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2025.05.19

建設業特有の資金繰り問題を解決するには?改善方法や資金調達手段について解説

建設業を経営していると、他の業種とは異なる特有の理由で、資金繰りに苦労することがあります。それは、工事に必要な費用の多くが先に発生し、売上金を回収するまでに時間がかかるという建設業界の構造的な課題です。

例えば、工事の着工から完成して代金が入金されるまでの期間が長いため、その間の資材費や人件費の支払いが負担になるという状況が頻繁に発生しています。また、季節による需要の変動や、天候による工期の遅れなど、資金繰りを不安定にする要因も数多くあります。

本記事では、建設業特有の資金繰りの課題と改善方法、そして考えうる資金調達の手段について詳しく解説します。資金繰り表の作成方法から契約条件の見直し、コスト削減策、さらには銀行融資やファクタリングなどの調達手段まで、建設業を経営する方が実践できる具体的な対策を紹介します。

建設業における資金繰りの課題

建設業の資金繰りには、他業種とは異なる独自の特徴があります。

売掛金回収までの期間が長い

建設業では、工事の着工から完成、そして代金回収までの期間が非常に長くなります。多くの場合、工事完了後に請求書を発行してから入金までに、30日から60日程度かかることが一般的です。

大規模な工事になればなるほど、この期間は長くなる傾向にあります。公共工事の場合は、さらに支払いサイクルが長くなることもあり、最終的な入金まで3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

この長い回収期間中も、従業員への給与や下請け業者への支払い、材料費などさまざまな経費の支出は続くため、資金繰りの計画的な管理が不可欠です。

業界構造として先行支出が多い

建設業では、工事開始前から多額の支出が発生します。資材の購入費、重機のレンタル料、下請け業者への前払い金など、売上が立つ前に多くの支出を行わなければなりません。

特に大規模な工事では、着工前の準備段階から相当額の資金が必要となります。工事に必要な資材を確保するための仕入れ代金は前払いが基本であり、これが資金繰りを圧迫する大きな要因となっています。

また、下請け業者への支払いも工事の進捗に合わせて発生するため、元請けとしては入金を待たずに支払いを行う必要があることが多く、支払いと入金のタイミングのずれが常に発生します。

収入が季節変動の影響を受ける

建設業は季節による繁閑の差が大きい業種です。一般的に、夏場や年度末に工事が集中し、冬季や梅雨時期は工事が減少する傾向があります。この季節変動により、収入が不安定になりがちです。

また、天候不順による工事の遅延も、収入計画を狂わせる要因となります。特に、屋外工事が多い業者にとって、長雨や台風などの影響は深刻で、計画通りに工事が進まず、結果として入金も遅れることになります。

このような不安定さに対応するためには、年間を通じた資金計画の策定が重要です。繁忙期の収入を閑散期に備えて適切に管理することが、安定した経営の鍵となります。

固定費の負担が大きい

建設業は固定費の割合が高い業種です。従業員の人件費、事務所や倉庫の賃料、重機やトラックなどの車両維持費、各種保険料など、工事の有無にかかわらず毎月一定額の支出が発生します。

特に、専門的な技術を持つ職人を雇用している場合、仕事量が減少しても簡単に人員削減はできません。一度失った優秀な人材を再び確保することは難しく、長期的な視点では人材維持も重要な経営課題です。

こうした固定費の負担が、収入の変動に対する耐性を弱める要因となっており、資金繰りの難しさを増幅させています。

建設業の資金繰りの改善方法

建設業特有の資金繰り問題に対応するためには、計画的かつ具体的な改善策の実施が必要です。

資金繰り表の作成

資金繰りの改善には、まず現状を正確に把握することが不可欠です。資金繰り表は、今後の入金予定と支出予定を一覧化することで、資金ショートのリスクを事前に発見するための重要なツールです。

効果的な資金繰り表は、少なくとも3ヶ月先までの現金の流れを予測するものが理想的です。大規模な工事を請け負っている場合は、工事期間全体をカバーする長期の資金繰り表も併せて作成するとよいでしょう。

週次での更新を習慣化することで、予測と実績のズレを早期に発見し、迅速な対応が可能になります。特に、入金予定日や大きな支出が発生する時期は、より詳細に管理することが重要です。

資金繰り表の作成には、専用のソフトウェアやクラウドサービスを活用すると効率的です。これらのツールは、自動計算機能や視覚的なグラフ表示などの便利な機能を備えており、資金管理の負担を軽減してくれます。

契約条件の見直し

資金繰りを改善するための直接的な方法として、取引先との契約条件の見直しが挙げられます。特に支払条件と入金条件は、資金繰りに大きな影響を与える要素です。

具体的には、工事進行に合わせた中間金の設定や、材料費などの大きな支出が発生する前の前払い金の増額交渉などが効果的です。特に長期にわたる大型工事では、月次での出来高払いを提案するなど、収入の平準化を図ることが重要です。

また、下請業者との支払条件についても、可能な範囲で調整を行うことで資金繰りの改善につながります。ただし、下請業者との関係性を損なわないよう、互いにメリットのある条件設定を心がけましょう。

新規の取引先と契約を結ぶ際には、初めから資金繰りを考慮した条件設定を行うことが重要です。過去の経験から、資金的に厳しくなるポイントを予測し、それを回避するための条件を事前に組み込んでおくことで、後々の問題を防ぐことができます。

支出の削減

資金繰りの改善には収入の増加だけでなく、支出の削減も重要な要素です。建設業におけるコスト削減は、工事品質を維持しながら無駄を省くという観点で進めることが大切です。

まず着目すべきは材料費です。複数の仕入先から見積もりを取り、価格交渉を行うことで調達コストを削減できます。また、同様の材料を使用する工事を集約して大量発注することで、スケールメリットを活かした価格交渉も可能になります。

次に人件費の最適化です。繁忙期と閑散期のバランスを考慮した人員配置や、可能な範囲での多能工化を進めることで、人件費の効率化を図ることができます。また、労務管理システムの導入により、残業時間の削減や業務の効率化も期待できます。

さらに、固定費の見直しも重要です。事務所や倉庫のスペース最適化、車両の稼働率向上、保険料の見直しなど、日常的なコストを定期的に点検し、削減できる部分を探しましょう。小さな削減の積み重ねが、最終的には大きな効果をもたらします。

不要資産の売却

建設業を長く続けていると、使用頻度の低い機械設備や余剰資材、遊休不動産などが蓄積されていることがあります。これらの不要資産を売却することで、資金繰りの改善に役立てることができます。

まずは社内の資産を棚卸し、過去1年間使用していない設備や機械がないか確認しましょう。使用頻度の低い重機や車両は、維持費も含めて考えると売却してレンタルに切り替えた方が経済的な場合もあります。

中古市場での需要調査を行い、資産価値が高いうちに売却することで、より多くの資金を回収することができます。特に専門性の高い機械設備は、同業他社や専門業者に売却することで、比較的高値での取引が期待できます。

また、所有している土地や建物などの不動産についても、事業に必要不可欠かどうかを見極め、必要性の低いものは売却や賃貸によって資金化することを検討しましょう。特に好立地の不動産は、大きな資金調達源となる可能性があります。

建設業におすすめの資金調達手段

資金繰りの改善と並行して、必要な資金を適切に調達することも、建設業の経営において重要です。

銀行融資

建設業における最も一般的な資金調達方法は、銀行からの融資です。低金利で大口の資金調達が可能であり、長期的な資金計画に適しています。

銀行融資を受ける際には、決算書の内容が重要な審査対象となります。特に建設業の場合、完成工事高に対する利益率が注目されるため、原価管理を徹底し、適正な利益を確保していることを示すことが大切です。

また、工事の受注状況や今後の見通しも審査のポイントとなります。継続的な受注が見込める取引先との関係性や、すでに契約済みの工事案件を提示することで、返済能力をアピールすることができます。

日頃からの銀行との関係構築も重要です。定期的に情報交換を行い、会社の状況や展望を伝えておくことで、急な資金ニーズが発生した際にもスムーズな対応が期待できます。銀行担当者を現場に招いて、事業への理解を深めてもらうことも効果的です。

ファクタリング

建設業の資金繰り対策として近年注目されているのが、ファクタリングです。これは、完成した工事の請求書(売掛金)を専門業者に売却して、早期に現金化する方法です。

ファクタリングのメリットは、銀行融資と異なり、財務状況よりも取引先の信用力が重視されるため、決算内容に課題がある企業でも利用しやすい点です。また、審査から資金化までのスピードが速く、最短で数日での資金調達が可能です。

特に建設業では、工事代金の回収までに時間がかかるため、大型工事の完了直後などの一時的な資金需要に対応する手段として有効です。支払サイトが長い公共工事の場合も、ファクタリングを利用することで資金繰りの改善が期待できます。

ただし、銀行融資に比べて手数料(割引料)が高めに設定されていることが一般的です。そのため、ファクタリングを利用する際は、手数料と資金調達の緊急性、他の調達手段との比較を十分に検討したうえで判断することが重要です。

補助金・助成金

建設業界では、さまざまな補助金や助成金を活用することができます。これらは返済不要の資金であるため、うまく活用することで大きな経営メリットを得ることができます。

建設業に関連する主な補助金・助成金には、設備投資に対するものや、環境対応技術の導入、人材育成、IT化推進などに関するものがあります。特にSDGsや省エネルギー、働き方改革などに関連した補助金は近年増加傾向にあります。

最新の情報を定期的に収集することが重要です。国や自治体、業界団体のウェブサイトやメルマガを活用して、新しい補助金情報をいち早くキャッチしましょう。また、日頃から補助金の申請要件を意識した事業計画や設備投資計画を立てておくことで、申請のチャンスを逃さない体制を整えることができます。

補助金・助成金は申請から採択、入金までに時間がかかるため、資金繰りの即効性のある対策というよりは、中長期的な経営戦略の一環として位置づけるべきものです。計画的な活用が成功のポイントといえるでしょう。

リースやレンタル

建設業は、多くの機械設備や車両を必要とする業種です。これらを購入せずにリースやレンタルで調達することで、初期投資を抑え、資金繰りの改善につなげることができます。

リースは、主に中長期的に使用する設備に適しており、毎月定額の支払いで予算管理がしやすいというメリットがあります。また、リース期間終了後に買取りや再リースといった選択肢もあり、柔軟な資産管理が可能です。

一方、レンタルは、短期的または季節的な需要に対応するのに適しています。使用期間が限定的な特殊機械や、年に数回しか使わない設備については、所有コストとレンタルコストを比較し、より経済的な方を選択することが重要です。

また、最新の省エネ設備や環境対応機器などは技術進化が速いため、購入よりもリースやレンタルを選択することで、常に最新設備を使用できるというメリットもあります。特に、建設現場の生産性向上に資するICT建機などは、リースで導入することで初期負担を抑えつつ技術革新の恩恵を受けることができます。

建設業が資金繰り改善していくための中長期戦略

資金繰りを考える際は、一時的な改善処置で終わらせるのではなく、中長期的な視点で安定させることを考えるのも大切です。

受注確保の仕組みの安定化

建設業の資金繰りを安定させるためには、季節や景気変動に左右されにくい受注構造を構築することが重要です。特定の顧客や工事種別に偏らないよう、バランスの取れた受注ポートフォリオを目指しましょう。

新規顧客の開拓と並行して、既存顧客からの継続的な受注も大切です。定期的なメンテナンス契約やリフォーム提案など、ストック型のビジネスモデルを組み込むことで、安定的な収入源を確保することができます。

得意分野への特化も効果的です。競合が少ない専門領域や高い技術力が要求される工事にフォーカスすることで、価格競争を避け、適正な利益率を確保することができます。特に、社会的ニーズの高い環境対応や防災関連の分野は、今後も需要の拡大が期待されます。

また、公共工事と民間工事のバランス、新築工事とリフォーム工事のバランスなど、異なる性質の工事を組み合わせることで、経済環境の変化にも対応できる体制を整えることが重要です。

財務体質の根本的な改善

中長期的な資金繰り改善のためには、企業の財務体質そのものを強化することが不可欠です。まずは、自己資本比率の向上を目指しましょう。利益の内部留保を増やし、借入金への依存度を下げることで、金融機関からの評価も高まります。

在庫管理の効率化も重要です。未使用の資材や部品が倉庫に眠っていないか定期的に確認し、必要最小限の在庫で運営できる体制を整えましょう。資材の共同購入や発注タイミングの最適化など、調達方法の見直しも効果的です。

粗利益率の向上も財務体質強化の鍵です。原価管理を徹底し無駄な経費を削減することで、同じ売上高でもより多くの利益を確保することができます。特に、間接費の削減や業務効率化による生産性向上は、すぐに着手できる改善策です。

また、キャッシュフロー重視の経営管理体制を構築することも重要です。売上や利益だけでなく、実際の現金の動きを中心に経営判断を行うことで、資金ショートのリスクを大幅に減らすことができます。

業務の効率化

建設業の資金繰り改善には、業務効率化によるコスト削減や生産性向上も重要な要素です。近年は建設業向けのさまざまなITツールが開発されており、これらを活用することで大きな効果が期待できます。

まず、工事管理システムの導入があります。工程管理、原価管理、資材管理などを一元化することで、リアルタイムで工事の進捗状況や収支を把握することができます。これにより、予算オーバーや工期遅延のリスクを早期に発見し、対応することが可能になります。

経理・財務管理ソフトの活用も効果的です。請求書発行の自動化や入金管理の効率化により、売掛金回収のスピードアップが期待できます。また、クラウド会計ソフトの導入により、リアルタイムでの財務状況把握や、税理士とのスムーズな連携も可能になります。

現場でのタブレット端末やモバイルアプリの活用も、業務効率化に貢献します。図面や施工写真の管理、日報の電子化、遠隔での指示出しなど、ペーパーレス化と情報共有の迅速化により、間接コストの削減と意思決定のスピードアップが実現できます。

新たな収益モデルの設計

建設業の資金繰りを根本的に改善するためには、従来の請負工事だけに依存しない、新たな収益モデルの構築も検討する価値があります。多角化により収入源を分散させることで、経営の安定性を高めることができます。

一つの方向性として、施工後のメンテナンスサービスや定期点検パッケージの提供が挙げられます。このようなストック型ビジネスは、継続的な収入を生み出すとともに、顧客との長期的な関係構築にも役立ちます。

また、自社の技術やノウハウを活かした商品開発も考えられます。施工経験から得た知見を基に、特殊な建材や工法を開発し、他の建設会社にライセンス供与するといったビジネスモデルです。独自の付加価値創出により、一般的な施工業務よりも高い利益率を確保することが可能になります。

さらに、近年注目されているのがサブスクリプションモデルです。例えば、オフィスや店舗の内装工事を定額制で提供し、定期的なリニューアルを組み込むといったサービスが考えられます。顧客にとっては、初期投資を抑えられるメリットがあり、施工会社側は安定した収入計画を立てやすくなります。

まとめ

建設業における資金繰り改善には、業界特有の課題を理解したうえで、短期的な対策と中長期的な戦略を組み合わせることが重要です。資金繰り表による現状把握、契約条件の見直し、コスト削減などの即効性のある方法と、財務体質の強化や新たな収益モデルの構築といった、根本的で長期にわたる改善手段を並行して進めるようにしましょう。

また、資金調達においても、銀行融資、ファクタリング、補助金活用、リース活用など複数の手段を状況に応じて適切に選択することが大切です。これらを自社の状況に合わせて活用することで、建設業特有の資金繰り問題を克服し、安定した経営を実現できるようになるでしょう。

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