2025.04.09
個人事業主が利用可能なマル経融資とは?申請の流れから活用時のポイントまで詳しく解説
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)は、小規模事業者や個人事業主の事業を継続・拡大していく上で役立つ融資制度の一つです。資金繰りに悩む個人事業主にとって、低金利かつ無担保で借りられる点は大きな魅力になります。とはいえ、申し込み方法や審査に注意すべき部分があることも事実です。
この記事では、マル経融資がどのような仕組みで成り立ち、個人事業主を含む小規模事業者がどのように利用できるのかを解説します。資金繰りを安定させるためのポイントや注意点にも触れますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
マル経融資の基本
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)はどのような方が利用できるのか、また、手続きの流れを理解することが重要です。
マル経融資の仕組み
マル経融資は商工会議所が中心となり、経営指導を受けている個人事業主や法人を対象に無担保・無保証人で貸し付ける融資制度です。一般的には日本政策金融公庫が融資を実行し、その前段階で商工会議所の推薦を得る必要があります。
この制度では資金繰り改善や事業拡大をめざす事業者にメリットを提供するため、金利が低めに設定されています。運転資金や設備資金などに利用でき、最大2,000万円までの融資が受けられます。
マル経融資の対象
マル経融資は、従業員が20人以下の小規模事業者や個人事業主を対象としており、商工会議所の支援を継続して受けていることが前提です。商業やサービス業では従業員数が5人以下であることが条件になるため、自社の形態が該当するかをしっかりと把握しておきましょう。
また、税金の完納状況も審査の際に確認され、所得税や法人税、事業税を遅滞なく納めていることが求められます。
マル経融資の特徴
マル経融資には、通常の金融機関による融資とは異なる特徴があります。特に、無担保・無保証と低金利は、多くの事業者にとって魅力的なポイントです。
無担保と無保証人での融資
マル経融資は、原則として担保や保証人を必要としません。大きな担保を用意できず困っている個人事業主には、手厚い制度だといえます。ただし、融資を受けるには事前の経営指導と審査をクリアする必要があるため、手続きの段取りをしっかりと踏むことが要求されます。
これにより、経営改善に向けた確実な準備が整い、融資を受けた後も計画的に事業運営を進めやすくなります。審査基準に合格すれば、大きなサポートが得られます。
最大2,000万円まで指導実績や事業内容に応じて融資が受けられるため、設備投資だけでなく、運転資金の確保にも役立ちます。資金調達に悩んでいる事業主にとって、非常に有用な制度です。
金利と資金使途
マル経融資は、一般的な銀行借入れより金利が低めに設定されており、運転資金や設備資金など事業を継続・拡大していくための目的に使えます。ただし、創業時の資金としては利用できない点に注意しなければなりません。これは、融資の目的が事業の改善や拡大に焦点を当てているためで、創業資金を求めている事業者には他の融資制度を検討する必要があります。
金利目安は年1.21パーセント程度ですが、変動することもあります。(金利としては、「特別利率F」が適用され、具体的な金利水準は、融資制度や返済期間、担保の有無などによって異なります。最新の金利情報は、日本政策金融公庫の公式ウェブサイトで確認することができます)従って、市場の変化に応じた柔軟な資金計画を立てることが重要です。また、金利変更に関する情報を定期的に確認し、必要に応じて調整することを忘れないようにしなければなりません。
個人事業主にとってのマル経融資のメリット
個人事業主がマル経融資を利用するメリットは複数あります。低金利や経営指導を受けられることはもちろん、資金繰りの安定に大きくつながる点も見逃せません。
経営指導を受けられる
低金利で借りられるだけでなく、商工会議所から継続的な経営指導を受けることで、資金の効果的な使い方や売上拡大のノウハウを学ぶ機会が増えます。特に、経営改善のアドバイスが得られるのは、個人事業主にとって心強いサポートです。
借りた後に返済計画を見直したり、販路拡大策を練り直したりする際も、指導を通して得たノウハウが大いに役立ちます。
事業の安定化と成長への追い風
マル経融資を活用すれば、資金不足により事業を縮小することや、重要なタイミングを逃してしまうリスクを軽減できます。資金の余裕ができると、商品やサービスの拡充、販促活動などに力を注ぎやすくなり、売上向上につながる可能性が高まります。
また、商工会議所からのアドバイスにより、事業計画を明確に立て直す機会を設けることができます。こうした積極的な取り組みが、より安定的な経営を生み出す原動力となるでしょう。
マル経融資のデメリット
一方で、マル経融資は、すべての事業者や業種に適用できるわけではありません。手続きの面でも時間と労力がかかるケースがあり、スピードが必要な資金需要には不向きだといえます。
対象外業種や利用制限がある
マル経融資では、銀行業や貸金業、パチンコ業など特定の業種は対象外となっています。これらの業種に該当する場合、別の金融商品や制度を検討しなければいけません。さらに、創業資金として使えないことも大きな制約の一つです。
利用するためには、最低でも1年以上継続して事業を営んでいることが条件となるため、新たに開業した事業主の方は注意が必要です。
長い審査期間
商工会議所で経営指導を受け、必要書類を提出して審査を受けるという手順を踏むため、申し込みから融資実行まで6~8か月ほどかかることがあります。資金が急ぎで必要な場合、他の融資制度の併用を含めて検討するとよいでしょう。
例えば、緊急対応が可能な短期融資や、より迅速な審査が求められる場合は、別の融資プランを組み合わせると有効です。
また、商工会議所への加入が必須条件であること、そして弁護士や税理士など専門家の協力が必要になる場合もあるため、時間的・経済的なコストを踏まえた準備が必要です。事前に専門家と相談し、スムーズに進行できるように計画を立てることが大切です。
マル経融資の申し込み方法と流れ
マル経融資を利用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、相談から融資実行までの大まかな流れを確認してみましょう。
商工会議所への相談
まずは、地元の商工会議所に連絡を入れ、現在の事業状況や経営課題を伝えます。担当者から経営指導を受けることが前提となるため、定期的に面談やアドバイスを受け、事業計画書や資金繰り表をしっかりと作成しましょう。
この段階で、事前に必要書類や加入手続きについての説明を受けるため、疑問点は早めに解消しておくことが大切です。
書類提出から商工会議所での審査
商工会議所で所定の経営指導を受けたら、確定申告書や決算書など必要書類を提出して審査を受けます。特に個人事業主の場合、確定申告書や青色申告決算書が正確であることが求められるので、不備のないよう注意してください。間違いや不正確な記載があると、審査に影響が出る可能性があります。
審査に時間がかかる場合もあるため、余裕をもったスケジュールを組むとよいでしょう。融資の申し込みから実行までには、場合によって数ヶ月かかることがあります。そのため、資金が必要なタイミングに合わせた計画を立てることが重要です。審査の結果が良好であれば推薦を得られ、次の段階に進みます。
日本政策金融公庫への申請から融資実行
商工会議所からの推薦が下りた後は、日本政策金融公庫に正式な融資申請を行います。ここでは、追加の書類や面談を求められる可能性があるため、あらかじめ準備しておきましょう。
具体的には、事業計画書や返済計画書、さらには税務書類や収支計画書などが必要になる場合があります。面談時には、融資を受ける目的や事業の現状について詳しく説明することが求められます。
公庫側の審査に通過すると、いよいよ融資実行となります。融資額が決定し、資金が振り込まれた後は、資金使途に沿った運転資金や設備投資を行うことが求められます。
個人事業主がマル経融資利用で注意すべきポイント
マル経融資を賢く利用するためには、個人事業主ならではの注意点を押さえておくことが大切です。特に創業時や加入要件など、事前に確認すべき項目があります。
創業時には利用できない
マル経融資は、1年以上事業を継続している実績がある場合に限り申し込むことができます。つまり、創業してすぐの段階では利用できません。もし創業資金が必要な場合は、日本政策金融公庫の別の制度や、自治体が行う創業支援策などを検討するとよいでしょう。
また、融資を受ける際は前年度の確定申告書などが必須書類となるため、継続的に帳簿を付けることや、税金を正しく納めることが重要です。
申し込み期間と商工会議所加入
マル経融資を申し込む窓口となるのは、商工会議所です。そのため、個人事業主であっても商工会議所へ加入し、経営指導を受け続けることが求められます。加入には会費などが発生する場合もありますが、専門家からの助言を得られるメリットは大きいといえるでしょう。
また、申し込みから融資実行まで数か月かかることを考慮し、余裕をもった資金計画を立てておくことが大切です。必要にもかかわらず手続きが遅れると、事業の機会損失につながるかもしれません。
個人事業主がマル経融資を有効活用するためのヒント
ここからは、マル経融資を受けるだけでなく、その後の経営にどのように活かすかについて考えてみましょう。単に融資を受けるだけではなく、資金の使い道や返済計画を明確にすることが成功の鍵となります。
事業計画を明確にする
マル経融資の審査を通過するためには、事業計画の内容が具体的であることが好まれます。特に資金を使って何をしたいのか、どうやって売上や利益を増やすのかを詳細に示す必要があります。計画が具体的であればあるほど、審査担当を納得させやすいでしょう。
また、計画が明確になっていれば、融資実行後の使い道もぶれにくくなります。定期的に計画を見直し、進捗を管理することで、経営全体のパフォーマンスを高めることが期待されます。
資金繰りと返済計画のバランス
マル経融資を利用するとはいえ、返済は必ず行わなければなりません。そのため、売上や経費の見通し、返済シミュレーションなどをしっかりと行い、月々の返済が自社のキャッシュフローを圧迫しない範囲でプランを組むことが大切です。返済の負担を軽減するためには、収支の予測を立て、事前に余裕をもった資金計画をすることが不可欠です。定期的にキャッシュフローを確認し、柔軟に調整していくことがポイントです。
さらに、商工会議所からの指導を受け続けることで、経営改善や売上アップのヒントが得られ、返済に必要な資金を安定的に確保しやすくなります。担当者とのこまめなコミュニケーションによる、適切なアドバイスとビジネス情報の入手が重要です。経営指導を受けることで、返済しながらも良い状態の資金繰りを保つ効率的な資金運用や、新たな事業戦略を見つける手助けとなり、返済計画を着実に実行する力となります。
他の制度や金融商品との併用
マル経融資は運転資金や設備資金に使える一方で、転用や新規事業などには条件が合わないこともあります。そこで、自治体の補助金や助成金、あるいは民間金融機関の特別融資などを併用するケースも珍しくありません。
大きな設備投資や新たな分野への進出を考えている場合は、複数の制度を調べ、適用条件や返済条件を比較するようにしましょう。
適切なアドバイザーの選択
商工会議所だけでなく、中小企業診断士や税理士など、資金調達や経営アドバイスの専門家に相談することも効果的です。実際に、マル経融資を経験した事業者などから直接話を聞くことで、具体的な注意点や成功事例が得られます。地方自治体よっては、地域の役所の商工課などで、中小企業診断士や税理士などの専門家の相談窓口を設置している場合もありますので、確認してみるといいでしょう。
特に融資の審査を受ける前段階で、アドバイザーに書類をチェックしてもらい、内容に不備や説得力の不足がないかを確認するのは重要です。事前準備が充分であれば、スムーズに事業を進められるでしょう。
マル経融資での商工会議所の活用ポイント
マル経融資を活用する際には、商工会議所をどう使いこなすかが成否を分ける鍵となります。商工会議所の経営指導は融資のためだけでなく、事業全体を改善するための貴重な情報源でもあります。
定期相談で経営をブラッシュアップ
融資を受ける前後にかかわらず、定期的に商工会議所の経営相談に足を運ぶことをおすすめします。経営方針や販売戦略、事業拡大のタイミングなどについて意見を交わし、専門家の視点を取り入れることで、客観的かつ具体的な改善策を見いだせるでしょう。
また、他の会員事業者との交流を通じて新しい情報を得たり、共同事業を検討したりと、ビジネスチャンスを広げるきっかけにもなります。
イベントやセミナーの活用
商工会議所では、経営改善や販路開拓に役立つさまざまなイベントやセミナーが開催されています。特に広告宣伝の方法や人材育成に関する講座は、個人事業主にも実践しやすい内容となっています。
こうした機会を活用することで、自社に不足していた知識を補い、売上増加やコスト削減を図ることが可能になります。情報収集力や学習意欲を高めれば、融資以外の面でも大きな成果が得られるでしょう。
マル経融資返済後のフォローアップ
マル経融資を利用して事業が一時的に成長しても、その後の経営が停滞してしまうケースも考えられます。だからこそ、返済が始まってからもキャッシュフローや売上動向をこまめにチェックし、必要に応じて商工会議所や専門家に相談することが必要です。
再度の融資や新規計画の検討
返済実績が良好であれば、追加融資や別の金融商品を利用できる可能性もあります。特に、事業拡大のタイミングを見極めるために、経営計画の見直しを定期的に行うのは有効な手段です。
また、他の融資制度や補助金との併用も視野に入れることで、新たな成長戦略を組み立てられるかもしれません。商工会議所や専門家のサポートを活用しましょう。
返済計画の見直しと長期安定
必要に応じて、返済期間の見直しや追加の資金調達が必要になる場合があります。その際、事前に商工会議所や金融機関に相談することで、より柔軟な条件に変更してもらえる可能性が生まれます。
無担保・無保証で借りられるとはいえ、返済を滞納すれば信用情報に傷がつく恐れがあります。返済遅延が起こりそうな場合は、早めに対応をとりましょう。
まとめ
マル経融資は、無担保・無保証かつ低金利で融資が受けられる制度であり、商工会議所の経営指導も同時に受けられる点が特徴です。個人事業主を含む小規模事業者にとっては、事業改善や拡大を目指す上で非常に役立つ選択肢となるでしょう。
融資を受ける前の準備や、商工会議所とのやり取りの時間が必要であることを考慮しながら、事業計画と資金計画をしっかりと練り上げることが大切です。マル経融資を賢く活用し、資金繰りの安定化を図りましょう。
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