2025.04.09
中小企業経営者と個人事業主のおすすめ節税方法9選!
多くの中小企業経営者や個人事業主にとって、売上や未払費用への対応だけでなく、税金対策も大きな課題となります。特に事業の規模が拡大したり、予期せぬ出費が発生したりする際には、適切な節税で経営負担を和らげることが大切です。
本記事では、資金繰りや決算時の対策をしっかり行い、経営を安定化させるためのポイントを詳しくみていきます。
基本戦略を固める
節税の成否は、体系的な基本戦略にかかっています。実務に追われて後回しになりがちですが、毎月と年間の視点をバランスよくもつことで、納税の負担を大きく軽減できます。
ここでは、毎月の収支決算や年間の計画を作るポイントを確認し、安定したキャッシュフローの維持に役立つ視点を解説します。
毎月の収支決算に注目
月次決算を行うことで、節税に直結する経費や利益の動きを早期に把握できます。経営者にとって、数字をリアルタイムに追うことは、経営判断の土台ともいえます。
月次決算をみると、売上が想定より伸び悩んでいる部分や、無駄なコストが増えている部分などが明確になります。素早い軌道修正が可能となる点が、最大の利点です。
もし利益が予想以上に出ているなら、設備投資の前倒しやボーナス支給などを検討することで、翌年度以降の節税につながる場合もあります。小さな修正を重ねることで、トータルの税負担を大きく減らすことができます。
また、月次でキャッシュフローを確認することで、融資やファクタリングなど資金調達のタイミングも図りやすくなります。支払い期限が迫ってからあわてて動くより、計画的に準備しておくほうがより有利に進められます。
年間の節税計画を立てる
年度末だけでなく、年間を通して節税施策を検討することが重要です。青色申告の要件を早めに満たせば、65万円の特別控除が使える可能性があり、大きな差を生みます。
特例制度を活用する際は、申請期限や事前の手続きが必要な場合もあるため、計画的に着手することが求められます。申請タイミングの把握が結果的に税額を左右するため、早めにスケジュールを立てましょう。
また、年間の経費配分を調整することで、利益の分散を図り、納付額を平準化できます。例えば、大型設備の減価償却時期を考慮すると、利益が急増した年の税負担を抑えることができます。
さらに、年の途中で制度改正が発生するケースもあるため、法律やルールの変更には敏感であるべきです。税理士や専門家にアドバイスをもらいつつ、柔軟に計画を修正しましょう。
キャッシュフローの安定化
日々のキャッシュフローが安定していれば、節税で浮いた分を将来の投資や人材育成に回す余裕が生まれます。安定した経営は、外部からの信頼も高めます。
売掛先からの入金タイミングを見極め、回収率を上げる努力を続けることも欠かせません。回収サイクルの短縮によって、自己資本を厚くし、税金納付にも計画性をもたせられます。
キャッシュフローを改善するには、費用の支払いサイクルを調整したり、前払いやまとめ払いを活用したりする方法があります。特に本社家賃の年払いによる節税など、一定条件下で経費計上を前倒しできる施策は有効です。
なんとなく資金をプールするだけでなく、いつどのタイミングで出入りが生じるかをリスト化し、必要に応じて融資や助成金の活用も検討してみましょう。
ことばの定義を再確認
税務用語や会計用語は、一見似ていても意味が異なる場合があります。経営者はこうした違いを認識しておかなければ、誤った経理処理につながる可能性があります。
例えば、損金として計上できる項目とそうでない項目の区別は、税法上の定義に即して判断する必要があります。細かな条文のチェックを怠ると、後々修正申告が必要になるかもしれません。
ことばを正しく理解しておくと、顧問税理士や会計事務所との会話もスムーズです。専門家に相談する際も、こちらが正しく情報を伝えることができれば、より的確な助言を受けることができます。
また、従業員にも用語を分かりやすく説明できると、社内での会計処理精度がアップします。経営者自身が正しく理解し、周囲にも周知することがミスを減らす近道です。
決算直前に見直したい対策
決算前の数か月は、経営者にとって重要なタイミングです。この時期に正確な利益把握と必要経費の計上を行うことで、意図せぬ納税額の増加を防ぎやすくなります。
ここでは、具体的にチェックしておきたい項目や、スムーズな流れについて触れていきます。適切に対策を打つことで、会社の資金繰りを安定化させることができるでしょう。
役員報酬や前受金のチェック
決算直前の節税対策として、まずは役員報酬の設定を再確認することが大切です。役員報酬は、損金計上できる額の範囲を把握しておくと対策の幅が広がります。
報酬額を変更するには、定款や株主総会の決議など手続きが必要になることがあるため、スケジュールの調整が欠かせません。タイミングを誤ると、当期の費用に計上できないケースもあります。
前受金の存在もチェックポイントです。受注はしているが未履行の部分が大きい場合は、一部を当期売上から除外できる可能性があります。しかし、誤った処理は脱税とみなされる恐れがあるため、税法に沿った正しい判断が求められます。
いずれも顧問税理士のサポートを受けながら、最終的に問題がないかを年末までに確認することを推奨します。些細な調整が、大きな違いを生むケースは少なくありません。
固定資産と売掛金の確認
固定資産が増えると、減価償却費の計上によって費用を平準化できるメリットがあります。設備投資のタイミングを決算前に合わせることで、当期の税負担を抑える作戦も考えられます。
ただし無理に投資を行っても、翌年度以降に資金難に陥るリスクもあるため慎重に判断しましょう。不要な設備の購入は、キャッシュフローを圧迫するので避けるべきです。
また、売掛金の未回収分がないかを綿密に確認し、不良債権処理の要否を検討することも大切です。貸倒処理が認められる場合は損金として処理が可能なので、利益を圧縮する効果があります。
ただし、回収見込みがあるにもかかわらず、貸倒損失を計上するのは問題です。証拠書類や契約履行状況をチェックし、正しい会計処理を心がけましょう。
最終調整の流れ
決算前の最終調整としては、税引後の利益予想をもとに役員賞与や経費の前払いなどを検討します。これにより、翌期のスタート時に資金繰りを良好に保つことが可能です。
ただし賞与を経費にする場合、一定の要件や期日内の支給が必要となるので、要件確認を怠らないようにしましょう。経営者自身が曖昧なまま実施すると、税務調査で指摘を受けることがあります。
一連の流れをスムーズに行うためには、毎月の試算表をもとに資金計画を練ることが便利です。年度末にバタバタしなくて済むよう、早い段階で方向性を決めておきましょう。
また、法人税や消費税の納期に余裕があるときは、繰り延べや減額の手段を検討する価値があります。専門家と相談しながら、適切なタイミングで動くことが重要です。
実務で使えるチェックリスト
決算前後の混乱を防ぐには、チェックリストを活用することが有効です。役員報酬、前受金、固定資産、売掛金など、重要事項をリスト化しておけば漏れを防ぎやすくなります。
チェックリストはExcelや会計ソフトのメモ機能など、どのツールでも構いません。一目で進捗が確認できる状態にしておくと、業務負担の軽減につながります。
また、担当者間での連携が必要な場合は、クラウドツールを使いリアルタイムで更新していくとスピーディな対応が可能です。これは、大事なポイントを見逃しにくくなるメリットがあります。
最終的には、税理士や公認会計士など、専門家のダブルチェックを受けておくことで、書類不備や手続きミスのリスクを抑えることができます。
個人事業主におすすめの節税方法5選
個人事業主の場合、生活費と事業費の切り分けが曖昧になりやすいため、適切な経費処理や控除の利用が特に重要です。
経費最適化
仕事とプライベートが混在しやすい個人事業主では、経費計上のルールをしっかり理解しておく必要があります。適切な経費処理により所得額が下がり、その分節税効果が生まれます。
特に、自宅を事務所として活用している場合は、家事按分が欠かせません。光熱費や通信費の配分を明確化することで、法律に沿った範囲で経費計上を行うことができます。
家事按分を適用するには、専有面積や使用時間など客観的なデータをもとに計算することが求められます。いい加減な割合だと税務署に否認されるリスクがあるため、説明できる根拠を準備しましょう。
自宅兼事務所の場合、掃除やリフォームなども按分対象に入るケースがあります。ただし、全額を経費にするわけではなく、あくまで事業利用分のみが対象である点を忘れないようにしてください。
少額減価償却資産と短期前払費用
個人事業主は、30万円未満の資産を一度に経費計上できる少額減価償却資産の特例を活用することで、大きな節税効果を得られる場合があります。パソコンや什器など、業務に使う物品を計画的に購入することがポイントです。
一括で経費になるため、当期の所得を一時的に圧縮でき、結果として納税額を抑えられます。購入時期のコントロールが重要で、年度末に導入して一気に経費計上する戦略も考えられます。
また、短期前払費用の特例も利用できる場合があります。12か月以内に提供される継続的なサービスなどを前払いしておけば、当期の経費に計上できます。
所得控除の利用
個人事業主には基礎控除や配偶者控除など、多岐にわたる所得控除が存在します。これらを確実に適用することで、大幅な納税額の削減につながります。
青色申告を採用していれば、最大65万円の特別控除が適用になり、節税効果をさらに高めることができます。正しい帳簿付けと申告体制が必須ですが、その手間に見合うメリットがあります。
配偶者控除や扶養控除を適用する際には、配偶者や扶養親族の所得要件をしっかり確認しましょう。要件を満たしていないと、控除が認められない可能性が高くなります。
また、医療費控除や社会保険料控除など、見落としがちな制度もあるので、控除についてはしっかり調べて把握しましょう。
小規模企業共済やiDeCoへの加入
個人事業主が将来の備えとして利用できる制度には、小規模企業共済やiDeCoがあります。小規模企業共済は、掛金を全額所得控除の対象とできるため、大きな節税メリットを得られます。
共済金を受け取る際にも優遇措置があるため、廃業や退職のリスクを考慮しつつ、計画的に加入を検討してみましょう。老後資金との両立が可能な点でも魅力的です。
iDeCoも、自分で拠出した掛金が所得控除対象となる制度です。運用益が非課税となる利点があるため、長期的視点で資産形成と節税を同時に図りたい場合に有効です。
また、これらの制度は、加入や拠出額に上限やルールが定められているので、加入前に要件をおさえておきましょう。
中小企業経営者におすすめの節税方法4選
法人では役員報酬や社用車の利用など、個人事業主とは異なる観点から節税を考える必要があります。
損金計上
法人税を抑えるためには、損金計上できる費用を的確に把握しておくことが大切です。役員報酬や未払費用、赤字繰越などは代表的な損金計上項目です。
特に赤字繰越は、過去の欠損金を将来の利益と相殺することで、法人税額を低減できる重要な仕組みです。欠損金の発生年度と繰越期間の管理をしっかり行いましょう。
未払費用は、決算期までに発生した費用であることを証明できれば損金に含められます。例えば、従業員のボーナスや事業関連の光熱費など、タイミングを意識した計上が可能です。
福利厚生や経費の使い方
法人には社宅や旅費日当、交際費など福利厚生を充実させることで、税制上の優遇を受けられるケースがあります。社員旅行や健康診断の費用も、一定の要件を満たせば損金計上が可能です。
社員のモチベーション向上にもつながるため、出費以上の効果が期待できる施策です。福利厚生費の拡充を計画的に行い、経営の安定に寄与させることができます。
交際費は、一定額までは損金算入が認められる場合があります。取引先との関係強化や情報交換のためにも適度に活用したいところですが、過度な支出は経営を圧迫するため注意が必要です。
社用車と本社家賃の活用
自家用車を社用車に転用することで、維持費やガソリン代などを経費として計上できる可能性があります。正確な業務利用実態が求められますが、うまく活用すると大きな節税効果を得られます。
本社家賃を年払いにすると、一時的に大きな支出になる反面、当期の経費として計上することで利益を圧縮できます。まとめ払いの可否や契約条件の確認をしておきましょう。
消耗品の一括経費化
少額の商品や備品など限度額を下回るものは、一括で消耗品費として計上できるケースがあります。こうした処理を活用することで、手続きが簡単になり、節税効果を得やすくなります。
年度末に向けて備品をまとめて購入し、消耗品として計上する経営者もいます。ただし必要な物のみを購入せずに無駄遣いをすると、キャッシュアウトが大きくなります。
節税を効率的に行うには
節税の手法は数多く存在しますが、大事なのは経営を行いながら効率的にそれらを実践することです。シミュレーションツールの活用や専門家との連携、情報管理ツールによる一元管理は、その助けになるでしょう。
シミュレーションを事前に行う
税額やキャッシュフローをシミュレーションすることで、事前に経営上のリスクやメリットを可視化できます。シュミレーションソフトを導入する経営者も増えており、数値に基づく判断がしやすくなっています。
例えば、ボーナスを支給した場合の税金への影響や、新規投資を行った際のキャッシュフローの変化などを明確にし、本当に有益かどうか見極める材料とするのです。想定外の出費にも対応しやすくなります。
シミュレーション結果から、年度内に再投資を行うかどうかや、役員報酬の変更時期をどう設定するかなど、具体的なアクションプランを導き出しやすくなります。
複数パターンを試して実際の状況に柔軟に対応できるようにしておきましょう。
専門家との連携
法律や税制の改正は頻繁に行われるため、常に独力で最新情報を追い続けることは大変です。そこで税理士などの専門家と連携して、必要な知識を効率よく得る体制をつくっておくと安心です。
顧問契約を結んでおけば、随時相談ができ、問題が起きる前に対処しやすくなります。節税だけでなく、融資や補助金活用の情報も得やすいので、経営の幅が広がります。
もし連携する場合は、相談の際に社内の財務データを正確に提示できると更に的確なアドバイスが期待できるため、常に経理のデータを整備しておくことが重要です。
情報を一元管理する
会計システムや顧客情報などを一元管理することで、決算時の手間を減らし、無理なく節税施策を進められます。別々のシステムを使っていると、担当者によってデータが分散し、管理コストが高まるリスクがあります。
また、プロジェクト管理システムや顧客管理システムと会計を連動させれば、売上や経費を自動的に取り込むことができます。二重入力が減り、精度が上がるだけでなく業務効率が大幅に向上します。
データを一元化すると、経営者自身が数値をダイレクトに把握できるようになり、より迅速な意思決定が行いやすくなります。節税だけでなく、全体の経営管理にも良い影響を与えるはずです。
まとめ
ここまで、中小企業経営者と個人事業主が活用できる節税の考え方や具体的な方法を、複数の視点から解説してきました。日々の収支確認や年間計画、決算直前の見直しなど、さまざまな段階で取り組む意義があります。
結論として、制度を正しく理解し計画的な対策を進めることが、納税額の軽減だけでなく、経営の安定にも直結するポイントとなります。この記事を参考にしつつ、実際の運用に落とし込んでみてください。
まずはチェックリスト作成や専門家への相談など、一歩ずつ始めることで確実に成果が得られます。自社の状況に合った施策を選び、焦らず着実に節税と経営の活性化を図りましょう。
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