2025.02.27
会社設立に必要な期間とは？スムーズに進めるためのポイントを紹介
会社を興す際の具体的な流れや必要な期間を、最初から正確に把握できている方は少ないかもしれません。会社形態ごとの違いや、定款の認証手続きなど、確認すべき点は多岐にわたります。
この記事では、会社設立にかかる期間について説明し、スケジュールを短縮する秘訣を紹介します。
会社設立にかかる期間
会社設立をスムーズに進めるためには、必要な期間を事前に把握することが欠かせません。
株式会社設立に要する期間
株式会社の場合は、公証役場での定款認証が必要です。定款を作成してから公証役場で確認・認証を受け、その後に登記申請へと進みます。手続き全体には約3週間程度を要するのが一般的です。手順が多いため、短縮にはスケジュール管理が非常に重要になります。
合同会社設立に要する期間
合同会社は、株式会社と異なり定款認証が不要です。必要書類がシンプルになるため、登記申請まで約2週間程度で完了するケースも少なくありません。
ただし、合同会社も基本的な準備工程や資本金の払い込みなどは行わなければなりません。書類の不備を防ぎ、必要書類を正確に準備しておくことで、短い期間で設立を目指すことができます。
会社設立の流れ
会社設立には複数のステップがあり、大筋の流れを把握しておくと、必要な期間を見通しやすくなります。
事前準備
会社名や事業内容を決め、資本金をどのようにするのかを明確化するなど、設立に向けた準備段階はとても大切です。この時点で必要な手続きをリストアップしておくことで、後の工程がスムーズになります。発起人の印鑑証明書や、会社印を手配することも入念に確認しましょう。
特に、資本金の場合は、用意する方法や口座、実際の振込日時などをきちんと計画しておくことが大切です。ここで余裕をもったスケジューリングを行うと、後工程のずれが最小限に抑えられます。
定款の作成と認証
定款は会社を設立する上での基本規則をまとめたもので、商号や事業目的、本店所在地など重要事項を決定します。株式会社の場合は公証役場の認証が求められますが、合同会社は不要です。公証役場での認証においては約1週間程度を見込むと安心です。
定款内容にはこだわりたい部分も出てくるかもしれませんが、時間をかけすぎると全体のスケジュールが遅れます。あらかじめ記載事項を整理し、複数の関係者がいる場合は事前に合意をとってから文章化するとよいでしょう。
資本金の払込と登記申請
定款が完成したら、資本金を指定口座に振り込みます。振込完了後は通帳のコピーや払込証明書が必要になるので、不備がないよう整理しておきましょう。この工程を終えたら法務局に登記申請を行い、通常1週間程度で登記が完了します。
登記申請は、会社設立日の確定にも直結します。受付を完了した日が設立日となるため、法人としての活動開始に向けた準備を並行して進めておくと効率的です。収入印紙が必要なケースもあるため、手続きに先立って金額などをしっかりと確認しましょう。
会社設立にかかる期間を短縮するためのポイント
会社設立にはさまざまな手続きがありますが、あらかじめ工夫することで期間を短縮することも可能です。ここでは、その具体的な方法をいくつかご紹介します。
チェックリストの活用
手続きの段階が増えると、必要書類の漏れや記載ミスが起こりやすくなります。そこでチェックリストを作成しておくと、進捗を確認しやすくなるため大変便利です。各工程が完了したタイミングでリストを更新し、誰がどこまで担当しているかを可視化すると、さらに効果的です。
リストには、提出先や必要な収入印紙、作成すべき書類名などをまとめると、作業のもれを防ぎやすくなります。特にチームで進める場合は、共有ツールを使うのもおすすめです。
オンライン手続きを活用する
法務局に提出する書類など、郵送対応やオンライン申請が可能なケースもあります。オンライン利用ができる場面では手続きの効率化を意識して、移動時間や待ち時間を大幅に削減するとよいでしょう。電子定款を作成すれば、印紙税が軽減されるというメリットもあります。
ただし、電子定款は事前にソフトや電子証明書の登録といった導入が必要です。思った以上に時間がかかる可能性もあるため、メリットと手間を比較しつつ導入を検討してみてください。
専門家に依頼する
設立の手続きには、税理士や司法書士などの専門家を活用する方法もあります。自力で行うには時間がかかりそうな作業をプロに任せることで、他の業務に集中できるメリットがあります。士業への依頼費用はかかりますが、設立が遅れたときのリスクなども考慮して検討するとよいでしょう。
法的書類の作成や定款の認証など、初めて手掛けると意外にハードルが高い部分も多いものです。事前に相談することで、短期間で必要事項を網羅できる可能性があります。
効率的に手続きを進めるための注意点
スムーズな会社設立を実現するためには、ミスのない書類作成やタイミングを見極めた申請が重要です。ここでは、よくあるトラブルを防ぐための事前対策をまとめます。
書類不備を防ぐポイント
誤字脱字はもちろんのこと、押印漏れや日付の記載ミスなどがあると、申請が受理されない場合があります。特に印鑑証明書の期限は意外と見落とされがちなので、法務局に提出する際には十分注意しましょう。期限切れや発行日から日数が経過しすぎると再取得が必要になるため、スケジュールに余裕をもって準備しておくことが大切です。
書類を作成したら1日置いて再確認するといった工夫や、第三者にダブルチェックしてもらう方法も効果的です。可能であれば、専門家の確認を受けることでリスクを大幅に減らすことができます。
登記申請のタイミング
設立日は登記申請をした日となるため、計画どおりに手続きを進めたい場合は法務局の開庁日を事前に確認しておくことが重要です。土日祝日や年末年始は申請ができず、連休明けは混み合う場合もあるため、提出が遅れる場合があります。
法人化と同時に事業をスタートさせたいケースでは、事前に法人名義の銀行口座開設や契約作業などを視野に入れたスケジュールづくりが求められます。時間が許すなら、ゆとりをもって1週間程度のバッファ期間をとることをおすすめします。
設立日を選ぶ際の配慮
登記申請日を会社設立日として扱う都合上、週末や祝日は設定できません。連休前に申請すると登記完了が遅れる場合もあるため、計画段階で日程を逆算して決めましょう。年度末や始まりの時期は法務局が混雑しやすいため、特に注意が必要です。
また、縁起の良い日を設定したい場合にも、書類の準備が間に合わずにやむを得ず日程がずれることがあります。どちらを優先するか、事前に方針を決めておくとスムーズです。
会社設立の期間を短縮するコツ
設立に必要な期間をさらに短縮したい場合、事前準備の徹底や効率的な進め方が不可欠です。
準備段階の効率化
まずは、基本情報を整理するフェーズにしっかり時間をかけておきましょう。商号や事業目的、資本金、出資者などの決定事項は早めに確定させることで、書類作成までの時間を短縮できます。また、この段階で必要印鑑の作成や、印鑑証明の取得段取りなども進めておくと効率的です。
本店所在地についても、後から変更となると追加の登記手続きが発生します。将来的な事業展開やコストなども考慮し、最初にしっかりと選定しておくことが望ましいでしょう。
定款作成のスムーズ化
定款作成がスピーディーに行われるかどうかが、全体の進捗を左右します。ひな形を活用するなどして早い段階で草案を作成し、必要に応じて専門家の助言を仰ぎましょう。株式会社なら公証役場での認証にも時間がかかるため、仮予約をとるなどスケジューリングも一緒に進めると安心です。
定款の内容に迷いが生じやすいのは、事業目的や取締役に関する部分です。法令上の制限をクリアするためにも、わかりやすい表現と正確さを両立させることが大切です。
資本金の計画的な用意
資本金の振込証明が取れなければ、登記申請に進めません。資金調達に時間がかかりそうな場合は、できるだけ早い段階から資金繰りの計画を立てておきましょう。金融機関から融資を受ける場合、融資審査や書類提出に余計な日数がかかることも多くあります。
振込後には通帳のコピー等の管理が発生するため、手続きの直前に焦ることのないよう、資本金の金額と振込日時をしっかりと確保しておくことが肝心です。
会社設立を成功へ導く心構え
短い期間で会社を立ち上げるには、行動時期と作業内容のバランスだけでなく、心構えや事前の準備力が大切です。
目標設定と進捗管理
会社設立の手続きには、予期せぬ遅れがつきものです。そこで具体的な目標日を設定して逆算し、タスクごとに計画を立てておくことが重要になります。ガントチャートやプロジェクト管理ソフトなどの活用もおすすめです。
複数の関係者が関わる場合は、役割分担のルールを定めておくとスムーズです。期日が迫るなかで情報共有がうまくいかないと、全体の遅れにつながる可能性があります。
専門家への相談
自力で行えば安く済むが時間と労力がかかり、専門家に依頼すれば速いが費用が発生するというケースがあります。
ただ、新事業に早く着手し収益を生み出したい、という意識があるなら、専門家を積極的に活用するメリットは大きくなります。費用の内訳をきちんと説明してもらった上で、最適な方法を選ぶようにしてください。
トラブルを想定した準備
設立予定日直前に書類を見直して不備が発覚したり、想定外の出費があったりと、トラブルを完全に防ぐことは難しいかもしれません。そのため、あらかじめ考えられるリスクを想定しておき、万一の際にどう対応するかシミュレーションしておくと安心です。
例えば、予備の日数を設定したり、担当者間で早めのレビューを行ったりするのも効果的です。
まとめ
ここまで、会社設立の流れや期間、スムーズに進めるためのポイントなどを解説しました。事前準備から登記申請に至るまで多くのステップがあります。全体像を把握して、スケジューリングを進めていきましょう。
最終的には、計画的な準備と行動が大切です。会社設立の期間を短縮したい方は、この記事で紹介したコツをぜひ取り入れてみてください。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
