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債権流動化とは?メリット・注意点やファクタリングとの違いについてわかりやすく解説

資金調達において、売掛金の回収まで待てない、資金繰りに余裕をもたせたい、バランスシートを改善したいなどの問題はよくみられ、企業経営の大きな課題となります。特に中小企業にとって、売掛金の回収待ちは、事業継続の大きな障壁となることがあります。

そんな課題を解決する方法として注目されているのが、「債権流動化」です。この記事では、債権流動化の基本概念から、ファクタリング、売掛債権担保融資、手形割引、売掛債権証券化といった主要な手法まで、わかりやすく解説します。

各手法のメリット・デメリットや適した状況も具体的に紹介するので、自社の状況に最適な債権流動化の方法をみつけるヒントになるでしょう。資金繰りの改善や経営の安定化につながる債権流動化について、正しい知識を身につけていきましょう。

債権流動化とは

債権流動化とは、企業が保有する売掛金などの債権を、早期に現金化する資金調達方法です。通常、企業間取引では商品やサービスの提供後、代金の支払いまでに一定期間(30日〜180日程度)が発生します。

この支払い待ち期間の売掛金を、第三者機関を活用して即時に現金化する手法が債権流動化です。企業は、商品・サービス提供後すぐに資金を得られるため、資金繰りの改善や事業拡大に必要な資金を迅速に調達できます。

債権流動化は、金融機関からの融資とは異なり、債権という資産そのものを現金化するため、企業の財務状況や信用力にあまり左右されない点が大きな特徴です。売掛先の信用力を基準にする場合が多く、自社の業績が厳しい時期でも、資金調達が可能になります。

近年、債権流動化が注目される背景には、企業の資金調達手段の多様化ニーズがあります。従来の銀行融資だけでなく、さまざまな資金調達手段をもつことで、経営の安定性を高めることができます。

特に中小企業にとっては、銀行融資の審査が厳しくなる経済環境下での有効な選択肢として、債権流動化の重要性が高まっています。経済産業省や中小企業庁も、中小企業の資金繰り改善策として、債権流動化を積極的に推奨している点も特筆すべきでしょう。

また、コロナ禍以降の経済変動により、より柔軟で迅速な資金調達手段の必要性が高まっていることも背景にあります。債権流動化は、このような急な資金需要に対応できる手法として活用されています。

債権流動化のメリット

債権流動化には、資金調達に要する期間が短い点や、安定的な資金繰りが可能になる点など複数のメリットがあり、有効に活用することで企業が抱えるさまざまな財務上の課題を解決できます。

迅速な資金調達が可能

債権流動化の最大のメリットは、売掛金の入金を待たずに即日から数日で資金を調達できる点です。通常の売掛金回収では、30日〜180日かかるところを、大幅に短縮することができます。

特に急な資材調達や設備投資、人件費の支払いなどの緊急資金が必要な場合に効果的です。銀行融資のように審査期間が長くかからないため、資金繰りのタイミングを逃さずに対応できます。

手法によって異なりますが、例えばファクタリングであれば最短即日での資金化も可能であり、他の資金調達手段と比較しても圧倒的にスピーディーです。

資金繰りの改善と安定化

売掛金の回収時期が確定しないリスクを軽減し、計画的な資金繰りが可能になることも大きなメリットです。売掛金の回収遅延や未払いリスクを排除できるため、より安定した経営基盤を構築できます。

例えば、大口取引先からの入金が遅れた場合でも、債権流動化によって予定通りの資金計画を維持できます。これにより、仕入れや給与支払いなどの固定費支出に対応する資金を確保しやすくなります。

季節変動のある事業では、繁忙期前の資金確保や閑散期の運転資金としても活用でき、年間を通じた安定経営につながります。

バランスシートの改善効果

債権流動化は売掛金を現金化することで、企業の財務指標を改善できる効果もあります。特に真正売買型(ノンリコース型)のファクタリングでは、バランスシートから売掛金が消え、現金が増加するため、流動比率や自己資本比率などの改善につながります。

この改善された財務指標は、取引先や金融機関に対する信用力向上にも寄与します。例えば、決算期前に債権流動化を行うことで、より健全な財務状態を示すことができるようになります。

また、売掛金の回収業務が軽減されることで、管理コストの削減や人的リソースの効率化も期待できます。経理部門の負担軽減は、企業全体の業務効率化にもつながるでしょう。

資金調達手段の多様化

銀行融資以外の資金調達手段をもつことは、企業経営においてリスク分散の観点から非常に重要です。債権流動化を活用することで、金融機関の融資姿勢に左右されない独自の資金調達ルートを確保できます。

景気悪化時や金融引き締め時には、銀行融資が厳しくなることがありますが、債権流動化は売掛先(第三債務者)の信用力を基準にするため、自社の業績悪化時でも資金調達が可能な場合があります。

また、融資枠との併用により、より大きな資金調達が可能になるなど、資金調達の選択肢を広げる効果もあります。資金調達手段の多様化は、経営の自由度を高め、成長戦略の実現をサポートします。但し、金融機関の中には、ファクタリングなどの債権流動化に対して否定的な評価をするケースもありますので、留意が必要です。

債権流動化の注意点とデメリット

債権流動化には、上記のような多くのメリットがある一方で、手数料や弁済義務などの観点でいくつかの注意点やデメリットも存在するため、導入前にこれらを適切に理解しておく必要があります。

手数料と金利のコスト負担

債権流動化を利用する際は、手法によって異なりますが、資金調達額の1〜25%程度の手数料や金利が発生します。この費用は、早期資金化のための対価と考えることができますが、利益率の低い取引では影響が大きくなる可能性があります。

例えば、ファクタリングでは一般的に2〜25%程度、売掛債権担保融資では1〜15%程度、手形割引では2〜10%程度の手数料がかかります。これらのコストを事前に計算し、メリットと比較検討することが必要です。

特に繰り返し利用する場合は、年間の総コストを把握し、事業計画に組み込んでおくことが重要です。利用頻度や金額によっては、長期的な提携で手数料率の交渉余地もあります。

弁済義務が発生する可能性

債権流動化の手法によっては、売掛先の倒産や支払い不能時に、利用企業側に弁済義務が発生する場合があります。特に、手形割引や一部のファクタリング(リコース型)では、債務者が支払えない場合、自社が返済責任を負うリスクがあります。

例えば、リコース型ファクタリングでは、取引先が支払いできなかった場合、ファクタリング会社に代金を返済する必要があります。これは想定外の支出につながる可能性があるため、取引先の信用状況をしっかり確認することが重要です。

一方、ノンリコース型(買取型)ファクタリングでは、基本的に弁済義務はありませんが、その分手数料が高くなる傾向があります。自社の状況に応じて、適切な手法を選択する必要があります。

取引先との関係性への影響

債権流動化、特にファクタリングを利用する際は、取引先への通知や承諾が必要になるケースがあります。この過程で、取引先に資金繰りの厳しさを察知される可能性があり、取引関係に影響を与えることがあります。

ただし、近年では、債権流動化が一般的な資金調達手段として認識されつつあり、必ずしもネガティブな印象につながるとは限りません。事前に取引先へのコミュニケーションを丁寧に行うことで、誤解を防ぐことが可能です。

また、2社間ファクタリングなど、取引先への通知が不要な手法を選択することで、この問題を回避することもできます。状況に応じた適切な手法の選択が重要です。

債権流動化の主な4つの方法

債権流動化にはいくつかの方法がありますが、主にファクタリング、売掛債権担保融資、手形割引、売掛債権証券化の4つの手法があります、それぞれの特徴を理解し、企業の状況や目的に応じて適切な選択をすることが重要です。

ファクタリングの特徴と活用法

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化する方法です。最短即日での資金化が可能で、スピード重視の資金調達に適しています。

手数料は一般的に2〜25%程度で、売掛先の信用度や債権の期間、取引規模などによって変動します。大きく分けて、売掛先を交えた3社間ファクタリングと、売掛先に知られずに利用できる2社間ファクタリングがあります。

また、債務不履行時の責任の所在によって、返済義務のないノンリコース型(買取型)と、返済義務のあるリコース型(償還請求権付)に分類されます。緊急の資金需要がある場合や、銀行融資が困難な場合に特に有効な手段です。

売掛債権担保融資(ABL)の仕組み

売掛債権担保融資(ABL)は、売掛債権を担保として金融機関から融資を受ける方法です。一般的に低コストでの資金調達が可能で、手数料は1〜15%程度となっています。

ファクタリングとの大きな違いは、債権の所有権が移転せず、あくまで担保として利用される点です。そのため、融資審査があり、企業の信用力も評価対象となります。ただし、不動産担保などと異なり、売掛債権という流動資産を担保にできるため、担保不足の企業にとっても有効な選択肢です。

売掛債権担保融資は、継続的な取引関係にある売掛先がある場合や、安定した売上がある企業に適しています。比較的安定した資金繰りを目指す企業にとって、コスト効率のよい方法といえるでしょう。

手形割引の利用方法

手形割引は、受け取った約束手形を、満期日前に金融機関で現金化する方法です。手形の額面金額から割引料(手数料)を差し引いた金額が受け取れます。手形のある企業にとって利用しやすい債権流動化の手法です。

手数料は一般的に2〜10%程度で、手形振出企業の信用力や手形期間によって変動します。ただし、手形振出企業が支払えない場合は、手形割引を利用した企業に返済義務(遡及義務)が発生する点に注意が必要です。

近年、手形取引自体が減少傾向にあるものの、製造業や建設業などでは依然として利用されています。手形期間が長い場合や、資金繰りを前倒しで改善したい場合に効果的な方法です。

売掛債権証券化の概要

売掛債権証券化は、複数の売掛債権をまとめて証券化し、投資家に販売することで資金を調達する方法です。大規模な資金調達が可能ですが、手続きが複雑で時間がかかるため、主に大企業や中堅企業で利用されます。

証券化のプロセスには、特別目的会社(SPC=Special Purpose Company)の設立など複雑な手続きが必要で、法律や会計の専門家の関与も求められます。そのため、初期コストが高く、少額の資金調達には不向きです。

一方で、大規模な資金調達が可能であり、適切に構築すれば、資金調達コストを抑えられる可能性があります。安定した売上と多数の取引先をもつ企業で、長期的な資金調達計画がある場合に検討される手法です。

債権流動化の最適な手法の選び方

債権流動化の各手法にはそれぞれ特徴があり、緊急度やコストなどに応じて取るべき選択が変わります。ビジネスの状況や目的に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。

資金需要の緊急度による選択

即日での資金調達が必要な場合はファクタリングが最適です。特に、2社間ファクタリングであれば、売掛先への通知なしで迅速に資金化が可能です。急な支払いが発生した場合や、予想外の資金ショートの危機がある場合に効果的です。

一方、数週間程度の猶予がある場合は、売掛債権担保融資(ABL=Asset Based Lending)も検討の余地があります。金利が低めで、融資枠として継続的に利用できるメリットがあります。銀行や信用金庫などの金融機関との関係性がある場合、相談から実行までスムーズに進むケースも多くあります。

手形を保有している場合は、手形割引も選択肢に入ります。既存の取引銀行で対応可能なケースが多く、手続きもシンプルです。ただし、手形の支払期日が近い場合は、手数料との兼ね合いを考慮する必要があります。

コストと融資規模のバランス

債権流動化のコストは、手法によって大きく異なります。長期的・計画的な資金調達ではABLが有利な場合が多くあります。手数料率が低く、継続的な取引で条件改善の可能性もあります。

大口の資金調達が必要な場合、特に億単位の資金が必要なケースでは、売掛債権証券化も選択肢になります。初期コストは高いものの、大規模な資金調達では、結果的にコスト効率がよくなる可能性があります。

一方、中小規模の資金調達では、ファクタリングが手軽で実用的です。売掛金の一部だけを現金化することも可能なため、必要な金額に応じた柔軟な対応ができます。また、手形がある場合は手形割引も含めて比較検討するとよいでしょう。

取引関係への影響を考慮した選択

債権流動化を行う際は、取引先との関係性への影響も重要な判断材料となります。取引先に知られたくない場合は、2社間ファクタリングが適しています。売掛先への通知が不要で、資金繰りの状況を知られずに現金化できます。

一方、取引先との関係が良好で理解が得られる場合は、3社間ファクタリングやABLも選択肢となります。特に、大口取引先との長期的な取引関係がある場合、事前に説明して理解を得ることで、よりよい条件での債権流動化が可能になることもあります。

また、業界の慣行も考慮すべき要素です。手形取引が一般的な業界では手形割引が自然な選択肢となりますし、大企業との取引が多い業界では、取引先の理解を得やすい傾向があります。業界の特性に合わせた方法選択が、スムーズな資金調達につながります。

債権流動化とファクタリングの違い

債権流動化とファクタリングという用語は、時に混同されることがありますが、両者には明確な関係と違いがあります。正しく理解し、適切な運用を心掛けましょう。

関係性と定義の違い

債権流動化は、売掛債権を現金化するさまざまな手法の総称であり、ファクタリングはその一種です。つまり、ファクタリングは、債権流動化の手法の一つということになります。

債権流動化にはファクタリングのほか、売掛債権担保融資(ABL)、手形割引、売掛債権証券化などが含まれます。これらはすべて売掛債権を早期に現金化する方法ですが、その仕組みやプロセスに違いがあります。

ファクタリングの最大の特徴は、債権自体を売却(譲渡)する点にあります。債権の所有権が移転するため、真正売買型(ノンリコース型)であれば、企業の債務としてカウントされない利点があります。一方、ABLや手形割引は、融資の性質をもち、企業の負債として計上されます。

手続きとコストの違い

債権流動化の各手法は、手続きの煩雑さやコスト面でも違いがあります。ファクタリングは手続きが比較的シンプルで、必要書類も少なく、迅速な資金化が可能です。通常、売掛先との取引履歴や請求書などの基本的な書類があれば手続きを開始できます。

一方、ABLは融資の性質上、審査が必要で、継続的な債権の評価やモニタリングが求められることがあります。ただし、継続的な取引関係が構築できれば、手数料率は一般的にファクタリングより低くなります。

売掛債権証券化は最も複雑で、特別目的会社(SPC)の設立や格付け取得など、高度な専門知識と時間を要します。初期コストは高いものの、大規模な資金調達では費用対効果が高まる可能性があります。手形割引は比較的シンプルですが、手形という有価証券が前提となります。

適した状況の違い

債権流動化の各手法は、企業の状況や目的によって適している場面が異なります。ファクタリングは、緊急の資金需要や一時的な資金不足に最適です。審査が比較的緩やかで、企業の財務状況よりも売掛先の信用力が重視されるため、自社の業績が芳しくない時期でも利用できます。

ABLは、計画的な資金調達や、継続的な資金需要がある場合に適しています。融資枠として設定できるため、必要に応じて資金を引き出す柔軟性があります。信用力のある企業ほど、有利な条件で契約できる傾向があります。

手形割引は、手形を受け取る取引形態がある企業に適しており、既存の銀行取引の一環として利用しやすい特徴があります。売掛債権証券化は、安定した売上と多数の取引先をもつ中堅・大企業に適しており、大規模で長期的な資金調達計画がある場合に検討される手法です。

債権流動化の手続きと必要書類

債権流動化を利用するには、書類を正確に準備し、申し込みから契約締結までの手続きを着実に進める必要があります。その際に、複数の業者の見積もりを比較して適切な業者を選択することも大切です。

ファクタリングの申込手続き

ファクタリングを利用する場合の一般的な手続きは、以下の通りです。書類準備から資金化まで最短即日完了することも可能です。

まず、ファクタリング会社に問い合わせ、基本的な条件(売掛先、金額、支払い期日など)を伝えます。次に、必要書類を提出します。一般的に必要な書類は、売掛先との契約書、請求書(または納品書)、会社の登記簿謄本、法人印鑑証明書、決算書(1〜2期分)などです。一部のファクタリング会社では、即日対応のために必要書類を簡略化しているケースもあります。

審査通過後、債権譲渡契約を締結し、ファクタリング会社から代金が支払われます。3社間ファクタリングの場合は、売掛先への通知と承諾取得のプロセスが加わります。2社間ファクタリングでは通知は不要ですが、支払い期日には自社で売掛金を回収し、ファクタリング会社へ送金する必要があります。

売掛債権担保融資(ABL)の手続き

ABLは融資の性質をもつため、通常の融資審査に近いプロセスとなります。一般的な手続きは、以下の通りです。

まず、金融機関に相談し、ABLの利用意向を伝えます。金融機関によっては専用商品がある場合もあります。次に、必要書類を提出します。通常の融資申込書類に加えて、売掛先のリスト、過去の売上データ、債権管理状況、主要取引先との契約書などが求められます。

金融機関は、提出された資料をもとに売掛債権の評価を行い、それを担保とした融資枠を設定します。一般的に、売掛債権の70〜80%程度が融資限度額となることが多いものです。審査通過後、担保設定のための契約を締結し、融資が実行されます。

ABLでは、定期的にレポーティングが求められる場合が多く、売掛債権の状況(増減や回収状況)を報告する必要があります。これにより、金融機関は担保価値の変動を把握します。

スムーズな手続きのためのポイント

債権流動化をスムーズに進めるためには、事前準備と適切な業者選びが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。

まず、売掛債権の状況をしっかり整理しておくことが大切です。対象となる売掛先、金額、支払い期日などの情報を正確に把握し、関連書類を整えておきましょう。特に、取引先との契約書や請求書などは、デジタルコピーも含めて常にアクセスしやすい状態にしておくとよいでしょう。

次に、複数の業者から見積もりを取り、条件を比較することも重要です。ファクタリング会社や金融機関によって、手数料率や審査基準は大きく異なります。特に、初めて利用する場合は、実績のある大手業者や、自社の業界に精通した業者を選ぶと安心です。

また、直近の財務状況を正確に把握しておくことも大切です。業者側からの追加質問に迅速に対応できるよう、月次の試算表や資金繰り表なども用意しておくとよいでしょう。信頼関係を築くためにも、財務状況について透明性をもって説明することが重要です。

債権流動化に関するよくある質問

債権流動化について検討する際に、多くの経営者や財務担当者が疑問に思う点があります。ここでは、よく寄せられる質問とその回答を紹介します。

税務上の取り扱いと会計処理

債権流動化の会計処理は、手法によって異なります。正確な処理方法を理解することが重要です。

ファクタリングの場合、真正売買型(ノンリコース型)であれば、売掛金の消滅と引き換えに現金を受け取る処理となります。差額(手数料)は、営業外費用(債権売却損など)として計上するのが一般的です。一方、リコース型の場合は、実質的に担保付借入金として処理されることが多く、売掛金はバランスシートに残り、受け取った資金は負債として計上されます。

ABLは融資の一種なので、借入金として負債に計上され、売掛金は資産として残ります。手形割引も同様に、割引料を利息と同様の費用として処理します。売掛債権証券化の場合は、スキームによって処理が大きく異なるため、専門家の助言を受けることが必要です。

いずれの場合も、税務上の影響も考慮する必要があります。特に、決算期をまたぐ取引では、利益計上のタイミングが変わることがあるため、顧問税理士などに事前に相談することをお勧めします。

業者選びのポイントとリスク回避

債権流動化の業者選びは、非常に重要です。信頼できる業者を選ぶことでリスクを最小化できます。

まず、業者の信頼性を確認するために、設立年数や取引実績、資本金などの基本情報をチェックしましょう。大手企業との取引実績がある業者は、信頼性が高い傾向にあります。また、業界団体への加盟状況や、金融庁への登録の有無(貸金業者の場合)も確認ポイントです。

次に、手数料の透明性も重要です。明確な料率提示がなく、後から追加費用が発生するケースには注意が必要です。契約前に、手数料率、支払いタイミング、追加費用の有無などを明確に確認しましょう。

また、秘密保持についても確認が必要です。取引情報は企業の機密情報であり、適切に管理されるべきです。信頼できる業者は、情報管理ポリシーを明確に示し、セキュリティ対策を講じています。実際に利用した企業の評判や口コミも参考になります。

債権流動化とファクタリング詐欺の見分け方

残念ながら、ファクタリングを装った詐欺的な業者も存在します。怪しい業者を見分けるポイントを押さえておきましょう。

まず、事前審査料や手続き費用などの名目で、前払いを要求する業者には注意が必要です。信頼できるファクタリング会社は、原則として契約成立前に料金を請求することはありません。

また、異常に高い手数料率(30%以上など)を提示する業者も、怪しいと考えられます。一般的なファクタリングの手数料率は、状況によって異なりますが、多くの場合2〜25%程度です。極端に高い料率は、詐欺的な可能性があります。

さらに、契約書の内容が不明確であることや、質問に対して曖昧な回答しか得られない場合も注意が必要です。優良な業者は、取引条件を明確に説明し、疑問点にも丁寧に回答します。

不安がある場合は、弁護士や公的機関(中小企業庁や商工会議所など)に相談することも検討しましょう。業界団体にも、詐欺的業者に関する情報が集まっていることがあります。

まとめ

債権流動化は、企業の資金繰り改善や、成長戦略実現のための強力なツールです。ファクタリング、売掛債権担保融資(ABL)、手形割引、売掛債権証券化という主要な手法があり、それぞれに特徴やメリットがあります。

企業の状況や目的に応じて、最適な手法を選ぶことが重要です。緊急の資金需要にはファクタリング、安定した資金計画にはABL、手形取引がある場合は手形割引というように、場面に応じた使い分けが効果的です。また、複数の手法を組み合わせることで、より柔軟な資金調達が可能になります。

債権流動化を検討する際は、コストと効果のバランス、取引先への影響、会計・税務上の取り扱いなども考慮しましょう。信頼できる業者を選び、適切な手続きを踏むことで、リスクを最小限に抑えながら債権流動化のメリットを最大限に活用できます。資金調達手段の多様化は、経営の安定性と成長力を高める重要な戦略の一つです。

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監修者 三坂大作
監修者紹介
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役
三坂 大作(ミサカ ダイサク)

経歴
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1989年 同行ニューヨーク支店勤務
1992年 三菱銀行退社、資金調達の専門家として独立
資格・認定
経営革新等支援機関:認定支援機関ID:1078130011
ヒューマントラスト株式会社:資格者 三坂大作
貸金業登録番号:東京都知事(1)第31997号
ヒューマントラスト株式会社:事業名 HTファイナンス
貸金業務取扱主任者:資格者 三坂大作
資金調達の専門家として企業の成長を支援
資金調達の専門家として長年にわたり企業の成長をサポートしてきました。東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、国内業務を経験した後、1989年にニューヨーク支店へ赴任し、国際金融業務に従事。これまで培ってきた金融知識とグローバルな視点を活かし、経営者の力になることを使命として1992年に独立。以来、資金調達や財務戦略のプロフェッショナルとして、多くの企業の財務基盤強化を支援しています。 現在は、ヒューマントラスト株式会社の統括責任者・取締役として、企業の資金調達、ファイナンス事業、個人事業主向けファクタリング、経営コンサルティングなど、多岐にわたる事業を展開。特に、経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や資金調達のアドバイスを提供しています。また、東京都知事からの貸金業登録(登録番号:東京都知事(1)第31997号)を受け、適正な金融サービスの提供にも力を注いでいます。
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