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2025.06.17

不動産担保融資は銀行とノンバンクでどう違う?それぞれに適する場合や利用の流れを解説

事業資金を調達する際、不動産を担保に融資を受ける方法があります。その融資元としては、主に銀行とノンバンクが挙げられます。銀行は金利が比較的低く設定されていますが、審査が厳しく、融資実行までに時間がかかる場合があります。一方、ノンバンクは審査が柔軟で、手続きも早く進みやすい反面、金利は銀行に比べて高めに設定される傾向があります。

この記事では、不動産担保融資における銀行とノンバンクの違いについて、金利や審査基準、融資までの期間の視点から詳しく解説します。また、それぞれのメリットとデメリット、状況に応じた利用方法についても具体的に紹介します。

不動産担保融資とは

不動産担保融資は、所有する不動産を担保として、金融機関から資金を借り入れる方法です。事業資金や運転資金の調達手段として、多くの中小企業や個人事業主に活用されています。

この融資の仕組みは、借り手が所有する不動産に担保設定を行い、その評価額の範囲内で融資を受けるというものです。万が一返済が滞った場合には、担保となっている不動産を処分して返済に充てることになります。

不動産担保融資では、まず借り手が所有する不動産の評価が行われます。この評価額に掛け目(一般的に50〜80%程度)を掛けた金額が、融資可能な上限となります。例えば、5,000万円の不動産に対して掛け目が70%の場合、最大3,500万円の融資を受けられることになります。

融資実行時には、不動産に抵当権が設定されます。これは、融資を行う金融機関が、その不動産に対して優先的に債権を回収できる権利を得るということです。返済計画は事前に慎重に検討することが重要です。返済が滞ると、最終的には不動産を失うリスクがあります。

融資期間は金融機関によって異なりますが、一般的に銀行では最長20〜30年、ノンバンクでは数ヶ月〜10年程度の設定が可能です。金利タイプも、固定金利と変動金利から選択できるケースが多くあります。

銀行の不動産担保融資とノンバンクの不動産担保融資の違い

銀行とノンバンクの不動産担保融資には、それぞれ異なる特徴を持ちます。ここでは両者を詳細に比較し、状況に応じた最適な選択肢を見極めるポイントを解説します。

金利や総返済額

金利は、銀行とノンバンクを比較する上で最も顕著な違いの一つです。銀行の不動産担保融資の金利は、一般的に年1〜3%程度であるのに対し、ノンバンクでは年5〜15%程度と大きな開きがあります。この差は、総返済額に大きく影響します。

例えば、3,000万円を10年間で借りた場合、年2%の銀行融資なら利息総額は約310万円ですが、年10%のノンバンク融資では利息総額が約1,650万円となり、5倍以上の差が生じます。長期的な資金調達を検討する場合は、金利差による影響を試算することが重要です。

ただし、短期間(6ヶ月〜1年程度)の資金調達であれば、金利差による総返済額の違いは比較的小さくなります。急ぎの資金需要や、短期間で返済予定がある場合は、金利よりもスピードや審査の柔軟性を重視した判断も有効でしょう。

融資期間や返済条件

融資期間の設定にも大きな違いがあります。銀行の不動産担保融資では、最長20〜30年という長期間の設定が可能です。これに対しノンバンクでは、一般的に6ヶ月〜10年程度の比較的短い期間設定が主流となっています。

返済方法については、銀行では元利均等返済や元金均等返済など、毎月一定額を返済していく方法が一般的です。一方、ノンバンクでは利息のみを毎月支払い、元金は満期一括返済とするケースも多く見られます。この方法は毎月の返済負担を抑えられる点がメリットですが、満期時に一括返済できるよう、計画的な資金管理が必要です。

そのため、事業の資金繰りに合わせた返済プランを選択することが大切です。季節変動の大きい事業であれば、繁忙期に返済額を増やし、閑散期に減らす変動返済型を選べるノンバンクが適している場合もあります。一方、安定した収益がある事業であれば、長期的な視点で総返済額を抑えられる銀行融資が有利でしょう。

審査の基準やスピード

審査の厳格さと融資スピードは、銀行とノンバンクで大きく異なります。銀行は財務内容、事業計画、返済能力、担保価値など多角的な審査を行うため、融資実行までに1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。一方、ノンバンクは主に担保不動産の価値を重視した審査を行い、最短数日〜2週間程度で融資実行が可能です。

銀行審査では、直近3期分の決算書が黒字であることや、安定した事業実績が求められることが多いものです。これに対しノンバンクでは、赤字決算や創業間もない企業、信用情報に多少の問題がある場合でも、担保価値が十分であれば融資可能なケースが多くあります。

状況に応じた適切な金融機関選びが重要です。急いで資金が必要な場合や、財務状況に課題がある場合は、ノンバンクが適しています。一方、時間的余裕があり低金利での調達を優先するなら、銀行融資を検討すべきでしょう。両者のメリット・デメリットを理解し、自社の状況に最適な選択をすることが成功の鍵となります。

銀行の不動産担保融資が適する場合

銀行の不動産担保融資は、特定の条件や状況において最適な選択肢となります。ここでは、どのような場合に銀行融資を検討すべきかを解説します。

長期的な資金調達計画がある場合

長期的な視点での資金調達を計画している場合、銀行の不動産担保融資は、最適な選択肢となります。銀行融資は、最長20〜30年という長期間の設定が可能であり、毎月の返済負担を抑えながら、大型の投資や事業拡大を実現できるメリットがあります。

特に設備投資や事業拡大など、投資回収に時間がかかるプロジェクトに資金を充てる場合は、その回収期間に合わせた長期融資が適しています。銀行融資の低金利と長期返済の組み合わせにより、キャッシュフローへの負担を最小限に抑えながら事業を成長させることが可能です。

投資回収期間に合わせて返済計画を立てることで、経営を無理なく行うことができます。例えば、新店舗の出店や生産設備の導入など、将来の収益増加が見込める投資には、銀行の長期融資が向いています。また、安定した事業基盤を持つ企業にとっては、低金利の長期融資は財務安定性を高める効果もあるでしょう。

金利の低さを優先する場合

総返済額を抑えて効率的な資金調達を行いたい場合、銀行の低金利融資は大きなメリットとなります。銀行の不動産担保融資の金利は年1〜3%程度と、ノンバンク(年5〜15%程度)と比較して大幅に低く設定されています。

この金利差は、特に融資額が大きく、返済期間が長期にわたる場合に大きな影響を及ぼします。例えば、5,000万円を10年間借り入れる場合、銀行(年2%)とノンバンク(年8%)では、総返済額に約1,600万円もの差が生じる計算になります。これは、事業収益に直接影響する重要な要素です。

低金利融資を活用することで財務体質の強化につながり、より多くの利益を事業に再投資できるようになります。特に利益率が低い業種や、価格競争の激しい市場で事業を展開している場合、この金利差による影響は無視できません。時間的余裕があり、審査基準を満たせる見込みがあるなら、銀行融資を第一選択肢として検討することをおすすめします。

財務状況が良く時間的余裕がある場合

財務状況が良好で、融資実行までに時間的余裕がある場合は、銀行の不動産担保融資を選択すべきです。銀行は審査が厳格である分、条件が整えば低金利で安定した融資を受けることができます。

銀行審査では、直近3期分の決算書、特に、黒字経営や安定した売上成長などが重視されます。また、自己資本比率や借入金返済比率などの財務指標も、審査のポイントとなります。これらの条件を満たしている企業は、銀行融資を積極的に検討するべきでしょう。

また、審査準備を入念に行うことで、融資の承認される確率を上げることができます。具体的には、事業計画書の精緻化、担保不動産の価値を示す資料の準備、返済シミュレーションの作成などが重要です。融資担当者とのコミュニケーションを密にし、必要に応じて専門家(税理士や中小企業診断士など)のサポートを受けることも、審査をスムーズに進めるポイントとなります。

ノンバンクの不動産担保融資を選ぶべき場合

急ぎの資金調達が必要、銀行融資の審査条件を満たせない、短期の資金需要に対応したい場合に、ノンバンク融資を検討すると良いでしょう。

急ぎの資金調達が必要な場合

急いで資金を調達する必要がある場合、ノンバンクの不動産担保融資は最適な選択肢です。ノンバンクでは、最短数日〜2週間程度で融資実行が可能であり、銀行融資の1〜2ヶ月と比較して、圧倒的に早く資金を手にすることができます。

緊急の資金需要が発生するケースとしては、突発的な設備故障や修繕、予想外の大型受注に対応するための材料費・人件費、好条件での仕入れ機会、競合物件の取得チャンス、税金や社会保険料の支払いなどが考えられます。このような時間的猶予がない状況では、融資スピードが最優先となります。

事業機会を逃さないために迅速な融資を活用することが、経営判断として重要な場面もあります。ノンバンクでは、必要書類も最小限で済むことが多く、担保となる不動産の価値さえ十分であれば、すぐに融資を受けられる可能性が高いです。事業の成長機会を確実に掴むためにも、緊急時の資金調達手段として、ノンバンク融資を検討する価値があります。

銀行融資の審査条件を満たせない場合

銀行融資の審査基準を満たせない場合、ノンバンクの不動産担保融資は、有効な代替手段となります。ノンバンクは、銀行よりも柔軟な審査基準を採用しており、銀行では融資が困難なケースでも対応可能なことが多くあります。

銀行審査で問題となりやすい状況としては、決算書の赤字が続いている場合、債務超過の状態にある場合、創業間もない企業で実績が少ない場合、過去に返済遅延などの信用情報に問題がある場合などが挙げられます。これらの理由で銀行融資を断られた企業でも、価値のある不動産を担保として提供できれば、ノンバンクで融資を受けられる可能性は十分にあります。

財務状況より担保価値を重視した審査を受けることで、銀行では難しい資金調達が実現する可能性があります。ノンバンクは、主に担保不動産の評価に重きを置くため、事業の一時的な業績不振や過去の信用情報の問題などがあっても、担保価値が十分であれば融資可能なケースが多いものです。再建途上の企業や業績改善中の事業者にとって、ノンバンクは重要な資金調達先となるでしょう。

短期の資金需要に対応する場合

短期間だけの資金需要がある場合、ノンバンクの不動産担保融資が有効です。ノンバンクでは、6ヶ月〜3年程度の短期融資に対応しており、一時的な資金ニーズに合わせた柔軟な設計が可能です。

短期資金需要の具体例としては、季節的な仕入れ資金、一時的な運転資金のつなぎ、他の融資実行までのつなぎ資金、期限付きの事業機会に対応するための資金などが挙げられます。こうした短期間に限定された資金需要に対して、長期の銀行融資を組むことは必ずしも最適ではありません。

短期資金需要に対応する際は、柔軟な返済条件を選択することが大切です。ノンバンクでは、利息のみの返済で元金は満期一括返済とするプランや、返済額を変動させるプランなど、多様な返済方法を提供していることが多いものです。短期間の利用であれば、金利が高めであっても総返済額の差は比較的小さくなるため、スピードや柔軟性を重視した選択が可能です。また、早期返済時の手数料が低めに設定されているケースも多く、資金状況が改善した時点で一括返済することも検討できます。

不動産担保融資を利用する流れ

不動産担保融資を実際に利用する際の一般的な流れを把握しておくことで、スムーズな資金調達が可能になります。ここでは、申込から融資実行までのステップを解説します。

事前に行う準備

不動産担保融資の申込前には、十分な準備が成功の鍵となります。まず、融資の目的や必要金額、返済計画を明確にしましょう。これらを整理することで、金融機関との交渉がスムーズになります。

次に、準備すべき書類の確認です。一般的に必要となる書類に、次のような書類が必要となります。

  • 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
  • 事業に関する書類(決算書3期分、確定申告書、事業計画書など)
  • 担保不動産に関する書類(登記簿謄本、固定資産税評価証明書、不動産の写真など)
  • 収入を証明する書類(給与明細、源泉徴収票など個人の場合)
  • その他金融機関が指定する書類

事前に必要書類をリスト化して準備しておくと、申し込みから融資実行までの時間を短縮できます。特に、担保不動産の評価に関わる書類は、取得に時間がかかる場合があることから、早めに用意しておくことをおすすめします。銀行とノンバンクでは、要求される書類の範囲が異なる場合が多いため、事前に確認しておくことが重要です。

担保評価から融資条件の決定まで

申込み後、金融機関は担保となる不動産の評価を行います。この評価は、融資可能額を決定する重要なプロセスです。評価方法には、不動産鑑定士による鑑定評価、実地調査、公的評価(固定資産税評価額など)を基にした評価などがあります。

担保評価額が決まると、それに掛け目(一般的に50〜80%程度)を掛けた金額が融資可能上限額となります。この掛け目は、金融機関のリスク評価や不動産の種類・立地によって異なります。商業地や住宅地など流動性の高い不動産は、掛け目が高くなる傾向があります。

担保評価を高めるための対策を行うことで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。例えば、不動産の現況写真を綺麗に撮影しておく、修繕・改修履歴を整理しておく、周辺の取引事例や相場情報を収集しておくなどが考えられます。担保評価と並行して、借り手の返済能力や事業の将来性も審査されます。これらの審査結果を総合的に判断して、最終的な融資条件(融資額、金利、返済期間など)が決定されます。

契約締結と融資実行

審査が通過すると、契約締結と融資実行の段階に進みます。この段階では、契約内容を十分に理解し、問題がないことを確認することが重要です。契約書には、融資金額、金利、返済期間、返済方法、担保設定の内容、遅延時のペナルティなど、重要な条件が記載されています。

契約に当たっては、不明点や疑問点を放置せず、金融機関に質問して解消することが大切です。特に、返済条件や期限前返済(繰り上げ返済)の手数料、延滞時の扱いなどは、後々トラブルになりやすいポイントなので確認が必要です。

契約書の細部まで確認し、不利な条件を見逃さないようにしましょう。必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家にチェックを依頼することも検討すべきです。また、契約時には印紙税などの諸費用が発生します。これらの費用も事前に確認しておくことで、予想外の出費を避けられます。

融資実行時には、資金の入金を確認し、入金額が契約通りであるかチェックしましょう。また、抵当権設定の登記手続きが適切に行われていることも確認が必要です。これらの確認を怠ると、後にトラブルの原因となる可能性があります。

まとめ

不動産担保融資において、銀行とノンバンクは、それぞれ異なる特徴を持っています。銀行融資は、低金利で長期的な資金調達に適している一方、ノンバンク融資は、審査の柔軟性とスピードが魅力です。どちらを選ぶかは、資金調達の緊急性、財務状況、返済計画など、自社の状況に合わせて判断することが重要です。

いずれの選択肢においても、返済計画を慎重に立て、担保不動産を失うリスクに備えることが大切です。また、信頼できる金融機関を選び、契約内容を十分に理解した上で融資を受けることで、安全かつ効果的な資金調達が実現できます。まずは、複数の金融機関に相談し、自社に最適な融資条件を探すことから始めましょう。

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監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。



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