2025.05.23
税金滞納でブラックリストに載ることはある?影響や流れ、正しい対応についても解説
税金の支払いが滞ってしまった時、多くの方が心配するのが信用情報への影響です。税金を滞納するとブラックリストに載ってしまうのではないか、将来的にローンやクレジットカードが使えなくなるのではないかと、不安を抱える方は少なくありません。
特に、事業を営んでいる方にとって、税金滞納による信用情報への影響は、事業継続にも関わるような重大な問題となりえます。ただ一般には、税金滞納とブラックリストの関係について、誤解や不正確な情報が出回っています。
この記事では、税金滞納が本当にブラックリスト(信用情報)に影響するのか、滞納した場合の実際のリスクや影響、そして滞納してしまった場合の正しい対応方法について詳しく解説します。
税金滞納でブラックリストに載ることはあるのか
まず、多くの方が気になる「税金を滞納するとブラックリストに載るのか」という疑問について明確にします。
ブラックリストとは
「ブラックリスト」ということばは、一般的に使われていますが、正式には「信用情報機関に登録された個人信用情報」を指します。主なものに、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターなどがあります。
これらの信用情報機関には、クレジットカードやローンの支払い状況、債務の延滞情報などが記録されます。銀行やクレジットカード会社は、融資やカード発行の審査の際にこの情報を参照します。
重要なのは、信用情報機関には民間の金融取引情報のみが登録されるという点です。つまり、税金や公共料金の支払い情報は、原則として直接これらの信用情報機関に登録されることはありません。
税金滞納は直接ブラックリストに影響しない
結論からいえば、税金の滞納そのものによって、信用情報機関のブラックリストに載ることはありません。税金の納付情報や滞納情報は、原則として税務署や自治体などの行政機関内部でのみ管理されており、CICやJICCなどの信用情報機関には直接共有されないのです。
つまり、税金を滞納しただけでは、クレジットカードの審査に直接影響することはなく、いわゆる「ブラックリスト」に載ることはないといえます。
ただし、これは税金滞納に問題がないということではありません。税金滞納には、別の重大なリスクや影響があります。また、間接的に信用情報に影響する可能性もあります。
間接的にブラックリストに影響する場合
税金滞納自体は、直接ブラックリストに影響しませんが、以下のような場合には、間接的に信用情報に影響する可能性があります。
最も典型的なのは、税金をクレジットカードで支払っていて、その支払いが滞った場合です。この場合、滞納しているのは税金ではなく、クレジットカード会社への支払いとなります。クレジットカードの支払い滞納は、信用情報に記録されるため、結果的にブラックリストに載ることになります。
また、税金滞納による預金口座の差し押さえにより、クレジットカードやローンの引き落としができなくなる場合もあります。この場合も、クレジットカード会社からすれば支払い滞納となり、信用情報に影響します。
さらに、税金滞納による資産の差し押さえなどの情報は、官報に掲載されることがあります。官報情報はデータベース化されており、金融機関などが参照できるため、間接的に信用評価に影響することがあります。
税金滞納によって実際に発生するリスク
税金滞納が、ブラックリストに直接影響することはありませんが、さまざまな不利益を受けることは間違いありません。
延滞税・加算税の発生
税金を滞納すると、まず延滞税が発生します。延滞税は、納付期限の翌日から納付する日までの期間に応じて課されるペナルティです。
延滞税の割合は、納期限の翌日から1ヶ月以内の期間は年2.4%(2025年現在)、それ以降は年8.7%となっています。これは、経済状況によって変動する場合がありますが、一般的な預金金利と比べてかなり高い水準です。
延滞期間が長くなればなるほど負担が増加するため、滞納が長期化すると本税と同額かそれ以上の延滞税が課されることもあります。
また、期限内に申告していない場合は、無申告加算税(15%~20%)が、過少申告の場合は過少申告加算税(10%~15%)が課されることもあります。
財産の差し押さえリスク
税金滞納が続くと、最終的には、財産の差し押さえが行われる可能性があります。差し押さえの対象となるのは、以下のようなものです。
- 預金口座
- 給与や報酬
- 売掛金や債権
- 不動産
- 自動車などの動産
- 生命保険の解約返戻金
- 株式やゴルフ会員権などの有価証券
特に、事業者にとって重要なのは、預金口座や売掛金の差し押さえです。これらが差し押さえられると、事業運営に深刻な影響が出る可能性があります。
例えば、取引先への支払いができなくなったり、従業員の給与が支払えなくなったりする恐れがあります。また、取引先から入金される予定の売掛金が差し押さえられれば、資金繰りが一気に悪化する可能性があります。
融資への悪影響のリスク
税金滞納は、直接ブラックリストに影響しなくても、銀行などからの融資審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
銀行は、融資審査の際、税務申告書や納税証明書の提出を求めることが一般的です。これらの書類から滞納の事実が判明すれば、経営状態が良くないと判断され、融資が受けられなかったり、条件が悪くなったりする可能性があります。
特に、事業性融資では、きちんと納税しているかどうかは、経営の健全性を示す重要な指標として見られます。定期的な納税は事業の信頼性を示す重要な要素です。
また、日本政策金融公庫などの政府系金融機関からの融資を受ける際には、納税証明書の提出が必須となることが多く、滞納があると審査に通らないケースがほとんどです。
事業信用への悪影響のリスク
税金滞納による差し押さえなどの情報は、前述のように官報に掲載されることがあります。官報情報は専門の調査会社などがデータベース化しており、取引先企業が信用調査の際に参照する可能性があります。
このため、税金滞納は、間接的に事業の信用に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、大企業との取引では、新規取引開始時や定期的な与信審査の際に信用調査が行われるため、税金滞納による差し押さえ情報があると、取引が困難になる恐れがあります。
また、入札資格の審査などでも納税状況が確認されることがあり、公共事業の受注機会を失う可能性もあります。
税金滞納から差し押さえまでの流れ
税金滞納から差し押さえに至るまでには、一定の手続きと期間があります。その流れを理解しておくことで、適切なタイミングで対応することができます。
納付期限から督促状発送まで
まず、税金には種類ごとに納付期限が設定されています。主な税金の納付期限は、以下の通りです。
- 法人税:事業年度終了後2ヶ月以内
- 消費税:課税期間終了後2ヶ月以内
- 所得税:翌年の3月15日まで
- 住民税:6月、8月、10月、1月の4回に分けて納付
- 固定資産税:4月、7月、12月、2月の4回に分けて納付(自治体によって異なる)
納付期限を過ぎると、税務署や自治体から督促状が送付されます。督促状は、一般的に、納付期限から20日程度経過すると送られてきます。
督促状には、新たな納付期限(概ね督促状発行日から10日程度)が記載されています。督促状は差し押さえ前の最後の通知となるため、受け取ったらすぐに対応することが重要です。
催告書の送付から財産調査
督促状に記載された期限までに納付がない場合、税務署や自治体は催告書を送付します。催告書は法的な強制力はありませんが、納付を促す最終的な通知です。
この段階で、税務署や自治体は、滞納者の財産調査を開始します。財産調査では、以下のような情報が収集されます。
- 銀行口座の残高情報
- 給与や報酬の支払い情報
- 不動産の所有情報
- 自動車などの動産所有情報
- 取引先との売掛金情報
- 生命保険や有価証券の保有情報
財産調査は、金融機関や勤務先、取引先などに対する照会という形で行われます。このため、勤務先や取引先に、税金滞納の事実が知られる可能性があります。
財産差し押さえの執行
催告書の送付や財産調査を経ても納付がない場合、差し押さえが執行されます。差し押さえは、督促状の発送から10日を経過した日以降に行われます。
差し押さえの対象となる財産は、財産調査で判明したものの中から選ばれます。一般的には、換金しやすい預金口座や給与が優先的に差し押さえられます。
差し押さえは事前通知なく突然実行されることが多いため、督促状や催告書を受け取った段階で早急に対応することが重要です。
差し押さえられた財産は、期間を経て公売(競売)にかけられ、その売却代金が滞納税金に充当されます。ただし、実際の公売までは一定の猶予期間があることが多いため、この間に納付や分割納付の相談をすることも可能です。
差し押さえ後の流れ
差し押さえ後の流れは、差し押さえられた財産の種類によって異なります。
預金口座が差し押さえられた場合、差し押さえの時点での残高が凍結され、税務署や自治体に納付されます。口座の残高が滞納額に満たない場合は、他の財産も差し押さえられる可能性があります。
給与が差し押さえられた場合は、法定の差し押さえ禁止額を除いた金額が、毎月税務署や自治体に納付されます。給与の差し押さえは、滞納額が完済されるまで継続します。
不動産などが差し押さえられた場合は、一定期間後に公売にかけられ、売却代金が滞納税金に充当されます。ただし、公売までには準備期間があるため、この間に納付相談をすることで公売を回避できる可能性があります。
税金滞納をしてしまった場合の適切な対応
税金の滞納をしてしまった場合、適切な対応をとれば、差し押さえを回避して事業を継続することが可能です。
はじめにとるべき対応
税金の納付期限を過ぎてしまった場合、まずは早急に対応することが重要です。初期段階での適切な対応は、問題の大きな悪化を防ぐことができます。
まず、滞納している税金の全容を把握しましょう。滞納している税金の種類、金額、納付期限などを確認します。税務署や自治体からの通知書類を整理し、現在の状況を正確に把握することが大切です。
次に、可能であれば滞納税金を一括で納付することを検討します。一括納付が難しい場合は、できるだけ早く税務署や自治体に相談に行くことが重要です。
相談の際には、滞納の理由や現在の経済状況を正直に伝え、分割納付などの相談をします。多くの場合、税務署や自治体は分割納付に応じてくれます。
分割納付の申請
税金の一括納付が困難な場合、分割納付の申請を検討しましょう。分割納付は、滞納税金を複数回に分けて納付する方法です。
分割納付を申請するには、税務署や自治体の徴収担当部署に相談し、「分割納付誓約書」などの書類を提出します。申請時には、以下のような書類が必要となることが多いでしょう。
- 分割納付誓約書(税務署や自治体で用意されている)
- 収支状況がわかる資料(給与明細、通帳のコピーなど)
- 資産状況がわかる資料
- 身分証明書
分割納付の申請が認められると、月々の納付額と納付期限が設定されます。この納付計画に従って納付することで、差し押さえを回避できる可能性があります。
ただし、分割納付中も延滞税は発生し続けるため、可能な限り早期に完済することが望ましいものです。また、分割納付の計画に従わない場合は、差し押さえが執行される可能性があるため注意が必要です。
納税猶予制度の活用
災害や病気、事業の大幅な赤字など、特別な事情で納税が困難な場合には、納税猶予制度を活用できる可能性があります。納税猶予制度には、主に以下のようなものがあります。
換価の猶予は、税金を一時に納付することで、事業の継続や生活の維持が困難になる場合に、最大1年間納税を猶予する制度です。申請による換価の猶予と、職権による換価の猶予があります。
納税の猶予は、災害や病気、事業の休廃業などによって、一時に納付できない場合に適用される制度で、最大1年間(特別な場合は最大2年間)納税を猶予します。
納税猶予制度を利用すると延滞税が軽減されるメリットがあります。通常、延滞税は年8.8%(2023年現在、納期限後1ヶ月経過後)ですが、猶予期間中は年1.1%に軽減されます。
納税猶予を申請する場合も、税務署や自治体の窓口に相談し、必要書類を提出します。申請には、財産目録や収支状況、猶予が必要な理由を証明する書類などが必要です。
専門家への相談
税金滞納問題は複雑で、専門的な知識が必要な場合も多いため、専門家への相談も検討すべきです。
税理士は税務に関する専門家であり、滞納税金の整理や分割納付の相談、納税猶予の申請などをサポートしてくれます。特に、複数の税金を滞納している場合や、滞納額が大きい場合は、税理士のアドバイスを受けることで、適切な解決策を見つけられる可能性があります。
弁護士は、差し押さえが差し迫っている場合や、滞納額が非常に大きい場合に相談するとよいでしょう。弁護士は債務整理の専門家でもあるため、税金滞納と併せて他の債務問題も抱えている場合には、総合的な解決策を提案してくれます。
ファイナンシャルプランナーは、家計や事業の収支を見直し、税金を納付するための資金計画を立てるのに役立ちます。長期的な視点で、資金繰りを改善したい場合に相談するとよいでしょう。
税金滞納を防ぐための事前の対策
税金の滞納を未然に防ぐための対策も重要です。計画的な資金管理と適切な税務管理によって、滞納が起こるリスクを大幅に減らすことができます。
計画的な資金管理
税金滞納を防ぐためには、計画的な資金管理が不可欠です。特に事業者の場合、売上から経費を差し引いた利益に対して、税金がかかることを常に意識する必要があります。
まず、税金専用の口座を設けて、売上の一定割合(例えば20〜30%程度)を定期的に積み立てておくことをおすすめします。この「税金準備口座」があれば、納税時期に資金不足に陥るリスクを減らせます。
資金繰り表を作成して将来の税金納付時期を把握することも重要です。納税は、年に数回の大きな出費となるため、その時期と金額を事前に把握しておくことで、計画的な資金管理が可能になります。
また、急な出費や売上の減少に備えて、ある程度の予備資金(できれば3〜6ヶ月分の固定費相当額)を確保しておくことも大切です。予備資金があれば、一時的な資金不足で税金を滞納するリスクを減らすことができます。
資金調達方法の検討
急な資金不足で税金の納付が困難になった場合に備えて、資金調達オプションを事前に把握しておくことも大切です。
銀行融資は、計画的に準備すれば、税金納付のための資金調達手段として活用できます。ただし、融資の審査には時間がかかるため、納付期限直前に申し込んでも間に合わない可能性があります。日頃から銀行と良好な関係を築き、必要時にスムーズに融資を受けられる環境を整えておくことが重要です。
ビジネスローンやノンバンク融資も、銀行融資に比べて審査が迅速なケースが多く、急な資金需要に対応できる可能性があります。ただし、金利が銀行融資より高い場合が多いため、コスト面でのデメリットがあることを理解しておく必要があります。
事前に複数の資金調達手段を確保しておくことで、いざという時の選択肢が広がります。特に、税金納付の期限が迫ってからでは間に合わないケースもあるため、余裕をもって準備することが大切です。
まとめ
税金滞納は、直接ブラックリストに影響することはありませんが、延滞税の発生や財産の差し押さえなど、深刻な影響をもたらす可能性があります。また、クレジットカード払いの滞納や差し押さえによる引き落とし不能など、間接的に信用情報に影響するケースもあります。
税金滞納を防ぐためには、計画的な資金管理と適切な税務管理が重要です。万が一滞納してしまった場合は、早急に税務署や自治体に相談し、分割納付や納税猶予制度の活用を検討しましょう。場合によっては、税理士や弁護士などの専門家に相談することも有効です。
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