2025.05.21
不動産担保ローンに連帯保証人は必要?有無による審査結果への影響について解説
不動産担保ローンを検討する方の中には、「連帯保証人は必要なのか?」と疑問に思う方がいるかもしれません。特に、法人として融資を受ける場合、代表者が連帯保証人になることが一般的ですが、大きな責任とリスクが伴うため、本当に必要かどうか確認してからにしたいという方が多いでしょう。
連帯保証人の有無は、融資審査に影響し、融資額や金利条件にも関わりますが、必ずしもすべてのケースで連帯保証人が必要というわけではありません。
この記事では、不動産担保ローンにおける連帯保証人の必要性や、それが審査結果に与える影響、連帯保証人となる際のリスクについて詳しく解説します。
不動産担保ローンにおける連帯保証人
不動産担保ローンは、不動産を担保として金融機関から融資を受けるローン商品です。
連帯保証人とは
連帯保証人とは、主債務者(借り手)が返済できなくなった場合に、その債務の返済義務を負う人のことを指します。通常の保証人と違い、連帯保証人は債務者と同等の責任を負います。
つまり、金融機関は、債務者本人に請求する前に、連帯保証人に直接請求することができます。これは、主債務者の返済能力に不安がある場合、金融機関にとって大きな安心材料となります。
連帯保証人は主債務と「同一の内容」について責任を負うため、債務者が返済できなくなった場合、金融機関は連帯保証人の個人資産からでも回収することが可能です。
法人と個人の違い
不動産担保ローンにおける連帯保証人の必要性は、借り手が法人か個人かによって大きく異なります。
法人が融資を受ける場合、一般的に代表者個人の連帯保証が求められます。これは、会社と経営者の一体性を担保する意味があり、多くの金融機関では必須条件となっています。
一方、個人が自分の不動産を担保にして融資を受ける場合は、原則として連帯保証人は不要です。借り手本人と担保提供者が同一であれば、別途保証を求められることは少ないでしょう。
ただし、共有名義の不動産を担保にする場合や、第三者名義の不動産を担保にする場合など、特定の条件下では連帯保証人が必要になることがあります。
不動産担保ローンで連帯保証人が必要な場合
不動産担保ローンを利用する際、どのような状況で連帯保証人が必要になるのか、具体的なケースを見ていきましょう。
法人として融資を受ける場合
法人として不動産担保ローンを申し込む場合、ほとんどの金融機関では、代表者の連帯保証を求められます。これには重要な理由があります。
法人と代表者は、法律上は別人格であり、たとえ一人会社であっても区別されます。そのため、法人だけを債務者とした場合、経営者が会社の意思決定に強い責任感を持たない可能性があります。
代表者の連帯保証を求めることで経営責任を明確化し、安易な事業放棄や返済回避を防ぐ効果があるのです。代表者が連帯保証人になることで、より慎重な経営判断を促す効果も期待できます。
また、代表者以外の役員や主要株主なども、連帯保証人として求められることがあります。特に、創業間もない企業や信用力が不足している企業では、資金力のある株主などの連帯保証が必要になるケースが多いでしょう。
第三者名義の不動産を担保にする場合
自社や自分名義ではない第三者名義の不動産を担保にして融資を受ける場合、その不動産の所有者に連帯保証人になってもらう必要があります。
たとえば、経営者の親族が所有する不動産を、会社の融資の担保にする場合、その親族は、担保提供者として連帯保証人になることが一般的です。
この場合、担保提供者は、自分の不動産が差し押さえられるリスクを負うだけでなく、連帯保証人として債務全額についての返済義務も負うことになります。そのため、担保提供者には、融資内容や返済計画について十分な説明を行い、納得してもらう必要があります。
第三者の不動産を担保にする際は、金融機関が担保提供者に対して直接意思確認を行うケースが多く、不動産の無断使用や強制的な担保提供を防ぐための手続きが厳格に行われます。
共有名義の不動産を担保にする場合
夫婦や親子などで共有名義になっている不動産を担保にする場合、共有者全員の同意と連帯保証が必要になります。
例えば、夫婦で共有する不動産を担保に、夫が事業資金を借りる場合、妻も連帯保証人として契約に加わることが求められます。これは、不動産の権利関係を明確にし、後のトラブルを防ぐためです。
共有者全員の同意なしに担保設定することはできないため、共有者の一人でも反対すれば、その不動産を担保にした融資は実行できません。
また、共有持分だけを担保にすることは技術的には可能ですが、持分だけの競売は難しいため、金融機関が応じないケースが多いでしょう。不動産全体を担保として活用するためには、共有者全員の連帯保証が不可欠です。
信用力に不安がある場合
借り手の信用力が十分でない場合、金融機関は追加的な保証を求めることがあります。特に次のようなケースでは、連帯保証人が必要になりやすいでしょう。
創業間もない企業や業績が安定していない企業、あるいは過去に返済トラブルがあった個人や法人は、信用力に不安があると判断されます。また、担保となる不動産の評価額が融資額に対して十分でない場合にも、追加の連帯保証人が求められることがあります。
高齢の経営者が借り手である場合、健康上のリスクや事業継承の問題から、後継者などの連帯保証が求められるケースもあります。金融機関は、長期的な返済の確実性を重視するため、このような判断をすることがあります。
信用力強化のために第三者の連帯保証を加えることで、審査通過の可能性を高めたり、より良い条件での融資を受けられたりする可能性が高まります。
不動産担保ローンで連帯保証人が不要な場合
連帯保証人を立てずに不動産担保ローンを利用できるケースもあります。どのような条件であれば、連帯保証人なしで融資を受けられるのか見ていきましょう。
自社所有の不動産を担保にする場合
法人が自社所有の不動産を担保に融資を受ける場合、原則として代表者以外の連帯保証人は不要とされるケースが多いものです。
自社所有の不動産は、すでに会社の信用力の一部として評価されるため、担保としての価値が明確です。特に、担保となる不動産の評価額が十分で、返済能力にも問題がない場合、追加の連帯保証人を求められる可能性は低くなります。
ただし、代表者の連帯保証は依然として必要とされるケースがほとんどです。法人融資の場合、代表者の連帯保証は経営責任の明確化という側面があるため、金融機関が免除するケースは限られています。
自社不動産を担保にする場合でも、会社の経営状態や業績によっては、代表者以外の役員や主要株主の連帯保証が求められることもあるため、事前に金融機関に確認することが大切です。
不動産評価額や会社の信用力が十分な場合
担保となる不動産の評価額が十分に高く、かつ会社の信用力も高い場合、連帯保証人なしの融資が可能になることがあります。
具体的には、融資額に対して担保不動産の評価額が十分な余裕をもっている場合(担保掛目が低い場合)や、会社の業績が安定しており返済能力に問題がないと判断される場合などが該当します。
特に大企業や上場企業、あるいは長年にわたって安定した業績を残している企業では、代表者の連帯保証が免除されるケースもあります。
また、公的金融機関による一部の融資制度では、一定の条件を満たす場合に経営者保証を不要とするプログラムもあります。例えば、経営者保証に関するガイドラインに基づいた融資などがこれに該当します。
ノンバンクの無保証プランの場合
銀行以外の金融機関(ノンバンク)には、連帯保証人不要を明確に打ち出している不動産担保ローン商品があります。
ノンバンクは、銀行と比較して融資基準が柔軟で、担保価値を重視した融資判断をする傾向があります。そのため、担保となる不動産の価値が十分であれば、連帯保証人なしでも融資を受けられるケースが多いでしょう。
担保価値を重視するノンバンクの商品を選択することで、連帯保証人の負担をなくすことができますが、一般的に金利は銀行より高くなる傾向があります。
また、一部のノンバンクでは、保証会社を利用することで、連帯保証人を不要とするプランも提供しています。この場合、保証料という形でコストがかかりますが、個人的なリスクを軽減できるメリットがあります。
ただし、法人向け融資の場合は、連帯保証不要を掲げていても、代表者の連帯保証のみは必要とするケースが多いので、契約内容をよく確認する必要があります。
連帯保証人の有無による審査への影響
連帯保証人を立てるか立てないかは、融資審査の結果に大きな影響を与えます。どのような違いが生じるのか、詳しく見ていきましょう。
連帯保証人を立てる場合
連帯保証人を立てることで、審査においてさまざまなメリットが生じます。
まず、融資審査の通過率が高まります。連帯保証人の資産や収入も返済能力として評価されるため、借り手単独の場合と比べて信用力が向上します。特に、信用力の高い連帯保証人がいる場合、その効果は顕著です。
また、連帯保証人の存在により融資可能額が増加する傾向があります。金融機関は返済の確実性が高まると判断するため、より大きな融資に応じやすくなります。
さらに、金利条件が有利になることも多くあります。返済リスクの低減は金利にも反映され、連帯保証人ありの場合は金利が低く設定されることがあります。
審査期間の短縮という効果も期待できます。連帯保証人の存在が審査の不安要素を解消することで、金融機関の判断がスムーズになり、結果として融資実行までの時間が短くなるケースもあります。
連帯保証人を立てない場合
連帯保証人を立てない場合、審査にはいくつかの不利な影響が生じる可能性があります。
まず、審査基準が厳しくなる傾向があります。連帯保証人がいない分、借り手自身の返済能力や担保価値がより厳しく評価されます。そのため、同じ条件でも審査に通りにくくなることが多いでしょう。
融資額が減額されるケースも少なくありません。金融機関は返済リスクを考慮して、連帯保証人なしの場合は、保守的な融資額を提示することがあります。
また、金利が高く設定されることが多くあります。連帯保証人がいない分のリスクを金利に上乗せするため、同じ商品でも、連帯保証人ありの場合と比べて金利が高くなる傾向があります。
担保価値に対する評価も厳しくなります。連帯保証人がいない場合、担保不動産の評価は慎重に行われ、担保掛目(担保評価額に対する融資可能額の割合)が低く設定されることがあります。
連帯保証人が負うリスク
連帯保証人になることは、大きな責任を伴います。どのようなリスクがあるのか、正しく理解しておく必要があります。
債務全額に対する返済義務
連帯保証人の最も大きなリスクは、主債務者と同等の返済義務を負うことです。
連帯保証人は、借り手が返済不能になった場合、債務の全額について返済義務を負います。つまり、借りた本人と同じ返済責任があるのです。
分割払いの一部のみを保証するわけではなく、元本、利息、遅延損害金を含む債務全額を負担することになります。例えば、1億円の融資に対して連帯保証人になれば、最大で1億円の返済義務を負う可能性があります。
また、主債務者が複数の連帯保証人を立てている場合でも、金融機関は任意の連帯保証人に対して債務全額を請求することができます。つまり、「自分は何人かの連帯保証人のうちの一人だから責任は分散される」とは限らず、全額を請求される可能性があるのです。
個人資産からの返済義務
連帯保証人になると、返済不能時には個人資産からの返済義務が発生します。
主債務者が返済できなくなった場合、金融機関は連帯保証人の給与、預金、不動産などの個人資産に対して強制執行を行うことができます。つまり、自分の財産が差し押さえられるリスクがあるのです。
また、連帯保証人の資産だけでは返済が完了しない場合、残債務は残り続けます。新たな収入が得られれば、それに対しても返済請求が続く可能性があります。
連帯保証人が経営する別会社の資産は、原則として保護されますが、個人事業主の場合は事業用資産と個人資産の区別が難しいため、事業にも影響が及ぶ可能性があります。
また、連帯保証債務が発生すると個人信用情報にも記録されるため、連帯保証人自身の将来の借入にも影響が出る可能性があります。
催告・検索・分別の権利がない
連帯保証人は、一般の保証人と異なり、いくつかの重要な権利が制限されています。
まず、催告の抗弁権がありません。これは、主債務者に先に請求するよう求める権利ですが、連帯保証人にはこの権利がないため、主債務者への請求前に連帯保証人へ直接請求が可能です。
連帯保証人は主債務者と同格の債務者とみなされるため、金融機関は返済が滞った場合、主債務者と連帯保証人のどちらに対しても、自由に請求することができます。
検索の抗弁権もありません。これは、主債務者の財産から先に回収するよう求める権利ですが、連帯保証人には認められていません。
分別の利益も制限されています。複数の連帯保証人がいる場合でも、金融機関は任意の一人に対して債務全額を請求できます。後で他の連帯保証人に対して求償することは可能ですが、その負担やリスクは連帯保証人自身が負うことになります。
不動産担保ローン契約時の連帯保証人関連の注意点
不動産担保ローンの契約時には、連帯保証人に関するさまざまな注意点があります。トラブルを防ぐために、重要なポイントを確認しましょう。
連帯保証に関する重要事項の事前確認
不動産担保ローンを契約する前に、連帯保証に関する重要事項を確認しておくことが大切です。
まず、融資条件における連帯保証人の要否を明確にします。金融機関によって連帯保証人に関する方針は異なるため、事前に確認が必要です。
また、契約書の連帯保証条項を詳細に確認することも重要です。保証の範囲や責任の内容、求償権の取り扱いなど、細かな条件を理解しておく必要があります。
借り手の状況変化に伴う連帯保証人の責任範囲の変化も、確認しておきましょう。例えば、債務の借り換えや追加融資があった場合、連帯保証人の承諾なく保証範囲が拡大することがないか確認が必要です。
特に、第三者が連帯保証人になる場合は、その人に対して十分な説明を行い、リスクについて理解してもらうことが重要です。後のトラブルを防ぐためにも、情報の共有は欠かせません。
第三者所有不動産を担保にする際の同意取得
第三者所有の不動産を担保にする場合、所有者からの明確な同意取得が不可欠です。
担保提供者には、担保提供のリスクと責任を詳しく説明する必要があります。不動産が競売にかけられる可能性や、連帯保証人としての返済義務について理解してもらうことが重要です。
金融機関は通常、担保提供者と直接面談し、意思確認を行います。これは、担保提供者の真意を確認し、後のトラブルを防ぐためです。
また、担保提供者が高齢者の場合は、特に慎重な対応が必要です。認知能力に不安がある場合、契約の有効性が問題になる可能性もあります。
家族間での担保提供の場合も、将来の相続問題などを考慮して、関係者全員の理解と同意を得ておくことが望ましいでしょう。
共有名義不動産の場合の全員の同意
共有名義の不動産を担保にする場合、全員の同意を得ることが法的に必要です。
共有持分のみを担保にすることは理論上可能ですが、実際には共有物の競売は難しいため、金融機関は共有者全員の同意を求めることが一般的です。
共有者全員から担保提供の同意書を取得するだけでなく、多くの場合は、共有者全員に連帯保証人になってもらう必要があります。
また、共有関係にある家族間での将来的なトラブルを防ぐためにも、融資の目的や返済計画について共有者全員で情報を共有し、理解を得ておくことが重要です。
特に夫婦間の共有不動産では、一方だけの事業資金のために担保提供する場合などは、将来の離婚リスクなども考慮して慎重に判断する必要があります。
保証会社の活用方法
個人の連帯保証リスクを軽減する方法として、保証会社の活用が考えられます。
保証会社を利用することで、個人の連帯保証を不要にできる場合があります。これにより、家族や知人に連帯保証人になってもらう負担を減らすことができます。
ただし、保証会社を利用する場合は、保証料というコストがかかります。融資額や条件によって保証料は異なりますが、融資額の1〜3%程度が一般的です。
また、保証会社を利用しても、法人融資の場合は、代表者の連帯保証が必要とされることが多いため、完全に個人保証をなくせるわけではありません。
保証会社の審査基準は、金融機関と異なる場合もあるため、金融機関の審査を通過しても、保証会社の審査で否決されるケースもある点に注意が必要です。
まとめ
不動産担保ローンにおける連帯保証人の必要性は、法人か個人か、自己所有か第三者所有かなど、さまざまな条件によって異なります。法人融資では、代表者の連帯保証が一般的に必要とされますが、個人での借入や十分な担保価値がある場合は、不要になることもあります。
連帯保証人を立てることで、審査で有利になる一方、連帯保証人には債務全額の返済義務という大きなリスクが伴います。契約前には、連帯保証の範囲や責任をしっかりと理解し、必要な書類を漏れなく準備することが重要です。資金調達を成功させるためには、これらの知識を踏まえた上で、自社の状況に最適な選択をすることが大切です。
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不動産担保ローンを利用する際は、多くのケースで連帯保証人が求められます。しかし、できるだけ保証人を置かず、融資を受けたいという方もいるでしょう。このような場合は、無担保無保証で利用できるHTファイナンスのビジネスローンが非常に適しています。
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