2025.01.28
保証協会付き融資が断られたらどうすればよい?対応策を解説!
保証協会付き融資の審査に通らなかった場合、次に何をすべきか悩む企業も多いでしょう。再申請を目指すのであれば、それに向けて、具体的な問題点を洗い出し、着実に改善していくことが重要です。この記事では、保証協会付き融資が断られた際の対応策について解説します。
保証協会付き融資が断られる主な理由
保証協会付き融資を申請する際、審査をクリアできずに断られてしまうケースは少なくありません。ここでは、保証協会付き融資が断られる主な理由について詳しく見ていきましょう。
事業計画書の説得力不足
審査において最も重視されるのが、事業計画書の内容です。定量的な指標(売上予測、費用、返済計画)が不十分で、計画の実現可能性が低いと判断されると、融資が断られる可能性が高くなります。
例えば、売上計画が前年比200%など根拠に乏しかったり、費用計画に誤りがあったりすると、事業の採算性や返済能力に疑問が生じます。事業計画書においては、市場を分析したうえで競合優位性を明確にし、収支予測の妥当性を示すことが求められます。
資金使途の妥当性の欠如
融資の目的となる資金使途が、事業に関連性のない用途だったり、回収見込みが証明しにくい投資だったりすると、審査で問題視されます。
テレビCMや新規事業への投資など、回収見込みが不明瞭なものや、高級車の購入や株式投資など事業との関連性が薄いものは、資金使途として適切ではありません。融資資金は、事業の成長や安定に直結する使途に限定することが重要です。
自己資金の不足
保証協会付き融資では、一定の自己資金が求められます。創業融資の場合、最低でも融資額の1/10以上、推奨は1/3以上の自己資金が必要とされています。
自己資金が不足していると、事業に対する経営者の本気度や責任感が疑われ、融資が断られる可能性が高くなります。自己資金を増やすために、資産の売却や外部投資の誘致など、具体的な戦略を検討することが重要です。
企業の財務内容の問題
審査では、企業の財務状況が重視されます。売上の低迷や継続的な赤字、債務超過などの問題があると、融資が断られるリスクが高まります。
具体的には、赤字決算や債務超過、年間利益が借入希望額の1/5未満であるなどの状況が該当します。財務安全性、収益性、返済能力を高めるための決算書作成を意識し、収支改善や特別損失の活用などの対策を講じることが求められます。
オーバーローン状態
オーバーローンとは、既存の借入金が企業の資産や収益能力を超えている状態を指します。既存借入額が年間利益の7倍以上ある場合、オーバーローンと判断されます。
オーバーローン状態では、新たな融資を受けることが難しくなります。借入金の圧縮と収益力の強化により、オーバーローンを解消することが重要です。
既存融資の返済遅延や条件変更
既存の保証協会付き融資において、返済の遅延や条件変更があると、企業の信用力が低下します。
約定返済ができない月があったり、返済猶予や返済期間の延長を受けたりしている場合、新たな融資の審査で不利になります。既存融資の返済を順調に行い、信用を維持することが重要です。
資金使途違反
既存の保証協会付き融資で、融資資金を事業目的外に使用していると、資金使途違反とみなされます。
例えば、設備資金の融資を運転資金に流用したり、高級車の購入や仮想通貨の購入、株式投資などに充てたりすると、問題視されます。融資契約で定められた資金使途を厳守し、適切に資金を管理しましょう。
決算書の不正疑惑
決算書の内容に不正な会計処理の疑いがある場合、融資審査で大きなマイナスになります。
売上の架空計上や在庫の過大計上など、実態を偽る会計処理は厳に慎むべきです。適正な会計処理に基づく、透明性の高い決算書の作成が重要です。
経営陣の信用力低下
社長や役員、株主の信用情報に問題があると、企業全体の信用力が低下します。
例えば、社長に多額の債務や債務整理歴があったり、役員や株主が反社会的勢力に属していたりすると、融資審査で不利になります。経営陣の信用をチェックし、問題があれば速やかに改善することが求められます。
保証協会付き融資の審査基準
保証協会付き融資は中小企業や創業期の企業にとって重要な資金調達手段となっていますが、ここでは、保証協会付き融資の審査基準について詳しく見ていきましょう。
保証協会の審査基準
保証協会は地域ごとに設置されており、同一地域内の金融機関からの申し込みに対して統一された審査基準を適用しています。つまり、どの金融機関から申し込んでも、審査基準に大きな違いはありません。
この統一された審査基準は、保証協会が中小企業の実情を考慮しつつ、公平かつ適切に審査を行うために設けられています。審査では、事業の将来性や経営者の資質、財務状況などが総合的に評価されます。
金融機関による審査結果の一貫性
保証協会付き融資の審査結果は、申し込んだ金融機関によって変わることはありません。これは、各地域の保証協会が一貫した基準で審査を行うためです。
したがって、保証協会付き融資を申し込む際は、地域内の金融機関を比較する必要はなく、審査に通るための基準を明確に理解することが重要といえます。
創業期融資における保証協会付き融資の重要性
創業期の企業にとって、保証協会付き融資は非常に重要な資金調達手段です。その理由は、創業期の企業は財務基盤が不安定であり、金融機関が直接リスクを負うプロパー融資よりも、保証協会を通じた融資の方がリスク分散となるためです。
実際、創業期の融資の大半は保証協会付き融資で占められています。創業期の企業が資金調達を検討する際は、保証協会付き融資を最優先に考えるべきでしょう。
プロパー融資との違い
プロパー融資は、保証協会の介入がなく、金融機関が直接融資を行う方式です。金融機関側のリスクが高くなるため、審査基準は保証協会付き融資よりも厳しくなります。
創業期の企業にとっては、プロパー融資の審査に通過することは非常に難しいといえます。一方、保証協会付き融資は、リスクを保証協会と金融機関で分担するため、創業期の企業でも融資を受けやすくなります。
保証協会付き融資は中小企業や創業期の企業にとって重要な資金調達手段ですが、審査基準をクリアするためには、事業計画の精度を高め、自己資本比率を改善するなど、対策を講じる必要があります。融資に関する専門家のアドバイスを受けることも有効でしょう。
保証協会付き融資を断られた際の対処法
保証協会付き融資の審査に通らなかった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、専門家のサポートを得ながら再申請に向けて問題点を改善する方法を解説します。
専門家による事業計画書の作成・監修
まず、事業計画書の内容を専門家に相談し、より説得力のあるものに改善することをおすすめします。財務や経営に精通した専門家は、市場分析や競合優位性の明確化、収支予測の妥当性向上、事業リスクの予見と対策の明示など、審査員の目に留まるポイントを押さえた事業計画書の作成をサポートしてくれるでしょう。
専門家の知見を借りることで、事業の実現可能性や将来性を的確に訴えかけられるようになります。結果として、再申請時の審査通過率を高めることにつながるはずです。
融資に有利な決算書作成のポイント
決算書は、企業の財務状況を表す重要な資料です。保証協会の審査では、財務の安全性、収益性、返済能力が重視されます。そのため、高い現金保有比率、当座比率、流動比率、自己資本比率を維持し、高い売上高経常利益率と短い債務償還年数を実現することが求められます。
これらの指標を改善するには、収支の見直しや特別損失の活用など、専門的な知識が必要です。決算書の作成方法について、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
融資専門家への相談
保証協会付き融資の専門家に相談することで、申請が断られた原因を特定し、適切な対策を講じることができます。専門家は、個別の問題点を診断し、改善策を提案してくれます。また、必要書類の作成支援、適切な金融機関の選定と紹介、銀行との交渉サポートなど、再申請に向けた様々なサポートを受けられます。
自己資金増強策の検討
保証協会付き融資の審査では、自己資金の割合が重要視されます。申請が断られた場合、自己資金を増やすことで再申請時の審査通過率を高めることができるかもしれません。
自己資金増強の方法としては、以下のような選択肢が考えられます。
- 資産の売却による現金化
- 個人資産の投入
- 外部投資家からの出資の誘致
- 営業活動による売上増加と利益確保
保証協会付き融資を確実に通すためのポイント
保証協会付き融資は、中小企業や創業期の企業にとって重要な資金調達手段です。ここでは、保証協会付き融資を確実に通すためのポイントを解説します。
高い自己資本比率
保証協会付き融資を申し込む際、自己資本比率が高いほど審査に通りやすくなります。自己資本比率は、総資産に対する自己資本の割合を示す指標で、企業の財務安全性を表します。
自己資本比率を高めるためには、利益の内部留保や増資などにより、自己資本を増やす必要があります。自己資本比率が高い企業は、返済能力が高いと評価されるため、融資審査で有利になります。
財務安全性と収益性の両立
保証協会付き融資の審査では、財務安全性だけでなく、収益性も重視されます。財務安全性を示す指標には、流動比率や当座比率などがあります。これらの指標が高いほど、短期的な支払い能力があると判断されます。
一方、収益性を示す指標には、売上高経常利益率などがあります。売上高経常利益率が高いほど、事業の収益性が高いと評価されます。財務安全性と収益性のバランスを取ることが、保証協会付き融資の審査通過には欠かせません。
事業リスクの予見
事業計画書には、事業リスクを予見し、その対策を示すことが求められます。事業リスクには、市場環境の変化や競合他社の動向などがあります。
これらのリスクを分析し、対策を立てることで、事業の実現可能性を高めることができます。リスク対策を明確に示すことで、審査担当者に事業の継続性をアピールできます。
経営者の信用力
保証協会付き融資の審査では、経営者の信用力も重要な判断材料となります。経営者の信用力を高めるためには、個人の信用情報に問題がないことが大切です。
また、経営者の経歴や実績を明確に伝えることも効果的です。事業への熱意や将来のビジョンを示すことで、経営者としての資質をアピールできます。
専門家活用のメリット
保証協会付き融資の申し込みには、専門知識が必要とされます。税理士や中小企業診断士などの専門家に相談することで、的確なアドバイスを得ることができます。
専門家は、事業計画書の作成支援や決算書の分析など、様々な面でサポートしてくれます。専門家の助言を受けることで、審査通過の可能性を高めることができるでしょう。
まとめ
本記事では、保証協会付き融資が断られた際の主な理由と対処法について詳しく解説してきました。事業計画書の説得力不足や資金使途の妥当性欠如、自己資金不足などが審査落ちの原因として挙げられますね。
保証協会付き融資の再挑戦は容易ではありませんが、専門家のアドバイスを参考に粘り強く取り組むことで道は開けるはずです。融資獲得を通して、事業の発展と飛躍を実現していただきたいと思います。