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「売上高」の基本と新収益認識基準の影響を解説!中小企業が知るべき会計ルールのポイント

売上高は、損益計算書の中で最も重要な項目の1つであり、企業の収益力を示す基盤となるものです。

特に、2021年に導入された「新収益認識基準」によって、売上の計上方法が大きく変わりました。

この基準変更は、大企業のみならず中小企業にも間接的な影響を及ぼしており、適切な対応が求められています。

本記事では、売上高の基本的な考え方から、新収益認識基準の概要や具体的な運用方法、さらに中小企業への影響について詳しく解説します。

損益計算書における売上高の基本的な考え方

売上高の重要性と基本概念

損益計算書は、企業の収益力を示す重要な資料です。

その中でも特に重要なのが「売上高」の項目です。売上高は企業の基本的な勘定科目であり、企業説明の出発点ともいえるでしょう。

 

売上高の計上方法や基準は、事業内容によって異なりますが、経営者がこれらのルールをしっかり理解しておくことが求められます。

「売上計上基準」とは、商品やサービスの売上をどのタイミングで計上するかを定めたものです。

 

売上高は、受注時、契約成立時、商品の引渡し時、顧客の検収時など、いくつかのタイミングで計上されます。

ただし、一度決めた基準を後で変更することはできないため、企業はルールを一貫して適用する必要があります。

 

売上計上基準とその運用

売上計上基準の運用は、「実現主義」に基づいています。

これは、収益が実現したと認められるタイミングで売上を計上するという原則です。

未実現収益は売上に計上することができません。

 

例えば、請求書を発行しただけでは収益が実現したとみなされず、商品の引渡しやサービス提供が完了していることが必要です。

業種や商品によって基準が異なるため、業務内容に合った基準を理解することが重要です。

 

新収益認識基準の概要と背景

導入の背景と目的

長らく適用されていた「企業会計原則」は、戦後間もなく制定された古い基準で、売上計上のルールが曖昧でした。

このため、2021年4月1日以降、大企業に対して「新収益認識基準」が適用され、売上計上基準が大きく見直されました。

 

この新基準の目的は、企業間でばらばらだった売上計上ルールを統一し、取引実態に合った明確な基準を設けることにあります。

 

新基準による会計ルールの変更点

新収益認識基準では、従来の「実現主義」からさらに進み、「履行義務」という新しい概念が導入されました。

これにより、取引に基づく売上計上のタイミングや金額がより正確に管理されるようになりました。

 

法人税法も改正され、一部の中小企業にも影響が及びます。

特に、「返品調整引当金制度」や「長期割賦販売等の延払基準」の廃止などが挙げられます。

 

新収益認識基準の具体的な内容

収益認識のステップと運用方法

新収益認識基準は、いくつかのステップに分かれて適用されます。

 

  1. 商品やサービスの提供に関する契約を把握する。
  2. 契約に規定された「履行義務」を識別する。
  3. 各履行義務に対する取引価格を算定し、条件を加味した価格を計上する。
  4. 履行義務ごとに売上計上を実施する。

 

これにより、収益認識が従来よりも精緻化され、契約内容に基づいた売上計上が可能になります。

 

履行義務の識別と取引価格の配分

履行義務の識別では、1つの契約内に複数の履行義務がある場合、それぞれを独立した義務として取り扱います。

また、複数のモノやサービスが含まれる場合は、別々に販売した場合の価格比率で売上計上を調整します。

 

中小企業への影響と対応ポイント

大企業との取引における留意点

新収益認識基準が中小企業に直接適用されることはありませんが、大企業との取引において影響を受ける場合があります。

大企業が新基準に基づく売上計上を行う際に、中小企業にも調整を求められるケースがあるため注意が必要です。

 

法人税法改正が中小企業に与える影響

法人税法の改正により、「返品調整引当金制度」や「長期割賦販売の延払基準」が廃止されました。中小企業は、これらの変更が与える影響を理解し、適切な経理処理を行うことが求められます。

 

契約書と取引実態の整合性の重要性

契約書に規定される内容が実態と乖離している場合、新収益認識基準を基に修正が求められることがあります。

この基準は中小企業にとって、取引条件を見直す機会ともいえるでしょう。

 

新基準導入がもたらす実務上の意義とポイント

新基準適用がもたらす意義と留意点

新収益認識基準の導入は、会計処理の透明性を高めるだけでなく、中小企業が不利な条件で契約を結ばされることを防ぐ意義があります。

 

営業外収益の再確認と売上計上の見直し

中小企業は、「不動産賃貸収入」「ロイヤリティ収入」などの収益が売上計上に該当する可能性を再確認する必要があります。

定款上で事業目的に該当する場合は、これらの収益を売上に計上することで、損益計算書の信頼性を高めることができます。

 

まとめ

本記事では、損益計算書における「売上高」の基本的な考え方から、新収益認識基準の概要とその影響について解説しました。

特に、新基準の導入は会計処理の透明性を向上させるだけでなく、中小企業にとっては取引条件を見直すきっかけとなる重要な要素です。

 

しかし、新基準の複雑な内容や、法人税法改正による影響を完全に理解し、適切に対応することは容易ではありません。

特に、大企業との取引が絡む場合や、基準変更に伴う経理処理の見直しが必要な場合は、専門的な知識が求められます。

 

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監修者 三坂大作
筆者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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