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資金繰りを良くするために使える、ファクタリングとは?審査基準や利用の流れも解説

安定した経営のためには、適切な資金繰り管理が不可欠です。売上は好調なのに現金が足りない、取引先からの入金が遅れて支払いに困っているなど、決して少なくない数の企業が資金繰りの課題を抱えています。

特に中小企業では、売掛金の回収までの期間が資金繰りを圧迫する大きな要因となっています。そのような状況で利用されるのが、売掛金を早期に現金化できる「ファクタリング」というサービスです。

この記事では、資金繰りの改善方法としてのファクタリングの仕組み、メリット、審査基準から利用の流れまでを詳しく解説します。資金繰りにお悩みの経営者の方々にとって、具体的な解決策を見つける参考になるでしょう。

資金繰りが経営において重要な理由

資金繰りとは、企業が日々の事業活動で必要となる現金の収支を管理することです。売上や利益といった会計上の数字と、実際に手元にある現金は必ずしも一致しません。

企業経営において、資金繰りは血液の流れに例えられるほど重要な要素です。いくら売上や利益が出ていても、支払いに必要な現金が不足すれば、事業継続が困難になります。

黒字倒産と資金繰りの関係

会計上は利益が出ている「黒字」の状態でも、実際の現金が不足して倒産してしまうことを「黒字倒産」と呼びます。これは、多くの中小企業が直面するリスクです。

例えば、売上が急増しても、仕入れや人件費などの支出が先行し、売掛金の回収が遅れると資金ショートを引き起こします。黒字倒産を防ぐには適切な資金繰り管理が不可欠であり、経営者が常に注視すべき重要な指標です。

特に成長期の企業では、売上の増加に伴い必要運転資金も増加するため、計画的な資金調達が求められます。資金繰り表を活用して将来の収支を予測し、必要に応じて融資やファクタリングなどの資金調達手段を検討することが大切です。

資金繰り管理の基本

資金繰り管理の基本は、「入ってくる現金」と「出ていく現金」のバランスと時期を把握することです。売上や収益は増えていても、実際に入金されるまでにタイムラグがあります。

効果的な資金繰り管理には、日々の現金残高の確認に加え、将来の収支予測が重要です。少なくとも3か月先までの資金繰り計画を立てることで、資金不足を事前に把握し、対策を講じることができます。

また、売掛金の回収サイクルを短くする工夫や、支払いサイトの見直し、在庫管理の最適化など、日常的な業務改善も資金繰り改善に直結します。これらの取り組みを通じて、安定した事業運営の基盤を整えることができるのです。

資金繰り悪化の主な原因

資金繰りが悪化する原因はさまざまですが、ビジネスにおける典型的なパターンを理解することで、早期に対策を講じることができます。

赤字経営の継続

最も基本的な資金繰り悪化の原因は、単純に売上が経費を下回る「赤字経営」の継続です。赤字が続けば、当然ながら手元資金は徐々に減少していきます。

原価率の高さ、固定費の肥大化、価格設定の誤りなど、さまざまな要因が赤字の背景にあります。定期的な収支分析と改善策の実行が不可欠です。

特に創業間もない企業や、新規事業に取り組む企業では、初期投資の回収前に資金が枯渇するリスクが高いため、十分な資金計画と予備資金の確保が重要となります。

資金の固定化

事業拡大を見込んだ過剰な設備投資や、需要予測を上回る在庫の確保は、資金の固定化を招きます。これらは会計上、流動資産として計上されますが、実際には現金が流動性の低い形で固定されている状態です。

特に、季節性のある商品を扱う企業では、在庫管理が資金繰りに大きく影響します。適正在庫の維持と設備投資の計画的実施が、資金繰り改善の鍵となります。

設備投資を行う際は、投資回収計画を綿密に立て、段階的な投資を検討することで、資金負担を分散させることも有効な戦略です。

売掛金の回収の遅れ

多くの企業取引では、商品やサービスの提供と代金の支払いにタイムラグが生じます。特に売掛金の回収サイクルが長く、仕入れや経費の支払いサイクルが短い場合は、資金繰りが圧迫されます。

取引先の支払い遅延や、急な売上変動も資金繰りを悪化させる要因です。入金と支払いのタイミングを適切に管理することが重要です。

特に大型案件や新規取引では、前払いや中間払いの交渉、あるいはファクタリングの活用など、キャッシュフローを安定させるための工夫が必要です。資金繰りの視点から取引条件を見直すことも、経営の安定化につながります。

資金繰り改善に使えるファクタリングとは

資金繰りに悩む企業にとって、ファクタリングは有効な解決策の一つです。ファクタリングの基本概念から詳しく見ていきましょう。

ファクタリングの基本

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(未回収の債権)をファクタリング会社に売却して、早期に現金化する金融サービスです。通常、売掛金の回収までに30日から120日程度かかるところを、すぐに資金化できる点が最大の特徴です。

重要なのは、ファクタリングは借入ではなく、資産(売掛金)の売却取引であるという点です。そのため、貸借対照表上の負債は増加せず、財務バランスを悪化させずに資金調達ができるメリットがあります。

ファクタリング会社は、売掛金の額面から一定の手数料(割引料)を差し引いた金額を支払い、その後は売掛金の回収業務を行います。この手数料が、実質的なファクタリングのコストとなります。

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社の間だけで行われる取引です。売掛先の企業(取引先=第三債務者)には知られずに、ファクタリングを利用できる点が大きな特徴です。

取引先との関係を維持したまま資金調達ができるため、取引先に資金繰りの苦しさを悟られたくない場合に有効です。特に大企業との取引において、資金繰りの問題を表面化させたくない中小企業に選ばれています。

ただし、2社間ファクタリングは、3社間と比較して手数料が高く設定されており、一般的に売掛金額の8〜18%程度の手数料がかかります。これは、ファクタリング会社が債権回収リスクを全て負担するためです。

3社間ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングは、利用企業、ファクタリング会社、売掛先企業(債務者)の3者が関与する取引です。債務者に対してファクタリングの利用を通知し、支払先をファクタリング会社に変更する承諾を得る必要があります。

3社間ファクタリングの最大のメリットは、手数料の低さです。債務者の承諾を得ることで回収リスクが低減されるため、手数料は2〜9%程度と2社間より大幅に安く設定されています。資金調達コストを抑えたい場合に適しています。

ただし、取引先にファクタリングを利用することを伝える必要があるため、取引関係への影響を考慮する必要があります。近年では、大企業が取引先の資金繰り支援策としてファクタリングを推奨するケースも増えており、ビジネス環境によっては前向きに受け止められることもあります。

資金繰り改善のためにファクタリングを利用するメリット

ファクタリングは、さまざまな観点から企業の資金繰り改善に貢献します。

迅速な資金調達が可能になる

ファクタリングの最大のメリットは、売掛金の回収を待たずに素早く現金化できる点です。通常の銀行融資と比較しても、審査から入金までの期間が短く、最短で即日~数日での資金化が可能です。

急な資金需要が発生した場合や、魅力的なビジネスチャンスをつかむための資金が必要な場合に、迅速に対応できるのは大きな強みです。支払期日が迫った債務の処理や、予想外の設備修繕費用など、緊急の資金需要に対応できます。

また、売上の増加に伴う運転資金の増加にも柔軟に対応できるため、成長フェーズにある企業にとっても有効な資金調達手段となります。

財務指標に影響を与えない

銀行融資とファクタリングの大きな違いは、会計処理上の扱いです。銀行借入などの借入金は負債として計上されるため、自己資本比率などの財務指標が悪化します。一方、ファクタリングは売掛金の売却取引であるため、バランスシート上では「資産の入れ替え」となり、負債は増加しません。

財務健全性を維持しながら資金調達できる点は、特に財務指標を重視する上場企業や、融資審査を控えている企業にとって大きなメリットとなります。

さらに、既存の借入がある場合でも、借入枠とは別に資金調達ができるため、資金調達の選択肢を広げることができます。資金調達手段の多様化は、経営の安定性向上にもつながります。

信用力や業績に関わらず利用できる

銀行融資では、企業の業績や財務状況、代表者の信用力などが厳しく審査されますが、ファクタリングでは主に売掛先の支払能力が重視されます。そのため、自社の業績が思わしくない時期でも利用できるのが大きな特徴です。

創業間もない企業や、一時的な赤字に陥っている企業でも、支払能力の高い取引先との売掛金があれば、ファクタリングを活用できます。これは、資金繰りが厳しいときこそ資金調達が難しくなるという金融の矛盾を解消する手段となります。

また、季節変動のある事業や、プロジェクト単位で資金需要が変化する業種にとっても、必要なときに必要な分だけ利用できる柔軟性は大きなメリットです。

ファクタリングの審査

ファクタリングの利用を検討する際は、審査基準を理解し、申込前に準備しておくことが重要です。

ファクタリングの審査で重視される項目

ファクタリングの審査では、借入とは異なる独自の審査基準が設けられています。最も重視されるのは、売掛先企業(取引先=第三債務者)の支払能力です。取引先の規模や信用力が高いほど審査が通りやすくなります。

具体的には、売掛先の業歴、資本金、従業員数、業界内での地位、過去の支払い履歴などが審査されます。上場企業や官公庁への売掛金は特に高く評価され、手数料も優遇されることが多くあります。

また、売掛金の内容や性質も重要です。既に商品やサービスの提供が完了しており、検収が済んでいる売掛金であることが基本条件となります。将来の売上に対する前払いは、ファクタリングの対象外です。

必要書類

ファクタリング申込時には、一般的に以下の書類が必要となります。事前に準備しておくと、スムーズに手続きを進めることができます。

必要書類 内容・備考
本人確認書類 運転免許証、パスポートなど
会社の登記簿謄本 発行後3ヶ月以内のもの
売掛金の証明書類 請求書、発注書、契約書など
取引履歴の証明 過去の入金記録、取引実績を示す書類
直近の決算書 一部のファクタリング会社で要求される場合あり

特に、売掛金の実在性を証明する書類は重要です。取引の発生から現在までの経緯がわかる書類を整理し、取引の正当性を示すことで審査通過率が高まります。

また、売掛先との過去の取引実績や支払い状況を示す資料があれば、継続的な取引関係を証明でき、審査において有利に働きます。

審査の通過率を高めるためのポイント

ファクタリングの審査通過率を高めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、複数のファクタリング会社に相見積もりを取ることが賢明です。各社で得意とする業種や取引規模が異なるため、自社の状況に最適な業者を見つけられる可能性が高まります。

また、売掛金の金額や取引先によって審査基準が変わることを理解しておくことも重要です。一般的に、大手企業や官公庁への売掛金は審査が通りやすく、小規模な法人や個人事業主への売掛金は審査が厳しくなる傾向があります。

申込前には、売掛先との取引内容に問題がないことを確認し、過去の支払いトラブルがないか検証しておくことも大切です。万が一、過去に支払い遅延などがあった場合は、その原因と解決策を説明できるように準備しておくと良いでしょう。

ファクタリングの利用の流れ

ファクタリングを実際に利用する際の流れを理解しておくことで、スムーズな資金調達が可能になります。具体的な手順を見ていきましょう。

申し込みから契約まで

ファクタリングの利用は、基本的に以下の手順で進みます。まず、ファクタリング会社のウェブサイトや電話で問い合わせを行い、概要説明を受けます。この段階で、売掛金の内容や希望する資金化の金額・時期などを伝えます。

次に、正式な申し込みを行います。必要書類を提出し、具体的な取引条件の相談に入ります。ファクタリング会社は、提出された書類をもとに審査を行い、売掛金の買取可否と手数料率を決定します。

審査通過後は、契約内容の確認を行います。手数料率や支払い条件、リコース(償還請求権)の有無など、重要な契約条件を確認し、必要に応じて交渉することも可能です。納得できる条件であれば、契約書に署名・捺印して契約成立となります。

入金

契約成立後、ファクタリング会社は売掛金を買い取り、事業者に資金を支払います。資金の入金タイミングは、ファクタリング会社や契約内容によって異なりますが、最短で契約当日、一般的には1〜3営業日以内に入金される場合が多くあります。

入金方法は通常、指定した銀行口座への振込となります。振込手数料は、ファクタリング会社が負担するケースが一般的ですが、契約内容によっては利用者負担となる場合もあるため、事前に確認が必要です。

なお、大口の取引の場合、全額一括ではなく、一部前払い・残額後払いという形を取るファクタリング会社もあります。特に高額な売掛金の場合は、入金方法について詳細に確認しておくことをおすすめします。

売掛金回収後の精算

売掛金が回収された後の流れは、ファクタリングの種類によって異なります。2社間ファクタリングの場合、通常の取引と同様に、債務者(売掛先)は利用企業に直接支払いを行います。利用企業は受け取った支払いをファクタリング会社に送金します。

3社間ファクタリングでは、債務者はファクタリング会社に直接支払いを行うため、利用企業が関与する必要はありません。支払いの管理や取立ての手間が省けるメリットがあります。

また、ファクタリングには、リコース(償還請求権)の有無という重要な区分があります。ノンリコースの場合、債務者が支払いを行わなくてもファクタリング会社は利用企業に返済を求めません。リコース付きの場合は、債務者の支払い遅延や不払いが発生した際に、利用企業に償還請求がされるため、この違いを理解しておくことが重要です。

ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングは有効な資金調達手段ですが、利用時には注意すべきポイントもあります。

適正な手数料の見極め

ファクタリングの最大のコストは、手数料です。一般的に、2社間ファクタリングで8〜18%、3社間ファクタリングで2〜9%程度ですが、会社によって大きく異なります。必ず複数社から見積もりを取得して比較することをおすすめします。

手数料率は売掛先の信用力、売掛金の金額、支払期日までの期間などによって変動します。大手企業への売掛金や、金額が大きい案件ほど、手数料率は低くなる傾向があります。

また、表面上の手数料だけでなく、事務手数料や審査料、契約更新料などの追加費用が発生する場合もあるため、総コストで比較することが重要です。見積書の細部まで確認し、不明点は必ず質問してから契約を結びましょう。

信頼できるファクタリング会社の選定

ファクタリング業界には、さまざまな企業が参入しています。優良な会社を選ぶためには、業界での実績や運営年数、顧客の評判を確認することが大切です。

信頼できる会社の特徴として、料金体系の透明性、丁寧な説明、強引な勧誘がないこと、実績の公開などが挙げられます。公式サイトに会社概要や代表者情報が明記されているか、オフィスの実在確認ができるかなども重要なチェックポイントです。

また、一般社団法人日本商工ファクタリング協会などの業界団体に加盟している会社は、一定の基準を満たしている可能性が高いため、選択の参考になります。契約前には、必ず対面やビデオ通話での面談を行い、担当者の対応や説明の明確さを確認することをおすすめします。

契約内容の確認

ファクタリング契約を結ぶ際は、契約書の内容を慎重に確認することが重要です。特に、リコース(償還請求権)の有無を明確に理解することが必須です。リコース付きの場合、売掛先が支払わなければ自社に返済する義務が生じます。

また、契約期間や解約条件、遅延損害金の発生条件、秘密保持条項なども重要な確認ポイントです。不明点や疑問点がある場合は、契約前に必ず質問し、納得できるまで説明を求めましょう。

契約条件は、交渉可能な場合もあります。特に、手数料率や支払いのタイミングについては、継続的な取引を前提に交渉の余地があることも少なくありません。また、売掛金の一部だけをファクタリングする部分的な利用も検討できます。自社の資金需要に最適な条件を交渉することで、効率的な資金調達が可能になります。

まとめ

資金繰りは企業の経営の支えであり、その改善のために、ファクタリングは有効な選択肢の一つです。ファクタリングは、売掛金を売却して早期に現金化できるため、通常の融資よりも迅速に資金調達が可能です。また、借入ではないため財務指標への影響が少なく、自社の信用力に関わらず利用できる点も魅力的です。

ただし、ファクタリングを活用する際は、手数料や契約条件の確認、信頼できる業者選びが重要です。同時に、根本的な資金繰り改善のために、適正な在庫管理や投資計画、銀行との良好な関係構築など、日常的な経営改善も進めていくことが大切です。資金繰りの状況に合わせて、さまざまな資金調達手段を組み合わせながら、安定した経営基盤を築いていきましょう。

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ファクタリングは資金繰りの改善に効果的ですが、売掛金がないときなど、無担保無保証のビジネスローンを使う方が適している場合もあります。

HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。

銀行実務とコンサルティングで培った経験を活かし、無担保無保証の融資やファクタリング、財務改善など、お客様の経営課題に合わせた最適な解決策をご提案しています。また、スピーディーで柔軟な審査体制により、成長に必要な資金を迅速にお届けできます。

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