2025.05.14
つなぎ資金としてビジネスローンは有用?他の方法とも比較しながら解説
事業を運営していると、売掛金の入金待ちや季節的な売上変動、予想外の支出など、一時的な資金不足に陥る場面があります。計画していた仕入れや支払いに間に合わないとなると、取引先との関係悪化や事業機会の損失につながりかねません。
このような状況では、ビジネスローンが「つなぎ資金」として利用されることがあります。銀行融資と比べて審査がスピーディーで、必要なときに必要な分だけ調達できる点が魅力です。
本記事では、つなぎ資金としてのビジネスローンの活用、そのメリット・デメリット、他の資金調達方法との比較、そして最適な活用方法まで徹底解説します。
つなぎ資金とは
つなぎ資金は、事業運営において一時的に発生する資金不足を補うための短期的な融資です。
つなぎ資金の基本
つなぎ資金とは、将来的に入金が見込める状況で、その入金までの期間に発生する一時的な資金不足を埋めるための資金調達方法です。通常、数週間から数ヶ月程度の短期間で返済することを前提としています。
事業活動においては、売上と支出のタイミングにずれが生じることがよくあります。例えば、商品の仕入れや製造にはまず資金が必要ですが、その商品を販売して代金を回収するまでには時間差があります。この期間に、資金繰りの空白期間が発生するのです。
つなぎ資金は、このような一時的な資金不足を解消し、事業の円滑な運営を維持するための重要な手段となります。長期的な設備投資や事業拡大のための資金とは性質が異なり、あくまで短期的な資金繰りの改善を目的としています。
つなぎ資金が必要となる状況
ビジネスにおいて、つなぎ資金が必要となる典型的な状況には、以下のようなケースがあります。
まず、売掛金の回収待ち期間です。商品やサービスを提供しても、取引先からの入金までには、通常30日から90日程度の期間が発生します。この間の運転資金として、つなぎ資金が必要となることがあります。
次に、季節的な売上変動への対応です。観光業、アパレル業、冷暖房関連事業など、季節によって売上が大きく変動する業種では、オフシーズンの運営資金として、一時的な融資が必要になることがあります。
また、大型案件や新規プロジェクトの立ち上げ時にも、初期投資から収益化までの期間をカバーするつなぎ資金が事業継続のカギとなることが多いものです。
さらに、予期せぬ支出や緊急時の対応として、修理費用や追加仕入れなど、計画外の出費が発生した際にも、つなぎ資金は重要な役割を果たします。
つなぎ資金としてビジネスローンが有用である理由
ビジネスローンは、多くの事業者にとって、使い勝手の良いつなぎ資金調達手段です。
ビジネスローンの仕組み
ビジネスローンは、事業者向けに提供される融資サービスで、個人向けのカードローンや住宅ローンとは異なる特徴を持っています。事業資金の調達を目的としており、運転資金や設備資金など、さまざまな資金ニーズに対応できる柔軟性があります。
ビジネスローンを提供している金融機関は、銀行だけでなく信用金庫、ノンバンク、ビジネスローン専門金融、オンラインレンダーなど多岐にわたります。それぞれの金融機関によって、融資条件や審査基準、融資可能額などが異なるため、自社の状況に合った選択が重要です。
申込から融資実行までのプロセスは、一般的には申込書類の提出、審査、契約、融資実行という流れになります。特に、ノンバンクやビジネスローン専門金融、オンラインレンダーの場合は、審査が迅速に行われることが大きな特徴で、最短で即日融資を受けられるケースもあります。
返済方法は、元金均等返済や元利均等返済、一括返済などさまざまな方式があり、事業のキャッシュフローに合わせて選択できることが多いものです。
ビジネスローンのつなぎ資金としての活用
ビジネスローンがつなぎ資金として特に有効である理由は、いくつかあります。
最も大きなメリットは、審査のスピードです。従来の銀行融資では数週間から数ヶ月かかっていた審査が、ビジネスローンでは即日から数日程度で完了することが一般的です。急な資金需要にも素早く対応できるため、ビジネスチャンスを逃さずに済みます。
また、審査基準が比較的緩やかなことも魅力です。創業間もない企業や、決算書の数値が芳しくない企業でも、事業の将来性や経営者の資質を評価して融資が実行されるケースがあります。
さらに、必要なときに必要な分だけ借りられる柔軟性も重要なポイントです。銀行融資のように、「使わなくても全額借りなければならない」という制約がなく、実際に必要な金額だけを調達できるため、無駄な金利負担を避けられます。
手続きの簡便さも見逃せません。オンラインで完結するサービスも増えており、忙しい経営者の時間的負担を大きく軽減します。
ビジネスローンの注意点
一方で、ビジネスローンにはいくつかの注意点が存在します。
最も顕著なのは、金利の高さです。銀行融資と比較すると、ビジネスローンの金利は、一般的に高めに設定されています。年率2%から18%程度と幅があり、企業の信用力や融資額、返済期間によって変動します。このため、長期間の借入としては負担が大きくなる可能性があります。
また、融資可能額に制限があることも制約となりえます。多くのビジネスローンでは、数十万円から数千万円程度の融資が一般的で、大規模な資金調達には向いていません。
さらに、審査が迅速な分、返済能力の厳密な検証が行われないケースもあり、借りすぎによる返済負担のリスクがあります。短期間での返済が前提となっているため、期待していた入金が遅れた場合に、資金繰りが悪化する可能性も考慮すべきです。
担保や保証人が不要なケースが多い反面、経営者の個人保証が求められることも少なくありません。事業が行き詰まった場合には、個人資産にも影響が及ぶリスクがあります。
ビジネスローン以外の他の調達方法との比較
つなぎ資金として活用できる資金調達方法はさまざまあり、それぞれ特徴が異なります。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として多様な融資メニューを提供しています。民間金融機関と比べて金利が低く、長期的な返済計画を立てやすいのが特徴です。
融資金利は、年0.8%から3.1%程度と低水準に設定されており、最長で20年程度の長期返済が可能です。また、創業融資や小規模事業者向けの特別融資など、事業者の状況に合わせたさまざまな融資制度があります。
しかし、審査期間が数週間から数ヶ月と長いため、急なつなぎ資金としては不向きな面があります。申請書類も多く、創業計画書や収支計画書など、詳細な資料の提出が求められることが一般的です。
日本政策金融公庫の融資は、長期的な設備投資や、ある程度計画的に進められる資金調達に適していますが、緊急性の高いつなぎ資金としては、時間的制約から活用が難しいケースが多いでしょう。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、事業用または個人所有の不動産を担保として提供することで、比較的大きな金額の融資を受けられる方法です。
担保があることで金利は比較的低く抑えられ、一般的に年1%から15%程度となっています。融資額も担保となる不動産の評価額によりますが、数千万円から数億円という大規模な調達も可能です。
ただし、不動産担保ローンの最大の制約は、担保となる不動産を所有していることが前提となる点です。また、不動産の評価や担保設定の手続きに時間がかかるため、融資実行までに数週間以上を要することが一般的です。
さらに、返済が滞った場合には、担保不動産が競売にかけられるリスクがあるため、返済計画は慎重に立てる必要があります。不動産担保ローンは、大きな金額のつなぎ資金が必要で、ある程度時間的余裕がある場合に検討する価値があるでしょう。
手形割引やファクタリング
手形割引とファクタリングは、将来の入金を前倒しして現金化する方法です。
手形割引は、取引先から受け取った約束手形を、満期日前に金融機関で換金する方法です。手形の額面から手数料を差し引いた金額が即日で入金されるため、スピード感があります。手数料は、一般的に年率1.5%から15%程度で、手形の信用度や割引期間によって変動します。
一方、ファクタリングは、売掛金を買取業者に売却して現金化する方法です。通常、売掛金額の80%から95%程度が即日または数日以内に入金されます。売掛先の信用力や売掛金額、支払期日などによって手数料率が決まり、一般的に2%から18%程度となっています。
どちらも審査が比較的容易で即日対応が可能なため、緊急性の高いつなぎ資金として有効です。ただし、手形割引には不渡りリスクがあり、ファクタリングは手数料が高めになる傾向があります。
既に発生している売掛金や受け取った手形があれば、これらの方法は非常にスピーディーな資金調達手段となります。
つなぎ資金でビジネスローンが特に有用な場合
つなぎ資金として、ビジネスローンが特に有効なシーンを理解することが重要です。
資金調達のスピードが優先される場合
ビジネスにおいて、機会損失を防ぐためには、資金調達のスピードが決定的に重要になる場面があります。例えば、得意先から突然大口の注文を受けたものの、原材料の仕入れ資金が不足している場合です。この機会を逃せば、競合他社に顧客を奪われる可能性もあります。
また、仕入先からの支払い期限が迫っているにもかかわらず、売掛金の回収が遅れているケースも少なくありません。支払いが遅延すると、取引条件の悪化や信用低下につながりかねません。
設備の緊急修理や故障対応など、事業継続のために即座に資金が必要な状況も考えられます。これらの場合、数日以内に資金調達できるビジネスローンは、非常に有効な選択肢となります。
ビジネスローンは、オンライン申込から審査、契約までの一連のプロセスがデジタル化されているケースが多く、従来の銀行融資と比べて圧倒的にスピーディーです。緊急性の高い資金需要に対して、最適な解決策となるでしょう。
少額から中規模の資金が必要な場合
つなぎ資金として必要な金額は、企業規模や業種によって大きく異なります。ビジネスローンは、一般的に数十万円から数千万円程度の融資に対応しており、中小企業や個人事業主の日常的な資金需要に適しています。
例えば、小売業における季節商品の仕入れ資金や、サービス業での繁忙期前の人員増強費用、製造業での小規模な設備更新費用など、比較的少額から中規模の資金需要に柔軟に対応できます。
大きな設備投資や不動産取得などの大型プロジェクトには向いていませんが、日常的な事業運営上の資金不足を補うには最適です。必要以上に借りることなく、本当に必要な金額だけを調達できるため、余分な金利負担を避けられます。
また、融資額が少額から中規模であれば、返済負担も比較的軽く、短期間での完済も現実的な目標となります。一時的な資金繰りの改善という、つなぎ資金本来の目的に合致した使い方といえるでしょう。
短期間での返済が可能な場合
ビジネスローンの金利は、比較的高めに設定されているため、長期間の借入には適していません。しかし、数週間から数ヶ月程度の短期間で返済する予定があれば、総返済額は許容範囲内に収まることが多いものです。
例えば、売掛金の回収時期が明確で、その入金をもって返済する計画がある場合は理想的です。大口顧客からの支払いサイクルが90日であれば、その間のつなぎ資金としてビジネスローンを活用し、入金後すぐに返済するという流れです。
季節的な売上変動がある業種では、繁忙期前の仕入れや準備に資金を使い、繁忙期の売上で返済するというサイクルも可能です。例えば、夏物商品を扱う小売店が、春先に仕入れ資金としてビジネスローンを利用し、夏のシーズン売上で返済するといった使い方です。
返済計画が明確な場合には、一時的な高金利を許容してでもスピーディーに資金調達するメリットが大きくなります。ただし、想定以上に返済が長引く可能性も考慮し、余裕をもった計画を立てることが重要です。
審査の容易さを重視する場合
創業間もない企業や、過去の業績が芳しくない企業は、従来の銀行融資では審査が厳しく、資金調達が難しい場合があります。このような状況でも、ビジネスローンは比較的審査基準が緩やかで、資金調達の可能性が高いのが特徴です。
多くのビジネスローン会社は、決算書だけでなく、事業の将来性や経営者の資質、直近の売上状況など、さまざまな観点から総合的に審査を行っています。そのため、過去の業績が十分でなくても、事業の成長性が認められれば融資が実行されるケースも少なくありません。
また、創業資金や事業拡大資金など、将来を見据えた資金需要に対しても柔軟に対応してくれるサービスが増えています。銀行が重視する過去の実績よりも、事業の将来性を評価した審査が行われることが多くあります。
担保や保証人が不要なケースも多く、個人事業主や小規模企業でも比較的容易に資金調達できる点は、大きなメリットです。ただし、審査が容易な分、金利が高くなる傾向があることは念頭に置いておくべきでしょう。
つなぎ資金でビジネスローンがあまり有用でない場合
状況によっては、ビジネスローン以外の選択肢を検討すべき場合があります。
長期的な資金不足へ対応する場合
ビジネスローンは、短期的なつなぎ資金として有効ですが、長期にわたる資金不足の解決策としては適していません。慢性的な資金不足は、事業モデル自体に問題がある可能性を示唆しています。
月次の収支が恒常的に赤字で、運転資金を借入で補填し続けているような状況は危険信号です。このような場合、ビジネスローンで一時的に凌いでも、高金利の返済負担がさらに資金繰りを圧迫し、負のスパイラルに陥る可能性があります。
長期的な資金不足に直面している場合は、まず事業構造の見直しが先決です。不採算部門の整理、固定費の削減、価格戦略の見直しなど、収益構造を改善する施策に取り組むべきでしょう。
資金調達面では、日本政策金融公庫の長期低利融資や、資本性劣後ローン、場合によっては出資を受けるなど、返済負担の少ない方法を検討することが望ましいものです。また、経営改善計画を策定し、メインバンクと協力して抜本的な財務改善に取り組むことも重要な選択肢となります。
大規模な設備投資へ充当する場合
工場の建設や大型設備の導入、不動産取得など、大規模な設備投資にビジネスローンを充てることは避けるべきです。ビジネスローンは融資額に制限があり、また金利が高めに設定されているため、大型投資の資金としては効率が悪いといえます。
一般的に設備投資は、投資回収までに長期間を要するものです。そのため、返済期間も長く設定できる低金利の融資が適しています。例えば、銀行の設備資金融資や日本政策金融公庫の設備資金貸付、リース活用などが選択肢となります。
特に減価償却資産への投資は、資産の耐用年数に合わせた長期の返済計画が理想的です。ビジネスローンの短期返済では、減価償却期間よりも早く返済を迫られるため、キャッシュフローに大きな負担がかかります。
また、設備投資は慎重な事業計画と投資判断が必要です。ビジネスローンは審査が迅速である分、投資の妥当性についての厳密な検証が行われないことがあります。結果として、十分な検討なしに過大な投資を行うリスクもあります。
返済見込みが立たない状況
どのような資金調達においても、最も重要なのは返済能力です。返済の見込みが立たない状況でビジネスローンを利用することは、問題の先送りにしかならず、最終的には事業の存続自体を危うくする可能性があります。
例えば、既存の借入の返済に窮して新たなビジネスローンを借りる「自転車操業」は、一時的には資金繰りが改善したように見えても、借入総額と金利負担が増加するだけで、根本的な解決にはなりません。
また、売上が継続的に減少している状況や、市場環境の悪化が長期化している場合も注意が必要です。このような状況では、借入による対応ではなく事業再構築を検討すべきでしょう。
返済見込みが不透明な場合は、借入ではなく他の選択肢を検討することが重要です。例えば、遊休資産の売却、不採算事業からの撤退、外部パートナーとの提携、場合によっては事業の一部または全部の譲渡など、抜本的な対策を講じることが必要になることもあります。
事業の継続が困難と判断される場合には、早期に専門家(公認会計士、税理士、弁護士など)に相談し、最適な選択肢を模索することが、経営者としての責任ある判断です。
まとめ
つなぎ資金としてのビジネスローンは、一時的な資金不足を迅速に解消できる有効な手段です。特に、即日から数日以内の融資実行、比較的容易な審査基準、少額から中規模の柔軟な融資額といった特徴は、中小企業や個人事業主の資金繰りの強い味方となります。
しかし、金利の高さや短期返済が前提となる点には注意が必要です。長期的な資金不足や大型設備投資には不向きであり、返済計画が立たない状況での利用は避けるべきでしょう。自社の状況を客観的に分析し、ビジネスローンが最適な選択肢かどうかを見極めることが重要です。資金調達を検討している経営者の方は、まずは複数の金融機関に相談し、自社に最適な資金調達方法を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
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売掛金の入金待ちや季節的な売上変動、予想外の支出など、つなぎ資金が必要な場面は多くあります。このような状況に、迅速かつ柔軟に対応できるビジネスローンは、事業を継続するにあたって重要な役割を果たします。HTファイナンスのビジネスローンの中の無担保無保証融資は、必要なタイミングで資金をスムーズに調達できるため、突発的な資金ニーズにも対応できます。
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