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不動産担保ローンの比較!資金調達で利用する際の注意点を解説

事業の資金調達方法を検討する際、不動産担保ローンという選択肢は非常に魅力的です。担保にできる不動産をもっていれば、高額かつ低金利で大きな資金を確保することができるため、事業拡大や資金繰りの安定化につながります。

本記事では、不動産担保ローンの基本情報や銀行系・ノンバンク系ローンの特徴を比較し、実際に利用する際の注意点や手続きの流れなどを詳しく解説します。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンとは、不動産を担保として金融機関やノンバンクから資金を借り入れる方法です。融資額は、担保不動産の評価額に掛け目を乗じた金額を上限に決定されます。なお、審査では担保の価値と返済能力が重視されるのが特徴です。

マンションや一戸建てのほか、店舗併用住宅や工場用地などの事業用不動産も対象となることが多く、所有する不動産の種類によって評価額が大きく変わります。

不動産担保ローンのメリット

不動産担保ローン最大のメリットは、比較的低い金利で高額融資を受けやすい点です。無担保ローンと比べると金利面での優位性があり、長期間の返済プランを立てやすいことも魅力といえます。また、資金使途が自由なケースが多いため、事業資金だけでなく運転資金や設備投資などにも幅広く対応可能です。

さらに、借入額が大きいほど金利負担が増すため慎重な検討が必要ですが、担保がある分だけ金融機関のリスクが下がるため、結果的に利用者が得られる条件も良くなると考えられます。

不動産担保ローンのデメリット

最大のデメリットは、返済が滞ってしまった場合に不動産を失うリスクがある点です。自宅や事業所など、担保となる不動産が差し押さえられる事態を回避するためにも、十分な返済計画を立てる必要があります。また審査に時間がかかる場合がある点も、急ぎの資金ニーズには不向きです。

加えて、不動産を担保にすることで、登記費用や事務手数料などの各種手数料が別途発生します。これらを含めた総返済額のシミュレーションを行い、トータルでかかるコストを把握したうえで利用を検討することが大切です。

銀行系とノンバンク系の違い

不動産担保ローンを提供しているのは、主に銀行系とノンバンク系の金融機関です。いずれも特徴が異なるため、資金調達の優先順位に合わせて選ぶことが求められます。

銀行系不動産担保ローン

銀行系不動産担保ローンは、融資制度がしっかり整備されていることが多く、融資限度額も比較的高めに設定される傾向があります。融資期間も長期にわたることが可能で、月々の返済負担を抑えられる点も魅力です。

ただし、銀行は顧客の信用情報をより厳格に精査するため、融資実行までに時間がかかることが多くあります。審査期間が長引くと、資金を早急に調達したい場合には不向きといえます。

ノンバンク系不動産担保ローン

ノンバンク系不動産担保ローンは、銀行系と比べて金利がやや高めに設定される場合があります。しかし、審査が柔軟かつスピードが速いので、緊急的に資金を調達したいときには重宝される存在です。特に独立系のノンバンクでは親会社の制約が少なく、柔軟な判断で融資が受けられるケースもあります。

注意点としては、ノンバンク系のなかでもサービス提供エリアが限られる場合があることです。また、会社ごとに金利や手数料などの条件が大きく異なるので、複数社を必ず比較することが大切です。

融資までの流れ

銀行系の場合、申込受付後に書類審査や不動産評価、担当者によるヒアリングなどを経て最終審査へ進みます。最後に融資実行の手続きが行われるため、実行日までに数週間から1か月以上かかることが一般的です。一方、ノンバンク系では手続きが段階的に簡略化されることが多く、最短で数日から1週間で実行される事例もあります。

不動産担保ローンの比較ポイント

不動産担保ローンを選ぶ際は、単に金利の安さだけでなく、融資金額やサービス面を含めた総合的な比較が求められます。ここでは、融資金額や費用、金融機関の対応力などを取り上げます。

自社の事業計画や資金繰りに合わせて最適なサービスを選ぶために、複数の金融機関から見積もりを取ることをおすすめします。各社のメリット・デメリットを十分把握し、意思決定に役立ててください。

融資金額と掛け目

不動産担保ローンにおける融資金額は、担保となる不動産の評価額と掛け目によって大きく左右されます。銀行系の場合は一般的に60~80%前後の掛け目が設定されますが、ノンバンク系や独立系は柔軟に対応してくれることがあります。

したがって、複数の見積もりを取得して比較評価することが重要です。同じ不動産でも金融機関によって評価額や貸付条件が異なるため、その差を踏まえて最適な選択肢を見つけることができます。

費用や金利の確認方法

不動産担保ローンを利用する際には、金利だけでなく事務手数料や登記費用、印紙代、繰上返済手数料などが発生する可能性があります。こうした費用は意外にも後から大きな負担となることがあるため、事前のシミュレーションが欠かせません。

金利だけを見るのではなく、総返済額の把握を徹底することが建設的です。短期返済での繰上返済手数料や長期返済での利息総額なども考慮し、トータルコストを把握することで計画的な資金調達が可能になります。

担当者の対応と信頼性

不動産担保ローンは契約時や契約後の手続きなど、専門的な用語や複雑な書類作成が必要になることがあります。このとき、担当者の説明が分かりやすいことやサポート体制が整っていることは大変重要です。

金融機関の信頼性を測るには、金融庁の登録情報や会社の営業実績、口コミ評価などを合わせて確認すると良いでしょう。自分に合った担当者と出会えるかどうかは、その後の相談のしやすさや融資条件の調整にも関わってきます。

不動産担保ローンの利用手順

不動産担保ローンを利用するには、まず対象となる不動産の情報を整理し、金融機関に見積もりや相談を行うのが一般的です。その後、審査を経て融資の実行に至ります。ここでは利用手順を大きく3ステップに分けます。

必要書類の準備

不動産を担保にする際には、不動産登記簿や固定資産税納税通知書などが求められることが多くあります。加えて、収入証明や事業計画の資料などの書類も必要となるため、事前に準備しておきましょう。

書類に不備があると審査に時間がかかるだけでなく、最悪の場合には審査を通過できないこともあるので、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが大切です。

申し込みから契約まで

必要書類を提出後、金融機関が不動産評価と申込者の与信をチェックし、融資条件を提示します。合意に至った場合には契約書を取り交わし、抵当権の設定手続きなどが行われます。ここで登記費用や事務手数料などが発生するのが一般的です。

契約までの期間は金融機関の種類によってさまざまであり、銀行系は数週間程度かかることが多いのに対し、ノンバンク系は数日から1週間程度とスピーディーなケースが見受けられます。

返済計画を立てる

融資実行が決まったら、返済計画を具体的に立てましょう。月々の返済額だけでなく、金利上昇や事業の業績変動など、将来リスクも考慮に入れる必要があります。

特に、不動産担保ローンは大きな資金を動かすことが多いので、返済不能による不動産の売却リスクを認識しておきましょう。最悪の事態を想定して、複数の返済シミュレーションを立てることでリスクを抑えることができます。

不動産担保ローンの注意点

貸し手からみれば、不動産が担保として設定されるので資金回収のリスクは下がります。しかし、借り手にとっては、信頼できるパートナーを選び、費用対効果をしっかり見極める必要があります。

特に、不明点があるまま契約に進んでしまうと、後々安心して返済を続けられなくなる可能性もあるため、疑問点は早めにクリアにすることが大切です。

複数社への相談が重要

不動産担保ローンは金融機関やノンバンク、各社で条件が大きく異なる場合があります。同じ担保でも評価が違うことがあるため、最低でも2~3社以上に相談し、条件を比較することがベストです。

複数の見積もりを比べることで、金利だけでなく手数料や最終的な返済総額、アフターフォローの有無など、自分が最も重視すべきポイントを洗い出せます。

費用シミュレーションを怠らない

不動産担保ローンを組む際には、返済期間や金利、その他費用を加えたシミュレーションが欠かせません。登記にかかる費用や事務手数料、印紙代などがかさむと総支払額が大きく増える可能性があります。

あらかじめ、全体の支払いスケジュールを試算することで、事業運営に支障が出ないかを検討できます。また、繰上返済が可能かどうか、繰上返済時の手数料なども確認しておきましょう。

公的情報と担当者チェック

金融機関の信頼度を測るには、金融庁の登録情報や業界誌などの公的ソースを調べるのがおすすめです。経営が安定していない会社の場合、強引な催促や金利変更のリスクなどが懸念される場合もあるため注意しましょう。

さらに、担当者の対応姿勢やサポート体制も見極めのポイントになります。契約前の説明は十分か、用語や書類の説明は分かりやすいかなどをチェックして、安心して取引を行えるかを判断してください。

まとめ

不動産担保ローンは、担保となる不動産の評価額と借り手の信用情報などを掛け合わせて、高額かつ低金利で融資が受けられる可能性を秘めた手段です。銀行系かノンバンク系かによって審査基準や融資までのスピードに差がありますが、事前に必要書類を揃え、目的に合った金融機関を選ぶことが大切になります。

不動産担保ローンをうまく活用すれば、資金繰りを安定化させたり事業を加速させたりすることが可能です。まずは複数の金融機関へ相談し、評価額や金利条件を比較しながら、自社に最適な不動産担保ローンを見つけてください。

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筆者 三坂大作
筆者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
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