2025.07.03
売却前提で住宅ローンを組むのは問題ない?返済計画の立て方の注意点も伝授
住宅を購入した後に、転勤や家族構成の変化などの理由で、数年のうちに売却を検討することがあります。その際、住宅ローンの返済がまだ終わっていない状態でも売却できるのか、また、売却を前提として住宅ローンを組むことが可能なのかといった疑問が生じる場合があります。
住宅ローンを利用している住宅には、抵当権が設定されているため、返済中に売却する場合には、金融機関との調整や通常とは異なる手続きが必要になります。また、売却時には市場価格の下落によるリスクや、新たな住まいの購入資金をどのように調達するかといった課題も出てきます。
この記事では、住宅ローンの返済途中で物件を売却する際の具体的な手続きや、売却を前提とした住宅ローンを利用する場合の返済計画の立て方を詳しく解説します。さらに、売却の際に注意すべきリスクと、その回避方法についてもわかりやすく紹介します。
売却前提で住宅ローンを組むことは可能
結論からいえば、売却前提で住宅ローンを組むことは可能です。法律上の制限はなく、住宅ローン契約時に「何年後に売却する予定」と申告する必要もありません。
住宅ローン契約とその後の売却
住宅ローンを組む際、金融機関は基本的に長期間の返済を前提としています。しかし契約上は、借り手が途中で物件を売却して一括返済することを禁止していません。実際、転勤や家族構成の変化などライフステージの変化により、当初の予定より早く住み替えを検討する人は多いのです。
ただし、住宅ローンを組んだ直後に売却するなど、明らかに投機目的と判断される場合は、金融機関から融資を受けられない可能性があります。特に、住宅ローン控除(住宅ローン減税)を利用している場合は、居住用として実際に住むことが前提となっている点に注意が必要です。
最低でも1年以上は居住することを計画しておくと、金融機関や税務署からの疑念を避けることができます。多くの方が、3〜5年程度住んだ後に売却するケースが一般的です。
売却前提でローンを組むメリット
売却を前提に住宅を購入することには、いくつかのメリットがあります。まず、賃貸と比較して月々の支払額が同程度であれば、将来的に資産として売却できる住宅の方が経済的に有利な場合があります。
また、住宅ローン控除を活用することで、一定期間は税負担が軽減されます。さらに、住宅価格が上昇傾向にある地域では、数年後に購入価格よりも高く売却できる可能性もあるでしょう。
転勤が多い職業の方などは、賃貸よりも自己所有の住宅を「一時的に保有する」という選択肢を持つことで、住環境の質を高めながら資産形成できる可能性があります。
売却前提でローンを組むリスク
一方で、売却前提でローンを組むには、無視できないリスクも存在します。最大のリスクは、不動産価格の下落です。購入時よりも市場価格が下がると、売却時に損失が発生する可能性があります。
特に新築マンションは、引き渡し直後から市場価値が下がることが多いため、短期間で売却すると「オーバーローン」状態(ローン残高が売却価格を上回る状態)になりやすいのです。
また、売却のタイミングで市場が冷え込んでいると、想定よりも売却期間が長引き、その間の二重ローンや賃貸費用が発生するリスクもあります。さらに、住宅ローン控除の返還リスクや、繰上返済手数料などの追加コストも考慮すべき点です。
住宅ローン返済中の物件売却の方法
住宅ローンが残っている状態での物件売却には、いくつかの方法があります。それぞれの特徴と手続きを理解しておきましょう。
売却代金による一括返済
最もシンプルな方法は、物件を売却して得た代金で、ローンを一括返済する方法です。この方法では、売却代金がローン残高を上回っていることが前提となります。
手続きの流れとしては、まず不動産会社を通じて物件を売りに出し、買主が見つかったら売買契約を締結します。売買契約締結後、ローンを組んでいる金融機関に売却の意向を伝え、抵当権抹消の手続きを行います。
売買代金の決済時に、金融機関の担当者も立ち会い、売却代金から直接ローン残高が返済される流れが一般的です。残債を上回る売却益があれば手元に残るため、新居購入の頭金などに活用できます。
ただし、手続きには1〜2ヶ月かかるケースが多いため、早めに金融機関への相談を始めることが重要です。
住み替えローンの活用
新しい住宅をすでに購入する予定がある場合は、住み替えローン(買い替えローン)という選択肢があります。これは、現在の住宅ローンと新居の住宅ローンを一本化できる商品です。
住み替えローンでは、現在の住宅を売却するまでの間、一時的に両方の物件のローンをまとめて返済できるため、二重ローン問題を軽減できます。また、現在の住宅が売れるまでの「つなぎ融資」の役割も果たします。
ただし、住み替えローンを利用するには、現在の物件が売却できる見込みがあることや、返済能力の審査などの条件があります。利用を検討する場合は、早い段階で金融機関に相談し、自分の状況に適用可能か確認しましょう。
任意売却
もし売却価格がローン残高を下回るオーバーローン状態の場合、任意売却という方法があります。任意売却とは、債権者(金融機関)の同意を得て、市場価格で物件を売却する方法です。
通常、オーバーローン状態では、抵当権が残っているため物件を売却できませんが、任意売却では金融機関の承諾を得て売却し、残債については、分割返済などの形で継続して支払うことになります。
任意売却のメリットは、競売よりも高値で売却できる可能性が高く、信用情報への影響も最小限に抑えられる点です。ただし、実行するには金融機関の承諾が必要で、残債の返済計画も立てなければなりません。
専門の相談窓口や不動産会社に相談することで、自分の状況に最適な解決策を見つけられるでしょう。
売却と抵当権手続き
住宅ローン返済中の物件を売却する際には、抵当権についての理解が不可欠です。抵当権とその解除方法について詳しく見ていきましょう。
抵当権とは
抵当権とは、住宅ローンなどの債務を担保するために、不動産に設定される権利です。抵当権が設定されている物件では、ローンの返済が滞った場合、金融機関が競売にかけてローンの回収を図ることができます。
住宅ローンを組む際には、購入する不動産に必ず抵当権が設定されます。この抵当権は、借り手がローンを完済するまで不動産登記簿に記載され続けます。
重要なポイントは、抵当権が設定されている物件は、原則として抵当権者(金融機関)の承諾なしに売却できないという点です。つまり、住宅ローン返済中の物件を売却するには、必ず抵当権の抹消手続きが必要になります。
抵当権抹消の手続き
抵当権を抹消するには、基本的にローンを完済する必要があります。売却の場合は、売却代金をローン返済に充てることで抵当権を抹消できます。具体的な手続きの流れは、以下の通りです。
まず、物件の買主が見つかり売買契約が締結されたら、金融機関に売却の意向を伝えます。次に、金融機関から抵当権抹消に必要な手続きと、精算金額(ローン残高に繰上返済手数料などを加えた金額)の案内を受けます。
売買契約の決済日には、買主からの売却代金を金融機関への返済に充てることで、金融機関は抵当権抹消のための書類(抵当権抹消登記に必要な書類)を発行します。この書類を用いて、司法書士が抵当権抹消登記を行います。
一連の手続きは、通常、不動産会社や司法書士が代行してくれますが、事前に金融機関へ連絡して必要書類や手続き期間を確認しておくことが重要です。金融機関によっては、抵当権抹消のための書類発行に1〜2週間かかる場合もあります。
売却代金がローン残高を下回る場合の対応
物件の売却価格がローン残高を下回るオーバーローン状態の場合、単純に売却することができません。こうした状況では、主に以下の対応方法があります。
1つ目は、差額を自己資金で補填する方法です。例えば、ローン残高が2,000万円で売却価格が1,800万円の場合、差額の200万円を自己資金で用意して返済します。この場合、通常の売却と同様の手続きで進められます。
2つ目は、先に説明した任意売却の方法です。金融機関の同意を得て物件を売却し、残債については分割返済などの形で支払いを継続します。この方法では、残債に対して無担保ローンを組むことになるため、金利が上がる可能性があります。
3つ目は、金融機関と交渉して債務の一部減免を検討する方法です。ただし、これは返済が困難な状況に陥った場合の最終手段と考えるべきでしょう。
早い段階から金融機関に相談して協力を求めることで、最適な解決策を見つけることができます。特に、任意売却を検討する場合は、専門の相談員や弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
売却前提で組む住宅ローンの返済計画を立てる際の注意点
売却を前提に住宅ローンを組む場合、適切な返済計画の立案が成功の鍵となります。具体的な計画の立て方を見ていきましょう。
返済期間と売却時期の設定
返済計画を立てる際、まず明確にすべきは「いつ頃売却するか」という時期の設定です。転勤や子どもの成長などのライフイベントを考慮して、ある程度具体的な期間を想定しておくことが重要です。
一般的には、少なくとも3〜5年程度は居住することを想定するのが現実的です。この期間設定により、返済方法や借入額の調整が可能になります。例えば、5年後に売却予定であれば、当初5年間の返済負担を抑える「当初期間引下げ型」の住宅ローンを検討するなどの選択肢が生まれます。
また、住宅ローン控除は最大13年間適用される制度ですが、売却により居住しなくなると適用が終了します。税制優遇を最大限活用する期間も考慮して売却時期を設定すると、経済的なメリットが大きくなります。
繰上返済と元本減少のバランス
売却前提の住宅ローンでは、繰上返済を活用して元本を効率的に減らすことが重要です。通常のローン返済では、初期は利息の割合が多く元本があまり減りませんが、繰上返済を行うことで直接元本を減らすことができます。
ボーナスや余剰資金があれば、積極的に繰上返済に回すことで、売却時点でのローン残高を減らせます。特に、購入から3〜5年の間に積極的に繰上返済を行うことで、オーバーローンのリスクを大幅に軽減できるでしょう。
ただし、すべての資金を繰上返済に回すのではなく、売却時や住み替え時に必要となる資金の確保とのバランスも考慮する必要があります。例えば、売却費用や次の住居の頭金、引越し費用なども見据えた資金計画が大切です。
市場価値の変動を考慮した売却価格の予測
住宅の市場価値は、時間の経過とともに変動します。特に新築物件は、引き渡し直後から市場価値が下がることが多いため、売却時の価格予測は慎重に行う必要があります。
一般的に、新築マンションは、引き渡し後5年程度で価格が20〜30%下落するといわれています。一方、人気エリアの物件や希少性の高い物件は、価格が維持されやすい傾向があります。
返済計画を立てる際は、こうした市場価値の変動を保守的に見積もることが重要です。購入時の8割程度の価格で売却できると想定して計画を立てると、安全側に立った準備ができるでしょう。
また、定期的に周辺の類似物件の売買価格をチェックしたり、不動産会社に査定を依頼したりすることで、より正確な価格予測が可能になります。市場環境の変化に合わせて柔軟に計画を修正する姿勢も大切です。
住み替えローンと一般住宅ローンの違い
住宅の買い替えを検討する際、住み替えローンと一般住宅ローンのどちらを選ぶべきか迷うケースがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
仕組みの違い
住み替えローン(買い替えローン)は、現在の住宅を売却する予定がある人向けの特別なローン商品です。最大の特徴は、現在の住宅ローンと新居の住宅ローンを一本化できる点にあります。
具体的な仕組みとしては、現在の住宅が売却されるまでの間、両方の物件のローンを合わせて借り入れることができます。これにより、新居を先に購入して引っ越しを済ませ、その後じっくりと現在の住宅を売却することが可能になります。
住み替えローンのメリットは、一時的な二重ローン状態を避けられることと、現在の住宅を焦って売却する必要がないため、適正価格での売却を目指せる点です。また、引っ越しと売却のタイミングを柔軟に調整できるため、住み替えをスムーズに進められます。
ただし、一定期間内(通常は2〜3年以内)に現在の住宅を売却することが条件となっており、両方の物件に対する返済能力が審査されるため、審査基準が厳しくなる場合があります。
審査基準の違い
住み替えローンの審査では、一般の住宅ローンよりも厳しい基準が適用されることがあります。主な審査ポイントには、以下のようなものがあります。
まず、収入面では、両方の物件のローンを合わせた返済負担率が重視されます。一般的な住宅ローンでは、返済負担率35%以内が目安ですが、住み替えローンでは、一時的に40%を超えるケースもあります。そのため、安定した収入と十分な返済能力の証明が求められます。
次に、現在の住宅の売却可能性も重要な審査ポイントです。立地や築年数、物件の状態などから売却のしやすさが判断されます。人気エリアの比較的新しい物件であれば、審査で有利になる傾向があります。
また、現在のローンの返済状況も確認されます。これまでの返済に延滞がないことや、現在の住宅の資産価値とローン残高のバランスなども審査対象となります。
住み替えローンの審査に通過するためには、事前に不動産会社に現在の住宅の査定を依頼し、売却価格の目安を把握しておくことが重要です。また、収入証明書や返済履歴など、信用力を示す書類をしっかり準備しておくとよいでしょう。
売却と住み替えの進め方
住宅ローン返済中の物件売却と住み替えを成功させるために、具体的な進め方を紹介します。
不動産会社選びと売却活動
住宅を売却する際、不動産会社選びが成功の鍵を握ります。まずは、複数の不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握しましょう。インターネットの一括査定サービスを利用すれば、簡単に複数の査定結果を比較できます。
不動産会社を選ぶ際のポイントは、地域での取引実績や類似物件の売却経験が豊富かどうかです。また、担当者の対応の丁寧さや提案力、売却戦略の具体性なども重要な判断材料となります。
売却を前提とした最初の査定は、住み替えの6ヶ月〜1年前に行うのが理想的です。これにより、市場動向を把握し、売却までの計画を立てる時間的余裕が生まれます。
売却活動を始める際は、物件の写真撮影やネット広告、チラシなどの準備が必要です。物件をきれいに整理整頓し、修繕すべき箇所があれば対応しておくことで、内覧時の印象が良くなります。また、不動産会社と相談して、季節や市場動向に合わせた価格設定や販売戦略を立てることも大切です。
売却と購入のタイミング調整
住み替えにおいて難しいのが、現在の住宅の売却と新居の購入タイミングの調整です。理想的なのは、現在の住宅が売れてから新居を購入することですが、現実にはそう上手くいかないケースも多くあります。
一つの戦略として、「売却が先、購入が後」の順序を基本としつつ、住み替え先として仮の賃貸住宅を確保するという方法があります。この方法なら、現在の住宅が売れるまでじっくり待てるため、適正価格での売却が期待できます。また、新居探しも焦らず進められるというメリットがあります。
一方、「購入が先、売却が後」の場合は、住み替えローンやつなぎ融資の活用を検討します。この方法では、引っ越しを一度で済ませられるメリットがありますが、金融面での準備が重要です。事前に金融機関と相談し、承認を得ておくことで、資金調達がスムーズに進みます。
どちらの方法を選ぶにしても、ある程度の余裕資金を確保しておくことが重要です。予想外の修繕費や引っ越し費用、一時的な二重生活のコストなどに備えて、給与収入の3〜6ヶ月分程度の現金を用意しておくと安心です。
早期売却のための価格設定
住宅ローン返済中の物件を早期に売却するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、価格設定が最も重要な要素です。市場価格よりもやや低めの価格設定をすることで、多くの見学者を集め、競争原理が働いて早期成約につながることがあります。
また、物件の魅力を最大限に引き出す工夫も重要です。内装のクリーニングや簡単なリフォーム、家具の配置変更などで印象が大きく変わります。特に、水回りや玄関は清潔感が重要なので、徹底的に清掃しておきましょう。
さらに、季節に合わせた売り出しタイミングを選ぶことも効果的です。一般的に、春から初夏にかけては引っ越しシーズンで需要が高まります。また、年末年始や夏休みなどの長期休暇前に売り出すと、休暇中に内覧する人が増える傾向があります。
早期売却を実現するためには、柔軟な交渉姿勢も大切です。購入希望者からの条件交渉に対して、価格だけでなく引き渡し時期や不要家具の処分など、さまざまな面で歩み寄る余地を持っておくと、成約につながりやすくなります。
最後に、複数の不動産会社に同時に依頼する「一般媒介」より、一社に専任で依頼する「専任媒介」の方が、不動産会社の販売努力を引き出しやすいというメリットもあります。売却状況や市場環境に合わせて、適切な販売方法を選択しましょう。
まとめ
売却前提で住宅ローンを組むことは問題ありませんが、適切な計画と準備が重要です。住宅ローン返済中の物件売却には、一括返済、住み替えローン、任意売却などの方法があり、自分の状況に合った選択肢を理解しておくことが大切です。
売却時の市場価格下落リスクや資金計画、抵当権抹消の手続きなどについても事前に把握し、対策を講じておくことで、スムーズな住み替えが実現できます。早めに専門家に相談し、柔軟な対応ができるよう準備を進めましょう。住宅の売却と購入は人生の大きな決断ですが、適切な知識と計画があれば、次のステージへの移行をスムーズに進められます。
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