2025.05.14
住宅ローン返済中の追加融資は難しい?受ける方法や審査で重視されるポイントについても解説
経営者が住宅ローンを返済している最中に、事業のための新たな資金調達が必要になる場合があります。しかし、経営者がすでに住宅ローンを抱えている場合、新たに融資を受けられるのか、審査に通るのかといった不安を感じることもあるでしょう。
住宅ローン返済中に追加融資を受けるためには、これまでの返済状況や収入の安定性、不動産の評価額など、さまざまな審査基準をクリアする必要があります。特に、経営者の役員報酬の状況や会社の業績が大きく影響します。適切な準備と方法を理解することで、有利な条件で資金調達できる可能性があります。
この記事では、住宅ローン返済中の経営者が、事業のための追加融資を受ける際の具体的な方法や注意点、メリット・デメリットを詳しく解説します。また、スムーズに融資を進めるための手順についても紹介していきます。
住宅ローン返済中の追加融資は難しい?
住宅ローンを返済中の方が、事業資金として追加融資を希望するケースは少なくありません。
近年、金融機関の審査基準は、全体的に厳格化する傾向にあります。住宅ローン返済中の追加融資については、既存の返済状況や総返済負担率などが重要視されます。
一般的に、住宅ローンの返済が滞りなく行われていること、安定した収入があること、担保となる不動産の評価額に余裕があることなどが、審査通過の条件となります。経営者の場合は、自身の役員報酬の安定性に加え、会社の業績や将来性も審査の重要な判断材料となります。
金融機関からすると、すでに大きな融資(住宅ローン)を行っている顧客への追加融資は、リスクが高いと判断されがちです。そのため、追加融資の審査は、新規の住宅ローン審査よりも厳しくなる傾向があり、申込者の信用力や返済能力をより詳細に評価されます。
住宅ローン返済中に追加融資を受ける3つの方法
住宅ローン返済中に追加資金が必要になった場合、主に3つの方法で対応することができます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
借り換え時の追加融資
住宅ローンの借り換えのタイミングで追加融資を受ける方法は、最も一般的で効率的な選択肢です。現在の住宅ローンを新しい金融機関に借り換える際に、必要な追加資金を上乗せして融資してもらいます。
この方法のメリットは、現在より低金利の住宅ローンに借り換えられれば、追加融資を受けても毎月の返済額が大きく増えない可能性がある点です。金利が1%下がるだけでも、長期的には大きな返済負担軽減につながります。
また、融資一本化によるメリットも大きく、借り換えを活用した追加融資は返済管理が容易になる点も、経営者にとって重要なポイントです。複数の借入を一本化することで、資金繰り管理が簡素化され、事業に集中できる環境をつくることができます。
ただし、借り換えには諸費用(保証料、事務手数料、登記費用など)が発生するため、借り換えによるメリットが、これらのコストを上回るかどうかを事前に計算しておく必要があります。また、借り換え時には改めて審査があり、現在の収入状況や物件の評価額などが精査されます。
現在の金融機関における再審査
すでに取引のある金融機関に、追加融資を申し込む方法もあります。この場合、住宅ローンの返済実績が良好であれば、審査がスムーズに進む可能性があります。
現在の金融機関での再審査のメリットは、借り換えにあるような諸費用が抑えられる点です。既存の住宅ローンはそのままで、追加部分だけ新たに融資を受けるため、手続きも比較的シンプルです。
この方法では、現在の返済状況に加えて、不動産の現在の評価額や収入状況などが再審査されます。特に経営者の場合は、役員報酬の安定性と会社の業績推移が審査の決め手となることがあります。税理士などと相談して、適切な資料を準備することが重要です。
ただし、既存の金融機関での追加融資は、新規で借り入れるよりも審査が厳しくなる傾向があります。これは、既に大きな融資を行っているため、金融機関としてはリスク管理の観点から慎重になるためです。また、追加融資の金利が、当初の住宅ローン金利より高くなる可能性もあります。
リフォームローンなど目的別ローンの利用
住宅に関連する資金需要であれば、リフォームローンなどの目的別ローンを利用する方法もあります。これは、住宅ローンとは別枠の融資となるため、住宅ローンの契約条件には影響しません。
リフォームローンは、比較的少額(数百万円程度)の融資に向いており、審査もスピーディーに行われることが多くあります。返済期間も、5年から10年程度と短めに設定されているケースが多く、総返済額を抑えられるメリットがあります。
ただし、目的別ローンの金利は、住宅ローンと比較すると高めに設定されています。小規模な改修や緊急性の高い修繕には目的別ローンが適している一方で、大規模なリノベーションなど高額な資金が必要な場合は、住宅ローンの借り換えによる追加融資の方が有利な場合が多いでしょう。
また、リフォームローンは資金使途が限定されているため、事業資金や生活資金などへの流用はできません。経営者の方が事業のための資金を調達する目的では適さない場合があるため、目的に合わせた融資方法を選ぶことが重要です。
住宅ローン返済中の追加融資の審査で重視されるポイント
住宅ローン返済中に追加融資を受ける際、金融機関は特に以下の3つのポイントを重視して審査を行います。それぞれの要素について、詳しく解説します。
会社の収入の安定性
事業経営者が住宅ローンの追加融資を受ける場合、役員報酬の安定性と会社の業績が重要な審査ポイントとなります。金融機関は、単に現在の収入だけでなく、過去数年間の役員報酬の推移や会社の成長性も含めて総合的に判断します。
役員報酬が毎年大きく変動している場合や、直近で大幅な減少があると、収入の安定性に疑問符がつき、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。融資申請の2〜3年前から役員報酬を安定させることが審査通過のカギとなることが多くあります。
また、会社の業績についても、直近3期分の決算書が審査対象となります。売上高や利益の推移、自己資本比率などの財務指標も重視されます。業績が右肩上がりであれば好印象を与えますが、赤字決算が続いていると、将来の返済能力に不安があると判断される可能性があります。
税金対策で役員報酬を抑えている経営者も多いですが、住宅ローンの追加融資を検討する場合は、税理士と相談しながら、融資審査と税金対策のバランスを考える必要があります。
担保となる不動産の評価額
住宅ローンの追加融資において、担保となる不動産の現在の評価額は、非常に重要な要素です。一般的に、金融機関は、物件の評価額の70〜80%程度までしか融資しないというルールがあります。
例えば、現在の住宅の評価額が3,000万円で、既存の住宅ローン残高が2,000万円の場合、評価額の80%として2,400万円までしか融資できないため、追加で借りられる金額は最大400万円程度となります。
不動産の評価額は、築年数の経過とともに下がっていくことが一般的です。よって、不動産価値の維持・向上に繋がるリフォームは追加融資の可能性を高めることがあります。特に断熱性能や耐震性の向上、水回りの刷新など、物件の基本性能を上げるリフォームは評価につながりやすいでしょう。
また、物件がある地域の不動産相場も大きく影響します。都心部などの人気エリアでは不動産価値が維持されやすい一方、過疎化が進む地方では評価が下がりやすい傾向があります。購入時と比べて不動産価値が大きく下落している場合、追加融資が難しくなることもあります。
資金の用途
住宅ローンの追加融資においては、資金用途が住宅関連(リフォーム、増改築など)に限定されるケースが多いものです。事業資金や生活費、投資資金などへの流用は原則として認められません。金融機関は資金使途を確認するために、見積書や契約書などの提出を求めることがあります。
例外として、住宅ローンの借り換えによる追加融資の場合は、目的を「借り換え+αの費用」とすることで、資金使途の制限がやや緩和されることもあります。ただし、この場合でも完全に自由に使えるわけではなく、ある程度の範囲内での融資となります。
また、返済計画の妥当性も重要な審査ポイントです。現在の収入に対する返済負担率(DTI)が適正範囲内であるか慎重に審査されるため、追加融資を受ける前に自身の返済能力を客観的に評価しておくことが重要です。
一般的に、年収に対する返済負担率は35%以下が望ましいとされています。例えば、年収600万円の場合、すべての借入れの年間返済額が210万円(月々約17.5万円)以下であることが理想的です。この範囲を超える場合、審査で不利になる可能性があります。
住宅ローン返済中に追加融資を受けるメリット
住宅ローン返済中に追加融資を受けることには、いくつかのメリットがあります。経営者の視点から見たメリットを詳しく解説します。
低金利での資金調達が可能
住宅ローンは、他の融資商品と比較して、金利が低いという大きな特徴があります。住宅ローンの借り換えや追加融資を利用することで、事業者向けローンやカードローンなどよりも有利な条件で資金を調達できる可能性があります。
例えば、事業者向けローンの金利が年3〜7%程度であるのに対し、住宅ローンの金利は年1%台前半というケースも少なくありません。この金利差は、長期間の借入れでは、返済総額に大きな差となって表れます。
住宅ローンの低金利を活かした資金調達は長期的な財務コスト削減につながるため、経営者にとって重要な資金戦略となりえます。特に、長期にわたる設備投資や、将来的な収益が見込める投資に対しては、低金利の住宅ローン追加融資が適している場合があります。
また、固定金利型の住宅ローンであれば、将来の金利上昇リスクを回避できるというメリットもあります。変動する経済情勢の中で、安定した返済計画を立てられることは、事業経営においても大きな強みとなります。
借入の一本化によるキャッシュフロー改善
住宅ローンの借り換えを利用した追加融資では、既存の住宅ローンと追加資金を一本化できるメリットがあります。これにより、複数の借入れを管理する手間が省け、返済管理が容易になります。
例えば、住宅ローンに加えてリフォームローンや自動車ローンなど複数の借入れがある場合、それぞれに返済日や返済額が異なり、資金繰りが複雑になりがちです。これらを一本化することで、返済日が統一され、月々の資金計画が立てやすくなります。
借入一本化による返済負担の平準化は事業のキャッシュフロー安定に直結するため、経営者にとって大きなメリットといえます。特に、季節変動のある事業を営んでいる場合、返済負担の平準化は資金繰りの安定化に寄与します。
また、長期の返済計画を立てやすくなるというメリットもあります。借入期間を延長することで月々の返済額を抑えることも可能であり、事業の拡大期や投資期には、資金を事業に回しやすくなるでしょう。ただし、借入期間の延長は、総返済額の増加につながる点に注意が必要です。
住宅ローンの追加融資を進める手順
住宅ローン返済中の追加融資を効果的に進めるためには、適切な手順で準備と交渉を行うことが重要です。以下に、具体的な手順を解説します。
必要書類の準備
最初のステップとして、現在の財務状況を詳細に分析し、必要な書類を準備します。これは、審査をスムーズに進めるだけでなく、自身の返済能力を客観的に把握するためにも重要です。
具体的には、以下の項目を整理しておきましょう。
- 現在の住宅ローン残高と返済状況
- 直近の役員報酬額と推移
- 会社の業績推移(直近3期分の決算書)
- 担保不動産の現在の評価額(必要に応じて不動産会社に査定依頼)
- 必要な資金額と具体的な資金使途
- 現在の他の借入状況(カードローンや自動車ローンなど)
正確な財務状況の把握と実現可能な返済計画の立案が成功の第一歩となります。特に経営者の場合は、個人と法人の財務状況を明確に区分して整理することが重要です。
また、金融機関に提出する必要書類も事前に準備しておきましょう。一般的に必要となる書類は、以下の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書など)
- 会社の決算書(直近3期分)
- 現在の住宅ローン返済予定表
- 不動産関連書類(登記簿謄本など)
- 資金使途を証明する書類(リフォームの見積書など)
これらの書類を事前に揃えておくことで、金融機関との相談がスムーズに進みます。特に決算書は、税理士と相談しながら、審査に通りやすいかたちに整えておくことも検討しましょう。
金融機関との条件交渉
現状分析と必要書類の準備ができたら、次のステップは金融機関との相談です。まずは、現在住宅ローンを組んでいる金融機関に相談するのが基本ですが、複数の金融機関に相談することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
金融機関との相談において重要なのは、自分の状況と希望を明確に伝えることです。具体的には、以下のポイントを押さえましょう。
- 必要な追加融資額とその使途
- 希望する返済期間と返済方法
- 現在の住宅ローンの返済状況と追加融資後の返済計画
- 会社の事業内容と今後の見通し
複数の金融機関から条件を取り寄せて比較検討することで交渉力が高まるため、時間に余裕をもって進めることをおすすめします。金融機関によって審査基準や提供条件が異なるため、自身のケースに最適な選択肢を見つけられる可能性が高まります。
条件交渉の際には、金利だけでなく、諸費用(保証料、事務手数料など)や繰上返済の条件、団体信用生命保険の内容なども比較検討することが重要です。また、変動金利と固定金利のどちらが自分のケースに適しているかも、慎重に判断しましょう。
特に経営者の場合は、会社の将来性や事業計画を金融機関に丁寧に説明することで、より良い条件を引き出せる可能性があります。事業拡大による将来的な収益増加など、返済能力の向上に繋がる要素をアピールすることも効果的です。
資金調達シミュレーションの作成
金融機関から複数の提案を受けたら、それぞれの条件に基づいた資金調達シミュレーションを作成します。このシミュレーションによって、追加融資が自身の財務状況に与える影響を具体的に把握できます。
シミュレーションでは、以下の要素を考慮することが重要です。
- 月々の返済額と返済期間
- 総返済額(元金と利息の合計)
- 返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)
- 借り換えの場合は諸費用も含めた実質コスト
- 将来的な金利変動リスク(変動金利の場合)
実際の家計や事業収支に基づいた現実的なシミュレーションが安全な判断につながるため、楽観的な見通しだけでなく、最悪のシナリオも想定しておくことが大切です。例えば、収入が減少した場合や金利が上昇した場合でも、返済を継続できるかどうかを検証しておきましょう。
経営者の場合は、個人の返済負担だけでなく、会社の資金繰りへの影響も考慮する必要があります。特に、事業の季節変動がある場合は、売上が減少する時期の返済負担が過大にならないよう注意が必要です。
シミュレーションの結果、返済負担が重すぎると判断される場合は、融資額の見直しや返済期間の延長、あるいは追加融資そのものの再検討も必要かもしれません。無理のない返済計画を立てることが、事業の持続的な発展と個人の財務安定のために最も重要です。
まとめ
住宅ローン返済中の追加融資は、適切な方法を選択することで実現可能です。借り換えを活用した追加融資が最も一般的な選択肢であり、既存の住宅ローンよりも低金利での借り換えができれば、追加資金を調達しながらも月々の返済負担を抑えられる可能性があります。
審査においては、役員報酬や会社業績の安定性、不動産の評価額が重要視されるため、事前に自身の財務状況を整理し、返済計画を立てることが成功において大切です。追加融資を検討する際は、単に融資を受けられるかどうかだけでなく、返済負担が経営に与える影響を長期的な目線で考え、慎重に判断することをおすすめします。
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住宅ローン返済中でも、事業資金が必要になるケースは多くあります。しかし、住宅ローンの追加融資では用途が限定されることが多く、事業資金への利用が認められないケースも少なくありません。そのようなとき、無担保無保証ですぐに事業資金を調達できるビジネスローンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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