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2025.03.04

競売物件を購入する方法とは?資金調達とリスク管理のポイントを解説

競売物件は、不動産の価格が通常よりも安価になりやすい点がよく注目されます。そのため、資金繰りを考える経営者や個人事業主にとっては魅力的な選択肢である一方、手続きが独特であったり、特有のリスクが存在します。

この記事では、競売物件とは何かをはじめ、そのメリットやリスク管理の方法、具体的な購入プロセス、資金調達のコツなどを詳しく解説します。

競売物件の公売物件との違い

競売物件は、債務者が住宅ローンや事業資金の返済ができなくなった際、金融機関が担保としていた不動産を、裁判所を通じて売却する手続きによって流通します。一般的な不動産売買と違い、裁判所が物件の売却を主導することが大きな特徴です。入札形式で購入者を決定し、定められた保証金を納めた上で落札額を提示することになります。

競売物件と似たような不動産売却形態として公売がありますが、こちらは税金や行政処分による滞納を回収するために、国や自治体が実施する点が異なります。競売物件の場合は、回収の主体が金融機関などの民間であることが大きな違いです。

違いを理解しておかないと、必要な手続きや入札方法を誤解する可能性があります。どちらも通常の市場価格より安く手に入るケースが多いものの、ルールや背景が異なるため、手続きの詳細をよく確認しましょう。

競売物件のメリット

競売物件には、価格面や物件の種類、手続き面での利点があります。

低価格で購入可能

競売物件は、市場価格と比べて4~5割ほど安く取引されることが多いとされています。いわゆる相場よりも安価で取得しやすい点は、多くの投資家や事業者にとって魅力的な部分です。特に、資金をできるだけ抑えたい場合には、大きな強みとなるでしょう。

ただし、市場相場との比較を行い、相場より極端に安すぎないかを見極めることも大切です。一般的な不動産より安いとはいえ、不自然なほど安い場合は、何らかの問題がある可能性があります。

物件の種類が豊富

競売物件には、戸建住宅やマンションだけでなく、事務所や農地といった多様な種類が含まれます。それぞれの物件に応じた活用方法が考えられるので、事業拡大や投資の選択肢が増えるメリットがあります。

機会損失を防ぐためにも、複数の種類を横断的に検討することが重要です。自社の事業形態や運営方針に合った物件を選べば、大きな費用対効果が期待できます。

手続きが簡単

競売物件の売却は、裁判所が中心となって進められます。そのため、通常の不動産取引で必要となる売り主との直接交渉や、仲介手数料などの煩雑なプロセスが比較的少ないです。物件情報や売却条件なども、一定のフォーマットで閲覧しやすくなっています。

また、裁判所のホームページや公式情報サイトを活用することで、開示されている書面情報を効率的に確認できます。

競売物件のリスク

競売物件には魅力がある一方で、一般的な不動産売買にはない特有のリスクが潜んでいます。内見ができない場合や、瑕疵担保責任がないなど、それぞれ押さえておきましょう。

物件の状態を確認しにくい

競売物件は、購入前に内見ができないケースが多く、書面や写真だけで判断しなければならないことがほとんどです。実際に室内の状態を確認できないことから、構造上の問題や設備の劣化などを入札前に発見するのは難しいといえます。

だからこそ、裁判所の物件明細書や現況調査報告書を丹念に読む必要があります。そこに書かれている情報は限られますが、落札後のトラブルを減らすうえで欠かせない作業です。

瑕疵担保責任がない

通常の売買契約では、売り主に瑕疵担保責任が生じることがあります。しかし、競売物件では、基本的に瑕疵担保責任を追及できません。万が一、物件に不具合があっても、自費で修繕などの対処を講じる必要があるのです。

落札後に重大な欠陥が見つかると、多額の補修費を想定する可能性があるため、事前のリスク計画が不可欠です。購入後も、長期的な視点でメンテナンスを見込んでおかなければなりません。

引き渡しがスムーズにいかない可能性がある

競売物件には、現在も居住者やテナントが住み続けている場合があり、落札してもすぐに明け渡しを受けられないケースがあります。そのため、退去交渉に時間と費用がかかるリスクも考えられます。

こういった状況もありうることから、スケジュールに遅延が生じやすい状況を想定しなければなりません。

競売物件の購入プロセス

競売の購入は、情報収集、入札手続き、落札後の諸問題への対応というステップに分けることができます。

情報収集

競売物件の情報は、「BIT」と呼ばれる不動産競売物件情報サイトなどを通じて入手するのが一般的です。物件明細書や、現在の占有者に関する情報を確認し、地図や周辺環境のリサーチも併せて行うことで、より精度の高い判断が可能になります。

そのうえで、裁判所掲示板や官報なども活用することで最新情報を見落とさないようにし、手続きを円滑に進めることができます。特に、入札締め切り日や現地調査時期などは、必ずチェックしましょう。

入札手続き

所定の期間内に保証金を納付し、入札書類を用意します。書類には入札金額のほかに、氏名や住所などの基本情報、代理人に委託する場合は委任状などが必要です。入札金額は、売却基準価格と自身の資金計画を踏まえて設定します。

入札前には、金融機関や融資担当と入札額の見込みを共有することがおすすめです。資金調達が確実でないまま高額入札をしてしまうと、落札後に支払いができず、違約のリスクを抱えることになります。

落札後の段取り

最高額で落札すると、裁判所から売却許可決定謄本を受け取ります。その後、指定された期日までに残代金を納めることで、正式に所有権が移転します。引き渡しに関しては、居住者や所有者とのトラブルが発生する可能性もあるため、事前に交渉プランを考えておきましょう。

また、残代金の納付スケジュールを金融機関と再確認することも重要です。競売では、融資が間に合わないからといって期限の延長などは基本できないため、厳格な日程管理が求められます。

競売物件入手にあたっての資金調達

競売物件を購入する際の資金調達には、十分な計画で臨むことが不可欠です。融資の利用は可能ですが、一般の不動産売買とは流れが異なる部分があります。

借り入れの下準備が必要

競売物件でも金融機関から融資を受けることはできますが、まずは融資可能かどうかを事前に確認する必要があります。多くの金融機関は、物件を担保にとった際の評価額などを重要視します。そのため、競売物件特有のリスクがある旨を伝えておくことが大切です。

特に、売却許可決定後から審査がスタートするタイミングを把握することは欠かせません。融資審査期間を考慮して、落札から残金納付までの流れをしっかり組み立てましょう。

資金計画を立てておく

通常の住宅ローンや事業ローンでは、ローン特約が付く場合がありますが、競売ではローン特約が使えないことも珍しくありません。融資審査が通らなかったとしても、落札者は残金を払う義務が生じるため、結果的に資金不足に陥るリスクが高まるのです。

こうしたリスクを避けるために、仮審査を事前に依頼して資金計画を固めることが有効です。競売はスピード感が重要なので、融資の流れを踏まえて準備しておきましょう。

競売物件入手を成功させるポイント

競売物件をスムーズかつ確実に手に入れるためには、大切なポイントとして情報源の選定や専門家の活用、スケジュール管理など、実践的な観点を意識しておきましょう。

信頼できる情報源を確認

競売物件の情報は、公式競売サイトや裁判所が提供する書類が主となります。これらの正確な情報を複数回チェックし、入札前に疑問点をクリアにすることが急務です。民間の情報サイトだけに依存すると、最新の入札日程変更などを見逃すリスクがあります。

また、民事執行法に基づく資料を読むことで裏付けをとることが重要です。情報が錯綜しがちな競売だからこそ、公的情報に基づいた判断を優先しましょう。

専門家に相談する

競売物件の落札において、不動産会社や弁護士、司法書士などの専門家の知見を活用することは、大きなメリットとなります。物件の権利関係や引き渡しの問題、融資の段取りなど、不安要素を事前に取り除く助けになってくれます。

特に、占有者との交渉方法や明け渡し手続きに詳しい専門家を確保するとスムーズに対処でき、トラブルのリスクを減らせます。事業者としては、余計な時間と費用を削減できるため、戦略的な判断といえるでしょう。

スケジュール管理を徹底

競売物件の購入は、入札の公示期間から落札後の残金納付に至るまで、それぞれ厳密な期限が設けられています。余裕をもった資金計画とタスク管理ができていないと、せっかくのチャンスを逃してしまう恐れがあります。

事前に、全体の流れを一括で把握するカレンダーを用意するといいでしょう。重要書類の提出期限や保証金の準備、専門家のスケジュールを一元管理することで、計画的に進めることができます。

まとめ

この記事では、競売物件とは何か説明し、メリット、リスク管理、購入プロセス、資金調達、購入成功のためのポイントなどを一通り確認しました。通常の不動産取引と仕組みが異なるため、特有の注意点があることがわかります。

安価に希望の物件を手に入れられるチャンスがある半面、リスク管理や資金計画が不十分だと、大きな損失を被る可能性が高いです。そのため、必要に応じて専門家のサポートを受けつつ、入念な情報収集と手続き準備を行いましょう。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
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