己資金要件が緩和されている点が大きなメリットです。

また、各自治体の制度融資にも創業支援枠があることが多く、利子補給や保証料補助などの優遇措置が設けられていることがあります。地域によって条件は異なるため、創業予定地の自治体に問い合わせることをおすすめします。

民間銀行でも、創業者向けの融資商品を提供している場合があります。特に、事業経験や専門知識がある場合、あるいは独立開業(スピンアウト)の場合などは、実績が評価されて融資が受けやすくなることがあります。

資金調達目的 おすすめの銀行融資 特徴・利率目安
創業・運転資金 信用保証協会付き融資
日本政策金融公庫の創業融資
・比較的低金利(1.0%~3.0%+保証料)
・審査がプロパー融資より通りやすい
・保証料が別途必要
設備投資・事業拡張 プロパー融資
不動産担保融資
・長期返済が可能
・金利は1.0%~8.0%程度
・担保があれば金利優遇の可能性
急ぎの資金調達 ビジネスローン(無担保)
当座貸越
・審査が比較的迅速
・金利は1.5%~14.0%と幅広い
・必要額だけ調達可能

まとめ

銀行融資の利率は、企業の財務状況や担保の有無、融資の種類などによって大きく変動します。一般的には、プロパー融資で1.0%~3.0%、信用保証協会付き融資で1.0%~3.0%に保証料が加算、不動産担保融資で2.0%~8.0%、無担保のビジネスローンで1.5%~14.0%が目安となります。

企業側で利率を抑えるためには、財務体質の改善や適切な担保の提供、複数銀行との交渉などが有効です。また、融資の目的に応じて、最適な融資タイプを選択することも重要です。資金調達を検討する際は、表面金利だけでなく手数料や保証料を含めた実質コストを比較し、自社の事業計画に合った融資を選ぶようにしましょう。

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銀行融資では、企業の信用力や担保の有無によって利率が大きく左右されます。そのため、担保や保証人を用意できない企業にとっては、資金調達が難しくなることがあります。

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