• TOP
  • 新着情報
  • 建設業におけるファクタリングの活用法!建設業に向いてる理由は?

建設業におけるファクタリングの活用法!建設業に向いてる理由は?

資材費や人件費など先行負担が多い建設業では、完成までの長い期間と大きな経費が重なり、資金繰りが苦しくなる場面が頻繁に生じます。特に、工事完了後にようやく代金が入金される仕組みは、経営者の頭を悩ませる大きな要因となることが多いものです。この記事では、このような建設業界特有の資金繰りに対応するための方法として注目されるファクタリングを取り上げ、その仕組みやメリット、さらに利用時の注意点について分かりやすく解説します。

建設業で資金繰りが厳しくなる原因

建設業では工事期間が長く、請負契約や多重下請構造が一般的です。こうした構造では入金が遅れることが多く、先行して材料費や人件費を立て替えなければならないため、資金のやりくりが難しくなりがちです。

長い工期によるキャッシュフローの停滞

建設業の案件は、小規模な改修工事から大規模プロジェクトまで多岐にわたります。しかし、どの案件でも工事着手から完成までに時間がかかることは共通の特徴といえます。工期が延びるほど、必要となる作業員賃金や部材の購入費用は、先に支払わなければなりません。

完成後に受注元から支払いを受けられるのは数カ月先、あるいは半年以上先になることも珍しくありません。そのため、工事期間中の資金負担が経営に重くのしかかり、余裕のない状況が生まれやすくなります。

また、着工から完成までは、想定外のトラブルも発生しがちです。追加工事や天候による工期延長など、計画通りに進まないことが工事業界では日常茶飯事です。その結果、入金がさらに遅れてしまうリスクが高まります。

多重下請構造

建設業では、元請や下請、さらには孫請といった多重下請の仕組みが確立されています。それ自体は業務の専門化や業者間の分業を促進する反面、代金の支払いが上流から下流へ段階的に行われるため、下流に行くほど資金を受け取る時期が後ろ倒しになりがちです。

特に孫請業者ともなれば、元請から下請業者へ、下請業者からさらに下請先へと順次支払いが移っていく形になるため、実際に手元に現金が入るまでが非常に長くなる傾向にあります。そのうえ工事進捗に合わせた段階請求の仕組みもあり、思った以上に資金繰りが圧迫されます。

また、回収手続きが煩雑になることも見逃せません。支払いに関する連絡や調整が数多くの業者をまたいで行われるため、意思疎通に時間がかかったり、書類不備でタイムロスが発生したりすることがあります。こうした事情が、安定したキャッシュフローを阻む大きな要因となっているのです。

立替費用と資材コストの上昇

工事において材料費の立替は欠かせません。鉄筋やコンクリート、内装材などを円滑に手配するため、先に自社資金を投入して調達し、工事を進めていく必要があるからです。さらに近年では、原材料価格の高騰や輸送費の増大が進み、立替負担がますます膨らむ傾向にあります。

一方、人件費や外注費も同時にかかってきます。専門的な技術をもつ熟練の職人や、工事現場を管理する監督に支払う賃金は決して安くありません。こうした支出が、竣工後の入金より先行することで、資金繰りに大きな重荷がかかるのです。

さらに、建設現場では安全対策にも気を配らなければなりません。防護ネットやヘルメット、足場など安全関連の設備投資も必要であり、これらも工事着手の時点で準備が求められます。経費の総額が大きくなればなるほど、回転資金をどう確保するかが経営の要になります。

ファクタリングと建設業との相性

ファクタリングは、売掛債権を必要に応じて現金化できる資金調達です。負債として計上されにくいため、建設業でも取り入れやすい点が注目されます。

ファクタリングの流れ

ファクタリングとは、自社がもつ売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価を先に受け取るという流れです。通常、工事を完了してから数カ月先に振り込まれる売掛金を、審査後すぐに現金化できる点が最大の特徴です。借り入れではないため、担保や保証人を用意する必要もありません。

具体的には、自社が取引先と結んだ請負契約や工事契約に基づき発生する売掛金を証明できる資料を、ファクタリング会社に提出します。その上で、ファクタリング会社は売掛先の信用を重視して審査を行い、合意が成立すれば売掛債権を買い取る形になります。

このとき、ファクタリング会社は、買い取る金額の一部を手数料などとして差し引き、残額を建設業者に渡します。そのため、売掛金の満額を手にできるわけではありませんが、資金調達までの時間が大幅に短縮される利点があります。通常であれば数カ月先の入金を、最短で即日から数日内に受け取ることが可能です。

また、建設業では、多重下請構造により取引先が複数存在するケースが多いため、その分、売掛債権も多種多様です。ファクタリングを使えば、こうした債権を一部または必要なタイミングで現金化できる柔軟性があります。これによって流動性が高まるため、急な支払いに対応しやすくなるというメリットがあります。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

ファクタリングには、大きく分けて2社間方式と3社間方式があります。2社間ファクタリングは、売掛先を巻き込むことなく利用できるため、取引先に知られたくないケースで重宝します。一方で、手数料はやや高めに設定されがちです。

3社間ファクタリングは、売掛先にもファクタリング利用の事実を共有し、売掛先からファクタリング会社に直接代金を支払ってもらう形をとります。そのため手数料は比較的低めですが、売掛先への通知が必要となる点で抵抗を感じる企業もあるでしょう。

建設業の場合、取引先との関係を重視する傾向が強いため、通知を行わない2社間ファクタリングを選択することもよくあります。

また、3社間ファクタリングでは、元請企業や下請企業が同意しないと利用できない場合もあります。工事契約書に譲渡禁止特約が含まれているケースもあるため、事前の書類確認が必要です。

建設業との相性がよい理由

建設業では、前述のように長期的な資金先行投資が日常的に発生するうえ、多重下請構造で代金が入りにくい状況が続きます。ファクタリングを利用すれば、債権をもとにした資金化が可能となり、銀行融資を待たずに速やかに必要資金を確保できます。返済義務が発生しない点も大きな魅力です。

また、ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、自社の信用度がそれほど高くない場合でも利用できる可能性があります。設立間もない企業や、過去に赤字決算があった企業でも審査が通りやすいケースがあるので、融資の審査に不安を抱える事業者にとっては心強い選択肢です。

さらに建設業の場合、一度に発生する売掛金の金額が大きいことも少なくありません。大口債権にも対応可能なファクタリング会社であれば、まとまった資金を迅速に調達できるため、停止しかけた工事を続行させることや、新たな案件に取り組むことがスムーズになります。

ファクタリングを利用するメリット

資金難を乗り越える対策として、ファクタリングは非常に実践的な手段です。銀行からの融資を待つことなく、売掛金を即座に現金化できることで、経営に安定感がもたらされます。

資金調達のスピードが速い

ファクタリングの大きな強みは、申し込みから資金受け取りまでのスピードが非常に速い点です。通常の金融機関からの融資であれば審査に数週間、時には1か月以上かかることがあります。しかし、ファクタリングであれば、最短即日から数営業日以内に資金が手に入るケースも珍しくありません。

建設現場では、突発的な費用が発生することや、急ぎで仕入れを行わなければならない状況が起こりやすいものです。このような緊急の出費にも素早く対応できるのは資金繰りに余裕をもたせるうえで大きな意味があります。

また、銀行融資では、審査の過程で過去の財務実績や経営状況が厳しくみられますが、ファクタリングは売掛先の信用力が審査の主軸です。自社が赤字決算であっても、売掛先が健全であれば資金確保が実現しやすくなります。

負債として計上されにくい

ファクタリングでは、売掛債権の譲渡によって資金を得るため、従来の借り入れと異なり貸借対照表上の負債が増えにくいという特徴があります。これは財務指標の健全性を保ちたい事業者にとって大きな利点です。

一般的に、融資を受けると負債が増えて自己資本比率が下がり、金融機関からの評価に影響が及ぶおそれがあります。ファクタリングであれば売掛金を資金化する手法のため、バランスシートへの負荷を抑えながら資金を確保できます。

さらに、貸借対照表をきれいに保つことで、将来的に新たな融資やリース契約を結ぶ際にも有利になります。特に、建設業では大型の設備や車両の購入をリースで行うケースも多いため、そのときの信用力を確保するうえでもファクタリングは価値ある選択肢といえるでしょう。

倒産リスクを回避しやすい

ファクタリングの中でも、ノンリコース方式では、売掛先が倒産した際のリスクを負わなくて済む点が注目されます。通常、融資では自社が借入金を返済する義務がありますが、ノンリコースのファクタリングであれば、売掛先が代金を支払えなくなっても建設業者自身に返済義務が生じないのです。

これは、多重下請構造で上位企業や元請が倒産してしまった場合でも、自社が連鎖的に大打撃を受けるリスクを低減できるという意味合いがあります。結果として、不測の事態でも事業を継続しやすくなるのです。

ただし、ファクタリング会社によってはノンリコースを扱っていないケースもあり、リコース方式では建設業者側にリスクが残ります。手数料だけをみて選ぶのではなく、リコースかノンリコースかも含めて契約内容を検討することが肝心です。

審査が比較的柔軟

銀行融資が利用しにくい背景には、建設業特有の不安定な受注状況が挙げられます。案件ごとの規模が大きいため年間売上が安定しにくく、決算書上の数字が乱高下しがちなことも融資審査に不利にはたらくことがあります。

その一方で、ファクタリングは、売掛先が大手ゼネコンや安定した企業であれば審査通過の可能性が高まりやすい仕組みです。自社の業歴や財務状況よりも、売掛先の支払い能力に重きを置くため、財務的に苦しい段階でも活用しやすい点がメリットといえます。

また、融資と比べて手続きが簡単なことも、建設業にとっては助けになります。決算書だけでなく、受注契約書や請求書などの書類をそろえるだけで手続きが完了する例もあり、書類準備の手間は融資審査ほど大きくありません。結果、急ぎの案件にも対応しやすいというわけです。

ファクタリング利用のデメリット

ファクタリングには、メリットだけでなく費用面や取引先への影響など、あらかじめ理解しておくべき注意点が存在します。

手数料負担

ファクタリングを利用すると、手数料が売掛金から差し引かれます。2社間ファクタリングの場合、とくに手数料率が高めに設定される傾向があります。これは取引先に秘密で進めるぶん、ファクタリング会社側にリスクが高いと判断されるためです。

一方、3社間ファクタリングでは、支払い先が直接ファクタリング会社となるなどリスクが軽減されるため、手数料が低めに抑えられる可能性があります。しかし、売掛先にファクタリングの利用を知られることで取引関係に影響が出る可能性もないとはいえません。

また、手数料だけでなく、ファクタリング会社によっては、その他の手続き費用が生じる場合があります。初期費用や管理費、登記費用など、総額で確認しておかなければ予想以上のコストを負担することになる恐れがあります。契約前に、細かな条件をよく確認しておくことが大切です。

売掛先への通知

3社間ファクタリングでは、売掛先への連絡や合意が必須となります。売掛先との関係性が薄い場合や、ファクタリングに理解を示さない企業が相手だと、話が難航する可能性があります。取引先から、資金に困っているのではという懸念を抱かれるリスクがあるのも事実です。

実際、取引先によっては、自社の工事を複数の下請業者に振り分けており、ファクタリングの通知を受けて手間と感じることもあるかもしれません。建設業界は顔の広さやつながりが重視される世界でもあるため、対外的な印象には慎重になる必要があります。

譲渡禁止特約による利用制限

建設業に限らず、契約書には債権の譲渡を禁止する旨の特約が含まれている場合があります。この譲渡禁止特約によってファクタリングが法律上できなくなるケースもあるため、契約書の内容を把握しておかないと、いざ利用したいときに制限がかかることがあります。

また、契約書の文言によっては、売掛先から個別に同意を得ることでファクタリングが可能になる場合もあります。いずれにしても、契約書を確認しないまま動き始めると、後から問題が発覚して追加コストや手間が発生しかねません。

ファクタリング会社によっては、譲渡禁止特約でも利用可能な方法を提案してくれるところもあります。しかし、こうしたケースでは手数料や契約条件が通常より厳しく設定されることもあるため、何が最善かを入念に検討しましょう。

ファクタリング会社を選ぶときのポイント

建設業でファクタリングを導入するとき、どのファクタリング会社を選ぶかは非常に大切です。手数料率や契約内容、サポート体制は各社で異なるため、自社の状況に合った選択をすることが必要となります。

手数料

ファクタリングを利用する際に、最も気になるのが手数料です。2社間ファクタリングなのか、3社間ファクタリングなのかによっても変わりますが、同じ方式であってもファクタリング会社によって手数料率が大きく異なることがあります。

そのため複数のファクタリング会社から見積もりを取り比較することが大切です。比較検討なしに即決してしまうと、後になって不利な条件に気づくことにもなりかねません。あまりに高額な手数料を支払うくらいなら、他の調達方法を検討する方が合理的な場合もあります。

債権額の対応範囲

ファクタリング会社の中には、一定金額以上の売掛債権しか取り扱わないところもあれば、少額債権にも対応しているところもあります。建設業では、小規模な修繕工事から大規模プロジェクトまで案件ごとに売掛金の額が変動するため、それらに柔軟に対応できる会社を選ぶことが重要です。

また、大口の売掛債権を取り扱う場合、ファクタリング会社の資本力や実績も確認しておきたい部分です。資本力が乏しい会社では、そもそも高額買取に対応できず断られる可能性もあります。大規模プロジェクトを多く抱える建設業社にとっては、安心して取引できるパートナーを見極めることが求められます。

契約の透明性とサポート体制

ファクタリングの契約では、手数料や買取条件だけでなく、入金までのスケジュールや追加手数料の有無など、多くの項目を確認する必要があります。内容が複雑な場合、後から思わぬ費用が発生することもあるため、契約書は丁寧にチェックしてください。

たとえば、売掛先が入金を遅延した場合の責任がどちらにあるのか、ノンリコースかリコースかなど、重要な点を曖昧にしないことが大切です。疑問があれば、しっかりと説明してもらいながら納得して契約を結ぶようにしましょう。

さらに、サポート面も要確認です。ファクタリング会社によっては、売掛先への連絡や手続きの手順などをサポートしてくれるケースがあります。建設業では、書類作成や工程管理などで忙しくなりがちなので、サポート体制の充実した会社は大きな味方となります。

実績の確認

資金調達を行う以上、相手となるファクタリング会社が信頼できるかどうかは最優先事項です。長年の実績があり、業界での評判が良い企業ほど安心度が高まります。ウェブサイトや口コミ情報などから、信頼性やトラブルの有無をチェックすることが望ましいでしょう。

建設業と積極的に取引しているファクタリング会社であれば、建設業界特有の事情を理解しており、必要書類や契約交渉もスムーズに進む可能性が高いです。先述の多重下請や長期工事などの特徴を踏まえたサポートが期待できます。

まとめ

本記事では、建設業で生じやすい資金繰りの問題と、その対策として注目されるファクタリングの基本や注意点を紹介してきました。工事期間が長期化したり、多重下請構造によって回収時期が後ろ倒しになったりするなど、建設業特有の課題をファクタリングは的確に解消しやすい手段といえます。

ファクタリングで早期に資金を確保して経営を安定させたい場合、まずは信頼できるファクタリング会社を選択することが大切になります。

前へ

コーポレートカードとは?メリット・デメリットから注意点まで紹介

一覧へ戻る

融資とファクタリングの違いは?それぞれのメリットやデメリットを徹底解説

次へ