2025.05.12
不動産売却時にもつなぎ融資は使えるの?メリット・デメリットからおすすめケースまで徹底解説
不動産を売却する際、その代金を新しい不動産物件の購入費用や事業資金(設備投資、運転資金等)に充てることがあります。しかし、売却代金が実際に手元に入るまでには一定の期間がかかるため、一時的な資金不足が発生することも少なくありません。このような一時的な資金ニーズに対応する手段の一つが、「つなぎ融資」です。
つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保として、短期間の資金調達を行う方法ですが、どのようなケースに適しているのか、また、そのメリットやデメリットを事前に把握しておくことが重要です。
この記事では、不動産売却時のつなぎ融資の仕組みや活用方法、申し込み手続きについて詳しく解説します。
不動産売却時にもつなぎ融資は使える
不動産売却のプロセスでは、売却代金を受け取るまでに時間がかかることがあります。この期間の資金ニーズに対応するのが、つなぎ融資です。
つなぎ融資の仕組み
つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保として、売却代金が入るまでの間に必要な資金を調達する融資方法です。売却が完了して代金を受け取った時点で、一括返済するのが一般的です。
通常の融資と異なり、将来確実に入ってくる売却代金を返済原資とするため、融資実行から返済までの期間が明確に定められています。多くの場合、融資期間は1ヶ月〜2年程度となっています。
つなぎ融資の融資額は、売却予定不動産の評価額の70〜80%程度が上限となることが一般的です。担保価値に基づいて融資額が決定されるため、物件の状態や立地条件によって借入可能額は変動します。
通常の不動産担保ローンとの違い
通常の不動産担保ローンと比較すると、つなぎ融資にはいくつかの特徴があります。まず、返済期間の短さが挙げられます。一般的な不動産担保ローンが、10年〜35年の長期返済であるのに対し、つなぎ融資は、数ヶ月〜2年程度の短期間での一括返済が前提です。
また、審査基準においても違いがあります。通常のローンでは、借り手の返済能力(収入や勤続年数など)が重視されますが、つなぎ融資では、売却予定不動産の価値や売却の確実性が重要な審査ポイントとなります。
さらに、金利設定も異なります。つなぎ融資は短期間であるものの、リスクを考慮して金利が設定されるため、一般的に2〜4%程度と通常の不動産担保ローンよりも高めになっています。
不動産売却時につなぎ融資を使うメリット
不動産売却時につなぎ融資を活用することで、さまざまなメリットが得られます。資金調達の選択肢として検討する際に、以下のようなポイントが挙げられます。
新規物件の迅速な購入が可能
不動産市場では、魅力的な物件がすぐに売れてしまうことがあります。つなぎ融資を利用すれば、現在の物件が売却完了する前でも、新しい物件を購入するための資金を調達できます。
特に、住宅の買い替えや事業用不動産の入れ替えにおいて、タイミングを逃さずに理想的な物件を確保できる点は大きなメリットです。不動産価格が上昇傾向にある市場では、早期に購入することで将来的なコスト増加を回避することもできます。
希望の物件を逃さず確保できるため、不動産投資家や事業拡大を計画している企業にとって、戦略的な不動産取得を実現する手段となります。
売却を急ぐ必要がない
つなぎ融資を利用することで、資金繰りの問題から売却を急ぐ必要がなくなります。これにより、不動産の市場価値を十分に引き出せる適切なタイミングや条件で売却することが可能になります。
適正価格で売却するためには、十分な市場調査や複数の買い手と交渉する時間が必要です。つなぎ融資によって一時的な資金を確保できれば、焦らずに最適な売却先を見つけることができます。
特に、不動産相場が一時的に低迷している時期に、無理に売却せずに市況の回復を待つことができるのは大きなメリットです。市場価格との差額が融資コストを上回る場合、経済的にも合理的な選択となります。
一時的な資金需要への対応が可能
不動産売却時には、予期せぬ資金需要が発生することがあります。例えば、事業資金の調達、相続税の納付、リフォーム費用の捻出などです。つなぎ融資は、こうした一時的な資金需要に柔軟に対応できます。
通常のローンと比較して、審査から融資実行までのスピードが速いため、急な資金需要にも対応可能です。多くの金融機関では、1週間程度で融資を実行できるケースもあります。
短期間での資金調達が実現できるため、ビジネスチャンスを逃さず、また資金不足による機会損失を防ぐことができます。特に企業の資金繰りにおいて、この柔軟性は大きな価値を持ちます。
不動産売却でつなぎ融資を使うデメリット
つなぎ融資には、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。資金調達方法として検討する際には、これらのリスク要因も十分に理解しておく必要があります。
金利負担が比較的高い
つなぎ融資の最も大きなデメリットの一つは、金利負担が比較的高いことです。通常、つなぎ融資の金利は年率2〜4%程度となっており、一般的な住宅ローンなどと比較すると高めに設定されています。
短期間の融資であっても、借入額が大きい場合には、金利負担が無視できないコストとなります。例えば、5,000万円の融資を年利3%で6ヶ月利用した場合、単純計算で75万円の金利負担が発生します。
短期間でも金利コストが発生するため、売却価格や新規購入物件の価格など、トータルコストを考慮した資金計画が必要です。
手数料などの諸費用がかかる
つなぎ融資を利用する際には、金利以外にもさまざまな諸費用が発生します。主なものとしては、融資手数料(融資額の1〜2%程度)、担保設定のための登記費用、不動産鑑定費用などが挙げられます。
これらの費用は、融資額に応じて増加するため、大型の不動産取引では相当な金額になることがあります。また、融資期間が延長された場合には、追加の手数料が発生することもあります。
諸費用は、返済時に一括で支払うケースが多く、売却金額からこれらの費用を差し引いた手取り額が、予想よりも少なくなる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
期限内に売却できない可能性がある
つなぎ融資の最大のリスクは、予定していた期間内に不動産が売却できないケースです。融資期間が終了しても売却が完了していない場合、借入金を一括返済できなくなる可能性があります。
この場合、融資の延長交渉が必要となりますが、追加の手数料や金利上昇などの条件変更が発生することが一般的です。最悪の場合、担保不動産が競売にかけられるリスクもあります。
市場環境の変化によって売却が遅延するリスクがあるため、余裕をもった融資期間の設定や、複数の売却戦略を用意しておくことが重要です。特に、不動産市況が不安定な時期には、このリスクを十分に考慮する必要があります。
不動産売却につなぎ融資を使うおすすめのケース
つなぎ融資はさまざまなシーンで活用できますが、特に効果的な具体例を見ていきましょう。状況に応じた最適な活用方法を理解することで、資金調達の選択肢を広げることができます。
事業用不動産の買い替えをするケース
事業拡大や業務効率化のために事業用不動産の買い替えを行う場合、つなぎ融資は非常に有効な手段となります。現在の事業所や工場、店舗などを売却する予定があっても、新しい物件の購入資金が先に必要になることが一般的です。
例えば、より好立地の店舗物件が市場に出た場合、現在の店舗が売却完了する前に購入資金を確保する必要があります。このようなケースでは、現在所有している事業用不動産を担保としたつなぎ融資で、新物件の購入資金を調達できます。
事業の連続性を維持しながら物件移行できる点は、事業者にとって大きなメリットです。特に季節性のあるビジネスでは、繁忙期を避けた最適なタイミングでの移転が可能になります。
リフォームの資金が必要なケース
不動産を高値で売却するためには、適切なリフォームやリノベーションが効果的です。しかし、そのための資金が不足している場合、つなぎ融資を活用することで解決できます。
例えば、内装や設備を刷新することで、物件の価値が大幅に向上するケースでは、売却予定の不動産を担保にリフォーム資金を調達し、工事完了後に高値で売却するという戦略が取れます。リフォームによる価値向上分が融資コストを上回れば、経済的にも合理的な選択となります。
価値を高めてから売却することで利益を最大化できるため、不動産投資家や高額物件の売却を考えている所有者にとって、検討する価値があります。
納税資金を確保したいケース
相続税や法人税など、まとまった納税資金が必要な場合にもつなぎ融資は有効です。特に、相続税は期限内の納付が義務付けられており、不動産を相続したものの現金が不足するケースは少なくありません。
このような場合、相続した不動産や自社所有の不動産を売却する予定があっても、納税期限までに売却が完了しないことがあります。つなぎ融資を利用すれば、納税資金を確保しながら、適切なタイミングで不動産売却を進めることができます。
税務上のペナルティを回避しながら資産整理できる点は、相続人や企業経営者にとって大きな助けとなります。特に高額な納税義務がある場合、この選択肢は重要な資金調達手段となります。
不動産売却時のつなぎ融資の申込手続き
つなぎ融資を利用するためには、一定の手続きを踏む必要があります。スムーズに資金調達を行うために、申込から融資実行までの流れを理解しておきましょう。
申込から融資実行までの流れ
つなぎ融資の申込から融資実行までの一般的な流れは、まず金融機関への事前相談から始まります。この段階で、融資の目的や希望金額、返済計画などを説明し、実現可能性を確認します。
次に、正式な融資申込を行います。必要書類を提出し、金融機関による審査が開始されます。この際、不動産の評価も並行して行われます。不動産鑑定士による評価や金融機関独自の査定によって、担保価値が決定されます。
審査が通れば融資条件の提示があり、条件に合意すれば融資契約を締結します。契約後、担保設定の手続きが完了すると融資が実行されます。審査から融資実行まで通常1〜2週間程度かかるため、余裕をもったスケジュール設定が重要です。
必要書類
つなぎ融資を申し込む際には、さまざまな書類の提出が求められます。個人と法人では若干異なりますが、主な必要書類としては以下のようなものがあります。
個人の場合は、身分証明書、所得証明書(源泉徴収票や確定申告書など)、住民票などの本人確認書類が必要です。事業法人の場合は、登記簿謄本、決算書(直近3期分程度)、会社の事業計画書などが求められます。
また不動産関連書類として、売却予定物件の登記簿謄本、固定資産税評価証明書、不動産売買契約書または売却見込証明書などが必要となります。金融機関によっては追加書類を求められることもあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。
必要書類を事前に準備しておくことで手続きがスムーズに進みます。特に、不動産関連の公的書類は取得に時間がかかることがあるため、早めに準備しておくことが大切です。
審査のポイントと注意点
つなぎ融資の審査では、通常の融資と異なるポイントがいくつかあります。最も重視されるのは、売却予定不動産の価値と売却の確実性です。立地条件や物件状態が良く、市場性の高い不動産であれば審査が通りやすくなります。
また、すでに売買契約が締結されている、または具体的な買い手が見つかっているなど、売却の確実性が高いケースは有利に働きます。反対に、特殊な用途の不動産や市場性の低い物件の場合は、審査が厳しくなる傾向があります。
さらに、申込者の信用情報や返済能力も審査対象となります。過去の借入返済状況に問題がある場合や、万が一売却が遅れた際の返済原資が不明確な場合は、審査が通りにくくなることがあります。
売却計画の具体性と実現可能性が審査のカギとなるため、売却に関する具体的なプランや、複数の不動産会社による査定書などを用意しておくとよいでしょう。
不動産売却つなぎ融資の金融機関選び
つなぎ融資を利用する際は、提供する金融機関によって条件や特徴が異なります。最適な選択をするために、金融機関ごとの特徴を理解しておきましょう。
銀行や信用金庫
銀行は、最も一般的なつなぎ融資の提供先です。都市銀行や地方銀行では、比較的低金利で融資を受けられることが多く、大型の融資にも対応可能です。一方で審査基準が厳格で、申込から融資実行までに時間がかかるケースが多いのが特徴です。
信用金庫は、地域密着型の金融機関で、地元の不動産事情に詳しいスタッフが対応してくれるメリットがあります。銀行と比較して融資判断が柔軟なケースもありますが、融資上限額が低めに設定されていることがあります。
既存取引関係がある金融機関を選ぶと審査がスムーズに進むことが多いため、普段から取引のある銀行や信用金庫に相談することをおすすめします。また、融資条件だけでなく、担当者の対応の丁寧さや専門知識も選択の際の重要なポイントとなります。
ノンバンクや不動産担保ローン会社
銀行や信用金庫の審査に通らない場合や、より迅速な融資を希望する場合は、ノンバンクや不動産担保専門のローン会社の利用も選択肢となります。これらの金融機関は審査基準が比較的柔軟で、融資実行までのスピードが速いのが特徴です。
通常、申込から融資実行まで数日〜1週間程度と短期間で対応してくれることが多く、銀行では難しい案件でも融資可能なケースがあります。一方で、金利は銀行より高く設定されており、年5〜10%程度になることもあります。
ノンバンクでは、担保評価が甘めに設定されることがあり、高い融資額を受けられる可能性がありますが、諸費用も高額になりがちです。融資実行の迅速さと引き換えに高コストになるため、資金調達の緊急性と総コストのバランスを考慮して選択することが重要です。
まとめ
不動産売却時のつなぎ融資は、売却予定の不動産を担保に、一時的な資金を調達できる有効な手段です。新規物件の購入資金確保や一時的な資金需要への対応、売却を急がずに適正価格で取引するなど、多くのメリットがあります。
一方で、金利負担や諸費用の発生、期限内に売却できないリスクなどのデメリットも理解しておく必要があります。成功のポイントは、正確な不動産評価と現実的な売却計画の策定、複数の金融機関比較による最適な条件の獲得、そして専門家の活用にあります。つなぎ融資の検討を始める際は、まず複数の金融機関に相談し、自身の状況に最適な選択肢を見つけることから始めましょう。
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不動産売却時の資金調達方法として、つなぎ融資は有効ですが、担保設定の手続きや売却計画の作成など、準備に時間がかかることがあります。よりスピーディーに資金調達をしたい方には、HTファイナンスの無担保無保証ビジネスローンがおすすめです。
HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。
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