2025.01.22

つなぎ融資とは?特徴と利用場面を紹介

つなぎ融資を検討されている皆さん、資金調達のお悩みはありませんか?住宅購入や事業用不動産の取得にあたり、自己資金が不足していて頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、資金面の課題解決に役立つ「つなぎ融資」について詳しく解説します。つなぎ融資を上手に活用することで、タイミングを逃さずスムーズに取引を進められるようになるでしょう。

つなぎ融資とは何か?

ここでは、つなぎ融資の詳細について説明していきましょう。

つなぎ融資とは

つなぎ融資とは、一般的には住宅ローンの実行までの間に必要となる資金を一時的に借り入れる融資制度のことをいいます。主に、住宅の建築や購入に際して、住宅ローンの実行前に必要となる資金を補うために利用されます。

つなぎ融資は、住宅ローンとは別の融資制度であり、融資期間が短く、金利も住宅ローンよりも高く設定されている点が特徴です。また、つなぎ融資の利用目的は、土地取得資金や建物建築資金など、住宅取得に直接関連する資金に限定されています。

つなぎ融資の特徴

つなぎ融資には、以下のような特徴があります。

  • 短期間の融資であり、融資期間は通常1年以内に設定されている
  • 金利は住宅ローンよりも高く、2~4%程度で設定されることが多い
  • 事務手数料や印紙代などの諸費用が必要となる
  • 団体信用生命保険への加入が求められる場合がある
  • 住宅ローン控除の対象外である

つなぎ融資は、住宅ローンとは異なる融資制度であるため、住宅ローンの審査とは別に、つなぎ融資の審査を受ける必要があります。また、つなぎ融資の返済は、住宅ローンの実行時に一括して行われるのが一般的です。

つなぎ融資の利用場面

つなぎ融資は様々な場面で活用されています。ここでは、つなぎ融資が利用される代表的な場面をいくつか紹介しましょう。

住宅購入時のつなぎ融資

住宅を購入する際、住宅ローンの実行までに時間がかかる場合があります。その間の資金需要に対応するためにつなぎ融資が利用されます。

例えば、注文住宅を建てる場合、着工金や中間金の支払いが必要となります。また、土地の購入費用も必要です。これらの資金を住宅ローンの実行前につなぎ融資で賄うことで、スムーズに住宅購入を進められます。

住宅買い替え時のつなぎ融資

住宅の買い替えを行う際にも、つなぎ融資が活用されるケースがあります。現在の住宅を売却し、新しい住宅を購入する場合、売却代金の回収前に新規住宅の購入資金が必要となります。

つなぎ融資を利用することで、売却完了前でも新規住宅の購入が可能となり、取引のタイミングを柔軟に調整できます。これにより、希望の物件を逃すリスクを低減し、スムーズな住み替えが実現します。

リフォーム資金のつなぎ融資

住宅のリフォームを行う場合、工事完了までに一時的な資金需要が発生します。リフォーム費用の支払いにつなぎ融資を活用することで、資金面の心配なくリフォーム工事を進められます。

リフォーム後に住宅ローンを組み、つなぎ融資を返済するケースもあります。つなぎ融資を活用することで、リフォーム工事のスケジュールを柔軟に設定でき、理想の住まいづくりが可能となります

土地購入資金のつなぎ融資

住宅建築に先立ち、土地の購入が必要となる場合があります。土地購入資金の調達にもつなぎ融資が利用されます。

土地の売買契約から住宅ローンの実行までの間、つなぎ融資で土地購入資金を賄うことで、希望の土地を確保できます。住宅ローンの実行後に、つなぎ融資を返済する流れが一般的です。

つなぎ融資のメリット

ここでは、つなぎ融資を利用する際の主なメリットについて解説します。

資金調達の柔軟性

つなぎ融資を利用することで、住宅購入や建築に必要な資金を自身のタイミングに合わせる形で、柔軟に調達することができます。

特に、注文住宅の建築では、着工金や中間金の支払いが必要となりますが、つなぎ融資を活用することで、これらの支払いに対応できるのです。また、住宅の買い替え時には、売却が完了する前でも新規購入資金を確保できるため、取引のタイミングを柔軟に設定できます。

つまり、つなぎ融資は、資金面での制約を緩和し、住宅取得や建築に関する資金計画の自由度を高めるメリットがあるといえます。

自己資金の負担軽減

つなぎ融資を利用することで、自己資金の負担を軽減できるというメリットがあります。

住宅購入や建築には多額の資金が必要となりますが、つなぎ融資を活用することで、自己資金の要件が緩和されるため、手持ちの資金が少ない場合でも、住宅取得や建築に踏み切ることができるのです。つまり、つなぎ融資は、資金面での障壁を下げ、住宅取得の機会を広げる効果があるといえるでしょう。

ただし、つなぎ融資は住宅ローンと比べて金利が高く設定されているため、利用する際には、金利負担についても慎重に考慮する必要があります。

取引のスムーズな進行

つなぎ融資を利用することで、住宅の売買取引をスムーズに進めることができます。

住宅の買い替えでは、新規物件の購入と現在の住宅の売却を同時に進める必要がありますが、つなぎ融資を活用することで、売却が完了するまでの間の資金を確保できるため、新規物件の取得を円滑に進めることができます。また、売却活動にも時間的な余裕ができるため、より良い条件での売却が期待できます。

つまり、つなぎ融資は、住宅の売買取引における資金面での制約を緩和し、取引全体の進行をスムーズにするメリットがあるといえるでしょう。

金利面での優遇措置

つなぎ融資を利用する際には、金利面で一定の優遇措置を受けられる場合があります。

つなぎ融資の金利は住宅ローンと比べて高く設定されているのが一般的ですが、同じ金融機関で住宅ローンとつなぎ融資を併用する場合、つなぎ融資の金利が優遇されることがあるのです。この優遇措置は、金融機関との関係性を深める効果があり、将来的な金利交渉での有利な条件を得られる可能性があります。

ただし、金利優遇の条件は金融機関によって異なるため、事前によく確認しておく必要があります。金利面での優遇措置は、つなぎ融資の利用を検討する際の判断材料の一つといえるでしょう。

つなぎ融資の注意点

つなぎ融資は住宅の購入や建築時に一時的な資金調達が可能な一方、金利や税制面ではデメリットもあります。

金利負担の増加

つなぎ融資は住宅ローンより金利が高く設定されることが多く、住宅ローンの金利が1%前後の場合は2~4%程度に設定されるケースがあります。

  • 短期融資であるため金融機関が高めの金利を設定しやすい
  • 金利負担が増すことで支払い総額が大きくなる恐れがある

金利負担が増大すると、長期的な資金計画、返済計画への影響が大きくなるため、事前に返済シミュレーションを行い、総額をしっかり把握しておく必要があります。

住宅ローン控除の適用外

つなぎ融資は住宅ローン控除の対象外です。年末時点で利用していても、確定申告での住宅ローン控除を受けられない点に注意が必要です。

  • 住宅取得のための正式なローンとは別扱いとされる
  • 税制優遇が受けられないため実質的に負担が増える

住宅ローン控除を前提に資金計画を立てる場合、つなぎ融資の金利分が想定以上に膨らむ可能性があります。資金計画をしっかり見直し、全体の費用を把握しておきましょう。

融資期間の制限

多くの金融機関では、つなぎ融資の融資期間を1年以内に設定しています。これは住宅ローンの実行までの短期をカバーする目的のためです。

  • 融資期間は1年以内が一般的
  • 工事の遅れなどで期間が延びると追加手続きが必要になる場合がある

融資期間内に完済できないと、追加費用が発生したり、再審査が必要となる可能性があります。工期の管理を徹底し、スケジュールどおりに進めることが大切です。

担保設定の必要性

つなぎ融資では、土地や建築中の建物を担保に設定する場合があります。金融機関としてはリスクを回避するための措置ですが、手続きや費用がかかる点に留意しましょう。

  • 担保に関する登記費用や諸手数料が必要となる
  • 必要書類の準備や手続きに時間がかかる

担保設定を行う際は、早めに必要書類をそろえ、スケジュールを確認しておくことが重要です。手続きが遅れると、融資そのものが進まず建築や購入に影響を及ぼす可能性があります。

審査の厳格さ

つなぎ融資の審査は、住宅ローンと同等かそれ以上に厳しく行われることがあります。金融機関としては貸し倒れリスクを避けたいため、短期融資であっても返済能力を詳細に確認します。

  • 年収や勤続年数、信用情報などを厳しくチェックされる
  • 申込時には多くの書類を求められる場合がある

つなぎ融資を検討する際は、早めに借入可能額を試算し、必要書類を準備することが不可欠です。審査に時間がかかるケースもあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

つなぎ融資の利用手順

つなぎ融資を利用する際には、一定の手順を踏む必要があります。ここからは、つなぎ融資の利用手順について、詳しく説明していきましょう。

つなぎ融資の申込み

まず、つなぎ融資の利用を検討している金融機関に相談し、申込みを行います。複数の金融機関の条件を比較しておくことで、自分に最適な選択ができるでしょう。

申込みの際は、融資の目的や希望する借入額、返済期間などを明確に伝えることが重要です。また、つなぎ融資は住宅ローンと異なり、用途が限定されていることを理解しておきましょう。

必要書類の準備

つなぎ融資の審査では、各種の書類提出が求められます。主な必要書類は以下の通りです。

  • 住民票
  • 収入証明書
  • 勤務先の在職証明書
  • 納税証明書
  • 土地・建物の売買契約書
  • 建築工事請負契約書

書類の準備は早めに行い、不備がないようにしましょう。金融機関によっては、追加の書類提出を求められる場合もあります。

審査と融資実行

必要書類を提出すると、金融機関での審査が行われます。つなぎ融資は、住宅ローンの審査とは別に行われるため、二重の審査を受ける必要があります。

審査では、返済能力や資金使途の妥当性などがチェックされます。審査に通過すると、融資が実行され、指定の口座に資金が振り込まれます。つなぎ融資の金利は住宅ローンに比べて高めに設定されているため、利息負担には注意が必要です。

つなぎ融資の返済

つなぎ融資の返済は、住宅ローンの融資実行時に一括して行われるのが一般的です。つまり、つなぎ融資で借りた資金は、住宅ローンの融資金で返済するということです。

ただし、工期が遅延した場合などは、つなぎ融資の返済期日が延長される可能性もあります。その場合、追加の利息が発生するため、工期管理を徹底することが大切です。

住宅ローンへの借り換え

建物が完成し、住宅ローンの融資が実行されたら、つなぎ融資から住宅ローンへの借り換えが行われます。この時、つなぎ融資の残債は住宅ローンに組み込まれ、以降は住宅ローンの返済スケジュールに従って返済していくことになります。

借り換え手続きは金融機関が代行してくれるため、借主の負担は少なくて済みます。ただ、つなぎ融資の利用分は住宅ローン控除の対象外となるため、その点は留意が必要でしょう。

まとめ

本記事では、住宅取得時に必要となる資金を一時的に借り入れるための制度である「つなぎ融資」について解説してきました。つなぎ融資は、住宅ローンの実行までの間の資金需要に柔軟に対応できる便利な制度です。

一方で、つなぎ融資には金利負担の増加や融資期間の制限などのデメリットもあります。また、審査の厳格さや担保設定の必要性など、留意すべき点も多くあります。つなぎ融資の活用にあたっては、これらのメリット・デメリットを十分に理解した上で、慎重に検討することが大切です。

つなぎ融資が適切な選択肢と思われる方は、まずは取引金融機関に相談してみてください。資金計画や返済計画を綿密に立て、無理のない範囲での利用を心がけましょう。つなぎ融資を上手に活用することで、夢のマイホーム購入が現実のものとなるはずです。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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