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2025.03.04

事業性とは?融資を受けるための評価基準を解説

事業性とは、会社の事業の将来にわたっての継続性および成長性を指します。事業を営む経営者や個人事業主にとって、資金を確保しながら成長戦略を描くことは大切です。特に、金融機関の融資を受ける際には、決算書などの数値データだけでなく、どのような事業を行い、どんな市場をターゲットにしているのかといった事業内容、すなわち事業性も評価対象として捉える動きが広がっているためです。

ここでは、事業性とは何かを捉えながら、融資における評価基準や準備すべきポイントを詳しく解説していきます。

事業性を把握する利点

事業を継続しながら、銀行などの金融機関から融資を受けるには、まず事業性をしっかりと把握する必要があります。

経営戦略の方向性の明確化

企業が、自社の強みや将来の見込みを整理することで、どの分野を伸ばし、どのように成長を目指すかを明らかにできます。これにより、意思決定の軸がぶれにくくなり、金融機関にも合理的な戦略を提供しやすくなります。

特に、事業の可能性を定量的な数値だけでなく定性的に示すことは、成長計画への説得力を高めるうえで重要です。自社独自の技術やビジネスモデルを丁寧に説明することで、融資担当者にも将来のビジョンを理解してもらいやすくなります。

リスク管理の強化

事業性の分析を通じて、潜在的なリスクを把握できる点も大きなメリットです。実際の収益性だけでなく、市場動向や競合との比較、さらには新規参入の脅威などを整理しておくと、問題が起こる前に手を打ちやすくなります。

あらかじめ事業環境を把握しておけば、機会損失を避けたり突然の経営不振を回避したりする確率が上がります。こうしたリスク管理の視点こそ、金融機関から見た事業価値を高めるポイントといえます。

事業性評価の手順

実際に金融機関が行う事業性評価とは、どんな流れで進められ、どんな特徴があるのでしょうか。基本的な手順とポイントを押さえることで、準備の指針がみえてきます。

決算書以外の情報収集

事業性評価を行う際は、まず決算書や試算表などの財務資料に加えて、事業内容や将来的な市場の見通しも丹念に探ります。銀行担当者は、ヒアリングによって、さらに具体的な経営の方針や革新的な取り組みなどの非財務データを集めるのです。

この段階で特に重要なのは、経営計画書の内容やビジネスのコンセプト、顧客層や競合他社の動向といった、事業全体を俯瞰できる資料を提供することです。事前に、自社の強みや将来像を整理しておきましょう。

評価結果のフィードバック

評価手順としては、銀行が集めた情報を基に独自のスコアリングを行い、融資の可否や条件を検討します。その後、審査の過程で経営者に対してフィードバックが行われるのが一般的です。

このフィードバックは、事業の魅力や改善点を客観的に確認できる機会になります。もし融資条件に合わなかったとしても、強化すべきポイントが明らかになるため、次の融資への再チャレンジに向けた指針として役立ちます。

事業性を示す書類

融資申請の際には財務諸表だけでなく、将来に向けた計画やビジョンを示すドキュメントが重要になります。ここでは、代表的な書類を確認しましょう。

経営計画書

経営計画書は、今後の事業展開を定量的かつ定性的に示すうえで欠かせない資料です。売上高、利益率、投資計画などを中期的なスパンでまとめると同時に、どんなビジネスモデルで収益を生み出すのかを説明します。

作成の際には、実践可能な数字を設定し、その裏づけとなる市場調査や販路開拓の方法を整理しましょう。こうした資料があると将来の事業性を客観的に明確に示することができ、金融機関の担当者にも好印象を与えます。

事業内容や組織体制の概要書

ビジネスの概要や組織運営の基本方針をまとめた書類は、会社の全体像を把握してもらううえで役立ちます。役員や主要メンバーの経歴、社内制度、強みとなる技術・サービスなどを具体的に紹介するとより効果的です。

これによって、金融機関は財務諸表からは読み取れない事業の信頼度や安定性を判断しやすくなります。組織がどの程度の専門知識をもっているかという点も、重要なアピールポイントです。

事業性に基づく融資プロセス

事業性を踏まえた融資では、一般的に次のような流れが取られるケースが多いです。具体的なプロセスを理解して、スムーズなやり取りを目指しましょう。

相談から書類提出まで

まずは金融機関へ相談を行い、疑問点や必要書類の確認をします。次に、決算書や経営計画書などを中心に必要書類を準備し、提出する流れです。ここで、事業性評価書類を作成し、事業性をアピールする準備を十分に行っておくことが重要になります。

提出する事業性評価書類の内容には、事業の市場性や新規参入への対策などを盛り込むと良いでしょう。金融機関が知りたいのは、今後の収益源とその安定性、そして成長可能性がどこにあるのかという点です。

審査・フィードバックから最終契約

提出書類をもとに審査が行われると、融資条件や可能金額の打診が行われます。審査に通過しづらい場合でも、銀行からは改善点についてのフィードバックが得られるので、それに応じて修正し再度チャレンジすることも可能です。

最終的に条件が両者で合意に至れば、契約が結ばれます。ここでの事業性評価の結果は、将来的な融資枠や追加の資金調達において参考にされるため、長期的な視点で関係を築くことが大切です。

事業の成長性を示す評価ポイント

事業性を示すためには、将来的な成長可能性を客観的に証明することが要点の一つです。

市場の存在と競合比較

まず、ターゲット市場の規模や消費者ニーズが継続的に存在しているかがポイントです。いくら斬新な技術や製品をもっていても、市場自体が縮小していれば成長は見込めません。

また、競合他社と比較して、どれだけ優位性があるかを示すことも重要です。ここで自社の独自性や差別化策を明確にできると、金融機関からの評価が高まります。

新規参入の可能性

市場に新しく参入できる領域がある場合は、その具体的な方法や顧客獲得のシナリオを示しましょう。特に、ニッチ市場や地方市場など、大手が参入しづらいエリアを狙う戦略は説得力をもちやすいものです。

こうしたアクションプランを実行するために必要な設備投資や人材育成の計画をまとめると、事業成長のロジックがはっきりと見え、融資判断にもプラスに作用します。

銀行の事業性評価ツールの活用

多くの銀行は、事業性評価を効率化するために、独自のシートや外部で公開されているツールを活用しています。その概要を押さえておくと、書類を整備しやすくなるでしょう。

独自シート

銀行によっては事業内容、業界動向、SWOT分析などを網羅的にまとめるシートを提供しています。これを埋める過程で自社の強みや課題が明確になるメリットもあるため、積極的に活用することをおすすめします。

こうしたシートを丁寧に記入していくと、融資担当者から具体的な質問や追加情報のリクエストを受けやすくなり、事業のアピールポイントをさらに補強しやすくなります。

ローカルベンチマークなどの公的ツール

経済産業省が公表しているローカルベンチマークなどのツールも、事業性評価を補完する手段として役立ちます。これは、定量データと定性項目を総合的に扱えるように設計されており、金融機関だけでなく支援機関も活用しています。

特に、地域性のあるビジネスを展開している場合、ローカルベンチマークを活用することで、地域経済との相乗効果を示しやすくなり、地域金融機関からの融資も得やすくなる可能性が高まります。

事業性評価の展望

事業性の重視は一過性の流行ではなく、将来的にも継続される傾向があります。事業に伴う非財務情報の評価の重要性が高まっていくことは、事業の持続可能性に直結すると考えられます。

地方創生と事業性

近年、地方創生の観点から、地域金融機関が地元企業の事業性を評価する機会が増えています。地域の特性を生かしたビジネスモデルを提案すると、独自の補助金や連携枠を活用できる場合もあるため、積極的に情報収集するとよいでしょう。

また、地域金融機関は大手銀行にはない柔軟な審査体制をもつこともあり、近距離で密な支援を受けられる利点があります。

非財務情報のさらなる活用

ESGやSDGsといった社会的課題にも配慮した経営が広がる中、今後は財務指標だけでなく社会貢献度や環境への配慮など、より広範な指標が融資判断に取り入れられる可能性が高まります。

こうした動きの中で、企業側も社会的意義や持続性を具体的に発信していくことが、将来の資金調達戦略において有利に働くでしょう。

まとめ

この記事では、事業性を中心とした融資の評価基準や、評価を高めるためのポイントを詳しく解説してきました。事業の目指す方向性と経営戦略、そしてリスク管理や非財務情報までを整理し、金融機関に納得してもらえるよう準備を進めることが大切です。

内容を踏まえて、事業性を可視化し、専門家や支援機関のサポートももらいながら、経営に活かしていきましょう。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
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