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2025.03.07

社内向け事業計画書の作成法!書き方のポイントや盛り込む項目を徹底解説

事業計画書は、企業や個人事業主がビジョンや目標を具体化して共有するために欠かせない書類です。特に、社内向けに作成する場合は、従業員や経営層が事業に対する方向性を共有し、組織全体のモチベーションを高める効果が期待できます。

この記事では、社内向けに活用したい事業計画書の作成法を、基本構造から盛り込む項目、そして完成度を高めるさまざまなテクニックまで幅広く解説します。具体例やテンプレートを参考に、環境分析や財務計画まで実践的に検討してみてください。

CONTENTS

事業計画書を社内向けに整備する必要性

社内向けの事業計画書は、方向性のズレを減らし、一体感を生み出す手段として大きな役割を果たします。

組織内で目標を共有する重要性

多くの従業員は、日々の業務に追われる中で大きなビジョンを見失いがちです。そこで事業計画書を定期的に社内向けに見直すことで、企業全体のゴールを意識しながら動けるようになります。

企業が目指す方向(ビジョン)や数値目標(KPI)を示すことで、個々の作業がどのように成果や企業成長につながるかを実感できます。さらに、組織の一体感が高まるため、モチベーションにも良い影響を与えます。

社内のリソース配分を最適化する

事業計画書を通じて、各セクションがどの程度の予算や人材を必要としているかが明確になります。組織全体を俯瞰しながら効率的にリソースを配分するためには、部署間での連携や優先順位の確認が不可欠です。

社内向けに整備された情報があることで、経営陣は重要な意思決定を下しやすくなります。社内コミュニケーションの土台としても、役立つ点が大きいでしょう。

事業計画書を作るメリット

事業計画書には多くの恩恵がありますが、社内向けの視点で特化すると、メリットがより明らかになります。従業員や関係者が一体感をもちやすいのはもちろん、学習ツールとしても活かしやすいのが特徴です。

ビジョン共有がスムーズになる

事業計画書に経営陣の考えや目標がまとめられていると、従業員が意思決定の根拠を理解しやすくなります。これにより迅速なプロジェクト推進が可能になり、社内の混乱を減らす効果も期待できます。

また、目標数値やスケジュールがはっきりすることで、達成に向けた努力の方向を統一できます。全員が同じゴールを理解している状態をつくることが、成果につながる大きなポイントです。

リスク管理と改善が容易

事業計画書には、リスク要因や競合分析などが含まれるため、問題が生じる前に対策を検討しやすくなります。強みと弱みを踏まえて情報をまとめておけば、迅速な課題解決が行える体制を築けます。

さらに、計画段階で潜在的なリスクを洗い出しておくことで、余計な損失を回避しやすくなります。事業を進めるうえでの安心感を得られる点も見逃せません。

社内向け事業計画書作成の際の注意点

一方で、社内向けに事業計画書を作成する際には、時間や手間といった負担があるのも事実です。そこをいかに最小限に抑え、効率的にまとめるべきかを理解しておくことが必要です。

作成に時間とリソースがかかる

各部署から情報を集めたり、経営陣とのすり合わせを行ったりすると、多くの工数がかかります。そのため、プロセス全体を見直すことが重要です。

納期を設定し、担当者を決めておかなければ、計画書の完成時期が不透明になりがちです。現場の理解と協力を得やすい体制づくりも忘れないようにしましょう。

情報が陳腐化しやすい

市場環境や競合の動向は常に変化します。完成した時点では最新でも、時間が経つほど情報が古くなる可能性があります。定期的なアップデートが必要であり、これを怠ると計画全体の精度が下がってしまいます。

頻繁に改訂版を発行する場合は、ある程度のテンプレート化やスケジュール化、モジュール化が欠かせません。そうすることで、急な修正が必要になったときでも対応しやすくなります。

事業計画書の基本構造と目的

事業計画書は全体像を押さえ、目的を明確にすることが大切です。社内向けの用途をはっきりさせることで、必要な情報を盛り込むべきポイントがみえてきます。

全体構成の例を知る

一般的な事業計画書は、企業の概要、事業の内容、競合分析、財務計画など多岐にわたります。社内向けの場合は、組織全体で共有すべき視点を優先し、特に強みと弱みをわかりやすく整理することがポイントです。

以下は主な構成例です。

  • 企業の概要
  • 事業の概要
  • 従業員の状況
  • 環境面と競合他社
  • 自社の強みと弱み
  • サービスや商品の概要
  • 販売戦略やビジネスモデル
  • 体制や人員計画
  • 財務計画

目的を再認識する

社内向けに作成する際は、全員が共有すべき「どのような事業を、どう実行していくのか」を明確にすることが重要です。意思決定の指針として機能させるためにも、企業理念や将来のビジョンをしっかり組み込みましょう。

外部向けの資金調達用と違い、社内向けでは細かい業務内容や担当ごとの課題などを詳細に記載する意義が高まります。この違いを意識することで、ミスマッチを防ぎます。

企業の概要をまとめるポイント

企業の概要は、社内のメンバーにとって当たり前の情報にみえますが、改めて確認することで認識の統一が図れます。連絡先や役員構成などを整理することで、社内的な信頼感も醸成されます。

基本情報の整理

企業名や所在地、連絡先はもちろん、代表者や役員の略歴などを一元的にまとめます。企業の歴史や沿革を簡潔に記載しておくと、組織の歩みや特徴が伝わりやすくなるでしょう。

また、株主構成や主要取引先を記載する場合には、どの程度の安定性や強みがあるのかを示す目安にもなります。社内でも、株主や取引先の動向を把握しておくことは重要です。

表を用いてシンプルに示す

文章で羅列すると分かりにくくなる場合は、表形式にすると全員が瞬時に理解できます。役員と担当分野などをまとめると、誰がどの領域で責任をもつかが明確になります。

例として、以下のような表を設けると良いでしょう。

役職 氏名 主な担当領域
代表取締役 A氏 全体統括、資金調達
取締役 B氏 営業戦略、顧客対応
取締役 C氏 開発体制管理、新規事業

事業の概要を明確にする方法

運営している事業内容を全社的に共有しておくと、部署を超えたコラボレーションがしやすくなります。コンセプトやビジョンをまとめることで、個々の行動がどのように目標に結びつくか理解できるようになります。

事業コンセプトの伝え方

事業コンセプトは、会社の理念やミッションに基づいて設定します。ステークホルダーが求める価値を明確にし、それをどのように実現していくかを記すのがポイントです。具体的には、ビジョン、ミッション、コンセプトと分けて検討すると、経営におけるレベル感が分かり現場での理解が向上します。

さらに、ことばで表すだけでなく、具体的な事例や数値目標と併せて示すと、より説得力のある計画書になります。視覚的な資料を活用して、社内向けにインパクトを与えましょう。

5年後のビジョンを設定する

中長期的な目標を定めておくと、日々の意思決定がぶれにくくなります。未来像を設定することで、短期的な投資や採用計画なども計画的に進めやすくなります。

5年後の売上目標や市場シェアなどを、定量的に書くのもおすすめです。その際、社内向けかつ実現可能なラインを示すことで、従業員の納得度を高めることができます。

従業員の状況を把握する大切さ

従業員数や勤務形態などの情報は、実際に事業を遂行するうえで欠かせない要素です。社内向けに明示しておくと、個々の立ち位置や将来の採用計画などが共有できます。

現状の人数とスキルセット

部署ごとに人数を把握し、その人たちがどのようなスキルや経験をもっているのかを一覧化します。人材の強みを活かす配置を進めるためにも、細かなスキルマップをつくることが効果的です。

現場レベルで不足している人材があれば、それを採用計画や育成計画に直結させられます。予算や時期との兼ね合いも考慮しながら、計画的に人員を確保しましょう。

働き方とモチベーション管理

従業員の勤務時間や労働環境の情報も、事業計画書に含めることで組織全体の状況を客観的に整理できます。社員の定着率が上がる施策を盛り込むと、長期的なコスト削減にもつながります。

また、モチベーションを高めるための制度や、研修の計画などを具体的に記しておくと、社内の雰囲気向上にも寄与します。従業員満足度と事業の成長は、密接に結びついているのです。会社の重要な非財務資本の中に、人的資本というのがあります。単純な従業員のモチベーションの醸成だけではなく、従業員が能動的に会社のために考え行動するという考え方として、従業員エンゲージメントというものもあります。

環境面と競合他社の分析を行う

社内向けの事業計画書であっても、市場規模や競合状況を把握することは欠かせません。具体的な分析結果を共有することで、外部環境に対する理解を深めることができます。

市場規模の把握と需要予測

自社が参入している、あるいは今後参入する見込みの市場規模を示すことが大切です。可能性のある市場を選定する際に、数値を根拠にすると説得力が高まります。

需要予測も併せて行い、顧客ニーズの変化に対応できるかを検討しましょう。季節要因や経済情勢なども視野に入れると、より現実的な計画になります。

競合他社の動向と差別化戦略

競合の強みや弱み、サービス内容を知ることで、自社の方向性を決めやすくなります。差別化ポイントを見つけるには、価格設定だけでなく、ブランディングやカスタマーサポートなど多方面からの比較が効果的です。

社内向けに情報を共有しておくと、一人ひとりが自社の強みを意識した行動を取りやすくなります。社内でのマーケット理解度が上がるほど、売り方やサービス対応が磨かれるでしょう。

自社の強みと弱みを整理する

強みと弱みを客観的に把握することは、戦略立案やリスク管理にとって極めて重要です。特に、社内向けには具体的な事例を挙げながら、改善の方向性を共有するとよいでしょう。

強みを活かし信頼を高める

商品力や技術力、ブランド力などが挙げられますが、社内向け事業計画書にもはっきりと記載しておくことで、組織の自信を高めることができます。

顧客や取引先からの好評価や受賞歴などがあれば、具体的な数字とともに示すと説得力があがります。営業資料への展開もしやすいため、一石二鳥の効果が期待できます。

弱みの分析と改善策の提示

人材の不足や製品ラインナップの限定など、社内ならではの視点でみつかる課題を整理します。迅速なフォローアップにつなげるために、課題に対して誰がどのような方法で対処するかを明記するとよいでしょう。

内部で改善を主導できる体制を整えれば、外部要因によるリスクも最小限に抑えられます。弱みを真正面から捉え、改善策までセットで示すのが社内向けの肝です。

サービスや商品の概要をわかりやすく記載

提供する商品やサービスの特徴を詳しく説明し、他とは違う魅力を分かりやすく社内で共有することが欠かせません。顧客のメリットを意識した説明をメインにすると、従業員も売りやすさを理解しやすくなります。

具体的な製品メリットを整理

性能面、価格面、アフターサービスなど、ユーザーが得られる利点を明確に洗い出します。魅力を短い言葉でまとめると、営業担当が即座に活用できる資料に変わります。

複数の商品がある場合は、それぞれのターゲット層や特徴を比較できるように一覧化しておくのがおすすめです。これにより、製販連携がスムーズに行えるでしょう。

導入事例やユーザーの声を活用

もし既に導入している顧客がいる場合は、その成功例を簡潔に追加することで社内のモチベーションを高められます。実績データを共有することで、事業拡大の可能性をスタッフ全員が実感できます。

サービスや商品の魅力を客観的にバックアップする証拠としても役立つため、計画書内での価値が高まります。動画や画像など、ビジュアル資料を加えると、さらに理解が深まるでしょう。

販売戦略とビジネスモデルの立て方

売上を伸ばすためには、販売チャネルやマーケティング手段をしっかりと計画に盛り込む必要があります。どのようなビジネスモデルで利益を確保するかも重要な視点です。

販売チャネルの選択

直販、代理店、オンライン販売など多くの選択肢があります。最適なチャネルを選ぶためには、ターゲット層や商品特性を考慮した検討が必要です。

社内向けの説明では、なぜそのチャネルを選んだのかという根拠を明示すると、現場が行動しやすくなります。マーケティング施策とも連動しながら、集客の具体策を記載しましょう。

ビジネスモデルと収益構造

一度の販売で収益を得る形なのか、サブスクリプション型の継続課金なのかにより、事業の組み立て方は大きく変わります。持続的な利益を追求するための仕組みを明確にしましょう。

固定費や変動費の内訳、ブレイクイーブンの時期などをシミュレーションしておくと、社内での資金繰りの計画も立てやすくなります。

体制や人員計画の作り方

事業計画を実行するための組織構造や人材配置は、長期的な成長戦略を左右します。役割分担を明確に定めておけば、実務をスムーズに進められます。

組織図をわかりやすく示す

役職や部署の連携には、視覚的な組織図が有効です。責任の所在を明確化することで、各チームが自律的に動くための指針をつくれます。

大企業であれば、階層が多くなるほど複雑になりがちです。部署間のコミュニケーションルートも活動しやすい形に整えましょう。

人員計画とスキルアップ

新規採用や既存社員のキャリア形成などを、総合的に考慮します。必要なポジションの明文化は、計画書を作る段階で早めに行い、予算編成や社内調整をスムーズに進めましょう。

研修プログラムや評価制度もあわせて記載し、従業員がどのように成長していくかを明確にすることで、長期的な安定経営につなげます。

財務計画が生む安心感

数値面の裏付けがある事業計画書は、社内の信頼度を高める重要な要素です。収支予測が明確であれば、戦略を進めるうえでのリスク感覚も養えます。

売上高や利益の予測

過去の実績や市場調査をもとに、売上高や利益の見込みを整理しましょう。具体的な期間別の試算を示すことで、資金が必要な時期や規模を把握できます。

細かい項目ごとに計画を立てておくと、後々の経営判断がスムーズになります。社内向けであれば、想定外の費用が発生した際のシミュレーションも追加するとよいでしょう。

資金調達と投資判断

内部留保だけでなく、融資や出資を検討している場合は、その必要性と返済計画なども具体的に示すと透明性が高まります。投資回収の見込みを数字で表すことも重要です。

例えば、設備投資を行うタイミングや、どのようにその効果を評価するかなど、詳細を計画書に含めることで、組織全体が安心して動ける仕組みをつくることができます。

図や表の挿入で伝わりやすくする

文字だけでは把握しづらい情報も、図や表を駆使すると理解が一気に深まります。特に社内向けには、可視化によって全員が共有しやすくなるのが大きな利点です。

グラフで数値をみせる

売上推移や市場規模などをグラフ化し、どのようなトレンドがあるのかを明確に示しましょう。ポイントを絞った可視化で、読み手の理解を手助けできます。

折れ線グラフや円グラフなど、伝えたい内容に応じて形式を選択すると効果的です。色分けやラベルも工夫して、見やすさを追求してください。

表を使ったデータ比較

競合他社とのラインナップや価格差などを比較する際は、表形式が重宝します。要点がひと目でわかる配置を意識し、セルの配色や文字の強調も適度に活用しましょう。

発表や社内プレゼンで使用するときにも、そのまま流用できるため時間を節約できます。計画書を、実際に運用する場面をイメージして作成するのがコツです。

統一されたフォーマットを維持する

事業計画書全体のフォントや文字サイズなどを統一しないと、読み手は違和感を抱きやすくなります。せっかくの内容が伝わりにくくならないよう注意が必要です。

ビジュアル面の整合性

セクションごとに見た目がばらばらだと、プロフェッショナルに欠ける印象を与える恐れがあります。同じテンプレートを使うことで説得力が増し、読みやすさもアップします。

カラースキームや段落の余白も含めて全体を調整してください。資料を使い回す際にも、同じデザインを踏襲することでスムーズに対応できます。

編集の効率化と更新のしやすさ

テンプレートや書式を標準化すれば、追加情報の挿入やデータの差し替えが容易になります。定期的なメンテナンスが必要な場合も、レイアウト面での手戻りを最小限に抑えられます。

社内で複数の人が編集を担当する際にも、統一フォーマットなら作業手順がわかりやすく、不備を見つけやすいのが利点です。

具体例とテンプレートを活用した作り方

初めて事業計画書を作る場合や、新たにフォーマットを刷新したいときは、テンプレートや他社の例を参照すると便利です。要点を押さえながら、自社オリジナルに仕上げましょう。

テンプレートを活用するメリット

あらかじめ枠組みが用意されていると、記入漏れや記載順序の迷いを減らすことができます。作業効率を大幅に向上させるには、基本となるひな形をもっておくのが一つの手です。

ネット上で公開されているテンプレートや、コンサルティング会社が提供するフォーマットを参考にするとつくりやすいでしょう。そこから、自社の特色に合わせて修正を加えます。

社外事例から学ぶポイント

他社の事業計画書を見る機会があれば、書き方や構成、デザインなどをチェックしましょう。優れた事例を取り入れることで、独自性を出しつつも完成度が高いものに仕上がります。

ただし、そのままコピーすると自社の文化や戦略に合わない場合があるため、必要な部分だけをカスタマイズして使うのがおすすめです。

まとめ

ここまで、社内向けの事業計画書を作成するために必要な構成要素やポイントを詳しく解説しました。目的の明確化から各種分析、財務計画、統一フォーマットまでを一貫してまとめることで、従業員全員が同じビジョンを共有できます。

最終的には、自社の現状や将来のビジョンを社内でしっかり認識し合うためのツールとして、事業計画書を活用することが大切です。これを機に、ぜひ自社の事業計画書をアップデートし、新たな行動を始めてみてください。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
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