創業支援に活用できる補助金とは？種類と申請方法を徹底解説
起業を検討している人にとって、創業のための資金確保は常に問題となります。初期費用や新たな事業のための設備投資、広告費などは想像以上に負担がかかることも多いでしょう。こうした状況の中で、創業支援に活用できる補助金は、大きな助けとなります。
本記事では、創業支援における補助金の基本から種類、申請プロセスまでを詳しく解説します。
創業支援と補助金
創業支援を受ける上で注目されるのが、返済不要である補助金です。国や地方自治体、またはさまざまな機関が新規事業への参入を促すために、多種多様な補助制度を用意しています。
創業支援を受けるメリット
創業支援を受けることで、初期費用の負担を軽減できるだけでなく、行政や認定支援機関のサポートを受けるきっかけも得られる場合があります。必要書類の作成や事業計画書のブラッシュアップなど、多角的な支援が期待できるのも魅力です。
こうしたプロセスを通じて、自己資金だけに頼らない経営基盤を早期に築くことができます。創業時の失敗リスクを下げ、事業の持続的な発展を目指す上でも有効な選択肢といえます。
創業期にかかる初期費用
創業期には法人登記の費用や事務所の賃貸料、設備投資に加え、広告・宣伝費といった費用が生じます。さらに、新規雇用を計画している場合、人件費も加えてかかってきます。
こうした支出が一時的に集中するタイミングで、創業支援の補助金を活用できるかどうかが事業の安定に大きく影響します。
主な創業支援で使える補助金
創業支援の一環として利用できる補助金は、多様な種類があります。ここでは、代表的なものを紹介します。
創業補助金
創業補助金は、新たに事業を始める際に必要となる費用の一部を支援するもので、とくに初期投資費用の負担を軽くできます。原則的に返済は不要なので、多くの起業家にとって魅力的な制度です。
公募期間や補助率は毎年変わる可能性があるため、最新の公募情報を確認することが欠かせません。地方自治体が提供する地域限定の創業補助金も存在するため、そちらも確認すべきでしょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、創業に限らず、中小企業や小規模事業者がITツールを導入するときに活用できる補助金です。顧客管理ソフトや会計ソフト、ウェブ会議システムなど、ビジネス効率化につながるツールが対象となります。
導入費用の最大1/2が補助されるケースがあるため、コスト削減の効果は大きいです。ただし、ツール導入後の効果検証などを報告する義務があります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や事業の持続化を図りたい小規模事業者を支援する制度です。チラシ作成費やウェブサイトの制作・改善費など、宣伝や集客活動の経費が補助対象となる魅力があります。
原則は補助率2/3、上限50万円ですが、一定の要件を満たす場合には上限が100万円に拡大されるケースもあります。
創業・事業承継補助金
創業・事業承継補助金は、新たに開業する人や後継者不足に悩む企業を支援するための制度です。補助率や金額は制度によって異なりますが、採択されれば設備導入や広報活動を大きく後押ししてくれます。
ただし、中には利益に応じて返済を要する制度も含まれるため、事前に制度の詳細を確認する必要があります。
自治体独自の支援
地域活性化や雇用創出を目的に、地方自治体が独自の補助制度を展開していることがあります。ポータルサイト制作や店舗の改装費用、移住者向けの創業支援に着目した補助金などバリエーションは豊富です。
自社が拠点を置く地域だけでなく、隣接する自治体が提供する制度も視野に入れるとよいでしょう。
申請時の必要書類のポイント
補助金の申請を成功させるためには、事前準備として必要書類をしっかり整えることが欠かせません。
事業計画書
事業計画書では、事業の目的や目標、具体的な戦略を明確に示す必要があります。売上予測や収益計画、採用計画といった数値面の根拠も併せて提出することで、説得力を高められます。
また、独自性を際立たせる説明があると、審査担当者の印象に残りやすいです。差別化ポイントをはっきり記載し、事業の優位性をアピールしましょう。
収支予算書と経費関連の書類
創業補助金などでは、申請段階で予算の配分とその根拠を示す収支予算書が重要となります。売上見込みと必要経費を明確に区分し、ビジネスの内容とズレが生じないようにしましょう。
申請が通ったあとの報告では、実際に使った経費を証明する領収書や請求書が求められます。経費を項目別に整理しておくと、後の手続きがスムーズに進みます。
創業支援の補助金申請のプロセス
補助金申請には、大まかに公募要領の確認から交付までの流れがあります。プロセスを把握しておくことで、無駄や漏れを減らし、スムーズに申請を進められます。
公募期間の確認
補助金は、年に複数回公募が行われる場合がありますが、募集期間は1～2か月程度と短いことが多いです。年度末や年度初めなど、時期が偏りやすい点にも注意しましょう。
最適なタイミングを逃さないよう、公募スケジュールを定期的にチェックすることが大切です。情報は公式サイトや各種ポータルサイトでこまめに入手しましょう。
書面審査
申請書類が受理されると資格要件の確認と書面審査が行われ、事業計画の実現可能性や経済的効果などが判断されます。
補助金申請では、政策目的との合致が重視されます。地域活性化や雇用創出にどの程度貢献するのかは、しっかりチェックされます。
経費補助期間
採択後に交付決定通知を受け取ったら、補助対象となる経費を実際に支出する期間が始まります。対象外の経費が混在しないよう、管理を徹底しましょう。
補助対象期間を逸脱して支出すると、補助金が受けられない可能性があるため、支出のタイミングを明確化しておく必要があります。
報告書の提出
事業実施後には、実績報告書や経費の精算書を提出します。領収書や請求書、振込記録などを揃える必要があるため、申請時から整理しておくことが大切です。
特に事業実績報告には、結果や効果の具体的な記述が求められます。数値データや写真など、客観的に成果を示す資料を用意すると評価が高まります。
補助金交付までの流れ
最終的に実績報告が受理され、審査を通過すれば補助金が交付されます。交付までには一定の時間がかかるため、資金繰りを見据えたスケジュール管理が欠かせません。
そのため、事業計画どおりに進められたか、経費の振り分けに誤りはなかったかなど、報告内容を入念にチェックしましょう。
審査通過のためのポイント
補助金の申請を成功させるには、まず制度の仕組みを理解し、要点を押さえた事業計画書を作りこむことが重要です。加えて、経費管理や報告要件の把握も欠かせません。
ここでは、審査通過の確率を高めるために意識すべきポイントをみていきましょう。
経費の必要性の明確化
補助金審査では、どのくらいの経費を何に使うのか、それが事業の成長にどう貢献するのかを、説得力のある形で示す必要があります。費用ごとに、導入効果を数値化できると理想的です。
例えば設備投資の場合、生産効率や売上増加を論理的に示すことで、経費投入の妥当性を高められます。根拠のない予算では、審査員を納得させるのは難しいでしょう。
対象経費の正しい理解
補助対象となる経費は、公募要領で細かく規定されています。適用外の項目を含めないように注意しないと、せっかくの計画書が台無しになることもあります。
設備費や広告費、人件費が対象となるケースもありますが、契約締結日や支払い時期によって補助対象の範囲が異なる場合があります。要件を最後まで読むようにしましょう。
支出のタイミングの管理
多くの補助金では後払い方式が取られており、まずは自社で立替えて経費を支出し、後から補助金を受給する流れが一般的です。そのため、事業資金に余裕をもち、資金繰りをしっかり考えておく必要があります。場合によっては、補助金の受領までの資金繰りを金融機関と相談し、融資対応することも検討する必要があるでしょう。
長期の支払いサイクルに耐えられないと、業務に支障をきたすリスクがあります。前半から資金計画を練ることで、補助金受給までのキャッシュフローを安定化させましょう。
証拠書類の保管
立替え払いが完了した後、報告用の書類として領収書や納品書、振込明細などが必要になります。提出を求められる書類は制度によって変わりますが、いずれにしても事前に管理手順を決めておくことが大切です。
特に、オンライン発行の領収書やデジタル書類は紛失する可能性は低いですが、整理フォルダを区別して保存するなど徹底しておくと安心です。証拠不備による交付不可を回避しましょう。
認定支援機関との連携
認定支援機関は、書類作成から計画のブラッシュアップまで幅広くサポートしてくれます。事業計画書が甘いと感じたら、コンサルティングを依頼するのもおすすめです。
とりわけ初めて補助金を利用する場合は、基本的に未経験の状態なので、専門家の力を借りることは非常に大きな助けとなります。
創業支援で補助金を活用する際の注意
創業支援の補助金を活用する際には、細かな要件や報告義務などを遵守しなければなりません。知らずに規定の範囲外で支出してしまうと、後から補助金の交付が受けられなくなることもあります。
補助対象期間の範囲
補助金における経費対象期間は、公募要領や交付決定通知で明確に定められています。交付決定前に発生した経費が対象にならないケースも多いため、注意が必要です。
稀に事業開始後に気づく人もいますが、対象期間を厳守することが基本です。誤って期限外に支出すると補助金を受け取れなくなるリスクがあります。
後払い方式への対応
多くの補助金が後払い方式を採用しているため、最初に自己資金を用意してから正式な手続きを行う必要があります。レシートや請求書の整理も欠かせません。
また、資金ショートを起こさないために、銀行借入やファクタリングなど、多角的な資金調達を検討することも一つの手でしょう。
複数制度の併用
創業支援の補助金は、同時期に実施される他制度との併用を検討できる場合があります。しかし、同一の経費に対して二重で補助を受けることは基本的に禁止されています。
複数の補助金を活用する際は、対象経費を明確に振り分けるなどの工夫が求められます。
余裕をもった事前準備
補助金の応募をする場合、多くの資料や証拠が必要になります。公募が始まってから焦って準備をしても、間に合わないことが多々あります。公募締切を過ぎると、どんなに優秀な事業計画でも受理してもらえません。
スムーズに進めるには、常日頃から経理書類を整理しておくのがおすすめです。公募時期を見越してスケジュールを設定しておくことも大切です。
まとめ
創業支援に関する補助金は、事業の初期費用を抑えながら成長を加速させることが期待できる方法です。多くの制度があるため、要件と公募期間を正しく把握しなければなりません。
まずは公式情報をチェックし、必要に応じて手続きに慣れた専門家と連携しながら手続きを進めましょう。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
