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2025.02.03

外貨預金の確定申告方法!税務処理の注意点を解説

外貨預金は、金利収入や為替差益によって、有利な資産運用ができる一方で、税務処理が複雑になることがあります。具体的には、外貨預金の利息は税率20.315%(内訳=所
得税:15%、復興特別所得税:所得税額の2.1%(実質的に0.315%)、住民税:5%)の源
泉分離課税が適用されますが、一方で為替差益は雑所得として総合課税の対象となり、確定申告が必要になるかもしれないのです。

この記事では、外貨預金の利息と為替差益に対する課税方法の違いや、確定申告が必要になる条件、申告に必要な書類や計算方法などを詳しく解説します。また、含み益や基礎控除など、外貨預金の税務で押さえておくべき事項もわかりやすく説明します。

外貨預金の利息と為替差益への課税

外貨預金での収益には、利息収入と為替差益の2種類があります。それぞれ税法上の取り扱いが異なるため、注意が必要です。

利息(利子所得)の課税方法

外貨預金の利息は、利子所得として課税されます。利子所得には、税率20.315%の源泉分離課税方式が適用されます。

源泉分離課税では、金融機関が利息を支払う際に所定の税率で税金を差し引いて国に納付するため、預金者は確定申告の必要がありません。ただし、確定申告をすれば、雑所得との損益通算や基礎控除の適用を受けられる場合があります。

為替差益(雑所得)の課税方法

一方、為替レートの変動によって生じた為替差益は、雑所得として扱われます。雑所得は総合課税の対象となり、利子所得とは異なる課税方式が適用されます。

総合課税では、為替差益を他の所得と合算して累進税率で課税額を計算します。さらに、地方税5%と復興特別所得税0.315%が上乗せされます。為替差益が発生した場合は、確定申告が必要になるでしょう。

利息と為替差益の課税方式の違い

外貨預金の利息と為替差益では、適用される課税方式が大きく異なります。その違いを正しく理解しておくことが、適切な税務処理につながります。

項目 利息 為替差益
所得区分 利子所得 雑所得
課税方式 源泉分離課税 総合課税
税率 20.315% 累進税率+住民税
確定申告 原則不要 原則必要

外貨預金の確定申告が必要なケース

外貨預金を行う上で、確定申告が必要になる代表的なケースを紹介します。

為替差益が発生した場合

外貨預金を行う際、為替レートの変動により為替差益が発生した場合、確定申告が必要になります。為替差益は、外貨預金の元本を円に換算した金額と、預入時の為替レートで計算した金額との差額のことを指します。

この為替差益は、雑所得として総合課税の対象となり、累進課税方式が適用されます。また、国税に加えて地方税5%と復興特別所得税0.315%が追加で課税されることにも注意が必要です。

為替差損を他の雑所得と相殺する場合

外貨預金で為替差損が発生した場合、確定申告を行うことで、他の雑所得と損益通算することができます。これにより、他の雑所得で発生した利益と外貨預金の為替差損を相殺し、税負担を軽減することが可能です。

ただし、損益通算ができるのは雑所得の範囲内のみであり、他の所得区分との通算はできません。為替差損を活用する場合は、この点に気を付ける必要があります。

給与所得者や年金受給者の確定申告要件

給与所得者や年金受給者が外貨預金を行う場合、確定申告の要否について注意が必要です。先述の通り、一定の条件を満たせば確定申告は不要ですが、以下のような場合は確定申告が必要となります。

  • 給与所得者で年収が2,000万円を超える場合や、給与以外の所得が20万円を超える場合
  • 年金受給者で年金収入が400万円を超える場合や、年金以外の所得が20万円を超える場合

このような場合は、為替差益の有無にかかわらず、確定申告を行う必要があります。給与所得者の場合は源泉徴収票、年金受給者の場合は年金の源泉徴収票が必要となりますので、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。

外貨預金の確定申告で押さえておくべきポイント

外貨預金の確定申告には、いくつかのポイントがあります。ここでは、確定申告に必要な書類や為替差益の計算方法、申告期限とペナルティ、e-Taxを利用した申告方法について解説します。

確定申告に必要な書類

外貨預金の確定申告を行う際には、為替差益に関する証明書類が必要です。これは、金融機関から提供される取引明細書などが該当します。

また、給与所得者の場合は、源泉徴収票も必要となります。これらの書類を事前に準備することで、スムーズに確定申告を進めることができるでしょう。

為替差益・為替差損の計算方法

外貨預金の為替差益は、預入時と払戻時の為替レートの差によって生じます。具体的な計算方法は以下の通りです。

  1. 預入時の為替レートで外貨預金の円換算額を算出する
  2. 払戻時の為替レートで外貨預金の円換算額を算出する
  3. 2つの円換算額の差額が為替差益(または差損)となる

為替差益が発生した場合は、雑所得として総合課税の対象となります。一方、為替差損が生じた場合は、他の雑所得と相殺することができます。

確定申告の期限とペナルティ

確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に申告を完了させる必要があります。

もし申告が遅れてしまった場合、以下のようなペナルティが課されることがあります。

  • 延滞税の発生
  • 無申告加算税の対象

これらのペナルティを避けるためにも、期限内の申告を心がけましょう。

e-Taxを利用した申告方法

近年では、e-Taxを利用したオンラインでの確定申告が主流となっています。e-Taxを利用すれば、自宅からインターネット経由で申告ができるため、非常に便利です。

e-Taxを利用するためには、事前の準備が必要となります。マイナンバーカードの取得や、ICカードリーダライタの用意などが求められます。

一度準備が整えば、次年度以降はスムーズにe-Taxでの申告が可能となるでしょう。正確かつ効率的な確定申告を行うために、e-Taxの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

外貨預金がかかわる税務上の概念

外貨預金の確定申告を適切に行うためには、税務上の概念を一部理解しておく必要があります。ここでは、外貨預金に関連する主なものについて解説していきます。

含み益と確定益

外貨預金の税務処理を考える上で、含み益と確定益の違いを理解することが重要です。含み益とは、外貨預金の評価額が取得時よりも増加しているものの、まだ実現していない利益のことを指します。一方、確定益とは、外貨を売却したり、円に換金したりすることで実現した利益のことです。

含み益は課税対象外ですが、確定益は雑所得として課税対象となります。したがって、外貨預金の売却や換金のタイミングによって、税務上の取り扱いが異なります。

基礎控除の適用方法

外貨預金の確定益は、雑所得として総合課税の対象となります。ただし、所得税には基礎控除という制度があり、一定の所得までは課税されません。2021年現在、基礎控除額は48万円です。

したがって、外貨預金の確定益を含めた雑所得の合計額が48万円以下であれば、所得税は課税されません。ただし、基礎控除額を超える部分については、超過分に対して累進税率が適用されることになります。

雑所得内の損益通算

外貨預金の売却や換金によって生じた損失は、雑所得内で他の収入と通算することができます。つまり、外貨預金で損失が発生した場合、その損失を同じ年の他の雑所得の利益と相殺できるのです。

ただし、雑所得の損失を他の所得区分、例えば給与所得や不動産所得などとの通算はできません。あくまでも雑所得内での損益通算に限定されます。

外貨預金の税務面でのメリット

外貨預金は、国内預金とは異なる通貨で運用することで、為替リスクのヘッジや金利メリットを享受できる投資商品です。

分散投資による為替リスクヘッジ

外貨預金は、保有通貨を分散することで為替リスクをヘッジできるメリットがあります。例えば、円高時に外貨建ての資産を保有していれば、円ベースでの資産価値の下落を抑えられます。

また、複数の通貨に分散投資することで、特定の通貨の変動による影響を軽減できます。為替リスクを分散させることで、安定的な運用が可能になるでしょう。

金利の高い通貨での運用

外貨預金では、金利の高い通貨を選択して運用することで、円預金よりも高い利回りを得られる可能性があります。金利差を活用した運用は、長期的な資産形成に有効といえます。

ただし、金利の高い通貨は為替変動リスクも高くなる傾向にあるため、リスクとリターンのバランスを考慮する必要があります。自身のリスク許容度に合わせた通貨の選択が重要です。

少額投資非課税制度(NISA)の活用

少額投資非課税制度(NISA)を利用すれば、一定の範囲内で外貨預金の利息や為替差益が非課税となります。NISAは、投資初心者でも手軽に始められる税制優遇制度です。

年間120万円までの投資が非課税対象となるため、外貨預金をNISA口座で運用することで、税負担を軽減しつつ効率的な資産形成が可能です。ただし、NISAには一定の制限があるため、制度の詳細を理解したうえで活用しましょう。

外貨預金の税務面での注意点

外貨預金は金利収入や為替変動による利益を得られる一方で、税務面での注意点があります。ここでは、外貨預金の税金計算や確定申告時の留意点について解説します。

為替変動リスクによる予期せぬ税負担

外貨預金では、為替レートの変動により、円換算した元本や利息収入の金額が変動します。これにより、為替差益が発生した場合には雑所得として課税対象となり、予期せぬ税負担が生じる可能性があります。

例えば、1ドル100円の時に10,000ドルを預入し、1ドル120円で払い戻した場合、為替差益は20万円(=10,000ドル×20円)となります。この為替差益には、所得税と地方税が課されます。税率は所得金額に応じた累進税率が適用されるため、高額な為替差益が出た場合の税負担は大きくなる傾向にあります。

確定申告の手間

外貨預金では、為替差損益が発生した場合、確定申告が必要となります。利息収入は源泉分離課税のため確定申告不要ですが、為替差益は雑所得として総合課税の対象となり申告が必要です

確定申告では、為替差損益の計算や必要書類の準備など、一定の手間がかかります。特に、複数の外貨預金口座を持っていたり、頻繁に取引していたりする場合は、管理や計算が煩雑になりがちです。申告漏れのないよう、取引記録を適切に管理しておく必要があります。

海外口座の報告義務

外国の金融機関に口座を開設している場合、一定の条件のもとで「国外財産調書」の提出が必要となります。提出義務の対象は、12月31日時点の国外財産の合計額が5,000万円を超える者です。

外貨預金口座も国外財産の対象となるため、複数の海外口座を保有していて合計額が基準を超える場合は、調書の提出が必要です。正確な申告のために、海外金融機関から年間取引レポートなどを取り寄せ、資産状況を把握しておくとよいでしょう。

まとめ

外貨預金の利息と為替差益には、それぞれ異なる課税方式が適用されます。利息は源泉分離課税で税率20.315%ですが、為替差益は雑所得として総合課税の対象となり、確定申告が必要になるケースがあります。

外貨預金では、為替リスクのヘッジや金利メリットを享受できる一方で、為替変動による予期せぬ税負担や確定申告の手間など、税務面での注意点があります。これらを理解し、適切な税務処理を行うことが大切です。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 
同年 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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