• TOP
  • 新着情報
  • 借用書に収入印紙は必要?借用書の基本知識や作成方法についても解説

借用書に収入印紙は必要?借用書の基本知識や作成方法についても解説

資金を借りる際に作成する借用書は、後々のトラブルを防ぐ上でも大切な役割を果たします。金額や返済条件をしっかり明示することで、お金のやり取りを明らかにし、お互い安心感を高めることができるでしょう。

一方で、作成時の不備や収入印紙の貼り忘れによる罰則など、知っておくべき注意点も少なくありません。ここでは、借用書と収入印紙についての基本から、実際の貼り方や具体的な作成手順を詳しく解説していきます。

借用書と収入印紙の基本

借用書を作成する際は、なぜ収入印紙が必要なのかを正しく理解しておくことが重要です。特に貸付金額が大きい場合は、法律上の罰則を受けないよう、貼付金額のチェックが欠かせません。

借用書とは

借用書は、借主のみがサインや捺印を行う書類で、貸主側の署名が入らないものです。金銭消費貸借契約書と比べると簡易的な形ではありますが、返済義務を明示し、後から金銭トラブルになった場合の証拠資料となります。

貸主と借主の立場がはっきり分かれることから、作成時には「誰が、いくら借りて、いつまでに返すのか」という点を集中して記載します。大きな金額を取り扱うときや、家族や知人から資金提供を受ける場合でも、借用書の存在が重要です。

また、貸主や第三者との間で法的効力を確保したい場合は、金銭消費貸借契約書として両者が署名捺印する方法も検討してください。特に、返済条件をきちんと決めたい場合は、文言の正確さを厳密に確認することが大切です。細部の違いを理解して選択しましょう。

収入印紙の仕組み

借用書を1万円以上で作成するときには、収入印紙の貼付が必要となります。これは印紙税法という法律で定められた制度です。貼り付ける金額は、借入金額に応じて異なるため、正しい額を選ぶことが欠かせません。

もし収入印紙を貼らずに借用書を作成してしまうと、後に税務署から必要額の3倍に相当する過怠税を支払うよう求められるリスクがあります。これは意図的に印紙を貼り忘れた場合だけでなく、単なるミスで貼り付けを失念した場合も対象になります。

つまり、必要な収入印紙を貼ることは、法令順守だけでなく、余計な出費やトラブルを回避するうえでも不可欠だといえるでしょう。

税法によるペナルティ

収入印紙が課せられる背景には、国が文書に対して一定の税金を徴収するという仕組みがあります。借用書は「課税文書」と呼ばれる区分に入り、印紙税法の規定に従わなければなりません。

この際、印紙税法の対象となるのは、1万円以上の貸借契約です。金額によって貼付すべき収入印紙の金額が細かく分かれているため、該当する金額を調べて正しい印紙を用意する必要があります。

もし貼り付けを怠ると、税務署の確認や指摘を受けた後で、追加の納付を課される可能性がある点をしっかり念頭に置きましょう。ペナルティを避けるには、事前の下調べと手続きが欠かせません。

借用書のメリット

借用書は作成するのに手間がかかりますが、それ以上に多くのメリットをもたらします。特に、ビジネスで資金が動くときには情報を整理でき、両者の合意内容を確実に残すことができます。

お金のやり取りを明確化

借用書があると、何の目的でいくら借りたのかがはっきりと明示されます。借主と貸主の双方が条件を共有することで、「聞いていた内容と違う」というような争いを極力減らすことができるでしょう。

ビジネスシーンであれば、受注や仕入れなど事業の流れが複雑になりがちです。そのため、金銭の根拠が文書として手元に残ることは大きな安心材料になります。実際、合意内容を明確に残すことで後日確認がしやすくなり、経理処理や税務監査にも対応しやすくなります。

身内や親しい知人のあいだで無利息の借用があるとしても、金銭の貸し借りという点ではビジネスと同様の考え方が必要です。借用書は、曖昧さを防ぐためにも役立つ書類だといえます。

法的エビデンス

仮に相手が「そんな条件で貸し借りした覚えはない」と主張しても、借用書がきちんと作成されていれば、裁判などの場で強い証拠として活用できます。特に、サインや実印がしっかりと押されている場合、その効力は高いものになるでしょう。

口頭だけの約束では証拠能力が乏しく、金銭面の主張で揉めた際に具体的な証拠がないと、裁判で不利に働くかもしれません。そこで、書面を作成する意義が際立ってきます。事前の手続きを少し丁寧にするだけで、将来的なリスクを大幅に減らすことが可能です。

また金額や利息の詳細だけでなく、返済方法や返済期日まで正確に書かれた借用書があれば、紛争発生時にもスムーズな和解や判断の材料になります。

信頼関係の維持

借用書を取り交わすことは、堅苦しいものに感じるかもしれません。しかし、明確な文書のやり取りがあると、むしろお金の扱いが杜撰ではないという安心感を相手に与えることにつながりやすいものです。

特に第三者が絡む取引や、事業資金の調達などでは、信頼度が可視化される傾向があります。しっかりとした借用書が用意できるかどうかが、資金サポートを受ける上でもプラスに働きます。

このように、契約の透明性を高めることは、ビジネスパートナーや顧客との関係を長期的に良好に保つ要素の一つです。

借用書の注意点

利点が多い借用書ですが、作成にあたって気をつけるべきポイントも存在します。特に、内容の不備や運用の手間などは、あらかじめ把握しておきたいところです。

書き方の不備

借主や貸主の氏名を誤って記載していたり、金額を大字で書かずに数字だけにしていたりといったミスがあると、後になって権利を主張しづらい場合があります。金額の途中に余白があると、勝手に書き換えられてしまう懸念も残ります。

また、借用書としての要件を満たさない単なるメモ書きのようなものでは、いざというときに法的効力が不十分と判断される可能性があります。改ざんを防ぐ工夫として、金額など重要箇所には大字を用い、余白を斜線で埋めるなどの対策が推奨されます。

作成時の細かい配慮を怠ると、いざ使いたいときにも契約書として認められず、証拠として認められなくなってしまう点に注意が必要です。

返済トラブル

個人間の貸し借りであっても、利息を設定する場合は利率の上限に注意が必要です。利息に関して未記載のまま放置すると、貸主と借主で認知の違いが生まれ、トラブルにつながる恐れがあります。

また、返済期日が曖昧なままだと、返済を先延ばしされるリスクや、口頭のやり取りで期限を勘違いして争いになるリスクも考えられます。返済条件を明文化することで、お互いの見解をすり合わせることが大切です。

金利や遅延損害金の有無を事前に確認し、具体的な返済計画を合意されたうえで借用書に落とし込むと、後々のトラブルを回避しやすくなります。

更新や保管の手間

借用書は、一度作成して終わりではありません。返済期日が延長されたり、途中で条件を変更したりする場合には、改めて新しい書面を作り直すか、追記の方法を検討する必要があります。

また、紙で保管している場合は、紛失や破損のリスクもつきまといます。電子データで管理する場合にも、パソコンの故障やファイルの誤削除などに注意しなければいけません。

いずれにしても、安全な管理方法を確立することが重要で、必要なときにすぐ確認できる状態を保っておくことが望まれます。

借用書への収入印紙の正しい貼り方

借用書に収入印紙を貼るだけなら、簡単だと考える方は多いかもしれません。しかし貼付場所や金額、割印など細かなルールを押さえていなければ、結果的に無効やトラブルの原因となる場合があります。

貼付金額の目安

以下は、借用書に必要な収入印紙の金額をまとめた表です。借入額に合わせて適切な金額の印紙を選んでください。

貸し借り金額 収入印紙の金額
1万円未満 貼付不要(非課税)
10万円以下 200円
10万円超~50万円以下 400円
50万円超~100万円以下 1,000円
100万円超~500万円以下 2,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円
1億円超~5億円以下 100,000円

たとえば、借入額が10万円の場合は200円の印紙が必要です。負担が軽く感じるかもしれませんが、忘れた場合には後から高額の過怠税が課せられる可能性があるため油断は禁物です。

表を参照しつつ、金額に応じた印紙を用意することこそが、理不尽な支払いリスクを回避する秘訣です。余裕をもって手配し、借用書作成時に焦らず貼り付けましょう。

割印のポイント

収入印紙を貼ったら、その上から借用書本体にかかる形で割印を行います。具体的には、印鑑が収入印紙の一部と書面の一部に重なるように押す方法です。これにより、貼り替えや再利用といった不正の防止になります。

割印をせずに貼っただけの状態だと、「後から印紙だけをはがして使い回した」とみなされる恐れがあります。そのため、確実に割印を施すことが必須です。

割印には貸主や借主、どちらの印鑑を用いても問題ありませんが、双方が押した方が書類全体の信頼度が高まるケースもあります。特に高額の借入時には、念には念を入れておく方が安心でしょう。

複数枚の扱い

借用書を複数ページにわたって作成した場合、それぞれのページをホチキス留めして契印を入れる方法があります。契印は割印と同じく、それぞれのページが勝手に入れ替えられたり抜き取られたりするのを防ぐ目的です。

加えて、契約書を2通作成する際は、それぞれに収入印紙を貼らなければなりません。1通のみ印紙を貼って終わりにしてしまうと、もう一方が法的に不備のある書類とみなされる可能性もあります。

複数コピーを取る際にも、原本との区別を意識し、本来必要な印紙を正しい枚数分揃えてトラブルを防ぎましょう。

借用書作成の具体例

借用書を作成する際、項目ごとに押さえるべきポイントをしっかり理解してから作業を進めると、抜けや漏れを減らせるでしょう。

表題と宛名の記載

まずは書面の一番上に、「借用書」と明示します。表題がないと、対外的にただのメモ用紙や覚書とみなされる可能性があります。次に貸主の氏名や住所を宛名として記載し、借主の氏名もフルネームでしっかりと書きましょう。

金銭消費貸借契約書であれば、貸主・借主の連名で作成するため、宛名の書き方もやや異なります。しかし借用書を使う場合は、借主単独で作成するのが一般的です。

氏名や住所の誤字脱字は、意外とトラブルの火種になりやすいため、必ず現住所や住民票記載の氏名で書くのがおすすめです。

金額と期日の記載

借入金額は、大字を使用して改ざんを避けることが主流です。「金壱百万円整」などの書き方で書式を整え、アラビア数字だけで書かないようにしましょう。余白を斜線で消すなど、細心の注意を払うことが大切です。

さらに、返済期限は明確な日付を入れておかないと、後になっていつに返してもいいのだと誤解されるかもしれません。月単位や日単位をはっきり決めることで、支払いスケジュールを立てることができます。

事業資金など複数回に分割して返済する場合は、分割払いの回数や支払日、利息計算などの詳細も添えておくとトラブルの減少につながります。

署名捺印と連帯保証人

借用書が完成したら、借主が自筆で署名し実印または認印を押します。実印の方が効力としては強いものですが、ビジネスの内容によっては認印でも一定の法的な役割を果たすことがあります。

さらに、金額が大きい場合や信用の担保を強化したい場合、連帯保証人を用意する手段があります。連帯保証人にも氏名と住所を記入してもらい、捺印してもらいましょう。保証人の責任範囲がどこまで及ぶかも明確化しておくと、後のトラブル回避に役立ちます。

書類がきちんと仕上がった時点で、改めて両者が認識を共有し、漏れや抜けがないか最終確認することが大切です。必要に応じて、公証役場で公正証書化する選択肢も考えてみてください。

電子契約での対応

紙の借用書だけが、唯一の方法ではありません。最近は電子契約を導入することで、収入印紙の節約や書類管理の効率化を図る企業も増えています。

収入印紙が不要

電子契約は、紙の文書を作成しないため印紙税法の「課税文書」とみなされません。そのため、1万円を超える契約であっても収入印紙の貼付が不要です。これは規模の大きな取引を頻繁に行う事業者にとって、相当なコスト削減効果が期待できます。

ただし、紙の契約書と電子契約を併用した場合や、一部だけ紙で管理するケースだと課税対象が発生する可能性があります。契約形態を全体で統一する、などのビジネスルールを定めておくことが望ましいでしょう。

電子契約のメリット

収入印紙が不要なだけでなく、オンラインで契約が完結するため、借主と貸主が遠方にいても素早く手続きを進めることができます。移動の費用や郵送コストを削減できるのは、事業者にとって大変魅力的です。必要データを一元管理しやすいという点も大きな利点であり、すべての契約情報を効率的に整理できるようになります。

さらに、契約内容の検索や閲覧がしやすくなるため、後から疑義が生じた際の対応が非常にスムーズになります。バックアップさえきちんと取っておけば、紛失リスクの低減につながり、安心して運用できる環境が整います。これにより、業務全体の透明性や管理効率も一層向上し、企業の信頼性向上にもつながる点が注目されます。

電子契約利用の注意点

電子契約の場合でも、署名や本人確認は法的効力を左右する大きなポイントです。電子署名サービスを利用することで、紙の署名と同等の効力をもたせることが可能になります。

加えて、契約に使用するメールアドレスや契約締結のプロセスを慎重に管理し、預金口座の名義などと合わせて本人確認を行う企業も少なくありません。なりすましを防止するためにも、複数ステップのチェック体制を構築することが重要です。

さらに電子契約は、契約システムの利用規約との整合性や、各種ログデータをどのように保管しておくかといった課題があります。導入時には、運用面の負荷を含めて検討しましょう。

まとめ

ここまで、借用書とは何かを説明し、収入印紙に関する知識、具体的な貼付方法や電子契約について解説してきました。借用書は作成の手間や注意点こそあるものの、後々のリスクやトラブルを回避するのに非常に大きな意義をもちます。

正しい手続きを踏めば、相手との信頼関係を深め、資金繰りを円滑に進めることができます。まずは一つずつステップを確認し、必要であれば専門家のアドバイスを受けるなどしながら、行動に移してみましょう。

最短即日融資!HTファイナンスのビジネスローン

急な受注や支払いが重なって、早急な資金調達が必要になったときに便利なのがビジネスローンです。
HTファイナンスでは、電子契約でスピードと柔軟性を重視した独自の審査体制を整え、より早く経営者の皆様へ資金をご提供できるよう努めています。
必要書類もシンプルなので、準備に時間をかけることなくお申し込みいただけます。
また、オンラインやお電話でのやり取りを中心に契約まで進められるケースもあり、来店の手間を大きく軽減できるのもポイントです。
事業拡大のチャンスを逃さないために、まずは一度HTファイナンスまでお問い合わせください。

融資のご相談とお申し込みはこちらから

監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関
(認定支援機関ID:107813001112)
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
前へ

法人が受けられる融資の種類は?審査基準と準備も解説

一覧へ戻る