2025.06.26

つなぎ融資とは?特徴と利用場面を紹介

つなぎ融資は、短期的な資金不足を解消するために利用できる一時的な融資制度です。主に最終的な住宅ローンや事業資金などが実行されるまでのつなぎとして活用され、必要書類や審査などの条件が通常の融資と異なる場合があります。資金調達の選択肢として検討される方も多く、うまく活用できればスムーズに資金を確保できる点がメリットです。

住宅や土地の購入や、新築・リフォームなどでまとまった資金が必要になるケースでは、資金の入金タイミングが求めるスケジュールに合わないことがあります。こうしたズレを解消するには、つなぎ融資を利用して速やかに費用を支払い、大切な契約や工事を予定どおり進めることが可能です。資金調達の手段として速度と柔軟性を重視する人にとっては、特に効果的な方法と言えます。

一方で、短期間とはいえ融資である以上、利息や担保などを含む諸条件をしっかり理解しておく必要があります。つなぎ融資は住宅ローン控除の対象にはならないことが多いため、後々の費用負担を見落とさないようにすることが重要です。この記事では、つなぎ融資の基本的な仕組みや利用場面、メリットと注意点、そして手続きの流れなどをわかりやすく解説していきます。

つなぎ融資とは何か?

まずは、つなぎ融資がどのような融資形態なのか、その概要と特徴を整理してみましょう。

つなぎ融資は、主に短期的な資金需要を補うことを目的とした融資制度です。例えば、住宅ローンの実行日が後ろにずれ込む一方で工事費や用地取得代金が先に必要な場合、予め組んだ返済計画と実際の出費タイミングにギャップが生じます。こうした場面で資金不足を解消するため、一時的に融資を受けるのがつなぎ融資の基本的な考え方です。

つなぎ融資とは

つなぎ融資とは、一般的には住宅ローンの実行までの間に必要となる資金を一時的に借り入れる融資制度のことをいいます。主に、住宅の建築や購入に際して、住宅ローンの実行前に必要となる資金を補うために利用されます。

つなぎ融資は、住宅ローンとは別の融資制度であり、融資期間が短く、金利も住宅ローンよりも高く設定されている点が特徴です。また、つなぎ融資の利用目的は、土地取得資金や建物建築資金など、住宅取得に直接関連する資金に限定されています。

つなぎ融資の特徴

つなぎ融資には、以下のような特徴があります。

  • 短期間の融資であり、融資期間は通常1年以内に設定されている
  • 金利は住宅ローンよりも高く、2~4%程度で設定されることが多い
  • 事務手数料や印紙代などの諸費用が必要となる
  • 団体信用生命保険への加入が求められる場合がある
  • 住宅ローン控除の対象外である

つなぎ融資は、住宅ローンとは異なる融資制度であるため、住宅ローンの審査とは別に、つなぎ融資の審査を受ける必要があります。また、つなぎ融資の返済は、住宅ローンの実行時に一括して行われるのが一般的です。

つなぎ融資の利用場面

つなぎ融資は、資金が必要となるタイミングと実際の入金タイミングにギャップが生じる場合に多く活用されます。ここでは代表的なシーンをいくつか紹介します。

つなぎ融資の利用シーンで多いのは、主に不動産の売買やリフォームに関わるケースです。必要書類の準備や契約手続きに伴う入金スケジュールが想定よりも前倒しになる場合には、短期的に大きな出費が求められます。そこで、つなぎ融資を使って短期の資金不足を補い、契約や工事を円滑に進めることができるのです。

住宅購入時のつなぎ融資

住宅を購入する際、住宅ローンの実行までに時間がかかる場合があります。その間の資金需要に対応するためにつなぎ融資が利用されます。

例えば、注文住宅を建てる場合、着工金や中間金の支払いが必要となります。また、土地の購入費用も必要です。これらの資金を住宅ローンの実行前につなぎ融資で賄うことで、スムーズに住宅購入を進められます。

住宅買い替え時のつなぎ融資

住宅の買い替えを行う際にも、つなぎ融資が活用されるケースがあります。現在の住宅を売却し、新しい住宅を購入する場合、売却代金の回収前に新規住宅の購入資金が必要となります。

つなぎ融資を利用することで、売却完了前でも新規住宅の購入が可能となり、取引のタイミングを柔軟に調整できます。これにより、希望の物件を逃すリスクを低減し、スムーズな住み替えが実現します。

リフォーム資金のつなぎ融資

住宅のリフォームを行う場合、工事完了までに一時的な資金需要が発生します。リフォーム費用の支払いにつなぎ融資を活用することで、資金面の心配なくリフォーム工事を進められます。

リフォーム後に住宅ローンを組み、つなぎ融資を返済するケースもあります。つなぎ融資を活用することで、リフォーム工事のスケジュールを柔軟に設定でき、理想の住まいづくりが可能となります

土地購入資金のつなぎ融資

土地を先に購入し、後から建物を建築する場合、土地決済のタイミングだけ資金が不足するリスクがあります。こうしたケースでも、つなぎ融資によって原資を確保し、予定通りに土地を押さえることができます。建築時に本融資へ切り替える流れを作っておくことで、土地と建物それぞれに支障なく資金を充当できるのがメリットです。

つなぎ融資のメリット

短期的な資金不足を解消することで、プロジェクトや不動産取引を予定どおりに進められる利点がつなぎ融資にはあります。

つなぎ融資の最大のメリットは、必要な直前に資金を調達できるため、スケジュールが崩れにくい点です。特に住宅取引などでは、決済日に遅れが生じると違約金や契約解除のリスクが高まるケースがありますが、こうしたリスクを軽減できるのは大きな利点といえます。また、手持ちの自己資金を無理に崩す必要がなく、財務状況の安定を保ちながら計画を推進できる点も見逃せません。

資金調達の柔軟性

つなぎ融資を利用することで、住宅購入や建築に必要な資金を自身のタイミングに合わせる形で、柔軟に調達することができます。

特に、注文住宅の建築では、着工金や中間金の支払いが必要となりますが、つなぎ融資を活用することで、これらの支払いに対応できるのです。また、住宅の買い替え時には、売却が完了する前でも新規購入資金を確保できるため、取引のタイミングを柔軟に設定できます。

つまり、つなぎ融資は、資金面での制約を緩和し、住宅取得や建築に関する資金計画の自由度を高めるメリットがあるといえます。

自己資金の負担軽減

つなぎ融資を利用することで、自己資金の負担を軽減できるというメリットがあります。

住宅購入や建築には多額の資金が必要となりますが、つなぎ融資を活用することで、自己資金の要件が緩和されるため、手持ちの資金が少ない場合でも、住宅取得や建築に踏み切ることができるのです。つまり、つなぎ融資は、資金面での障壁を下げ、住宅取得の機会を広げる効果があるといえるでしょう。

ただし、つなぎ融資は住宅ローンと比べて金利が高く設定されているため、利用する際には、金利負担についても慎重に考慮する必要があります。

取引のスムーズな進行

つなぎ融資を利用することで、住宅の売買取引をスムーズに進めることができます。

住宅の買い替えでは、新規物件の購入と現在の住宅の売却を同時に進める必要がありますが、つなぎ融資を活用することで、売却が完了するまでの間の資金を確保できるため、新規物件の取得を円滑に進めることができます。また、売却活動にも時間的な余裕ができるため、より良い条件での売却が期待できます。

つまり、つなぎ融資は、住宅の売買取引における資金面での制約を緩和し、取引全体の進行をスムーズにするメリットがあるといえるでしょう。

金利面での優遇措置

つなぎ融資を利用する際には、金利面で一定の優遇措置を受けられる場合があります。

つなぎ融資の金利は住宅ローンと比べて高く設定されているのが一般的ですが、同じ金融機関で住宅ローンとつなぎ融資を併用する場合、つなぎ融資の金利が優遇されることがあるのです。この優遇措置は、金融機関との関係性を深める効果があり、将来的な金利交渉での有利な条件を得られる可能性があります。

ただし、金利優遇の条件は金融機関によって異なるため、事前によく確認しておく必要があります。金利面での優遇措置は、つなぎ融資の利用を検討する際の判断材料の一つといえるでしょう。

つなぎ融資の注意点

短期的な資金不足を補う上で有用なつなぎ融資ですが、利用時には知っておくべきリスクや制限も少なくありません。

つなぎ融資はあくまで短期的な融資であり、長期間にわたる返済計画で使うことを前提にしていないため、返済時期と金利負担を誤ると支出が大きくなる場合があります。また、通常の住宅ローンや一般的な事業融資とは異なる扱いをされることが多く、税制面や控除の面で恩恵が受けられない点にも注意が必要です。事前に金融機関や専門家に条件をしっかり確認し、総返済額を試算しておくことが重要となります。

金利負担の増加

つなぎ融資は住宅ローンより金利が高く設定されることが多く、住宅ローンの金利が1%前後の場合は2~4%程度に設定されるケースがあります。

  • 短期融資であるため金融機関が高めの金利を設定しやすい
  • 金利負担が増すことで支払い総額が大きくなる恐れがある

金利負担が増大すると、長期的な資金計画、返済計画への影響が大きくなるため、事前に返済シミュレーションを行い、総額をしっかり把握しておく必要があります。

住宅ローン控除の適用外

つなぎ融資は住宅ローン控除の対象外です。年末時点で利用していても、確定申告での住宅ローン控除を受けられない点に注意が必要です。

  • 住宅取得のための正式なローンとは別扱いとされる
  • 税制優遇が受けられないため実質的に負担が増える

住宅ローン控除を前提に資金計画を立てる場合、つなぎ融資の金利分が想定以上に膨らむ可能性があります。資金計画をしっかり見直し、全体の費用を把握しておきましょう。

融資期間の制限

多くの金融機関では、つなぎ融資の融資期間を1年以内に設定しています。これは住宅ローンの実行までの短期をカバーする目的のためです。

  • 融資期間は1年以内が一般的
  • 工事の遅れなどで期間が延びると追加手続きが必要になる場合がある

融資期間内に完済できないと、追加費用が発生したり、再審査が必要となる可能性があります。工期の管理を徹底し、スケジュールどおりに進めることが大切です。

担保設定の必要性

つなぎ融資では、土地や建築中の建物を担保に設定する場合があります。金融機関としてはリスクを回避するための措置ですが、手続きや費用がかかる点に留意しましょう。

  • 担保に関する登記費用や諸手数料が必要となる
  • 必要書類の準備や手続きに時間がかかる

担保設定を行う際は、早めに必要書類をそろえ、スケジュールを確認しておくことが重要です。手続きが遅れると、融資そのものが進まず建築や購入に影響を及ぼす可能性があります。

審査の厳格さ

つなぎ融資の審査は、住宅ローンと同等かそれ以上に厳しく行われることがあります。金融機関としては貸し倒れリスクを避けたいため、短期融資であっても返済能力を詳細に確認します。

  • 年収や勤続年数、信用情報などを厳しくチェックされる
  • 申込時には多くの書類を求められる場合がある

つなぎ融資を検討する際は、早めに借入可能額を試算し、必要書類を準備することが不可欠です。審査に時間がかかるケースもあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

つなぎ融資の利用手順

ここでは、つなぎ融資を実際に利用する際の代表的な流れを紹介します。

つなぎ融資の利用には、申込みから審査、実行、そして返済および本融資への切り替えといった工程があります。流れそのものは一般的な融資と大きな違いはありませんが、建築費用やリフォーム費用など、資金の使途が明確になっている点が重要です。途中で必要書類が追加で求められるケースもあるため、スムーズに手続きを進めることで余裕をもって資金を確保できるでしょう。

つなぎ融資の申込み

まず、つなぎ融資の利用を検討している金融機関に相談し、申込みを行います。複数の金融機関の条件を比較しておくことで、自分に最適な選択ができるでしょう。

申込みの際は、融資の目的や希望する借入額、返済期間などを明確に伝えることが重要です。また、つなぎ融資は住宅ローンと異なり、用途が限定されていることを理解しておきましょう。

必要書類の準備

つなぎ融資の審査では、各種の書類提出が求められます。主な必要書類は以下の通りです。

  • 住民票
  • 収入証明書
  • 勤務先の在職証明書
  • 納税証明書
  • 土地・建物の売買契約書
  • 建築工事請負契約書

書類の準備は早めに行い、不備がないようにしましょう。金融機関によっては、追加の書類提出を求められる場合もあります。

審査と融資実行

必要書類を提出すると、金融機関での審査が行われます。つなぎ融資は、住宅ローンの審査とは別に行われるため、二重の審査を受ける必要があります。

審査では、返済能力や資金使途の妥当性などがチェックされます。審査に通過すると、融資が実行され、指定の口座に資金が振り込まれます。つなぎ融資の金利は住宅ローンに比べて高めに設定されているため、利息負担には注意が必要です。

つなぎ融資の返済

つなぎ融資は短期返済が前提となるため、返済期間は数カ月から1年程度の場合が多いです。実際の返済は利息のみの支払いで、本融資が実行されるタイミングで一括返済するケースもあります。どのように返済を行うかは契約条件によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

住宅ローンへの借り換え

建物が完成し、住宅ローンの融資が実行されたら、つなぎ融資から住宅ローンへの借り換えが行われます。この時、つなぎ融資の残債は住宅ローンに組み込まれ、以降は住宅ローンの返済スケジュールに従って返済していくことになります。

借り換え手続きは金融機関が代行してくれるため、借主の負担は少なくて済みます。ただ、つなぎ融資の利用分は住宅ローン控除の対象外となるため、その点は留意が必要でしょう。

まとめ

つなぎ融資をうまく利用することで、タイミングに合わせた資金確保と負担軽減を両立しやすくなります。

短期間でまとまった資金を用意する必要がある場合に、つなぎ融資は非常に有用な資金調達手段となります。住宅ローンや事業ローンのような長期融資と組み合わせることで、必要な時期に必要な資金を確保してスムーズな契約や工事を進められます。一方で金利負担や融資条件といった面では注意点も多いので、専門家への相談や金融機関のサービス内容をしっかり確認しておくことが大切です。

つなぎ融資の資料作成のサポートとして、ヒューマントラストも選択肢にいかがでしょうか?

支援実績12,000社以上!ヒューマントラストの資金調達トータルサポート

ヒューマントラストは、これまで12,000社を超える法人・個人事業主様の資金調達を支援してきました。 ファクタリングやビジネスローン、銀行融資の調達支援などをワンストップでご提供しており、最短即日での現金化や融資にも対応しています。 とくに、売掛先へ通知しない2社間ファクタリングは、最短15分ほどで資金をご用意できるため、急な経営ニーズにも柔軟に対応可能です。 必要書類も最小限に抑え、オンラインやお電話でのお手続きを中心に進められますので、遠方にお住まいの方やお忙しい経営者の方でも気軽にご利用いただけます。 まずは専門スタッフが状況を丁寧にヒアリングし、それぞれに最適なプランをご提案いたしますので、資金繰りにお困りの際はぜひヒューマントラストまでご相談ください。

資金調達コンサルティングのご相談とお申し込みはこちらから

 

監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。


前へ

創業融資とは?限度額や利率まで細かく解説

一覧へ戻る

融資とファクタリングの違いは?それぞれのメリットやデメリットを徹底解説

次へ