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2025.06.19

不動産担保ローンは残債がある状態で利用可能?審査基準への影響や注意点についても解説

住宅ローンの返済中に、事業資金が必要になることがあります。そのような場合、資金調達方法として、不動産担保ローンを利用するケースも少なくありません。不動産担保ローンは比較的融資額が大きく、金利が低いことから魅力的な資金調達手段ですが、住宅ローンの返済が残っている状態で利用できるかどうか、不安を感じることもあるでしょう。

住宅ローンの返済が残っていても、不動産担保ローンを利用することは可能です。ただし、住宅ローンの残債の影響を受け、借入可能額や審査の基準が変わる場合があります。

この記事では、住宅ローンの返済が残っている場合に、不動産担保ローンを利用するための条件や注意点について詳しく解説します。また、担保余力の計算方法、審査への影響、具体的な借入可能額の事例などもあわせて紹介します。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンは、所有する不動産を担保として金融機関から融資を受ける方法です。一般的な無担保ローンと比較して、高額な融資が可能で、金利も低めに設定される傾向があります。

不動産担保ローンの特徴

不動産担保ローンの最大の特徴は、不動産という価値の高い資産を担保にすることで、金融機関の貸付金回収リスクを抑えられる点です。そのため、事業者にとっては、数千万円から数億円程度の資金調達が可能な場合もあります。

金利面でも通常のビジネスローンより有利で、借入先にもよりますが、1%台後半から5%程度の範囲で設定されることが一般的です。また、融資期間も長期にわたることが多く、10年以上の返済計画を立てられるのもメリットです。

担保となる不動産の価値が融資枠を決定する要素の一つであり、その評価額に対して、一定の掛け目(通常60〜80%)が適用されます。

なお、不動産担保ローンは返済が長期にわたるため、返済計画を慎重に立てる必要があります。さらに、担保物件の種類や地域によって評価額や融資条件に差が生じるため、事前に複数の金融機関で相談や見積もりを取ることが重要です。また、抵当権の設定など法的手続きも必要になるため、専門家の助言を得ながら進めるとスムーズです。

不動産担保ローンの基準

不動産担保ローンの審査では、担保となる不動産の価値評価が最も重要です。物件の立地、建物の状態、市場価値などを総合的に判断して評価額が決定されます。

次に、申込者の返済能力も審査されます。事業の安定性や収益性、個人の信用情報なども審査対象です。返済能力が不十分と判断されると、担保があっても融資が難しくなる場合があります。

また、不動産の種類によっても審査の厳しさは変わります。住宅や事務所ビルは、比較的審査が通りやすい傾向にありますが、特殊な用途の不動産は評価が難しく、審査が厳格になる場合があります。

加えて、過去の返済履歴や現在の負債状況も重視されます。金融機関は、借り手の信用リスクを総合的に判断し、適切な融資額や金利を設定します。そのため、安定した収入があることや、他の借入れ状況が健全であることも審査通過の重要なポイントとなります。

住宅ローンの残債がある状態での不動産担保ローンの利用

住宅ローンの残債がある状態でも、不動産担保ローンを利用することは基本的に可能です。ただし、いくつかの条件や注意点があります。

不動産担保ローンで重要なのは、、「担保余力」という概念です。担保余力とは、担保となる不動産の評価額から既存の借入残高を差し引いた金額を指します。つまり、まだ活用できる担保価値のことです。

例えば、現在の不動産評価額が5,000万円で住宅ローン残債が2,000万円ある場合、単純計算では3,000万円の担保余力があることになります。ただし、金融機関は、評価額に対して一定の掛け目(通常60〜80%)を適用するため、実際の担保余力はそれよりも少なくなります。

担保余力の計算は融資可能額を左右する重要な要素です。住宅ローン残債が多いほど担保余力は減少し、新たに借り入れできる金額も少なくなります。

不動産担保ローンの借入可能額を計算する方法

住宅ローン残債がある場合の不動産担保ローン借入可能額は、具体的な計算式で求めることができます。金融機関によって若干の違いはありますが、基本的な考え方は共通しています。

借入可能額の計算式

不動産担保ローンの借入可能額は、一般的に次の計算式で求められます。

借入可能額=不動産評価額×掛け目-住宅ローン残債

掛け目(担保掛目)とは、金融機関が担保評価額に対して実際に融資する割合で、通常60〜80%程度です。担保物件の種類や立地条件、築年数などによって変動します。

借入可能額を正確に把握するためには、金融機関の不動産評価額を知ることが重要です。不動産評価額は、市場価格とは必ずしも一致せず、金融機関独自の査定で決まることが多いため、事前に相談することをおすすめします。

具体的な計算例

例えば、現在の不動産評価額が5,000万円、住宅ローン残債が2,000万円、担保掛目が70%のケースを考えてみましょう。

借入可能額=5,000万円×70%-2,000万円=3,500万円-2,000万円=1,500万円

この例では、最大で1,500万円程度の融資を受けられる可能性があります。ただし、審査では、担保価値だけでなく返済能力も重視されるため、実際の融資額はこれより少なくなる場合もあります。

居住用物件と投資用物件では、担保掛目が異なることがあります。一般的に、居住用物件の方が高い掛け目が適用される傾向がありますが、金融機関によって方針は異なります。

不動産担保ローンの審査への住宅ローンの残債の影響

住宅ローンの残債状況は、不動産担保ローンの審査結果にさまざまな形で影響します。単に残債額だけでなく、返済履歴や残債期間なども重要な要素となります。これらの要素が総合的に評価され、融資の可否や条件が決まるため、正確な情報の提供が求められます。

残債が少ないほど好影響

住宅ローンの残債が少ないほど、不動産担保ローンの審査では有利に働く傾向があります。残債が少ないということは、それだけ担保余力が大きいことを意味するためです。

例えば、不動産評価額5,000万円に対して、住宅ローン残債が500万円の場合と3,000万円の場合とでは、前者の方が圧倒的に担保余力があり、融資可能額も大きくなります。

住宅ローン返済が進んでいることは信用力の証明になる点も見逃せません。長期間にわたって滞りなく返済を続けてきた実績は、金融機関からの信頼獲得につながります。

返済履歴も重要

住宅ローンの返済履歴も、審査において重要な判断材料となります。返済遅延や延滞がある場合、たとえ担保余力が十分あっても審査通過が難しくなる可能性があります。

特に、直近1〜2年間の返済状況は、厳しくチェックされます。安定した返済履歴があれば、金融機関からの信頼度は高まり、審査でもプラスに評価されるでしょう。

また、住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済を行った経験があることも、資金管理能力の高さを示す指標となり、審査で好印象を与える場合があります。加えて、借入全体のバランスを考慮し、他の借入との調整も評価の対象となります。

その他にある不動産担保ローンの審査で重視される点

不動産担保ローンの審査では、住宅ローン残債以外にも多くの要素が評価されます。審査基準について理解することで、審査通過の可能性を高めることができます。

担保物件の評価

担保となる不動産の評価は、融資額を決定する最も重要な要素です。金融機関は、主に以下の点から物件を評価します。

立地条件は、最重要視されます。都心部や交通の便が良い場所にある物件は、高く評価される傾向にあります。逆に、過疎地域や交通アクセスが不便な場所は、評価が低くなりがちです。

建物の状態も重要です。築年数が浅く、構造がしっかりしている建物は、評価が高くなります。一方、築年数が古い木造建築などは、評価が低くなる傾向があります。

不動産の市場流動性も評価上の大切な基準となります。売却しやすい一般的な住宅や商業施設は評価されやすく、特殊な用途や形状の不動産は評価が厳しくなります。さらに、地域の経済状況や将来的な発展可能性も考慮されることが多いでしょう。

事業者の返済能力

担保があるとはいえ、金融機関は借り手の返済能力を重視します。まず、事業の安定性と収益性が評価されます。直近数年間の業績推移や今後の見通しが審査対象です。

個人の信用情報も重要な判断材料です。他社借入の状況や過去の返済履歴、クレジットカードの利用状況なども審査の対象となります。

また、総返済負担率(DTI)も重要な指標です。収入に対する借入金返済額の割合が高すぎると、返済能力に懸念があると判断され、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、現在の負債状況や資産状況も細かくチェックされ、総合的な信用力評価が行われます。

住宅ローンの残債がある状態で不動産担保ローンを利用する際のポイント

住宅ローンの残債がある状態で不動産担保ローンの審査を受ける場合、いくつかの対策や準備をしておくことで、審査通過の可能性を高めることができます。

事前準備を十分に行う

審査に必要な書類は、事前にしっかり準備しておきましょう。金融機関から取り寄せる住宅ローン残債証明書は必須です。自身でも、現在の残債額を正確に把握しておくことが重要です。

不動産の登記簿謄本や権利証も必要です。また、住宅ローンの返済状況がわかる通帳やステートメントなども用意しておくと良いでしょう。

事業の安定性を示す決算書や確定申告書の準備も審査では重要です。直近3期分程度の書類を整理しておきましょう。業績が上向きであれば、その点をアピールできる資料も用意すると良いでしょう。

審査通過率を高めるポイント

審査通過率を高めるためには、いくつかの戦略的なアプローチが有効です。まず可能であれば、審査前に住宅ローンの一部繰り上げ返済を検討してみましょう。残債を減らすことで担保余力が増え、審査に好影響を与えます。

直近の返済状況を安定させることも重要です。審査の数か月前から、住宅ローンを含めたすべての借入金の返済を遅滞なく行い、信用情報を良好に保つよう心がけましょう。

事業計画や資金使途を、明確に説明できる準備も必要です。なぜ資金が必要なのか、どのように事業に活かすのか、そして返済計画はどうなっているのかを具体的に示せると、審査担当者の理解を得やすくなります。

不動産担保ローンを受ける際の注意点

不動産担保ローンは大きな資金調達が可能ですが、住宅ローン残債がある状態で利用する場合は、特に注意すべきリスクがあります。

返済不能になったときのリスクが大きい

不動産担保ローンの最大のリスクは、返済不能になった場合に担保不動産を失う可能性があることです。住宅ローン残債がある状態で新たに不動産担保ローンを組むと、同じ不動産に対して複数の債権が設定されることになります。

返済ができなくなった場合、担保不動産は競売にかけられ、その売却代金から債権者に弁済されます。この際、先に設定された住宅ローンが優先的に弁済され、余った金額で不動産担保ローンが返済されます。

返済不能から競売に至る場合では居住権も失う可能性があるため、家族の住まいを担保にする場合は、特に慎重な判断が必要です。売却価格が借入総額に満たない場合、残債が残る可能性もあります。

総返済負担が増加する

住宅ローンに加えて、不動産担保ローンを利用すると、当然ながら毎月の返済負担は増加します。両方の返済額の合計が、収入に対して適切な範囲内に収まるかを、事前に慎重に検討する必要があります。

一般的に、総返済負担率(収入に対する年間返済額の割合)は30〜35%以内が望ましいとされています。これを超えると返済負担が重くなり、事業資金や生活資金が圧迫される恐れがあります。

また、景気変動や事業環境の変化によって、収入が減少するリスクも考慮しておくべきです。特に変動金利を選択した場合は、将来的な金利上昇による返済額増加のリスクも念頭に置く必要があります。

住宅ローンの残債がある場合に考えられる他の資金調達方法

住宅ローン残債がある状態で資金調達を考える場合、不動産担保ローン以外にも検討すべき選択肢があります。状況によっては、より有利な条件で資金を調達できる可能性もあります。加えて、資金調達の目的や返済計画に応じて、最適な方法を選択することが重要です。

住宅ローンの借り換え

住宅ローン残債がある場合、借り換えと同時に融資額を増やす「借り換えプラス」という方法があります。現在よりも有利な金利条件で借り換えつつ、必要資金を上乗せして借り入れるという方法です。

この方法のメリットは、不動産担保ローンより低金利で資金調達できる可能性が高い点です。住宅ローンは、事業資金向けローンと比較して一般的に金利が低いため、総返済額を抑えられます。

住宅ローン借り換えにはタイミングが重要です。金利動向や不動産価値の変化を見極めながら、最も有利な時期を選ぶことが成功のポイントとなります。

不動産を使わない資金調達

不動産に新たな担保設定をしたくない場合は、無担保融資の選択肢も検討する価値があります。無担保ビジネスローンやビジネスクレジットラインは、担保不要で資金調達できるため、住宅ローン残債があっても影響を受けにくいというメリットがあります。

日本政策金融公庫や信用保証協会の制度融資も検討すべき選択肢です。特に、創業間もない事業や特定の政策目的に合致する事業であれば、有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

また、売掛金を活用したファクタリングや、事業用資産を担保にするABLなど、不動産以外の資産を活用した融資以外の資金調達も検討して良いでしょう。これらは、住宅ローン残債の影響を受けることなく、事業資産の価値に応じた資金調達が可能です。さらに、資金調達後はしっかりと返済計画を立て、無理のない返済を心がけることも大切です。

まとめ

住宅ローンの残債がある状態でも、不動産担保ローンの利用は基本的に可能です。重要なのは、担保余力の把握と適切な準備です。担保余力は、「不動産評価額×掛け目-住宅ローン残債」で計算でき、この数値が大きいほど借入可能額も増えます。

審査では、不動産の評価だけでなく返済能力も重視されるため、事業の安定性を示す資料の準備や返済履歴の良好な維持が重要です。また、競売リスクや総返済負担の増加など、不動産担保ローン特有のリスクも十分に理解した上で判断することが大切です。資金調達の必要性と緊急性を考慮し、住宅ローン借り換えや無担保融資など、代替手段も含めて最適な方法を選択しましょう。

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監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。


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