2025.06.18
融資を受けて不動産投資をするのは一般的?審査基準や申し込み手順について解説
不動産投資を始めるにあたり、多くの場合、資金調達が課題となります。自己資金だけで物件を購入することは難しく、融資を利用するケースが一般的です。しかし、融資を受ける際の審査基準や具体的な申し込み方法、必要となる書類について、明確に理解できていない場合も少なくありません。
この記事では、不動産投資を目的とした融資の内容について詳しく説明します。また、具体的な審査基準や申し込み手順についても解説しています。
融資を受けて不動産投資をするのは一般的
不動産投資において融資を活用することは、決して特別なことではありません。むしろ、多くの投資家が融資を利用して投資規模を拡大しています。
実際、プロの不動産投資家の多くは、自己資金だけでなく、銀行などの金融機関からの融資を併用しています。これは、自己資金の何倍もの物件を購入できるレバレッジ効果を得られるためです。
例えば、1,000万円の自己資金があっても、それだけでは都心の収益物件を購入するのは難しいでしょう。しかし、融資を活用すれば、3,000万円や5,000万円の物件購入も視野に入ります。融資の活用は不動産投資の重要な戦略の一つといえるでしょう。
金融機関側も不動産投資向けの融資商品を多数用意しており、収益物件の購入を前提とした融資審査体制を整えています。不動産投資目的で融資を受けること自体は特別なことではなく、むしろ投資の基本的な手段として確立されています。
不動産投資のための融資の審査基準
不動産投資のための融資を申し込む際、金融機関がどのような基準で審査を行うのかについて解説します。
自己資金の比率
不動産投資融資において、自己資金比率は重要な審査項目の一つです。一般的に金融機関は、物件価格の20〜30%程度の自己資金を求めることが多くあります。例えば、3,000万円の物件を購入する場合、600〜900万円の自己資金が必要となります。
自己資金比率が高いほど審査に有利となりやすいでしょう。自己資金比率が30%を超えると、金利優遇や審査のハードルが下がる傾向があります。逆に、自己資金比率が20%を下回ると、審査が厳しくなったり、金利が上がったりする可能性があります。また、自己資金が多いほど、返済計画にも余裕ができ、金融機関からの信用度も高まります。
必要な自己資金は、物件価格だけでなく、諸費用も考慮する必要があります。仲介手数料、登記費用、不動産取得税、消費税(新築の場合)などを合わせると、物件価格の5〜10%程度の追加費用がかかります。これらの諸費用も含めた総額に対して、十分な自己資金を用意しておくことが重要です。
物件の価値や収益性
金融機関は、物件そのものの価値や収益性を重視します。収益性の指標となるのが、表面利回りと実質利回りです。表面利回りが5%以上、実質利回りが3%以上あると評価されやすい傾向があります。これらの数値は、投資の安定性を示す重要な指標となっています。
立地については、人口動態や交通アクセス、周辺施設の充実度などが評価されます。特に駅からの距離は重要で、徒歩10分以内であれば評価されやすいでしょう。また、都市部や人口増加地域の物件は、融資を受けやすい傾向があります。
需要の安定した物件タイプを選択することも重要です。例えば、ファミリー向けの2LDK以上の物件や、単身者向けの需要が堅調なワンルームマンションなどは、比較的安定した需要が見込めるため、融資審査でも有利になることが多いでしょう。
物件の築年数も重要な評価基準です。一般的に、築20年以内の物件が好まれますが、リノベーションされた物件や、構造がしっかりした物件であれば、築年数が古くても融資対象となる可能性があります。
しかしながら、現在の都内や主要都市の不動産の収益率は、低下傾向にあります。原因として、中国資金を含む投資マネーによる需要が高まっており、不動産物件価格が高騰していることが挙げられます。賃借料などの不動産収益の上昇ペースよりも、不動産価格の上昇率が大きく上回っているため、融資等の資金調達コストとの見比べが重要です。
申込者の信用
申込者自身の属性も、審査の重要項目です。年収については、年間返済額の年収に対する比率(返済負担率)が一つの基準となります。一般的に、返済負担率は30〜35%以下が望ましいとされています。
職業安定性も重視され、会社員の場合は、勤続年数が3年以上あると評価されやすいでしょう。自営業者や法人の場合は、3期分の決算書や確定申告書が重要な判断材料となります。安定した収入履歴の証明が重要です。
信用情報については、過去の借入返済状況がチェックされます。延滞や債務整理の履歴がある場合は、融資を受けることが難しくなります。したがって、日頃からクレジットカードの支払いや、他の借入の返済を滞りなく行うことが大切です。
また、既存の借入状況も審査に影響します。住宅ローンや他の投資用不動産ローンなど、すでに多額の借入がある場合は、新たな融資を受けることが難しくなることがあります。これは総量規制とも関連しており、年収に対する借入総額が、一定の基準を超えないかどうかがチェックされます。
金融機関との取引状況
金融機関との既存の取引関係も審査に影響します。申し込み先の金融機関に普通預金や定期預金などの口座を持っている場合、特に預金残高が多ければ、融資を受けやすくなる傾向があります。
過去の融資取引実績も重要です。これまでに同じ金融機関から融資を受け、きちんと返済している実績があれば、次の融資も受けやすくなります。取引実績の積み重ねが信頼関係の構築につながります。
また、取引金融機関からの紹介や推薦があると、融資を受けやすくなります。例えば、メインバンクの担当者から他の支店や系列金融機関に紹介してもらうことで、審査がスムーズに進むケースもあります。
法人での申し込みの場合は、法人としての取引実績も評価されます。法人口座の取引状況や、ビジネスローンなどの返済実績が良好であれば、不動産投資向けの融資も受けやすくなります。
不動産投資融資の申し込み手順
不動産投資のための融資を申し込む際の、一般的な手順と流れを解説します。各ステップでのポイントを押さえて、スムーズな融資申請を目指しましょう。
物件選定から事前相談まで
融資申し込みの第一歩は、投資対象となる物件の選定です。物件選びの段階から、融資を意識することが重要です。金融機関が融資しやすい物件の条件として、駅近、築浅、需要が安定している地域などが挙げられます。
物件が絞り込めたら、融資の事前相談に進みます。この段階では、複数の金融機関に相談することをおすすめします。早期の事前相談が融資成功の近道となります。事前相談では、物件の概要資料、自分の収入証明、他の借入状況などの基本情報を持参しましょう。
事前相談では、融資可能かどうかの感触を得るだけでなく、具体的な融資条件(金利、融資額、返済期間など)についても確認します。また、審査に必要な書類や準備期間についても確認しておきましょう。
この段階で、金融機関から「融資が難しい」と言われた場合でも、すぐに諦めず、他の金融機関に相談したり、物件を見直したりすることも検討しましょう。地方銀行や信用金庫など、異なるタイプの金融機関に相談することで、道が開けることもあります。
売買契約から申し込みまで
物件の目処が立ち、金融機関からも前向きな回答を得られたら、売買契約の締結に進みます。ここで注意すべきは、契約と融資申し込みのタイミングです。一般的には、事前相談で融資の内諾を得てから売買契約を結ぶのが安全です。
売買契約書には、「融資特約」を付けることが重要です。融資特約とは、万が一融資が下りなかった場合に、契約を解除できる条項です。融資特約の有無が契約のリスクに影響するため、必ず確認しましょう。
売買契約後は、正式な融資申し込みを行います。この時点で、必要書類を揃えて提出します。融資申し込みから審査結果が出るまでは、通常2週間〜1ヶ月程度かかります。この期間を考慮して、売買契約時の決済日(融資実行日)を設定することが重要です。
また、複数の金融機関に同時に申し込むことも可能ですが、各金融機関に他行への申し込み状況を正直に伝えておくことが、トラブル防止につながります。最終的には、条件の良い金融機関を選ぶことになります。
本審査から面談まで
融資の本審査では、提出書類の精査と面談が行われます。書類審査では、収入証明や物件資料、事業計画書などが詳細にチェックされます。不備や矛盾がないよう、事前に確認しておきましょう。
面談は、審査の重要な部分です。面談では、投資の目的や将来の返済計画、物件選定理由などを質問されます。明確な投資計画の説明は審査に影響します。投資の目的や物件選定理由、収支計画、リスク対策などを簡潔に説明できるよう準備しておきましょう。
面談時は、投資に対する熱意と冷静な判断力の両方をアピールすることが大切です。過度に楽観的な見通しではなく、リスクも考慮した現実的な計画を示すことで、信頼性が高まります。
また、質問に対しては正直に答えることが基本です。収入や他の借入について虚偽の申告をすると、それが発覚した場合に融資が取り消されることもあります。不明点があれば「調べて後日回答する」と伝えるなど、誠実な対応を心がけましょう。
契約締結から融資実行まで
融資が承認されると、金融機関から融資承認通知が届きます。この時点で、金利や融資条件の最終確認を行います。条件に納得できれば、融資契約の締結に進みます。
融資契約では、金銭消費貸借契約書への署名・捺印が必要です。この際、保証人が必要なケースもあります。契約書の内容を確認し条件を理解することが重要です。特に金利条件(変動か固定か)、返済方法、繰上返済の条件などは、細かくチェックしましょう。
契約締結後、抵当権設定の手続きが行われます。これは、物件を担保として金融機関に差し出す手続きです。通常は、司法書士が代行してくれますが、費用は借り手負担となります。
最終的に、不動産の決済日に融資が実行されます。融資金は、基本的に売主の口座に直接振り込まれることが多いですが、金融機関によって異なる場合もあります。決済日には、売主、買主、不動産会社、金融機関の担当者などが集まり、物件の引き渡しと代金の支払いが同時に行われます。
融資実行後は、返済計画通りに返済を続けることが重要です。返済実績が良好であれば、次の融資も受けやすくなります。また、定期的に収支状況を確認し、必要に応じて家賃の見直しや経費削減などの対策を取ることも大切です。
融資を受けて不動産投資をする際のポイント
最後に、不動産投資の融資を成功させるためのポイントをいくつか紹介します。特性の違う複数の金融機関に申し込むことや、面談に十分な準備をもって臨むことが非常に大切になります。
複数の金融機関への同時の申し込み
不動産投資融資を検討する際は、一つの金融機関だけに絞らず、複数の金融機関に同時に相談・申し込みをすることが効果的です。これにより、最も条件の良い融資を選ぶことができます。
金融機関ごとの特性を理解して申込先を選択することが重要です。例えば、都市銀行は、金利が低いものの審査が厳しい傾向があり、地方銀行や信用金庫は、地域密着型で物件や申込者との関係性を重視する傾向があります。
複数の金融機関に申し込む際のポイントは、同時進行であることを各金融機関に正直に伝えることです。隠し事をすると、後でトラブルになる可能性があります。また、各金融機関の審査の進捗状況を適宜確認し、管理することも大切です。
ただし、あまりに多くの金融機関に同時申し込みをすると、各金融機関での対応が疎かになりがちです。3〜5社程度に絞って、集中的に対応するのが現実的でしょう。また、複数の申し込みによる信用情報機関への照会が増えることで、一時的に信用スコアが下がる可能性もあることを認識しておきましょう。
面談への徹底的な対策
融資審査において、書類審査と並んで重要なのが面談です。面談では、金融機関の担当者に直接説明する機会があり、審査結果に大きな影響を与えます。
面談前の準備として、投資計画や物件選定理由、将来の返済計画などを簡潔に説明できるようにしておきましょう。また、想定される質問とその回答も事前に準備しておくとよいでしょう。
具体的なリスク対策の説明が、信頼を得る上では重要になります。空室リスクや金利上昇リスク、修繕費の増加リスクなどに対して、どのような対策を考えているかを説明できると、計画性のある投資家だと評価されます。
面談時の姿勢や態度も重要です。清潔感のある服装で時間厳守を心がけ、質問には誠実に答えましょう。分からないことは、「調べて後日回答します」と正直に伝える方が、不確かな回答をするよりも信頼を得られます。
また、融資担当者と良好な関係を築くことも大切です。担当者は審査会議などで申込者の代弁者となる場合もあるため、担当者に好印象を持ってもらうことが審査通過につながることもあります。
返済の管理
融資が実行されて、不動産投資をスタートさせたら、その後の返済管理も重要になります。適切な返済管理は、将来的な追加融資の可能性にも影響します。
まず、返済用の口座に常に十分な資金を確保しておくことが基本です。特に借入初期は、予想外の修繕費や一時的な空室などで、収支が悪化することもあります。そのため、数ヶ月分の返済資金を予備として確保しておくとよいでしょう。
定期的な収支状況の確認と分析も欠かせません。月次や四半期ごとに、家賃収入や経費、返済状況などを確認し、当初の計画との差異を分析しましょう。収支が悪化している場合は、早めに対策を講じることが重要です。
また、金利の情報にも常に注意を払いましょう。変動金利の場合は、金利上昇のリスクがあります。金利上昇の兆候があれば、固定金利への切り替えや繰上返済の検討も必要になります。
追加の物件購入を検討する場合は、現在の借入状況を考慮することが重要です。一般的に、金融機関は年収に対する返済負担率を重視するため、既存の借入が多すぎると新たな融資を受けられない可能性があります。収益が安定してきたら、適宜繰上返済を行い、借入総額を減らしていくことも検討しましょう。
まとめ
不動産投資を成功させるためには、適切な融資を受けることが重要なステップです。本記事では、融資を受けて不動産投資をすることの一般性から始まり、金融機関ごとの特徴、審査基準、申し込み手順まで詳しく解説しました。
融資を受ける際は、自己資金の準備、収益性の高い物件選び、綿密な事業計画の策定が重要です。また、複数の金融機関に相談し、自分の状況に最適な融資条件を探すことも有効です。融資申し込みから実行までの一連の流れを理解し、必要書類を適切に準備することで、スムーズな融資の獲得につながります。まずは、自身の投資目的や財務状況を整理した上で、金融機関への事前相談から始めてみましょう。
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