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2025.03.04

設備投資の資金調達方法とは?選択肢と注意点を紹介

事業を営むうえで大きな壁となりがちなのが、必要な設備をそろえるための費用です。たとえば機械や車両、建物などを購入・更新したいと考えても、比較的大きなまとまった資金が必要となり、資金繰りに悩む経営者や個人事業主は少なくありません。

この記事では、こうした悩みを解消するために役立つ設備投資の資金調達方法について詳しく解説します。

設備投資とは

設備投資とは、固定資産の取得や更新のために資金を投入することを指します。

投資の目的はさまざまで、売上増加や効率化、信頼性の向上など事業拡大を図る狙いに加えて、既存設備の老朽化対策やコスト削減などが考えられます。市場環境や顧客ニーズの変化に対応するために必要なケースも多く、これらの判断を誤ると資金繰りに問題が生じたり、設備が遊休資産となったりするおそれもあります。

対象となる資産の種類

先ほど挙げたように、設備投資の対象となる資産は、主に有形資産と無形資産に大別されます。たとえば有形資産としては、工場の大型機械や配送用トラック、オフィスの大規模な内装工事、一方で無形資産としては、業務効率化のためのソフトウェア開発やライセンス契約などが該当します。

また、どのような資産が自社に必要なのかを正しく見極めることが重要です。投資対象が間違っていると経営上のメリットを十分に得られず、支出に見合う成果を生み出せなくなる可能性があります。目的や事業の方向性を整理したうえで、投資対象の選定を行う必要があるのです。

設備投資の判断基準

設備投資をする際には、次のような点を考慮しつつ慎重に検討する必要があります。

まず、キャッシュフロー管理を考えなければなりません。設備投資は、金額がどうしても大きくなりがちなため、運転資金と区分したうえで確保し、日常の支払いに支障が出ないようにすることが求められます。

そして、投資効果のシミュレーションも行うべきです。投資によってどの程度の売上増や生産性向上が見込めるのか、また投資した資金がどの程度の期間で回収可能なのかを試算し、陳腐化のリスクもあわせて評価します。

さらに、事業規模と合うかどうかも考えましょう。大きな設備を導入すればそれだけ高額の投資が必要ですが、実際にそこまでの規模の生産や販売が見込めるかを冷静に判断する必要があります。

設備投資の資金調達のメリット

設備投資を行う際には、自己資金や外部資金など、さまざまな資金の調達方法があります。資金調達をうまく活用すると、どのような利点が得られるのかについて解説します。

資金繰りに余裕をもてる

まず挙げられるのが、資金繰りへの余裕です。たとえば、増産体制を整えたいときに必要な設備があっても、自己資金だけではすべてをまかなえないこともあります。その場合、金融機関や補助金を活用することで、初期費用の負担を分散させられます。

結果として資金を有効活用できるため、翌月以降の仕入れや給与、家賃などの日常的な支出に回せるお金を確保しやすくなり、経営の安定性を高められる点が大きな魅力です。

投資効果を最大化しやすくなる

外部資金も含めて資金調達力が高まれば、必要な設備をタイミングよく手に入れることができます。たとえば一度に複数の設備をまとめて購入・更新することで、業務を一括して効率化できるかもしれません。

適切な時期に設備の導入や更新を果たすことで、生産性向上や売上拡大のチャンスを逃さずに済むでしょう。資金を確保しておくことで事業プランをスムーズに実行でき、将来的な利益を得やすくなります。

設備投資の資金調達におけるリスク

一方で、設備投資の資金調達をするうえでは注意すべき点も存在します。調達にあたってのリスクを十分に考えないと、経営を圧迫しかねません。

返済リスクや金利負担

金融機関からの借入やビジネスローンを利用する際は、返済リスクが大きくなります。借入金に対する金利負担も発生するため、返済期間が長くなるほど利息の総額は増加し、キャッシュフローが厳しくなる可能性があります。

また、返済期間が長くなると、資金を固定的に支出し続けることになるため、景気や業績が変動しやすい業種ではとくに注意が必要でしょう。投資効果が想定より少なかった場合に、借入金だけが残るという事態が起こらないよう、事前に入念なシミュレーションをしておくことが重要です。

資金用途が制限される場合もある

なかには、資金使途が設備投資に限定される融資や補助金があります。こうした制度を利用する場合、資金の使い道を融通しにくい点に注意が必要です。たとえば、他の用途に回したい場面が出ても、契約上できない場合があります。

このように、自由度が下がることもデメリットのひとつです。申請段階で具体的な計画を提出して交付決定を受けると、後になって計画を変更することが難しくなるケースが多くあるため慎重に計画を立てましょう。

設備投資の調達手段を検討する

設備投資に充てる資金をどのように調達するかで、事業の進め方が大きく変わってきます。自己資金でまかなえれば金利負担は発生しませんが、一方で大規模投資には限界があります。

金融機関融資を利用する

銀行や信用金庫などの金融機関融資には、設備投資に特化したローンもあり、返済期間を長期で設定できる利点があります。金利面では、ビジネスローンよりも低めになる場合が多く、借入期間を通して返済計画を立てやすい点が特徴です。

ただし、金融機関からの融資を受けるには、事業計画書や設備投資に関する見積書など、詳細な書類の提出と、厳格な審査が必要になることが一般的です。また、意図しない使い道に資金を回さないよう、融資実行後も適切な経営管理を続けることが求められます。

長期的な視点で、大きな資金を調達したいときには有力な選択肢となりますが、審査結果によっては希望通りの金額を借りられない可能性もあります。

ビジネスローンやファクタリング

ビジネスローンは、比較的少額かつ緊急性の高い資金を迅速に調達する際に役立ちます。銀行融資ほど審査が厳しくなく手続きも早い反面、金利が高めに設定されているケースが多い点に留意してください。

ファクタリングは、自社がもつ売掛債権(取引先からまだ受け取っていない売上)を、ファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に現金化する手法です。資金使途を自由に設定しやすく、融資ではないため返済義務が発生しないという利点があります。しかし、手数料が発生するため、コスト面を正しく把握しておく必要があります。

どちらも用途はさまざまで、設備投資の一部費用を補填したいときなどに活用しやすいですが、あくまでも一時的・少額の資金調達になりやすく、大規模投資を検討している場合は、メインの資金源としては不向きとなります。

国や自治体の補助金

国や自治体が公募している補助金は、返済不要の資金を得られるため魅力的でしょう。創業支援や中小企業支援、地域活性化を目的とした制度などが代表的です。これらの制度を利用すると、設備投資にかかる費用の一部を大幅に抑えられる場合もあります。

しかし、公募期間が限られていたり、申請条件が細かく定められていたりする点には注意が必要です。実際の交付時期と現金化のタイミングがずれることもよくあるため、当てにしすぎるとキャッシュフローの計画に狂いが出るかもしれません。

また申請時には、投資目的や実現可能性、効果測定の方法などをしっかりと書面に落とし込む作業が必要です。審査に通るかどうか分からない不確定要素もあるので、他の調達方法と組み合わせて検討することをおすすめします。

日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主の資金ニーズに応える公的な金融機関です。設備投資に特化した融資制度もあり、比較的長期の借入や低金利が期待できる反面、事業計画や見積書の提出など、詳細な書類準備と十分な説明を求められます。

さらに、資金の使い道が厳格に定められる場合も多いことから、申し込み後に計画を変更することは難しいでしょう。機械を導入するのであれば、見積書や領収書など揃える書類が多く手間がかかります。とはいえ、認められればかなりまとまった額の設備資金を調達できる可能性があるので、準備をしっかり行う価値はあります。

日本政策金融公庫から借入をする際は、必ず返済シミュレーションをして事業計画を具体化するべきです。

まとめ

本記事では、設備投資についての基本から資金調達方法、そして会計処理や運転資金との違いまで詳しくみてきました。まとまった資金を投じるからこそ、計画的に準備して慎重に手段を選ぶことが重要です。

設備投資を成功させるには、まずは自社にとって最適な方法で資金確保を図り、投資によって得られる効果を正しく見極めることが不可欠です。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
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