2025.05.31
いくらまで借りられる?経営者が勘違いしやすい保証枠を徹底解説
保証協会付の融資制度は、中小企業や個人事業主にとって資金調達の要となる手段の一つです。しかし、その保証枠や限度額については、具体的な計算方法や審査の仕組みが複雑に感じられることも多いでしょう。特にこれから利用を検討している方は、誤った認識や思い込みでせっかくのメリットを逃してしまわないように注意が必要です。
本記事では、保証付融資を利用する際に大切となる「いくらまで借りられるのか」という疑問を解消するため、保証枠に関する基本的な仕組みや考え方を分かりやすくまとめました。中小企業や個人事業主が資金繰りに悩む場面は多く、それぞれに適した融資や資本調達方法を知ることが安定した経営に直結します。保証協会のサポートを有効に活用するための情報を、ぜひ確認してみてください。
また、保証枠をどのように増やすかといったポイントや、利用時における審査の流れ、返済計画の立て方にも触れています。これらは初心者には少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、しっかり理解し対策を講じることで資金調達の幅が大きく広がります。正しい知識を身に付け、経営基盤をより強固にするための参考にしていただければ幸いです。
保証付融資でいくらまで借りられる?
保証付融資を検討するにあたって、まずは「実際にどれくらい借りられるのか」という基本的な疑問を解消することが大切です。
保証付融資は信用保証協会の枠を利用して資金を借りる仕組みであり、金融機関からの融資に公的な保障が付くことで借りやすくなるという特徴があります。借入額は事業の規模や過去の業績によって大きく変わるため、単純に「いくらまで」と一概に断言するのは難しい面があります。ただし、融資を希望する多くの経営者にとって、まずチェックすべきは協会が設定する最大限度額と自身の返済能力です。
限度額はそれぞれの企業や事業主の経営状況に応じて審査されるため、すべての企業が最大枠を利用できるわけではありません。売上高や利益率、運転資金の必要性などが考慮されるのはもちろん、過去の融資実績や返済歴も重要な要素となります。こうした視点を踏まえた上で、自社の財務状況に沿った確実な借入プランを組み立てることが、無理のない資金調達の第一歩です。
実際の借入可能額を知るには、まず信用保証協会や金融機関に相談し、自社の業績資料や事業計画を提示して見積もりをとることが一般的です。公的機関へ相談すれば助成制度や他の支援策も併せてチェックできる場合があるため、一度に複数の方法を検討しておくのも賢明です。保証枠を上手に活用しながら、将来の返済負担を見据えた堅実な計画を立てていきましょう。
保証限度額は最大いくら?
信用保証協会は、保証の上限額を設定し、その範囲内で保証します。では、保証限度額は最大いくらなのでしょうか。
信用保証協会の保証限度額は、事業形態や業種によって異なりますが、国の制度融資ではおおむね数千万円から数億円規模の設定が見られることがあります。とはいえ、あくまで最大値であり、実際には月商や業績指標によって細かく審査される点に注意が必要です。限度額を最大限に引き出したい場合は、事業計画や財務諸表の整備を徹底し、客観的な信用力を高めることが非常に重要です。
保証限度額は、担保の有無によって大きく変わります。すなわち、
無担保・・・8,000万円
有担保・・・2億8,000万円
と決められています。ただし、この枠はあくまでも上限であり絶対ではないことに注意してください。
保証限度額の考え方
保証付融資を使いこなすには、保証限度額がどのように決まるのか、その基本的な考え方を把握する必要があります。
保証限度額は企業側の返済可能性を基礎に設定されるため、単に「沢山借りたい」だけでは認められません。経営者がしっかりと事業計画を立て、資金をどのように使うのかを明確に説明できるかどうかが大きなポイントとなります。返済原資や事業の収支バランスを示すことで、協会や金融機関からの信用を高め、より有利な融資条件を得ることも期待できるでしょう。
信用保証協会は、保証した融資が貸し倒れになれば、原則として残債の80%を弁済する必要があります。このため、財務状況が悪い会社には保証できません。また、保証できるとしても、財務状態によって
「この会社は財務状態がいい。無担保でも8,000万円まで保証できる」
「この会社は財務状態がやや悪い。無担保なら5,000万円まで保証しよう」
といった差が出てきます。
このように、無担保8,000万円・有担保2億8,000万円の範囲内で、保証上限額に満たない保証枠しか与えられないケースもあるのです。
月商倍率がカギ
保証付融資においては、よく目安として用いられるのが月商倍率です。つまり、企業の月商に何倍かを掛け算し、返済負担とのバランスを見ながら融資枠を決定する考え方です。月商が高いほど比較的大きな融資を引き出しやすくなる反面、利益率や固定費などの要素にも着目されるため、単純に月商だけが高い企業でも審査で落ちる可能性はある点に留意が必要です。
この点をしっかり理解しておかなければ、資金繰り計画に支障を来します。保証枠に余裕があると思い、保証付融資なら簡単に融資を受けられると考えて融資を依頼したところ、保証を断られてしまい、資金調達が間に合わないといったトラブルが起こるのです。
実際に、
「今、無担保で信用保証協会から5,000万円の保証を受けています。無担保枠はあと3,000万円あると思うのですが、保証を申し込んだら断られてしまいました」
といった相談は非常に多いものです。
この会社は、会社の業績・財務状況から、無担保で保証できるのは5,000万円までと判断され、追加の保証を受けられなかったと考えられます。
保証枠の仕組みを理解していれば、「自社は保証枠を全部使ってしまったらしい」と判断し、他の資金調達方法に即座に切り替えることも可能です。
しかし、保証枠は銀行や信用保証協会が教えてくれるとは考えにくいため、ある程度の目算を立てられるようにしておくことが大切です。
保証上限額のカギを握るのは、月商倍率です。月商倍率とは、借入総額に対する月商の倍率であり、信用保証協会はこの倍率から適切な保証枠を判断しています。
業種によって異なりますが、大まかな考え方は以下です。
- 月商倍率が3倍以下→良
- 月商倍率が3~4ヶ月→可
- 月商倍率が4ヶ月以上→不可
保証枠の具体例
保証枠の判断について、具体的に見てみましょう。
A社の年商は6億円、月商は5,000万円です。この月商により、信用保証協会の基本的な判断は、
借入金総額が1億5,000万円以下(月商倍率3倍以下)→良
借入金総額が1億5,000万円~2億円(月商倍率3~4倍)→可
借入金総額が2億円以上(月商倍率4倍以上)→不可
となります。したがって、以下のように、現状の借入総額と月商から、おおよその保証枠を把握できます。
A社の未だ無借金であれば、月商倍率4倍まで2億円の余地がある。このため、無担保では8,000万円、有担保では2億円までの保証を受けられる可能性が高い
A社の借入金総額が1億5,000万円であれば、月商倍率は3倍であり、月商倍率4倍まで(可の水準の範囲内)は保証できる可能性がある。保証枠は最大5,000万円となる
A社の借入金総額が2億円であれば、すでに月商倍率4倍に達している。これ以上は、「不可」の水準であるため、保証枠はゼロとなる
まずは、現時点での自社の借入総額、保証総額、月商倍率から、追加で保証を受けられるかどうか、いくらまで保証を受けられそうか、といったことを調べてみてください。
過去の返済実績が優秀であったり、独自の強みを持つビジネスモデルをアピールできたりすれば、さらに枠が広がる可能性も十分にあるのです。逆に利益率が低かったり売上が不安定であったりする企業は、同程度の規模でも希望通りの融資枠が出ないことも珍しくありません。
もし、保証枠が残っておらず、プロパー融資も受けられる見込みがなければ、ファクタリングなどの資金調達を模索していく必要があります。
よくある質問
保証付融資の審査には時間がかかることが多いですが、これは協会や金融機関がリスクと返済能力を慎重に評価しているためです。限度額を増やすコツとしては、まず事業計画を具体的にまとめ、売上予測や損益見込みを明確に説明できる資料を用意することが挙げられます。また、以前利用した保証枠がまだ残っている場合には、追加融資を申請する際にそれがどう影響するかをしっかり確認し、無理のない返済スケジュールを組むようにしましょう。
まとめ
本稿では、信用保証協会の活用に欠かせない「保証上限額」の正しい考え方を解説しました。
保証付融資の上手な活用には、正しい知識と事前の対策が必要不可欠です。
制度を理解し、着実な返済計画を立てることで、資金調達の可能性は大きく広がります。保証付融資はあくまで多様な手段の一つに過ぎず、実際には補助金や助成金、投資誘致といった他の選択肢も存在しています。自社の状況を見極めながら、最適な組み合わせを選ぶことが安定した経営と持続的な成長につながるのです。
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