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利息制限法による利息の上限は?上限のパーセントや超えてしまったときの対応についても解説

事業資金の借り入れを検討する際、利息(金利)には法律上制限があるということを押さえておく必要があります。実は、日本では「利息制限法」という法律によって、貸金業者が請求できる利息には明確な上限が定められています。

この上限を超える利息は法的に無効となり、既に支払ってしまった場合は返還請求できる可能性があります。しかし多くの事業者は、この制度の詳細や自身の借入が法律に適合しているかを十分理解していません。

本記事では、利息制限法の基本から上限金利の具体的な数値、法外な利息を請求された場合の対応策まで、事業資金の借入に役立つ情報を分かりやすく解説します。資金調達をする際の交渉力を高め、適切な借入条件を確保するための知識を身につけましょう。

利息制限法とは

利息制限法は、貸借取引における利息の上限を定めた法律です。この法律は、消費者金融などからの借入だけでなく、一般的な事業資金の借入にも適用されます。

この法律の最大の目的は、借り手を高金利から守ることにあります。特に、弱い立場にある借り手が、不当に高い利息を負担させられることを防止するため、昭和29年に制定されました。

重要なポイントは、利息制限法で定められた上限を超える金利契約は、超過部分が無効となるという点です。つまり、法定上限を超えた利息は支払う義務がなく、すでに支払った場合は返還請求ができます。

利息制限法が適用される取引の範囲

利息制限法は、幅広い金銭貸借取引に適用されます。具体的には、銀行や信用金庫などの金融機関からの借入、消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、お金を借りる取引全般が対象となります。

事業者にとって重要なのは、事業資金としての借入にも適用される点です。個人事業主や中小企業経営者が、事業拡大や運転資金として借り入れる場合も同様に保護されます。

ただし、商工ローンなど一部の業態では、「営業的金銭消費貸借」として、利息制限法の適用を回避しようとするケースもありました。しかし、裁判例では、基本的に利息制限法が適用されるという判断が一般的になっています。

利息制限法と貸金業法の関係

利息制限法と並んで借り手を保護する重要な法律として、「貸金業法」があります。両者は密接な関係にありますが、規制の観点が異なります。

利息制限法は「利息の上限」を定めているのに対し、貸金業法は貸金業者の行為規制を主な目的としています。貸金業法では、業者の登録制度や取り立て行為の規制、過剰貸付の禁止などが定められています。

2010年6月の貸金業法の完全施行により、かつて存在した「グレーゾーン金利」と呼ばれる問題も解消されました。現在は利息制限法の上限金利と出資法の上限金利が一致し、明確な金利規制が行われています。

利息制限法による上限金利

利息制限法では、借入金額によって上限金利が3段階に分けられています。元本が大きくなるほど、認められる上限金利は低くなる仕組みになっています。

借入元本金額 上限金利(年利)
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

例えば、80万円を借りる場合の上限金利は年18%、150万円を借りる場合は年15%となります。これらの上限を超える金利は、法的に無効となります。

同一貸主からの複数借入の場合

同じ貸主から複数回にわたって借り入れる場合、上限金利を計算する際には注意が必要です。この場合、借入金額は合算して考えるのが原則です。

例えば、同じ貸主から5万円と8万円を別々に借りた場合、合計13万円の借入となります。この場合、両方の借入に適用される上限金利は、13万円に対応する年18%となります。

この合算ルールは、貸主が借入を意図的に分割して高い金利を適用することを防ぐためのものです。ただし、借入の時期や目的が明確に異なる場合など、例外的に合算されないケースもあります。

利息の計算方法

利息制限法における利息計算は、以下の公式で行われます。

利息=元金×利率×借入日数÷365日

例えば、50万円を年利15%で30日間借りた場合の利息は

500,000円×0.15×30日÷365日≒6,164円

となります。このように日割り計算されるため、実際に借りている期間に応じた利息のみを支払うことになります。

なお、うるう年(366日)の場合でも、利息計算の分母は365日とするのが一般的です。また、計算の結果生じた端数は、貸主によって切り上げられることもありますが、その場合でも法定上限を超えることはできません。

上限金利を計算する際の注意点

利息制限法における「利息」の概念は広く、名目上の利息だけでなく、実質的に利息とみなされる各種費用も含まれます。借入契約を検討する際は、表面上の金利だけでなく、付随する費用も含めた実質的な負担を確認することが大切です。

利息に含まれる費用

利息制限法では、借入に関連するさまざまな費用が「みなし利息」として扱われることがあります。実質的に金利に含まれる費用を正確に把握することで、借入コストの全体像を理解できます。

利息とみなされる主な費用には、以下のようなものがあります。

  • 事務手数料(融資手数料)
  • 保証料
  • 調査料
  • 割引金
  • 更新料
  • リボルビング手数料

これらの費用は名目上、別料金となっていても、実質的には借入の対価として支払われるものであるため、法律上は利息として扱われます。

利息に含まれない費用

一方で、借入に関連するすべての費用が利息に含まれるわけではありません。以下のような費用は、一般的に利息には含まれません。

  • 印紙代
  • ATM利用手数料
  • 振込手数料
  • 公正証書作成費用
  • 遅延損害金

これらは借入そのものの対価ではなく、特定のサービスの対価や契約不履行に対する賠償金的性質を持つため、利息計算の対象外となります。

ただし、これらの費用が不当に高額に設定されている場合や、実質的に利息を偽装していると判断される場合は、裁判所によって利息とみなされるケースもあります。

実質年率(APR)と表示金利の違い

借入を検討する際は、表示金利だけでなく「実質年率」(Annual Percentage Rate:APR)に注目することが重要です。実質年率とは、名目上の金利に加えて、借入に関連する各種手数料なども含めた実質的な金利のことです。

例えば、表示金利が12%であっても、事務手数料や保証料を含めると実質年率が15%になるケースもあります。貸金業法では、貸金業者に対してこの実質年率の明示を義務付けています。

契約前に交付される書面や広告には、この実質年率が記載されているはずですので、必ず確認するようにしましょう。なお、利息制限法の上限規制は、この実質年率に対して適用されます。

上限金利を超えている場合に求められる対応

利息制限法の上限金利を超える契約は、超過部分について法的効力を持ちません。借り手がこの事実を知っておくことで、不当な利息負担から身を守ることができます。

超過利息は無効となる

利息制限法では、上限金利を超える利息契約は、超過部分について無効とされています。この「一部無効」という考え方は重要です。

例えば、100万円の借入に対して年20%の金利(上限は年15%)が設定されていた場合、超過部分の5%分は無効となります。つまり、法的には年15%の金利しか支払う義務がないのです。

注意すべきは、契約書に高金利が記載されていたとしても、それが自動的に有効になるわけではないという点です。契約書の記載内容よりも法律の規定が優先されるため、借り手は法定上限を超える利息の支払いを拒否できます。

過払い金の返還請求

すでに上限を超える利息を支払ってしまった場合、その超過分は「過払い金」として返還請求することが可能です。過払い金の返還請求権には10年の時効があるため、比較的長期間にわたって請求権を行使できます。

過払い金の計算方法は以下の通りです。

1.実際に支払った金利と法定上限金利との差額を計算する

2.その差額を元本返済に充当したと仮定して再計算する

3.最終的な過払い金額を算出する

過払い金が発生している可能性がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は借入や返済の履歴を分析し、正確な過払い金額を算出してくれます。

貸金業者との交渉

過払い金がある場合、まずは貸金業者に対して内容証明郵便などで返還を求めるのが一般的です。多くの場合、業者側も法的リスクを避けるため、交渉に応じることが少なくありません。

ただし、業者が返還に応じない場合は、裁判所を通じた法的手続きが必要となります。具体的には、以下のような選択肢があります。

  • 少額訴訟(60万円以下の請求の場合)
  • 通常訴訟
  • 支払督促手続き

これらの手続きは一定の費用や時間がかかりますが、弁護士や司法書士に依頼することで負担を軽減できます。また、法テラスなどの公的支援制度を利用することも検討してみましょう。

遅延損害金の上限

借入金の返済が遅れた場合に発生する遅延損害金(延滞利息)にも、法律による上限が設けられています。事業資金の返済が遅れるリスクを考慮する際に、この上限について理解しておくことが重要です。

遅延損害金の法定上限

遅延損害金の上限は、取引の性質や貸主の属性によって異なります。返済遅延時の負担上限を事前に把握することで、万一の事態に備えることができます。

区分 遅延損害金の上限
貸金業者(営業的貸付) 年20%
個人間(非営業的貸付) 契約金利の1.46倍まで(上限年20%)

貸金業者からの借入の場合、遅延損害金は年20%を上限としています。これは出資法の上限金利と一致しており、この上限を超える遅延損害金は無効となります。

個人間の貸借や非営業的な貸付の場合は、契約で定めた金利の1.46倍が上限となりますが、最大でも年20%を超えることはできません。例えば、契約金利が年10%であれば、遅延損害金の上限は年14.6%となります。

遅延損害金と通常の利息の違い

遅延損害金と通常の利息は、法的性質が異なります。通常の利息は「お金を借りる対価」であるのに対し、遅延損害金は「約束通りに返済しなかったことに対する損害賠償」という性質を持っています。

そのため、遅延損害金は利息制限法の「みなし利息」には含まれず、別個の規制が適用されます。ただし、遅延損害金が不当に高額に設定されている場合は、公序良俗違反として無効となる可能性があります。

なお、返済が遅れた場合、通常の利息に加えて遅延損害金が発生することになります。例えば、年15%の金利で借りている場合に返済が遅れると、年15%の通常利息に加えて最大年20%の遅延損害金が課される可能性があるのです。

返済が遅れた時の対応

事業資金の返済が遅れると、遅延損害金の発生だけでなく、さまざまなリスクが生じる可能性があります。例えば、信用情報機関に延滞情報が登録されたり、期限の利益を喪失して一括返済を求められたりすることもあります。

返済が困難になりそうな場合は、以下の対応を検討しましょう。

  • 事前に貸主へ連絡し、返済条件の変更を相談する
  • リスケジュール(返済計画の見直し)を申し入れる
  • 他の資金調達方法を検討する
  • 必要に応じて専門家(弁護士や中小企業診断士など)に相談する

特に事業資金の場合、一時的な資金繰りの悪化が原因で返済が滞ることもあります。そうした状況でも、早めに相談することで、貸主側も柔軟な対応をしてくれることが少なくありません。

利息の負担を軽くする方法

事業資金の借入において、利息負担は事業収益性に直接影響します。高金利の借入を見直し、より有利な条件での資金調達を目指すことで、事業の安定性と成長性を高めることができます。

借入の一本化

複数の借入を抱えている場合、借入の一本化(おまとめローン)は有効な手段となります。分散した高金利の借入を一本化することで、以下のメリットが期待できます。

  • 金利の低減(高金利の借入を低金利にまとめる)
  • 返済管理の簡素化(返済日や返済先が一本化される)
  • 月々の返済負担の軽減(返済期間を調整することで可能)

特に、消費者金融や信販会社からの高金利借入がある場合は、銀行や信用金庫のビジネスローンへの借り換えを検討する価値があります。一般的に、銀行などの金融機関は消費者金融よりも低金利での融資を提供しています。

ただし、借入の一本化には新たな審査が必要であり、信用状況によっては希望通りの条件で借り換えができないケースもあります。また、借換えにより総返済期間が長くなると、トータルの支払い利息が増加する可能性もあるため注意が必要です。

公的融資や事業性ローンの活用

事業資金を調達する際、民間の金融機関だけでなく、公的融資制度を活用することも検討すべきです。公的融資は一般的に低金利であり、長期の返済期間が設定されているケースが多いからです。

主な公的融資制度には、以下のものがあります。

  • 日本政策金融公庫の各種融資制度
  • 自治体の制度融資
  • 信用保証協会の保証付き融資
  • 商工中金の融資

これらの制度は、事業の成長段階や目的に応じて、さまざまなメニューが用意されています。例えば、創業時の資金調達には「新創業融資制度」、設備投資には「設備資金貸付制度」など、ニーズに合わせた選択が可能です。

また、民間金融機関の事業性ローンも、消費者向けローンと比較して低金利の傾向があります。特に、不動産担保や保証人を提供できる場合は、より有利な条件での借入が可能になることが多くあります。

債務整理

借入が過剰になり、現状の返済計画では立ち行かなくなった場合は、債務整理を検討する必要があるかもしれません。債務整理にはさまざまな方法がありますが、事業者が選択できる主な方法は以下の通りです。

  • 任意整理:貸主との交渉により返済条件を変更する
  • 個人再生:裁判所を通じて債務を最大で5分の1まで減額する
  • 特定調停:裁判所が仲介役となり、債務の返済計画を立てる

特に個人事業主の場合、事業の継続を前提とした債務整理が可能です。例えば、個人再生手続きを利用すれば、事業を続けながら債務の減額を図ることができます。

ただし、債務整理は信用情報に記録が残るため、新たな借入が一定期間難しくなる点には注意が必要です。また、債務整理の方法によっては、担保に入れている事業用資産を手放さなければならないケースもあります。

債務整理を検討する場合は、法律の専門家(弁護士や司法書士)に相談することをおすすめします。専門家は、事業の状況を踏まえた最適な解決策を提案してくれるでしょう。

まとめ

利息制限法は借り手を守るための重要な法律であり、事業資金の借入においても適用される金利の上限を明確に定めています。借入元本によって、15%から20%の上限が設定され、これを超える金利契約は超過部分が無効となります。

もし、上限を超える金利で借入をしている場合や、すでに過払いが発生している可能性がある場合は、専門家に相談して適切な対応を検討しましょう。また、貸金業者との取引では、登録状況の確認や取引条件の透明性確保など、基本的な注意点を押さえることが重要です。

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