2025.04.17
飲食店開業の際の資金調達方法は?費用の内訳や目安も紹介
開業資金はいくら必要で、どんな内訳になるのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。飲食店の開業には物件取得費や内装工事費、設備費用など、想像以上にお金がかかるものです。
この記事では、飲食店開業に必要な資金の目安や内訳、そして効果的な資金調達方法について詳しく解説します。日本政策金融公庫などの金融機関の融資からクラウドファンディングまで、さまざまな選択肢を紹介するので、自分に合った資金調達の方法をみつける参考にしてください。
飲食店開業に必要な資金の目安
飲食店を開業する際には、多くの初期投資が必要になります。一般的に飲食店を開業する場合の資金は、店舗の規模や立地によって大きく変わりますが、平均的な目安は約1,000万円といわれています。
飲食店開業費用の内訳
飲食店の開業資金は、どのような項目に使われるのでしょうか。店舗の状態や規模によって費用は大きく変動しますが、計画を立てる際の参考にしてください。
物件取得費は、約250万円が目安です。これには敷金・礼金・仲介手数料などが含まれます。立地条件や物件の広さによって大きく変動する部分ですが、好立地を選ぶことが集客の鍵となるため、慎重に検討する必要があります。
内外装工事費は、約350万円が目安です。店舗の雰囲気づくりは顧客体験に直結するため、コンセプトに合った内装は重要です。ただし、居抜き物件を活用することで大幅にコストダウンできる可能性もあります。
設備費用は、約180万円が目安です。厨房機器やテーブル・椅子などの什器、レジシステムなどが含まれます。新品にこだわらず中古品を活用することで、コスト削減できる部分でもあります。
広告・宣伝費は、約50万円が目安です。オープン告知のチラシやSNS広告、ホームページ制作などの費用が含まれます。効果的なプロモーションは、初期集客に大きく影響します。
開業後の運転資金は、業態や月商見込によりますが、約300万円が目安です。食材仕入れ、家賃、光熱費、スタッフの人件費など、売上が安定するまでの運転資金として確保しておくことが重要です。
店舗タイプ別の必要資金
飲食店のタイプによっても、必要な開業資金は大きく異なります。主な店舗タイプ別の平均的な必要資金をみてみましょう。
カフェ・喫茶店の場合、比較的小規模な出店が可能で、600万円〜800万円程度が目安です。厨房設備がシンプルで済むため、他の飲食店と比べて初期投資を抑えられる傾向があります。
居酒屋・バーの場合は、800万円〜1,200万円程度が目安です。アルコール提供のための免許取得費用や、多様なドリンクメニューに対応する設備投資が必要です。
レストラン・フルサービス店の場合は、1,000万円〜1,500万円程度が目安です。本格的な厨房設備や高級感のある内装費用がかさむため、十分な資金計画が必須となります。
テイクアウト専門店の場合は、500万円〜700万円程度が目安です。客席スペースが不要なため物件費を抑えられますが、効率的な厨房設計が重要になります。
飲食店開業の資金調達方法
飲食店を開業するための資金調達には、さまざまな方法があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、自身の状況に最適な調達方法を選びましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫は、創業者向けの融資制度が充実しており、飲食店開業においても頼りになる資金調達先です。特に、創業初期の段階で利用できる融資メニューが用意されています。
新規開業資金は、これから事業を始める方や、事業開始後間もない方が利用できる融資制度です。運転資金で7,200万円以内、設備資金で7,200万円以内の融資を受けることができます。金利は固定金利で、担保や保証人が不要なケースもあります。
中小企業経営力強化資金は、経営力の強化を図る中小企業向けの融資制度です。事業計画の実行による、経営力向上が見込まれる場合に利用できます。運転資金・設備資金ともに、7,200万円以内の融資を受けることが可能です。
日本政策金融公庫の融資を受けるためには、事業計画書の提出が必要です。綿密な事業計画の作成が融資審査の成否を左右するため、丁寧に準備しましょう。飲食店のコンセプト、ターゲット層、収支計画、資金計画などを明確に示す必要があります。
地方銀行・信用金庫からの融資
地元に密着した金融機関である地方銀行や信用金庫も、飲食店開業の資金調達先として検討する価値があります。地域経済の活性化に貢献する事業を支援する姿勢が強く、地域の特性を理解した融資提案が期待できます。
地方銀行は、都市銀行に比べて中小企業向けの融資に積極的です。地域の飲食業界の動向にも詳しいため、事業計画の策定についてもアドバイスが得られることがあります。
信用金庫は会員制の金融機関で、営業エリアが限定されています。その分、地域密着型のきめ細かなサービスが特徴です。地域のネットワークを活用した支援が期待できます。
地方銀行や信用金庫からの融資を受けるためには、日本政策金融公庫と同様に事業計画書の提出が必要です。また、創業実績がない場合は、担保や保証人が求められることが多いため、事前に条件を確認しておくことが重要です。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証を受けることで、金融機関からの融資を受けやすくなる制度があります。創業者にとっては、心強い味方となる仕組みです。
信用保証協会とは、中小企業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。中小企業者が金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することで融資を受けやすくします。
創業関連保証制度は、これから創業する方や、創業後5年未満の方を対象とした保証制度です。無担保で最大3,500万円、担保があれば最大7,000万円の保証を受けることができます。
保証協会付き融資を利用するためには、まず金融機関に相談し、融資の申し込みと併せて保証の申し込みを行います。審査基準を事前に確認して、必要書類を準備しておくことが大切です。保証料は融資額や期間によって異なりますが、一定の費用がかかることを念頭に置いておきましょう。
クラウドファンディングの活用
近年注目を集めているクラウドファンディングは、従来の金融機関とは異なる資金調達方法として、飲食店開業においても有効な選択肢となっています。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。プロジェクトに共感した支援者から、直接資金を集めることができます。
購入型クラウドファンディングでは、支援者に対して商品やサービスを返礼品として提供します。飲食店の場合、食事券や限定メニューの提供権、オープン前の試食会招待などが一般的です。
投資型クラウドファンディングでは、事業の収益に応じたリターンを支援者に還元します。飲食店の将来性に期待する投資家から、資金を集めることができます。
クラウドファンディングの最大のメリットは、資金調達と同時に宣伝効果が得られる点です。プロジェクトの魅力を効果的に発信することで、オープン前から顧客を獲得できる可能性があります。一方で、目標金額に達しないと資金が集まらないプラットフォームもあるため、戦略的な計画が必要です。
親族・知人からの資金調達
身近な人からの資金調達も、飲食店開業の選択肢の一つです。融資審査や複雑な手続きが不要という利点がありますが、適切な対応が求められます。
親族や知人からの資金調達には、借入と出資の2つの形態があります。借入の場合は将来的に返済する前提での資金提供、出資の場合は、事業のオーナーとして利益の一部を受け取る権利を得る形での資金提供です。
この方法のメリットは、審査がなく、柔軟な条件で資金を調達できる点です。一方で、返済できなかった場合の人間関係への影響や、経営への干渉といったリスクも考慮する必要があります。
親族・知人からの資金調達を行う場合は、必ず書面で契約を交わすことが重要です。返済条件や出資比率、経営への関与度合いなどを明確にしておくことで、後々のトラブルを防止できます。
補助金・助成金の活用
飲食店開業に活用できる補助金や助成金も、返済不要の資金として検討する価値があります。条件に合致すれば、大きな支援となる可能性があります。
創業補助金は、新たに創業する方や創業間もない方を対象とした補助金です。事業計画等の審査を経て、創業に必要な経費の一部が補助されます。補助率は対象経費の2/3以内で、上限額は200万円程度となっています。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する補助金です。店舗の改装費や広告宣伝費などが対象となり、補助率は対象経費の2/3以内で、上限額は50万円程度となっています。
地方自治体独自の助成制度も多数存在します。地域振興や空き店舗活用、雇用創出などの観点から、自治体独自の支援策が用意されていることがあります。
補助金・助成金を活用するためには、公募情報を定期的にチェックすることが重要です。応募期間が限られており、申請から交付までに時間がかかるため、開業計画の早い段階から情報収集を始めることをおすすめします。
共同経営者からの出資
志を同じくする共同経営者からの出資も、飲食店開業の資金調達方法として有効です。資金面だけでなく、経営面でも力を合わせられるメリットがあります。
共同経営の形態としては、会社設立による株式会社や合同会社、あるいは任意組合などがあります。出資比率に応じた権限や利益配分が決まるため、事前に十分な協議が必要です。
この方法のメリットは、資金調達額が増えるだけでなく、経営スキルやネットワークも共有できる点です。一方で、経営方針の相違によるトラブルのリスクも考慮する必要があります。
共同経営を成功させるためには、事業計画や役割分担を明確化することが重要です。お互いの強みを生かし、弱みを補完し合える関係性を構築しましょう。出資比率や利益配分、撤退条件なども含めた株主間契約を結んでおくことで、将来的なトラブルを防止できます。
飲食店開業の資金調達を成功させるポイント
飲食店開業の資金調達を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。計画的なアプローチで、円滑な資金調達を実現しましょう。
綿密な事業計画書の作成
資金調達の成否を左右する最も重要な要素が、説得力のある事業計画書です。特に金融機関からの融資を受ける場合には、必須となります。
事業計画書には、店舗コンセプト、ターゲット顧客、競合分析、メニュー戦略、価格設定、マーケティング計画などを具体的に記載します。抽象的な表現よりも、数字を用いた具体的な説明が効果的です。
特に収支計画は、詳細に作成することが重要です。売上予測、原価率、人件費、家賃などの固定費を月ごとに細かく計算し、資金繰り表も含めて作成します。現実的な数字に基づいた計画であることが、融資審査では高く評価されます。
事業計画書の作成にあたっては、商工会議所や中小企業診断士などの専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。外部の目で客観的に評価してもらうことで、計画の穴や改善点がみえてくることがあります。
資金調達の書面化と契約
資金調達を行う際には、資金の出し手と事業運営者の間での、資金の内容に関わる意識のズレによるトラブルを回避するために、必ず書面による契約を交わすことが重要です。特に、親族や知人からの資金調達の場合、口約束だけで済ませてしまうケースがみられますが、後々のトラブルを防ぐためにも文書化は必須です。
借用書には、借入金額、返済方法、返済期間、利息の有無、遅延損害金の扱いなどを明記します。両者の署名捺印も、忘れずに行いましょう。
出資の場合は、出資金額、出資比率、配当の仕組み、経営への関与度合い、撤退条件などを定めた契約書を作成します。第三者の立会いのもとで契約を交わすことで、より信頼性の高い契約となります。
法的な効力を確実にするためには、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら契約書を作成することをおすすめします。特に高額な資金調達の場合は、専門家のチェックを受けることで安心感が高まります。
初期費用を節約する工夫
資金調達と同時に考えるべきなのが、初期費用の節約です。必要資金を抑えることで、調達のハードルを下げることができます。
居抜き物件の活用は、初期費用削減の有効な手段です。前の店舗の設備や内装を引き継ぐことで、大幅なコストカットが可能になります。特に厨房設備は新規で揃えると高額になるため、居抜き物件は魅力的な選択肢となります。
中古品の活用も検討しましょう。厨房機器や家具などは、中古市場で状態のよいものが、比較的安価で手に入ることがあります。飲食店の閉店セールや、リサイクルショップ、オークションサイトなどをチェックしてみましょう。
DIYによる内装工事も、コスト削減につながります。専門的な技術が必要な電気工事や水道工事は業者に依頼し、壁の塗装や家具の組み立てなど、自分でできる部分は自分たちで行うという方法です。セルフリノベーションでコスト削減しながら、個性的な店舗空間を作り上げることができます。
開業時期の調整も重要です。繁忙期に合わせて開業できるよう逆算して準備を進めることで、開業後すぐに売上を立てやすくなります。資金繰りの観点からも、開業のタイミングは慎重に検討すべきポイントです。
明確な返済計画の策定
資金調達後の返済計画も、事前に綿密に練っておく必要があります。特に借入金の場合、返済の見通しを立てておくことが重要です。
月々の返済額を事前に計算し、売上予測と照らし合わせて無理のない計画を立てます。返済が始まるタイミングや、据置期間の有無なども確認しておきましょう。
返済原資の確保方法も、具体的に考えておく必要があります。売上からの返済を基本としつつ、季節変動がある場合は繁忙期に多めに返済するなど、柔軟な計画を立てておくことも大切です。
万が一の場合の対策も考えておきましょう。売上が予想を下回った場合や、急な設備トラブルが発生した場合など、リスクを想定した資金計画を立てておくことで、安定した経営が可能になります。
定期的な資金繰り表のチェックも重要です。実際の売上と支出を資金計画と比較し、差異が生じた場合は早めに対策を講じることで、資金ショートを防ぐことができます。
飲食店開業の資金調達でよくある質問
飲食店開業の資金調達に関して、多くの方が抱える疑問について回答します。これらの疑問をあらかじめ解消し、安心して資金調達を行えるようにしましょう。
自己資金はどのくらい必要?
融資を受ける際には、一定の自己資金が求められることが一般的です。金融機関や公的融資によっても異なりますが、総事業費の3割程度の自己資金があることが望ましいとされています。
例えば、1,000万円の開業資金が必要な場合、300万円程度は自己資金として用意できると、融資審査で有利になります。自己資金の比率が高いほど、経営者の事業への本気度や責任感の表れとして評価されます。
自己資金が少ない場合でも、綿密な事業計画や飲食業での経験、技術力などがあれば融資を受けられる可能性はあります。自己資金と事業計画のバランスを考慮して、最適な資金調達方法を選びましょう。
また、クラウドファンディングや親族からの資金調達など、金融機関以外の方法を組み合わせることで、自己資金の不足を補うという方法もあります。
創業融資の審査期間はどのくらい?
創業融資の審査期間は、金融機関によって異なりますが、一般的には申込みから融資実行まで、1〜2ヶ月程度かかることが多いものです。申請書類の準備や面談、審査を経て融資が実行されるまでの期間を考慮する必要があります。
日本政策金融公庫の場合、書類提出から融資実行まで、通常3週間〜1ヶ月程度かかります。繁忙期には審査が混み合うこともあるため、余裕をもったスケジュールを立てることが重要です。
地方銀行や信用金庫の場合も、1〜2ヶ月程度の審査期間を見込んでおくと安心です。審査の過程で追加書類の提出や面談が複数回行われることもあります。
開業までのスケジュールを逆算して、十分な余裕をもって申請することをおすすめします。特に店舗契約や内装工事などの大きな支出が発生するタイミングを考慮して、資金調達のスケジュールを立てましょう。
信用情報に問題がある場合の対処法
過去の借入返済遅延や債務整理などで信用情報に問題がある場合、融資審査に影響することがあります。しかし、状況に応じた対処法があります。
まずは自分の信用情報を確認することから始めましょう。個人信用情報機関(CIC、JICC、全銀協など)に開示請求をすることで、自分の信用情報を確認できます。問題の内容や記録される期間(通常5〜10年)を把握しておくことが大切です。
信用情報に問題がある場合は、日本政策金融公庫などの公的融資よりも、地域の信用金庫や信用組合などの地域密着型金融機関の方が柔軟な対応をしてくれることがあります。誠実に状況を説明し、現在の返済能力や事業の将来性をアピールすることが重要です。
また、保証人や担保を提供できれば、審査のハードルが下がる可能性があります。親族や知人に保証人になってもらうか、不動産などの担保を提供することで、融資を受けやすくなることがあります。
最終的には、自己資金の比率を高めることや、クラウドファンディングや親族からの資金調達など、金融機関以外の方法を検討することも視野に入れましょう。
まとめ
飲食店開業の資金調達には様々な方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。日本政策金融公庫などの公的融資機関、地方銀行・信用金庫、クラウドファンディング、親族・知人からの資金調達、補助金・助成金の活用など、自身の状況に合った最適な方法を選ぶことが重要です。
資金調達を成功させるためには、綿密な事業計画書の作成、資金調達の書面化、初期費用の節約、明確な返済計画の策定が不可欠です。開業に向けたスケジュールを逆算して、余裕をもった資金計画を立てましょう。飲食店経営の夢を実現するために、まずは資金計画から着実に一歩を踏み出してください。
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飲食店の開業にあたっては、物件取得や設備導入、人件費など、初期費用が多岐にわたります。さらに、思いがけない追加費用や急な支払いが生じるケースも少なくありません。そんなとき、スピーディーに資金調達ができる体制を整えておくことで、スムーズな開業準備や安定した店舗運営につなげることができます。そこでぜひご検討いただきたいのが、HTファイナンスのビジネスローンです。
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