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ものづくり補助金の全手順解説!申請から受け取り後の流れまで徹底ガイド

ものづくり補助金の採択後の手続き

交付申請の流れと必要書類

前回のコラムでは、「ものづくり補助金」の申請手続きまでを説明しました。今回は、申請が採択された後の手続き(交付申請から)の流れを解説します。

 

交付申請とは?

「ものづくり補助金」への申請が完了し、審査の結果、補助金の対象事業として採択されると、次に交付申請の手続きが必要になります。採択されたとしても、交付申請を行わなければ補助金を受領することはできません。

 

よく「採択されたらそのまま補助金を受け取れる」と誤解されることがありますが、実際には、交付申請、事業の実施、実績報告の完了など、いくつかの重要な手続きを経る必要があります。

 

交付申請では、事業計画書と整合性が取れているかを確認しながら、事業に関わる補助対象経費を確定します。つまり、補助金の採択は補助金受領の第一ステップであり、この段階ではまだ交付決定はされていません。

 

交付申請の流れ

採択後の交付申請では、以下の手続きが必要になります。

 

  1. 必要書類の準備

   – 申請内容ファイル(補助金申請時のデータを更新したもの)

   – 現況確認資料(法人の場合は履歴事項全部証明書、個人事業主の場合は確定申告書)

   – 見積書(対象経費の詳細を記載)

 

  1. 事務局による審査

   – 提出された書類をもとに、補助対象経費として適正かどうかを確認。

 

  1. 交付決定の通知

   – 事務局による審査を通過すると、交付決定が下され、補助事業の開始が可能となる。

 

通常、採択発表から交付決定までは約1カ月を目安とします。ただし、事務局からの追加資料の提出依頼が発生する可能性があるため、迅速に対応することが重要です。

交付申請時の注意点とよくある不備

 

交付申請時の注意点

交付申請には、いくつかの重要なポイントがあります。

 

– 早めの手続きが重要

  採択発表後、できるだけ早く交付申請を行うことが推奨されます。長期間放置すると、事業計画の実施が遅れ、補助金の受領が困難になる可能性があります。

 

– 補助事業の実施期限

  「ものづくり補助金」のルールとして、採択発表から12カ月以内に補助対象事業を完了する必要があります。そのため、交付決定が遅れると、実施期間が短縮されるリスクがあります。

 

– 修正依頼に迅速に対応

  交付申請の際、提出書類に不備があると、事務局から修正の指示が入ることがあります。このやり取りに時間を要するため、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

 

よくある不備とその対策

交付申請時に見られる典型的な不備として、以下のようなケースがあります。

 

不備の内容

対策

提出書類の誤り

事前に公募要領を熟読し、必要書類を確認する

事業計画書と異なる内容の申請

申請前に計画書と整合性を確認

相見積もりの不足

50万円以上の経費には相見積もりを取得

見積書の有効期限切れ

有効期限を確認し、最新のものを提出

特に、見積書に関する不備は頻発するため、申請前に「有効期限」「押印の有無」「費用明細の明確さ」をチェックすることが重要です。

 

交付申請をスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を揃え、正確な情報を記載することが不可欠です。

交付申請後の審査と補助金の決定

交付申請審査のポイントと審査基準

「ものづくり補助金」では、公募締切日から約3カ月後に採択発表が行われます。採択された場合、中小企業は速やかに交付申請を行う必要があります。交付申請の内容が事務局に認められることで「交付決定」となり、補助事業の開始が可能となります。

 

交付申請の目安は採択発表後1カ月以内ですが、期限を過ぎても罰則はありません。ただし、長期間申請を行わないと、以下のリスクが生じる可能性があります。

 

– 事業計画の実行力が疑われる

  – 設備投資額、事業従事者、賃金想定、収益見込みの信頼性が低下

– 補助金の実施期限を超過する

  – 採択発表日から12カ月以内に補助事業を完了させる必要があるため、交付が遅れると期間が短くなる

– 事務局とのやり取りが増え、労力と時間がかかる

  – 書類の不備修正を何度も求められる可能性がある

 

交付申請の必要書類

交付申請には、主に以下の3種類の書類が必要です。

 

  1. 現況確認資料

   – 法人の場合:履歴事項全部証明書

   – 個人事業主の場合:確定申告書(第一表)の写し

 

  1. 申請内容ファイル

   – 補助金申請時に登録した情報を更新したExcelファイル

   – 事業計画の修正、基準年度の実績値の更新、特殊経費の追加などを反映

 

  1. 見積書

   – 補助対象経費の詳細を記載

   – 50万円以上の経費には相見積もりが必要

   – 中古品の取得には3社以上の相見積もりが必須

 

この申請書類を提出し、事務局による審査を通過すると、交付決定が下され、補助事業を開始することができます。

交付決定後の注意事項と補助金受領のタイミング

交付決定後の重要ポイント

交付決定が下りた後、補助事業を進める際には、以下の点に注意する必要があります。

 

– 交付決定前に発注・支払いをしない

  – 交付決定前に設備の発注や支払いを行うと、補助金対象外となる

– 補助対象経費の適正な管理

  – 補助対象の経費は、事前に提出した計画と一致している必要がある

  – 変更が必要な場合は、事前に事務局へ相談し、承認を得る

– 補助事業の進捗管理

  – 事業計画に沿った進捗で進める必要がある

  – 期日までに補助事業が完了しない場合は、補助金の受給が難しくなる

 

補助金受領のタイミング

補助金の受領は、事業完了後の実績報告を提出し、確定検査を通過した後に行われます。

 

– 実績報告の提出

  – 事業終了後、補助対象経費の証憑書類を揃え、実績報告を行う

– 事務局の審査と確定検査

  – 提出された書類をもとに、事務局が補助金の適正性を確認

– 補助金の振り込み

  – 確定検査を通過すると、約1カ月後に補助金が支給される

 

補助金の受領までには長いプロセスがあるため、計画的に進めることが重要です。

見積書の取り扱いと相見積もりの重要性

見積書作成時のルールと必要要件

補助金の対象経費として認められるためには、見積書の取得と提出が必須となります。見積書を適正に準備し、申請手続きをスムーズに進めるためには、以下のルールを守ることが重要です。

 

見積書の基本ルール

– 補助対象となる経費について、見積書を取得し提出することが必須。

– 交付申請の際、事務局が見積書の妥当性を審査し、補助金対象経費として認められるかを判断。

– 申請時に提出した事業計画書と一致した内容であることが求められる。

 

見積書作成時のポイント

見積書を作成・提出する際には、以下の点に注意する必要があります。

 

– 振り込み手数料は記載しない

  – 「ものづくり補助金」では、振込手数料は補助対象外となる。

– 発注先の押印が必要

  – 見積書には発注先の押印(デジタル印可も可)が必要。

 

また、交付申請の審査では、見積書の金額や設備・サービスのスペックが、申請時の事業計画書と整合性が取れているかが確認されます。そのため、一連の書式やルールに則って作成することが重要です。

 

相見積もりが求められるケースと注意点

補助金の申請では、一定の金額を超える経費について、相見積もりの取得が義務付けられています。事務局の審査をスムーズに進めるためにも、適正な手順で相見積もりを準備する必要があります。

 

相見積もりが必要なケース

以下の条件に該当する場合は、相見積もりの取得が必須となります。

 

– 単価50万円(税抜き)以上の経費:2社以上の相見積もりを取得。

– 中古品の取得:3社以上の相見積もりが必要。

 

ただし、相見積もりが困難な場合には、特定の外部事業者を選定した理由書を提出する必要があります。

 

相見積もりの取得時の注意点

相見積もりを準備する際には、次の点に留意してください。

 

– 提出書類の不備や誤りを防ぐ

  – 役員変更や基準年度の変更などが未反映のケースが見受けられるため、申請前に最新情報を反映することが重要。

– 見積書の有効期間を確認

  – 「ものづくり補助金」の交付申請には約3カ月かかるため、有効期限が切れないように注意。

– 相見積もりが不足していないか

  – 交付申請では、50万円以上の経費には相見積もりが必須。

  – 中古品取得の場合は、3社以上の見積もりが必要。

  – 申請直後から、採択発表前に相見積もりを取得しておくのが望ましい。

 

交付決定後の発注・支払いについて

交付決定後、補助対象事業を進める際は、次の点に注意が必要です。

 

– 交付決定前の発注・支払いは禁止

  – 交付決定前に発注・支払いを行うと、補助金の対象外となる可能性がある。

– 補助対象経費の管理

  – 交付申請時に提出した見積書の内容と実際の支出が一致しているかを確認する必要がある。

 

見積書の不備や相見積もりの不足があると、申請書類が差し戻しになることがあるため、適正な手続きを事前に準備しておくことが重要です。

 

このように、補助金の交付申請では、見積書の適正な作成・管理が求められます。補助金を確実に受け取るために、計画的な書類準備を進めていきましょう。

まとめ

本記事では、「ものづくり補助金」の申請から受け取りまでの流れについて詳しく解説しました。申請が採択された後も、交付申請や見積書の適正な管理、相見積もりの取得など、注意すべき点が多くあります。特に、交付決定前の発注や支払いには慎重になる必要があり、適正な手続きを踏むことでスムーズに補助金を受領することができます。

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筆者 三坂大作
筆者 三坂大作
略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
 
 
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