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変わる就職市場:キャリア選択の新常識と成功のポイント

現代の就職活動の変化

過去と現在の就職市場の違い

「就職活動」と聞くと、学生が中心の活動と思われがちですが、転職活動をしている人もまた「就職活動」をしています。私が大学を卒業した40年前は、日本的経営の特徴である「年功序列制」や「終身雇用制」が一般的な考え方でした。そのため、就職活動では一度入社した会社に定年まで勤めることを前提とする人が多かったように思います。

当時の就職活動も、現在と同じく企業の研究を行い、志望に沿って履歴書を提出し、面接に臨むという基本的な流れは変わりません。しかし、情報の収集方法には大きな違いがありました。私の時代は、リクルート社などの就職情報誌が中心で、企業ごとの案内資料が大量に送られてきました。その資料をもとに企業を選び、大規模な合同企業説明会などに参加し、就職活動を進めていくのが一般的でした。

当時の学生にとって、上場企業や大手企業は安定性が高く、終身雇用が期待できる就職先として第一志望に選ばれることが多かったです。ベンチャー企業の情報は少なく、また外資系企業は徹底した能力主義であり、解雇のリスクが高いといった話も多く聞かれました。今のようなインターネットがない時代だったため、企業情報は限られ、就職後に初めて会社の実態を知るケースが多かったのです。

一方、現代の就職市場は大きく変化しました。インターネットの普及により、企業の財務状況や社風、口コミ情報まで、求職者が自由に情報収集できる環境が整っています。さらに、日本国内に限らず、世界中の企業が就職の対象として視野に入るようになりました。これにより、会社選びは一度きりではなくなり、入社後に仕事内容や職場環境が合わなかった場合には転職することも、当たり前の選択肢となっています。

企業選びの基準と情報の重要性

「働き甲斐」や「好きな仕事」を基準に企業を選ぶことは、情報通信技術の進化と相まって、現代ではごく普通の考え方になっています。そのため、私の時代の就職活動と今の就職活動では、大きく様変わりしていると言えるでしょう。

現在の就職活動では、企業の規模や上場の有無よりも、実際の職場環境や社風、そして自分の価値観に合った働き方ができるかが重要視されるようになっています。財務情報を基にした企業分析だけでは、実際の職場環境を知ることはできません。社風や職場の雰囲気、事業コンセプトが企業理念と一致しているか、また個人の働き甲斐と合っているかは、入社してみないと分からないことも多いのです。

また、バブル崩壊以降、外資系企業だけでなく、日本国内の上場企業や大手企業も急速に倒産するケースが増えてきました。M&Aの活発化によって企業の合併や買収が日常的になり、企業の安定性が以前ほど確保されなくなっています。そのため、表面的な安定性だけを求めて大企業を選ぶのではなく、自分の働き方に合った企業を見極めることが重要です。

現代の就職活動では、自分自身で情報を集め、企業の実態を分析する力が求められています。転職が当たり前の時代だからこそ、最初の就職先選びも慎重に行うべきです。そして、企業選びの際には、単なる財務分析だけではなく、職場環境や将来性、人間関係といった要素も総合的に考慮することが、長く働くための鍵となるでしょう。

働き方とキャリア形成

仕事のやりがいと職場環境の影響

近年、大学生の就職活動では、大企業や上場企業の人気が再び高まっています。世界中のビジネス環境が厳しさを増している中で、「より安定的な就職先にとりあえず入社しておこう」という考えが広まっているようです。現代はインターネットを活用して企業の情報を収集できる環境が整っていますが、それでも学生の立場では会社の内部事情まで理解しきるのは難しいのが現実です。その結果、選択肢が狭まり、大企業や上場企業、場合によっては公務員のような安定性のある職業に志望が集中する傾向が見られます。

こうしてせっかく入社した大企業や上場企業であっても、3年ほど経つと、多くの人が漠然とした疑問を抱くようになります。「このまま一生この仕事を続けるのか?」「この仕事を続けた先にどのようなキャリアが待っているのか?」「自分にはもっと他の能力があるのではないか?」といった不安や疑問が次々に浮かんでくるものです。

特に大企業や上場企業では、自分の5年後や10年後のキャリアのサンプルとなる先輩社員が身近に存在します。「最低でA先輩、うまくいけばB先輩」といったように、明確なキャリアパスが見えてしまうため、それが魅力的に感じられなければ仕事へのモチベーションは低下してしまいます。もし、先輩の姿が自分にとって理想のキャリアと一致していれば、会社での仕事にも積極的に取り組めます。しかし、そうでない場合は、日々の業務に対する意欲を失いがちです。

転職のタイミングとキャリアの積み方

就職後に与えられた仕事は、少なくとも3年間は継続するべきだという意見があります。「石の上にも3年」という言葉があるように、どんな仕事であっても一人前になるには時間が必要です。同じ部署のメンバーと情報共有したり、他部署の人たちと連携することで、仕事の全体像や会社内での役割を理解できるようになります。

しかし、「3年間我慢すれば自由に転職できる」と考えるのは早計です。確かに、転職は個人の自由ですが、最初の職歴が3年だけでは、希望通りの転職ができるとは限りません。履歴書に書かれる最初の職歴は、その後のキャリアに大きく影響を与えます。短期間の経験だけでは、転職市場で求められるスキルや実績が不足していると見なされる可能性が高いからです。

大手企業や上場企業には、研修プログラムや資格取得支援など、スキルを高める機会が豊富にあります。これらを活用し、自身の志望するキャリアに近づくための努力を重ねることが重要です。場合によっては、会社からの異動(多くは転勤)を経験することで、新たなスキルや知識を身に付ける機会を得られることもあります。このように経験を積むことで、転職市場においても魅力的なキャリアを形成することができるでしょう。

特に技術職の場合、現場でのスキルを磨くことが転職の成功につながります。建築・土木系の職人(大工、左官、配管工など)、自動車・機械系の技術者(旋盤工、板金工)、医療系の専門職(看護師、理学療法士、介護士など)、IT系の技術者(システムエンジニア、プログラマー、ウェブデザイナー)など、専門技術が求められる分野では、経験がそのままキャリアの価値になります。

現代の就職・転職市場では、企業規模や知名度よりも、自分の能力を最大限に活かせる環境を選ぶことが重要です。企業の安定性やブランドだけで就職を決めるのではなく、長期的なキャリア形成を見据えて、自分にとって最適な働き方を考えることが求められています。

職種ごとのキャリア戦略

技術職と専門職の転職市場

現代の企業が抱える大きな経営課題の一つに「生産性の向上」があります。企業は、コストを最小限に抑えながら、収益を最大化することを求められています。特に、技術職における生産性の向上は、成果物が明確であるため、数値化しやすく、評価基準が比較的明確に整備されています。そのため、技術職の転職市場では、企業ごとに求めるスキルが具体的で、転職者自身の技術力や経験が適正に評価されやすい状況にあります。

一方で、大卒ホワイトカラーの職種においては、生産性の向上を数値化することが難しくなります。リーダーシップやマネジメント力、コミュニケーション能力といった要素が評価されるものの、それらを客観的に測る基準は確立されていません。そのため、ホワイトカラー職の転職市場では、職歴や実績のアピールの仕方によって評価が大きく変わることが多いのが実情です。

ホワイトカラー職のキャリアと評価基準

就職活動や転職活動の際、多くの人が企業の安定性を基準に会社を選びます。企業規模(大企業・上場企業・公務員など)や財務状況の分析を参考にすることもありますが、実際に仕事を続けていくうえで最も重要なのは「自身にとって適した職場かどうか」という点です。どんな企業であっても、3年×2回程度働けば、組織の長所や短所は見えてくるものです。その上で、自分の適性に合ったキャリア形成を考え、次のステップへと進んでいくことが求められます。

就職や転職活動は、極めて個人的な選択であり、感情的な要素が関わることも少なくありません。例えば、新橋の居酒屋などでは、同期の仲間が集まり、仕事の愚痴や上司の評価を語り合う場面がよく見られます。このようなストレス発散で業務に支障が出なければ問題ありませんが、企業内での不満が積もり、具体的な業務改善やイノベーションの妨げになっている場合、企業の持続的な発展を阻害する要因となる可能性があります。

優秀な社員ほど、自社の課題や改善点に気づきながらも、それを経営層に伝えることなく退職を選ぶことがあります。このような状況が続くと、企業の未来は厳しくなっていくでしょう。企業は「社会の公器」としての役割を果たすべき存在であり、従業員も現代の経営思想においては、株主や取引先と並ぶ重要なステークホルダーとされています。SDGsやESG経営の考え方においても、従業員の就労環境の重要性は強く説かれています。

実際に就職活動を行う際に、企業をどのように評価するかは、人生において大きな影響を及ぼします。企業規模や財務分析だけでなく、企業がどのような就労環境を提供し、従業員をどのように扱っているのかを優先的に考えることが重要です。慎重に企業を選んだとしても、必ずしも満足のいく結果になるとは限りません。しかし、納得感をもって仕事に取り組める環境を選ぶことで、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。

転職活動では、自身のスキルや経験をどのように活かせるかを考えることが大切です。情報社会の発展により、企業の情報を個人で収集することが容易になった現在、この豊富な情報を活用し、最適な企業に巡り合うことが求められます。

万が一、理想的な企業に出会えなかった場合でも、希望を失う必要はありません。技術職のスキルを磨けば、個人事業主として独立する道も開けますし、起業して自ら理想の会社を創ることも可能です。40年前の就職活動の時代には考えられなかったほど、多様なキャリアの選択肢が広がっている現代において、自身の能力を最大限に活かせる道を見つけることが、最も重要な課題と言えるでしょう。

まとめ

現代の就職市場では、かつての終身雇用や年功序列の概念が薄れ、キャリア形成の選択肢が大きく広がっています。技術職・専門職の転職市場では、スキルや実績が評価されやすく、一方でホワイトカラー職では、リーダーシップやマネジメント力といった目に見えないスキルの評価が重要視されています。そのため、職種ごとに異なるキャリア戦略が求められます。

また、就職・転職活動においては、企業規模や財務状況だけでなく、企業文化や働きやすさなどの「内部環境」をしっかりと見極めることが、長期的なキャリア形成の鍵となります。現代の情報社会では、就労環境や企業理念についての情報を収集し、自分に合った職場を選択することが可能です。もし理想の企業に巡り合えなくても、スキルを磨くことで独立や起業といった道も開かれています。

HTファイナンスでは、企業の成長を支援するため、資金調達や財務戦略のアドバイスを提供しています。経営に関する課題を抱えている方は、ぜひHTファイナンスにご相談ください。豊富な知見と実績をもとに、最適なソリューションをご提案いたします。

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監修者 三坂大作
筆者紹介
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役
三坂 大作(ミサカ ダイサク)

経歴
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1989年 同行ニューヨーク支店勤務
1992年 三菱銀行退社、資金調達の専門家として独立
資格・認定
経営革新等支援機関:認定支援機関ID:1078130011
ヒューマントラスト株式会社:資格者 三坂大作
貸金業登録番号:東京都知事(1)第31997号
ヒューマントラスト株式会社:事業名 HTファイナンス
貸金業務取扱主任者:資格者 三坂大作
資金調達の専門家として企業の成長を支援
資金調達の専門家として長年にわたり企業の成長をサポートしてきました。東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、国内業務を経験した後、1989年にニューヨーク支店へ赴任し、国際金融業務に従事。これまで培ってきた金融知識とグローバルな視点を活かし、経営者の力になることを使命として1992年に独立。以来、資金調達や財務戦略のプロフェッショナルとして、多くの企業の財務基盤強化を支援しています。 現在は、ヒューマントラスト株式会社の統括責任者・取締役として、企業の資金調達、ファイナンス事業、個人事業主向けファクタリング、経営コンサルティングなど、多岐にわたる事業を展開。特に、経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や資金調達のアドバイスを提供しています。また、東京都知事からの貸金業登録(登録番号:東京都知事(1)第31997号)を受け、適正な金融サービスの提供にも力を注いでいます。
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