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2025.06.27

保証付融資を使う銀行を選んでいますか?交渉カードとしての活用法

「保証付融資」は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が債務を保証する仕組みで、銀行との交渉において心強い選択肢になることがあります。この記事では、保証付融資を活用する上で押さえておきたいポイントや、メインバンクとサブバンクとの使い分けを解説します。

事業活動を続けていく上で欠かせない資金調達は、企業の運転資金や仕入れ、設備投資など多岐にわたる費用をカバーする重要な手段です。しかしながら、資金調達の方法によっては返済義務や審査の厳しさなど、さまざまなリスクやコストが生じます。

その中で信用保証協会の保証を活用した融資は、一定の保証がある分、銀行側にとってもリスクが軽減され、比較的スムーズに融資が実行される場合があります。ではどの銀行で保証付融資を受けるべきなのか、交渉カードとして活かすコツとは何か、詳しく見ていきましょう。

保証付融資はメインバンクで使うべき?

保証付融資を利用する際に、どの銀行で行うかは非常に重要な選択です。

保証付融資は、中小企業にとって返済リスクを軽減しやすい仕組みであり、銀行側から見ても融資判断においてプラスに働くことがあります。ただし、メインバンクを利用するかサブバンクを利用するかで、その後の条件面や金融機関との関係性に違いが出てくるため、慎重に検討する必要があります。

メインバンクは通常、過去の取引履歴や財務状況をよく把握しているため、企業の状況に合わせた提案を行うケースが多いです。一方で、サブバンクにはサブバンクの強みがあり、新規取引への積極性や融資条件の柔軟性が期待できる場合もあります。

資金調達においては金利や返済期間だけでなく、自社の将来的なキャッシュフローや金融機関との戦略的パートナーシップも重要です。保証付融資をどの銀行で利用するか、企業の成長ステージや目的に応じて最適な選択を行うことが求められます。

メインバンクの論理

メインバンクは企業が最も主要な取引を行う金融機関として、銀行側もより長期的な視点で企業を支援しようとする傾向があります。融資履歴や日常的な入出金状況など、企業の信頼度や事業の成長性を総合的に判断しやすい立場にあるのです。

保証付融資の活用に関しても、メインバンクは企業の将来像を踏まえて条件を提示することが多く、時には追加の事業計画書や補足書類の提出を要請する場合もあります。しかし、綿密なヒアリングと丁寧な対応を行うことで、銀行との関係性が深まり、金利面や返済条件で多少の柔軟性が認められるケースがあるのも事実です。

このように、メインバンクは企業が長期的に成長していくうえで密接なパートナーシップを築きやすく、保証付融資を通じてさらなる経営安定化につなげることが期待できます。

いつもお世話になっているから・・・

取引が長くなると、どうしてもメインバンクへの信頼度や愛着が高まり、他行を検討するハードルが上がることがあります。特に保証付融資となると、信用保証協会の存在によって銀行側のリスクが軽減されるため、メインバンクでまとめて利用した方が手続きがスムーズに進むと感じる企業も多いです。

しかし、積極的にサブバンクを検討することで、金利条件や融資額の上限などに有利な選択肢が出てくる場合があります。サブバンク側も新規取引を獲得する機会と捉えて、優遇措置を検討する余地を持つのです。

「いつもお世話になっているから」という理由だけで選ぶのではなく、資金調達の目的やタイミング、そして会社の財務体質を踏まえた最適な選択を検討してみることが、安定した経営とより有利な交渉条件につながります。

担保と保証の使い方は違う

融資の際、担保提供と保証付融資は役割が大きく異なります。

企業が融資を受ける場合、従来は物的担保として不動産や設備を提供することがよく行われてきました。これは金融機関にとってリスクを下げる手段となりますが、企業にとっては担保として差し出せる資産の必要性や評価額の妥当性など、課題も少なくありません。

一方、信用保証協会が債務をカバーする保証付融資は、企業が十分な担保を持っていない場合でも資金調達を可能にする方法として、市場で広く活用されています。返済リスクの大部分を保証協会が肩代わりすることで、融資承認が得やすくなる利点があります。

こうした特性の違いを理解した上で、どの資金調達手段を使うか検討することが大切です。自社の財務状況や事業計画を踏まえ、担保提供が有利な場合と、保証付融資を活用すべき場合をしっかり見極めることが経営の安定化につながります。

担保はメインバンクへ

基本的な考え方は、「担保はメインバンクで活用、保証はサブバンクで活用」です。
担保はメインバンクで、といわれてもピンと来ない人が多いと思います。普通、評価のタイミングが同じであれば、担保価格はメインバンクのA銀行でも、サブバンクのB銀行・C信金でもほとんど同じです。だからこそ、担保を差し入れるのはどこでも良いと考えてしまうのです。
確かに、担保価格は同じかもしれません。しかし、これは狭義の保全に過ぎず、銀行ではより広義の保全で考えることも多いです。具体的には、

  • 狭義の保全:あくまでも評価時の担保価格だけで考える
  • 広義の保全:時価ベースでの保全を考える

といった違いがあります。つまり、柔軟性に大きな差があるのです。これが、メインバンクとサブバンクの対応に大きな違いをもたらします。

例えば、1年前に2,000万円の担保として差し入れた不動産の価値が、現在の時価では3,000万円に上昇していたとします。この場合、1,000万円の増加分が担保に使えるはずですが、サブバンクでは増加分を特に考慮しないことがあります。時価に関係なく、あくまでも担保価格2,000万円の物件として取り扱うのです。
しかし、支援に積極的なメインバンクであれば、時価ベースで考えてくれることが多いです。したがって、時価の上昇分で追加融資を引き出すこともできます。この際、融資の稟議書にも、

“今回の融資30百万円に対して担保価格は20百万円であるが、時価ベースで30百万円が認められる。担保価格では10百万円の保全不足となるが、時価ベースでは充足するものであり、許容したい”

などと書かれます。
積極的に支援してくれるメインバンクだからこそ、サブバンクよりも柔軟に対応してくれます。つまり、担保はメインバンクに提供してこそ、資金繰りにフル活用できるのです。
これが、「担保はメインバンクで活用」すべき理由です。

保証付融資はサブバンクで

同じ保全でも、担保と保証は全く異なります。
上記の通り、担保は時価によって考えることができ、資金調達余力が増すこともあります。このため、メインバンクと相性が良いです。
では、信用保証協会の保証はどうでしょうか。信用保証協会の保証枠は、

  • 無担保:最大8,000万円
  • 有担保:最大2億8,000万円

と決められています。いくらメインバンクが柔軟に対応しても、保証枠を広げることはできません。
つまり、柔軟性が影響しないため、保証付融資はメインバンク・サブバンクのどちらで使っても、資金繰りへの影響は変わらないのです。
このとき、

「どこで使っても変わらないなら、一番お世話になっているメインバンクで」

と考えるのは間違いであり、

「どこで使っても変わらないなら、必ずしもメインバンクで使う理由はない。保証付融資を交渉カードにして、最も良い条件で資金を調達できる銀行で使おう」

と考えるのが正解です。
信用保証協会の保証は銀行にとって大変魅力的であり、交渉カードとしての使い勝手は抜群です。色々な使い方が考えられますが、おすすめはプロパー融資を引き出すために使うことです。
サブバンクの中には、付き合いが短い、あるいは融資以外の取引が少ない、といった銀行もあると思います。この場合、自社は銀行にとってあまり取引メリットがない融資先ですから、貸し倒れリスクの高いプロパー融資にも消極的です。
プロパー融資を受けるには、相応のメリットを提供することが欠かせません。そこで、保証を交渉カードにして、

「今回、2,000万円の資金を調達したいのですが、保証付融資1,000万円、プロパー融資1,000万円の抱き合わせで融資してくれませんか」

といった交渉をもちかけるのです。
プロパー融資の場合、銀行は2,000万円の貸し倒れリスクを負います。しかし、プロパー融資と保証付融資を50%ずつの抱き合わせならば、半分のリスクで2,000万円を貸し付けることができるのです。金利が同じであれば、半分のリスクで変わらない収益が期待でき、魅力的な融資案件です。

プロパー融資を増やしていくには、まずは融資額に関係なく、プロパー融資の実績を作っていくことが大切です。このような交渉によってプロパー融資に受けるうちに、やがて「プロパー融資でもしっかり付き合える会社」という評価になればしめたものです。

まとめ

保証付融資は企業の資金調達戦略として適切に活用することで、銀行との交渉力を高める一手となり得ます。

メインバンクで保証付融資を利用するかサブバンクで利用するかは、企業の事業ステージや経営目標によって大きく変わります。メインバンクは企業との長期的な関係を前提に、融資条件を細やかに設定してくれることが多い一方、サブバンクは新規取引を得るメリットが大きく、積極的な条件提示が行われやすいことも特徴です。

企業にとって最適な選択をするためには、保証付融資の特性を十分に理解しつつ、担保を提供する場合のメリット・デメリットや、各銀行の対応方針を総合的に比較検討する必要があります。単純に一つの金融機関で完結させるのではなく、複数の選択肢を検討することで、より良い資金調達手段を得られる可能性が高まります。

資金調達は企業運営の土台となる大切なプロセスです。保証付融資の活用により、銀行との交渉をスムーズに進めるとともに、必要なタイミングで柔軟な資金調達を実現できるよう、自社の経営状況やビジョンに合わせた戦略を立てることが大切です。

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監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。


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