「経営計画書」の全体像と実践ガイド:成長と信用を高める具体的戦略
経営計画書の重要性と基本構成
経営計画書の意義と活用
前回のコラムで、「経営計画書」が中小企業の定性評価に有効であると説明しました。
本コラムでは、経営課題の把握後にどのような対応策を検討すべきかを解説します。
基本的な構成要素
経営計画書には以下の項目が含まれます。
・企業理念・経営方針
・SWOT分析(強み・弱み、機会・脅威)
・事業領域の策定(経営戦略とビジネスモデル、事業俯瞰図)
・経営課題(営業面、収益面、BS改善、その他)
・行動計画(営業面、収益面、BS改善、その他)
・過去損益の実績と数値計画
・過去資金繰りの実績と今後の資金繰り計画
この中で、経営課題の把握の後の行動計画の策定について、説明したいと思います。
経営課題の把握と行動計画策定
行動計画の役割と重要性
「行動計画」は「数値計画」や「資金繰り計画」の前提となる重要な要素です。
これが欠けていると、金融機関の審査担当者は「数値の根拠が示されていない」と判断します。
その結果、数値計画の実現可能性を疑われるだけでなく、会社自体の信用も損なわれる恐れがあります。
さらに、「経営計画書」を作成する際には、数値計画のトレースだけでなく、関連する「行動計画(アクションプラン)」の実行度合いや完了度合いのモニタリングも必要です。
金融機関の審査担当者から「アクションプランの進捗はどうですか?」と尋ねられることが多いため、経営戦略や事業戦略の進捗状況を効率的かつ第三者にも理解しやすい形で表現することが求められます。
アクションプランの作成手順
アクションプランは以下の流れで作成します:
・大項目を経営課題ごとに設定
・PL面、BS面、その他(人事・管理・システム等)に分けて小項目を検討
・「実施責任者」「実施スケジュール」「施策評価指標」を設定
具体的な実施内容と管理方法
ガントチャートを用いたスケジュール管理や施策評価指標による成果評価を行います。
進捗状況を定期的に確認し、会議体を構成してモニタリングを実施します。
数値計画の策定方法
中期事業数値計画の基本構造
中期事業数値計画では過去3期分の実績と5期分の計画を含めた構成が標準です。
損益計算書と同様の形式で作成し、試算表での確認が容易になるようにします。
収益計画の重要指標と注意点
計画の進捗方向性を示す指標:
簡易キャッシュフロー:返済原資を確認
借入金残高:利益水準とのバランスを確認
現預金残高:流動性を確保(月商の2か月分以上)
資金繰り計画との連動
1年間の資金繰り計画を中期事業数値計画に添付し、実現可能性を高めます。
売上向上と収益改善の実現
アンゾフのマトリクスの活用
「既存製品×既存市場」「既存製品×新市場」「新製品×既存市場」「新製品×新市場」の4象限で戦略を整理します。
売上向上戦略の具体例
既存製品の市場拡大や新製品の開発、販路拡大、顧客ターゲットの見直しなどを通じて売上向上を図ります。
収益改善の3つの方法
・値上げによる利益率の改善
・原価率の引き下げ
・固定費の削減または抑制
運転資金と資金繰りの注意点
経常運転資金の削減や過剰な圧縮が業績悪化を招かないよう注意が必要です。
経営計画書の実効性を高めるために
経営計画策定におけるチームの役割
計画策定には社長を中心としたチームが必要です。
チームでの議論により計画の実効性を高めます。
第三者意見の重要性と活用
税理士や会計士の意見を参考にすることで、計画の信頼性を向上させます。
まとめ
本記事では、「経営計画書」の重要性とその基本構成、経営課題の把握から行動計画、数値計画の策定方法、さらに売上向上と収益改善の具体的な戦略について解説しました。「経営計画書」は会社の方向性を明確にし、信用力を高めるための重要なツールです。適切に作成・運用することで、企業の成長を力強くサポートします。
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