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2025.06.26

投資と融資の違いとは?活用場面の基本を解説

投資と融資の違いとは?活用場面の基本を解説

本記事では、資金調達方法として代表的な投資と融資について、両者の基本的な違いやその仕組み、審査基準、会計処理・税務上の特徴などを解説します。それぞれのメリットとデメリットを把握することで、ビジネスの拡大や経営の安定に役立てることができます。投資家や金融機関からの資金調達を検討している方は、まずはそれぞれの特性を知り、自社の状況と照らし合わせてみましょう。

ビジネスを始める、あるいは拡大する上で知っておきたいポイントをまとめました。投資は将来的なリターンを重視した資金調達方法であり、融資は返済能力を重視して資金を借り入れる方法です。両者の違いを理解し、自分の事業に適した調達手段を選ぶための参考にしてください。

投資と融資の違い

まずは投資と融資の概念や資金調達における位置づけについて整理します。

投資とは、将来的な企業の成長や利益を期待して資金が出資される行為です。資本を提供する投資家は、株式などを取得して企業の一部を所有する形になります。企業にとっては、出資を受けることで返済義務のない資金を得られる一方、株主としての権利が発生するため、経営へ意見や影響が及ぶ可能性があります。

融資は銀行などの金融機関から資金を借り入れる行為であり、借りた額に対する返済義務と金利負担が生じます。投資と異なり株式の発行はいらないので、企業の所有権や経営権に干渉されにくいのが特徴です。ただし返済が滞った場合、信用リスクが高まったり追加的な担保が求められたりする点に注意が必要です。

資金調達手段として見ると、投資は企業の成長性やリターン重視、融資は返済能力や安定性を重視するなど、審査の基準が異なります。自社の事業ステージや資金の使途によって選ぶべき方法が変わるので、両者の基本的な性質を把握しておくことは経営上とても重要です。

投資とは

投資は、投資家が企業に資金を出資し、その対価として株式や持分を取得する仕組みです。株式を保有することで議決権を有する場合もあり、経営方針への影響力を得ることが可能となります。企業側は返済義務を負いませんが、出資割合を増やされると経営権が希薄化しやすい点に留意が必要です。

融資とは

融資は銀行や貸金業者などの金融機関から資金を借り入れる行為で、必ず元本の返済と利息の支払いが必要となります。株式を売却するわけではないため、企業の所有権や経営の方針への介入が少ないのが特徴です。ただし事業が順調に進まないと返済リスクが高まり、財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

資金調達方法としての投資と融資の位置づけ

企業が大幅な成長を見込む際は投資が選択されやすく、早期に多額の資金を投入することで一気に事業規模を拡大したい場合に有効です。一方、既存事業の運営資金や設備投資など、返済計画を立てやすい資金需要には融資が適しています。企業規模や事業戦略、リスク許容度によって投資か融資かを選ぶことで、より最適な資金繰りを実現することができます。

投資と融資の仕組みの違い

投資と融資は実際のプロセスや関係者の立場、適用される法規制が異なります。ここではそれぞれの特徴を見ていきます。

投資の場面では、企業はまずビジネスモデルや将来計画を投資家に示し、出資を募ります。その後、出資契約書の締結や株式発行などの手続きが行われます。投資家は株式を取得することで議決権を行使し、企業の方針に意見を出す立場となることが多いです。

融資の場面では、まず企業が金融機関に事業計画や財務諸表を提出した上で、信用調査や担保評価などが行われます。金融機関は返済能力を重視し、利息や返済期間、条件などを設定します。融資の手続きでは、借入金契約や担保設定が行われ、規模によっては保証人を求めるケースもあります。

両者は資金をファイナンスする手法としては同じカテゴリーですが、投資は金融商品取引法に則り、融資は銀行法や貸金業法などに基づくといった法規制面での違いも大きいです。投資と融資を組み合わせて資金調達プランを立てる企業も増えており、法的リスクを踏まえて検討することが重要になります。

投資のプロセスと関係者

投資のプロセスでは、投資家が企業のビジネスモデルを精査し、株式発行条件や経営計画などを交渉します。出資契約が締結された後は、投資家は株主として議決権を得ることが一般的です。企業に対して、経営の助言やネットワークの提供など、リソース面でもサポートするケースが多く見られます。

融資のプロセスと関係者

融資のプロセスは、企業が金融機関へ融資を申込み、信用調査や担保の査定を受けるところから始まります。その後、融資条件が確定し、契約を結ぶことで資金が貸し出されます。金融機関は事業の収益力よりも、安定的に返済できるかどうかを判断し、適切な金利や保証内容を設定するのが特徴です。

投資と融資に関わる法規制の差異

投資は金融商品取引法などの監督を受ける一方、融資は銀行法や貸金業法などが適用されます。企業が株式を資金調達のために発行する場合は、有価証券届出書の作成や投資家への情報開示義務などが課されることがあります。一方で融資には、貸金業登録や銀行免許などの要件を満たした金融機関が行うことが通常であり、返済条件や金利などは法令により一定の規制を受けます。

投資と融資の審査基準の違い

企業が資金を調達する際、投資家や金融機関は各々の観点で審査を行います。具体的にどのような点を重視するのでしょうか。

投資家は企業のビジネスモデルや将来的な成長性に着目し、投資によって得られるリターンを重視します。また、経営者やチームの能力、マーケットの大きさ、競合優位性なども判断材料に含まれます。審査が通れば大きな資金を一気に調達できる場合があるため、企業の拡大に強く寄与します。

金融機関の融資審査では、財務諸表を通じた経営実態の把握、担保価値の評価、返済能力の確認が特に重視されます。安定したキャッシュフローを生み出す企業ほど融資を受けやすく、金利も低めに設定される傾向があります。返済計画の整合性や長期的な経営ビジョンも評価基準になるため、情報を整えた上で申請することが効果的です。

事業者の規模や業態によって、審査基準の重みは変わります。スタートアップでは投資家が成長ポテンシャルを重視する一方で、金融機関は信用リスクを見極めて融資を判断します。中小企業や大企業なども含め、企業形態に合わせた審査基準が設けられるため、資金調達予定の企業は自社を客観的に分析し、最適な方法を選ぶ必要があります。

投資家が重視するポイント

投資家はキャピタルゲインや配当によるリターンを期待しているため、企業価値の上昇が見込めるかどうかに重点を置きます。経営陣のビジョンやチーム力、サービスや商品が市場に与えるインパクトなどを総合的にチェックします。短期的な利益だけでなく、中長期的な成長戦略を評価される点にも留意が必要です。

金融機関が融資審査で重視するポイント

金融機関は貸し倒れを避けるため、安定した返済が見込めるかを厳しく審査します。具体的には、過去や現状の売上と利益、返済原資となるキャッシュフロー、資産内容や担保力などが中心となります。計画性の高い返済スケジュールを提示できれば、企業は有利な条件での融資を受けやすくなるでしょう。

事業者の属性による審査基準の違い

スタートアップであれば、まだ実績が乏しい分、投資家は経営チームの能力やビジネスモデルの革新性に注目します。一方で金融機関は、実績が少ない企業への融資には慎重になりやすい傾向があります。大企業や成熟した中小企業の場合は、過去の実績や財務基盤がある程度揃っているため、借り入れやすさが変わる可能性があるのです。

投資と融資の会計処理と税務上の違い

投資や融資を受けると、財務諸表や税務にどのような影響を与えるのかを解説します。

資金調達方法によって、貸借対照表や損益計算書への計上の仕方が大きく変わります。投資の場合は自己資本が増加して返済負担はゼロですが、企業の所有権割合が変化する点が特徴です。融資の場合は借入金として負債になるため、返済義務と利子負担が財務状態に影響を与えます。

税務上の取り扱いも投資と融資で異なることに注意が必要です。投資では配当を出した場合に課税される一方、融資では支払う利子を損金として算入できるなど、それぞれでメリット・デメリットがあります。自社の利益水準や負債比率、将来的な資金ニーズなどを総合的に考慮して意思決定を行うことが欠かせません。

資金調達の形態によって財務指標が変化するため、投資家や金融機関、取引先などへの印象にも影響を与えます。企業価値を高めたい場合や、一定の自己資本比率を維持したい場合など、それぞれの指標を意識して選択することが事業を安定させるポイントです。

投資を受けた場合の財務諸表への影響

投資を受けると、出資額は資本金や資本剰余金として自己資本に計上されます。返済義務がないため負債は増えず、自己資本比率が上昇して財務体質が強化される利点があります。ただし株式を発行することで既存株主の持分比率が下がり、経営への影響力が変化する可能性がある点に留意しましょう。

融資を受けた場合の財務諸表への影響

融資を受けた場合、借入金として負債に計上されるため、自己資本比率は低下します。支払う利息は損金となりますが、その分キャッシュフローへの影響が大きくなる点が特徴です。経営権を維持しつつ資金を確保できるメリットはありますが、返済リスクをコントロールするために綿密な計画を立てることが大切です。

投資と融資に関する税務上の取り扱いの差異

投資で得た資金は返済不要ですが、配当を出した場合に課税上の取り扱いが発生します。一方、融資を受けると利子が経費となり損金計上が可能になりますが、元本返済が欠かせません。事業拡大の局面でどのような税務メリットが大きいか、将来的な利益計画を考えながら慎重に検討しましょう。

投資のメリットと注意点

返済義務がない一方で、経営権や株式の希薄化など特有のリスクがある投資のポイントをおさえましょう。

投資によって得た資金は返済義務がなく、資金繰りに余裕が生まれやすい点が大きな魅力です。また、投資家からマーケットの知識やコネクションを得られる場合は、事業拡大を効率的に進められる可能性があります。ただし、出資比率が大きくなるほど経営方針に対する投資家の影響力は強まり、事業方向性の調整が難しくなることもあります。

株式公開や追加出資の検討は、企業の成長戦略と密接にかかわります。追加の調達を重ねるうちにオーナーの持分比率が下がり、将来的に経営判断が制約される可能性もあるので注意が必要です。ファイナンス戦略を考える際には、資本比率の変化と投資家との関係構築を慎重に検討しましょう。

投資家への情報開示や説明責任を果たすことも重要です。投資家とのコミュニケーションが希薄になると、想定していた経営支援を得られなくなる場合があります。資金だけでなく、投資家の知見やネットワークを最大限に活かせるように、定期的な報告や連携体制を整えましょう。

返済義務がない

投資は融資と異なり、元本返済の負担が一切ない形で資金を得られる方法です。資金調達後も返済に追われることがないため、事業拡大にリソースを集中させることができます。ただし、投資家の意向を無視して事業を進めると後々のトラブルになりやすい点に注意しましょう。

経営支援が受けられる

投資家は資金だけでなく、多くの場合業界知識や人脈を持っています。これを上手く活用することで、事業拡大のスピードや効率性を高めることができるでしょう。ただし投資家によっては、経営方針への意見が強く、企業側が想定していた自律的な運営スタイルとは異なる状況になることもあります。

経営権に関する注意点

出資比率が高い投資家は議決権を多く持つため、大きな意思決定で優先権を発揮する可能性があります。企業としては、どれだけの議決権を渡すのか、経営の主導権に影響が出るかなどの点を事前に精査する必要があります。将来の追加出資などを見据え、戦略的に株式構成を考慮することが望ましいでしょう。

株式希薄化リスクへの備え

追加調達の度に株式を発行すると、創業者や既存株主の持分比率が低下します。これにより企業の意思決定において影響力が下がるリスクが生じます。希薄化リスクを最小限に抑えるには、調達時期や株価評価を慎重に検討し、必要資金を適切なタイミングで集めることが重要です。

融資のメリットと注意点

経営権を守りやすく、事業の自主性を高められる融資の特徴と、その際に考慮すべき要素を解説します。

融資は金融機関から資金を借り入れるため、企業の所有権を分割する必要がありません。結果として、経営権や事業方針をコントロールしやすいというメリットがあります。一方で、定期的な利息の支払いや元本の返済義務があるため、事業が思うように伸びなかった場合のリスク管理が欠かせません。

返済スケジュールが明確に設定されるため、キャッシュフローを緻密に管理する必要があります。その一方で、金融機関からの融資によって財務規律が高まり、事業計画を着実に実行する意識を高める効果も期待できます。しかし、返済が滞ると信用リスクが大きくなり、追加融資や取引条件に影響を及ぼす場合があるのです。

融資の条件には、担保や保証人の提供も含まれることが多く、経営者個人のリスクが拡大するケースもあります。必要な金額とリスク、金利負担などを比較検討し、事業に適した借入形態を選ぶことが大切です。資金調達全体のバランスを考えながら、投資や補助金など他の選択肢も併せて検討しましょう。

事業の自主性を維持できる

融資を活用すると、議決権を含む経営権が外部に移ることなく事業運営を続けることができます。投資家の影響を受けずに経営判断を行いたい場合や、既存株主の持分比率を守りたい場合に有効です。ただし、金融機関からのモニタリングがある場合は事業計画の修正を求められることもあるため、完全に自由が保証されるわけではありません。

計画的な返済による財務規律の確立

融資を受ける際には、返済スケジュールが設定されるため、企業はキャッシュフロー管理を徹底する必要に迫られます。これにより計画的に事業を進める意識が高まり、無理のない範囲で投資を行う文化が育ちやすくなるでしょう。規模の拡大に合わせて追加融資を活用する場合も、メリットとリスクを常に天秤にかけながら判断することが大切です。

金利負担と返済リスクへの備え

融資の金利負担は事業を圧迫する要因になることがあります。特に、売上や利益が想定通りに伸びない場面では返済が難しくなり、資金繰りに苦労するリスクが高まります。借入れた資金の用途を明確にし、事業成長とキャッシュフローを見据えた返済計画を立案することが重要です。

担保や保証人に関する留意点

大きな資金を融資してもらう際には、担保や保証人の提供が必須となるケースが多いです。担保を提供する場合は、万一返済が滞った時にその資産が差し押さえられるリスクが伴います。保証人を立てる場合も、返済責任を共有するため、周囲の理解や合意が欠かせません。

まとめ

投資と融資はどちらも事業資金を調達する手段ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社の状況や成長戦略に合わせて選択・組み合わせを検討することが大切です。

資金調達は企業の成長や安定した経営を実現するために不可欠な要素です。投資と融資を単独で利用するだけでなく、状況によっては両方を組み合わせることも有効です。返済義務のある負債をどこまで増やすか、経営権をどの程度シェアするかなど、経営者の意向や事業フェーズに応じて最適なバランスを見つけることがポイントとなります。

特にスタートアップや中小企業は、投資による一気の事業拡大を目指すのか、融資によって堅実に成長するのかを見極める上で、慎重な検討が欠かせません。金融機関や投資家とのコミュニケーションを丁寧に行い、自社の強みや将来計画を説得力ある形で示すことが求められます。会計処理や税務面も理解し、リスク管理と企業価値向上を両立させる戦略を描いていきましょう。

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監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。


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