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ビジネスローンの利用前に返済シミュレーションは必須?事例を交えた作成方法を解説

ビジネスの拡大や設備投資、運転資金の確保など、事業を運営するうえで資金調達が必要になることがあります。そういった場合の調達手段の一つとして、ビジネスローンがあります。

ビジネスローンで大切な点の一つが、計画的に利用することです。返済計画を十分に立てずに融資を受けてしまうと、その後の資金繰りを圧迫し、経営状況がより苦しくなってしまいます。そうならないように、ビジネスローンは、返済シミュレーションを立てた後に使用することが重要です。

この記事では、ビジネスローンを活用する際に欠かせない、返済シミュレーションの必要性や種類、具体的な作成方法をわかりやすく解説します。

ビジネスローンの利用前に返済シミュレーションはほぼ必須

ビジネスローンを検討する際、「いくら借りられるか」に注目しがちですが、長期的に最も大事なのが、「いくら返せるか」という点です。

良好な資金繰りを保つために必須

返済シミュレーションは単なる計算作業ではなく、事業の健全性を守るための重要なプロセスです。借入金額や金利条件によって、月々の返済負担は大きく変わります。

例えば、同じ500万円を借りる場合でも、3年返済と5年返済では、月々の返済額に2万円以上の差が生じることもあります。この差は、中小企業にとって決して小さくない金額です。

返済計画と実際の資金繰りの整合性を確認することで、返済に行き詰まるリスクを大幅に低減できます。シミュレーションを怠った結果、資金ショートに陥り、事業継続が困難になるケースは少なくありません。

総返済額の把握に必須

ビジネスローンには、必ず金利コストが発生します。返済シミュレーションを行うことで、借入期間全体を通じての総返済額が明確になります。

例えば、300万円を年利5%で5年間借りると、総返済額は約339万円となり、利息だけで約39万円のコストがかかることになります。このコストを事前に把握することで、借入の必要性や金額の妥当性を再検討できます。

金利コストを含めた総返済額を事前に把握することは、経営判断の質を高めるために欠かせません。特に利益率の低い業種では、金利負担が経営を圧迫する要因になりかねません。

経営リスクを考慮するために必須

事業環境は常に変化し、予期せぬ売上減少や経費増加が起こりえます。返済シミュレーションでは、このような変動要素も考慮に入れる必要があります。

理想的なシミュレーションでは、通常予測に加えて保守的な予測も行い、最悪のシナリオでも返済可能な計画を立てます。売上が15%減少した場合や、主要経費が10%上昇した場合など、複数のシナリオを検討することが重要です。

余裕をもった返済計画を立てることで、事業環境の悪化にも対応できる強固な財務体質を構築できます。多くの成功企業は、返済能力の70~80%程度の借入にとどめ、残りを緩衝材として活用しています。

ビジネスローンシミュレーションの種類

ビジネスローンの返済シミュレーションには、目的や状況に応じていくつかの種類があります。自社の状況に最適なシミュレーションを選ぶことが重要です。

基本の返済シミュレーション

最も一般的な返済シミュレーションは、借入額・金利・返済期間から、月々の返済額と総返済額を算出するものです。この基本シミュレーションは、新規借入を検討する際の第一歩となります。

例えば、500万円を年利3%、5年返済で借りる場合、月々の返済額は約9万円、総返済額は約540万円と算出されます。このシミュレーション結果と自社の月次キャッシュフローを比較し、無理なく返済できるかを判断します。

月次の返済負担が経営に与える影響を事前に検証することで、将来の資金繰りの見通しを立てることができます。特に、季節変動の大きい業種では、年間を通じての返済能力を確認することが重要です。

借入可能額のシミュレーション

月々に返済可能な金額から逆算して、適切な借入額を算出するシミュレーションです。これは、堅実な資金計画を立てる際に特に役立ちます。

例えば、毎月の余剰資金が7万円の場合、年利4%、7年返済であれば、約490万円までの借入が可能と算出されます。このアプローチは、返済負担を先に設定することで、無理のない借入計画を立てられる利点があります。

返済能力に基づいた適切な借入額を設定することは、持続可能な事業運営の基本です。過剰な借入を避け、安定した財務状態を維持するために効果的な方法といえます。

繰上返済のシミュレーション

事業が順調に進み、余裕資金が発生した場合には、繰上返済を検討することで総返済額を削減できます。繰上返済シミュレーションを活用すると、一部の金額を前倒しで返済した際に、どれだけ返済額を節約できるかを簡単に把握できます。

例えば、500万円を年利4%、10年返済で借り入れた場合、3年目に100万円を繰上返済すると、総返済額は約607万円から約584万円へと減少します。これにより、約23万円のコスト削減が実現します。

繰上返済によって具体的にどのくらい返済額を抑えられるかを数値で明確にすることで、資金をどのように効率よく使うべきか判断しやすくなります。ただし、金融機関によって繰上返済手数料が設定されていることもあるため、実際の効果を計算する際には、手数料も考慮する必要があります。

借り換えのシミュレーション

既存の借入を、別の金融機関や商品に借り換えた場合のメリットを検証するシミュレーションです。市場金利の低下や自社の信用力向上によって、有利な条件での借り換えが可能な場合があります。

例えば、残高300万円(年利5%、残り4年)のローンを、年利3%の条件で借り換えると、総返済額は約12万円減少します。借り換え手数料等を考慮しても、長期的にはコスト削減になるケースが多くあります。

借り換えによる費用対効果を正確に算出することで、財務改善の機会を逃さず活用できます。特に、複数の借入がある場合は、一本化による管理コスト削減効果も期待できます。

返済シミュレーションの作成方法

ビジネスローンの返済シミュレーションを効果的に行うためには、正確な情報を用いた段階的なアプローチが重要です。実際の作成手順を見ていきましょう。

必要情報の収集

正確なシミュレーションのためには、借入条件に関する情報を詳細に収集することが第一歩です。必要な情報には、以下のようなものがあります。

借入希望額は事業計画に基づいて算出し、過不足のない金額を設定します。金利については、複数の金融機関から見積もりを取得し、実際に適用される金利を確認することが重要です。

正確な借入条件を把握することが、シミュレーションの精度を左右します。特に、金利タイプ(固定・変動)や返済方式(元利均等・元金均等)の違いは、返済額に大きく影響します。

必要情報 詳細
借入希望額 事業目的に必要な金額
適用金利 年率(%)表示の利息率
返済期間 年単位での返済予定期間
返済方式 元利均等方式または元金均等方式
据置期間 返済猶予される期間(ある場合)

シミュレーションツールの選択

返済シミュレーションには、さまざまなツールが利用可能です。目的や必要な精度に応じて、適切なツールを選択しましょう。

最も簡易なのは、エクセルなどの表計算ソフトです。PMT関数を使用することで、元利均等返済の月々の返済額を簡単に計算できます。より詳細な分析には、専用の金融計算ソフトや金融機関が提供するシミュレーターが適しています。

目的に合った計算ツールを活用することで、効率的かつ正確なシミュレーションが可能になります。公的機関が提供する無料ツールも多数ありますので、積極的に活用することをおすすめします。

代表的なシミュレーションツールには、以下のようなものがあります。

提供元 特徴 主な用途
日本政策金融公庫 公的融資に特化したシミュレーター 創業融資、設備資金等
各民間銀行 自行商品に特化したシミュレーター 事業ローン全般
金融庁 中立的な計算ツール 比較検討用
Excelテンプレート カスタマイズ可能な計算表 複合的な資金計画

シミュレーション結果の分析

シミュレーション結果を得たら、単に数字を確認するだけでなく、自社の経営状況との整合性を分析することが重要です。

月々の返済額については、直近の平均月次利益の30%以内に収まることが理想的です。これを超える場合は、返済期間の延長や借入額の見直しを検討する必要があります。また、総返済額については、借入による事業メリット(増収や経費削減効果)と比較し、費用対効果を評価します。

自社の財務状況と照らし合わせて返済の実現可能性を判断することが、シミュレーションの最終目的です。理論上の計算と実際の経営環境のギャップも考慮した、現実的な判断が求められます。

ビジネスローン返済シミュレーションの事例

具体的な事例を通じて、返済シミュレーションの活用方法と効果を理解しましょう。さまざまな状況に応じたシミュレーション例を見ていきます。

設備投資のための500万円の借入

製造業を営むA社は、生産性向上のために500万円の設備投資を検討しています。この投資により、月間利益が5万円増加すると見込まれます。

A社は年利3.5%、返済期間7年のビジネスローンを検討し、シミュレーションを実施しました。元利均等返済方式では、月々の返済額は約70,500円、総返済額は約591万円と算出されました。

投資効果と返済負担のバランスを検証することで、A社は投資判断の妥当性を確認できました。月間利益増加額(5万円)に対して返済額(約7万円)が上回っていますが、減価償却費を考慮すると実質的なキャッシュフローはプラスになると判断しました。

借入額 金利 期間 月返済額 総返済額 投資効果(月)
500万円 3.5% 7年 70,500円 591万円 5万円増益

運転資金のための300万円の借入

小売業を営むB社は、季節的な在庫増加に対応するため、300万円の運転資金が必要となりました。B社は、返済期間の異なる複数のプランでシミュレーションを行い、比較検討しました。

年利4.5%で借入する場合、3年返済では月々約89,500円、5年返済では月々約56,000円、7年返済では月々約42,000円という結果が出ました。B社の月次資金繰りから判断して、5年返済プランが最適と判断しました。

複数の返済プランを比較検討することで、自社の資金繰りに最適な選択ができます。B社は、余裕のある返済計画を選ぶことで、季節変動による売上減少時にも安定した返済を続けられる体制を構築しました。

返済期間 月返済額 総返済額 総利息
3年 89,500円 322万円 22万円
5年 56,000円 336万円 36万円
7年 42,000円 352万円 52万円

複数借入の一本化

サービス業を営むC社は、過去に複数のビジネスローンを利用し、3つの借入(合計残高400万円、平均金利5%)の返済に月々10万円を充てていました。C社は、借り換えによる一本化を検討し、シミュレーションを実施しました。

年利3.8%、5年返済で400万円を借り入れた場合、月々の返済額は約7.3万円となり、月々の負担が2.7万円軽減されることが分かりました。また、管理コストの削減効果も含めると、さらなるメリットがあると判断しました。

借り換えによる資金効率の改善効果を数値化することで、C社は財務体質の強化に成功しました。月々の返済負担減少分は、新規事業開発のための資金として活用し、会社の成長につなげています。

ビジネスローンの審査における返済シミュレーションの活用

金融機関はビジネスローンの審査において、企業の返済能力を重視します。返済シミュレーションの結果は、この返済能力の証明にも活用できます。

償還力の計算への活用

金融機関は、融資審査において「償還力」という指標を重視します。償還力とは、借入金を返済する能力を示す指標で、計算方法は以下の通りです。

償還力=(新規融資額+既存借入金残高)÷(税引後利益+減価償却費)

この計算式で導き出された数値が、企業の借入金を返済するために必要な年数を表します。一般的に、この数値が10年以内であれば返済能力があると判断されます。

自社の償還力を事前に把握することで、融資審査への準備が整います。例えば、年間利益500万円、減価償却費200万円の企業が、既存借入2,000万円に加えて新規で1,000万円借入れる場合、償還力は(1,000万円+2,000万円)÷(500万円+200万円)=4.3年となり、良好な返済能力があると評価されます。

返済シミュレーションを踏まえた返済計画の提示

金融機関は、資金繰り表やキャッシュフロー計画を確認し、返済資金の確保可能性を評価します。返済シミュレーションの結果を踏まえた、具体的な返済計画の提示が重要です。

効果的な返済計画には、月次ベースの売上・経費予測に基づく資金繰り表と、それに対応した返済スケジュールが含まれます。季節変動がある業種の場合は、繁忙期と閑散期の資金余力の違いも明示すると説得力が増します。

具体的なキャッシュフロー予測に基づく返済計画を提示することで、金融機関の審査担当者に返済の確実性を示すことができます。特に、新規取引先の金融機関に対しては、過去の返済実績だけでなく、将来の資金計画の説得力が重要になります。

返済シミュレーションを活用した交渉

返済シミュレーションの結果は、金融機関との融資条件交渉にも活用できます。自社にとって、最適な融資条件を引き出すための効果的なアプローチを考えましょう。

例えば、複数の金融機関から見積もりを取得し、シミュレーション結果を比較した上で、より有利な条件を提示している金融機関の条件を基準に交渉することが可能です。また、自社の返済能力の範囲内で、返済期間の延長や据置期間の設定を要望することも検討できます。

データに基づいた交渉を行うことで、感情論ではなく合理的な判断に基づいた条件交渉が可能になります。事業計画と連動した返済計画を提示することで、金融機関の理解と協力を得やすくなります。

まとめ

ビジネスローンの活用において、返済シミュレーションは単なる計算作業ではなく、事業の持続可能性を確保するための重要なプロセスです。適切な借入額と返済計画の設定は、安定した経営基盤の構築に直結します。

本記事で解説したように、シミュレーションには基本返済計画の確認だけでなく、借入可能額の算出、繰上返済効果の検証、借り換え効果の検討など、さまざまな活用方法があります。自社の状況に合わせて適切なシミュレーションを実施し、データに基づいた経営判断を行いましょう。融資検討の際には、必ず複数のシナリオでシミュレーションを行い、資金繰りに余裕をもたせた計画を立てることをおすすめします。

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