2025.05.13
ファクタリングにおける支払いとは?流れや期日、支払手段についても解説
事業経営をしていると、資金繰りに困り、事業資金をどう確保するかという資金調達の課題に直面することがあります。特に売掛金の回収が遅れると、それが原因で資金繰りが悪化してしまうことが多いといわれています。
このようなときに役立つ方法として、ファクタリングがあります。ファクタリングを利用すれば、売掛金を早期に現金化できるため、資金繰りの改善が期待できます。ただし、実際にファクタリングを利用する際には、支払いの流れや注意点について、事前にしっかり把握しておかなければなりません。
本記事では、ファクタリングの支払いの仕組みから実務上の注意点まで、経営者が事前に押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。
ファクタリングにおける支払いとは
ファクタリングにおける支払いとは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡した後、最終的にその売掛金が回収される際の資金移動を指します。
支払いの基本的な仕組み
ファクタリングは、企業が持つ売掛債権を早期現金化するサービスです。企業は売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として債権額から手数料を差し引いた金額を受け取ります。
その後、売掛金の支払い期日が到来すると、取引先からの支払いがファクタリング会社に対して行われます。これが、ファクタリングにおける支払いの基本的な流れです。
資金の流れを正確に把握することで、自社の資金繰り計画も立てやすくなります。支払いのタイミングや方法を理解することは、ファクタリングを効果的に活用するための重要なポイントです。
通常の売掛金回収との違い
通常の取引では、売掛金は取引先から自社へ直接支払われます。しかし、ファクタリングを利用すると、この資金の流れが変わります。
ファクタリングでは、売掛債権自体がファクタリング会社に移転するため、本来であれば自社に入金されるはずだった資金が、ファクタリング会社に支払われる形になります。
つまり、通常の売掛金回収では「取引先→自社」という資金の流れだったものが、ファクタリングでは「取引先→ファクタリング会社」あるいは「取引先→自社→ファクタリング会社」という流れに変わるのです。
資金の流れの変化を正確に理解することが、ファクタリングを利用する際の混乱を避けるためには必要です。特に、初めてファクタリングを利用する企業は、この違いをしっかり認識しておくことが重要です。
ファクタリングの支払いの流れ
ファクタリングにおける支払い方法は、主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。それぞれ支払いの流れや特徴が異なります。
2社間ファクタリングの支払いの流れ
2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社の間だけで完結する仕組みです。売掛先である取引先には、ファクタリングを利用していることが知られることはありません。
支払いの流れとしては、まず売掛先から利用企業へ通常通り売掛金が支払われます。その後、利用企業が受け取った売掛金を、ファクタリング会社へ支払うという形になります。
回収した売掛金を確実に管理することが非常に重要です。売掛金を受け取った後、ファクタリング会社への支払いを忘れたり、他の用途に使ってしまったりすると、契約違反となり大きなトラブルになる可能性があります。
2社間ファクタリングの手数料は比較的高めで、一般的に8〜18%程度となっています。これは、ファクタリング会社側にとって、売掛金が確実に回収できるかどうかのリスクが大きいためです。
3社間ファクタリングの支払いの流れ
3社間ファクタリングは、利用企業、ファクタリング会社、そして売掛先の3者が関わる仕組みです。この方式では、売掛先に対してファクタリングを利用していることを通知し、承諾を得る必要があります。
支払いの流れとしては、売掛先がファクタリング会社に直接支払いを行います。利用企業が資金を一度受け取って転送するというステップがないため、資金の管理負担が軽減されるメリットがあります。
事前に売掛先の承諾を得ることが必須条件となります。これは債権譲渡の通知を行うプロセスであり、法的にも重要な手続きです。
3社間ファクタリングの手数料は、2社間と比べて低めで、一般的に2〜9%程度となっています。これは売掛金の回収リスクが、ファクタリング会社にとって低くなるためです。
2社間と3社間の選択
2社間と3社間、どちらの支払い方法を選ぶかは、企業の状況や取引先との関係性によって判断する必要があります。
取引先に資金繰りが厳しいことを知られたくない場合や、ファクタリングの利用を秘密にしたい場合は、2社間ファクタリングが適しています。ただし、手数料は高めになることを覚悟する必要があります。
一方、取引先との関係が良好で、ファクタリングの利用について理解を得られる場合は、手数料が安い3社間ファクタリングが有利です。特に、大口の売掛金を現金化する場合は、手数料の差が大きな金額になるため、検討の価値があります。
自社の状況に合った方法を選択することが、ファクタリングを効果的に活用するためのカギとなります。初めてファクタリングを利用する場合は、専門家や複数のファクタリング会社に相談して、最適な方法を見つけることをおすすめします。
ファクタリングの支払い期日
ファクタリングにおける支払い期日は、通常の売掛金の回収サイクルと密接に関連しています。いつ、どのように支払いが行われるのかを正確に理解しておくことが重要です。
支払い期日の決め方
ファクタリングにおける支払い期日は、基本的に元の売掛金の支払い期日と同じになります。つまり、通常の取引における入金日が、そのままファクタリングの支払い期日となるのです。
一般的なビジネス取引では、売掛金の回収サイクルは30日、60日、90日などが多く見られます。たとえば、60日サイトの取引であれば、商品やサービスの提供から60日後が支払い期日となります。
元の売掛金の支払条件を確認することが、ファクタリングを利用する際の第一歩です。支払い期日が明確でない場合、ファクタリングの契約自体に問題が生じる可能性があります。
また、ファクタリング契約を結ぶ際には、この支払い期日が契約書に明記されます。これにより、いつまでに支払いを完了させる必要があるのか、法的に明確になります。
業種別の一般的な支払い期間
業種によって、一般的な売掛金の回収サイクル(支払い期間)は異なります。ファクタリングの支払い期日も、これに準じて決まることが多いものです。
製造業では、部品や原材料の取引においては、30日から60日サイトが一般的です。大きな設備や機械などの場合は、90日以上のケースもあります。
小売業では、比較的短い支払いサイクルが多く、30日以内の支払いが一般的です。ただし、大手小売チェーンと取引をする場合は、支払い条件が厳しくなることもあります。
建設業は、特に支払いサイクルが長く、90日から120日といった長期の支払い条件が珍しくありません。そのため、建設業はファクタリングの需要が高い業種の一つとなっています。
IT・サービス業では、月末締め翌月末払い(約30日)が標準的ですが、大型プロジェクトや官公庁との取引では、もっと長いサイクルになることもあります。
業界の標準的な取引条件を理解することで、ファクタリングを利用する際の計画も立てやすくなります。特に、季節変動が大きい業種では、繁忙期前にファクタリングを活用するなどの戦略も考えられます。
ファクタリングの支払い方法
ファクタリングにおける支払い手段は、実際にどのような方法で資金のやり取りが行われるのかを指します。適切な支払い手段を選択することで、安全かつスムーズな取引が可能になります。
銀行振込による支払い
ファクタリングにおける最も一般的な支払い手段は、銀行振込です。安全性と追跡可能性の高さから、ほとんどのファクタリング取引で採用されています。
2社間ファクタリングの場合、売掛先からの入金を受けた後、利用企業がファクタリング会社の指定口座に銀行振込で支払いを行います。この際、振込手数料は通常、利用企業側の負担となります。
3社間ファクタリングでは、売掛先が直接ファクタリング会社の指定口座に振り込みます。この場合、支払いに関する通知書などが事前に売掛先に送られており、それに基づいて振込が行われます。
振込時の明細情報を正確に入力することが重要です。特に複数の取引がある場合は、どの売掛債権に対する支払いなのかを明確にするため、契約番号や請求書番号などの情報を振込時に記載することが求められます。
その他の支払い方法
銀行振込以外にも、状況によっては異なる支払い手段が用いられることがあります。
自動引き落とし(口座振替)は、特に2社間ファクタリングで見られることがあります。ファクタリング会社が、支払い期日に利用企業の口座から自動的に資金を引き落とす方式です。これにより、支払い忘れを防止できますが、口座に十分な残高があることが前提となります。
エスクローサービスを利用した支払いも、一部のファクタリング取引で採用されています。第三者機関が資金を一時的に預かり、条件が満たされた時点で支払いを実行するシステムで、より安全性の高い取引が可能です。
電子決済システムを活用した支払いも徐々に増えてきています。特に、フィンテック企業が提供するファクタリングサービスでは、専用のオンラインプラットフォームを通じた支払い処理が行われることがあります。
取引の規模や頻度に合わせた手段を選択することで、支払い業務の効率化が図れます。特に、継続的にファクタリングを利用する企業は、支払い手段の自動化やシステム化を検討する価値があるでしょう。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングは、資金調達手段として多くのメリットがあります。支払いの観点からも、事業運営に有利な点が数多くあります。
早期資金化が可能
ファクタリングの最大のメリットは、売掛金を即座に現金化できることです。通常、売掛金の回収には30日から90日以上かかることもありますが、ファクタリングを利用すれば数日で資金化が可能になります。
この早期資金化により、急な資金需要や予想外の出費にも対応できるようになります。例えば、好条件での仕入れ割引を利用したり、設備投資のタイミングを逃さなかったりといった機会を活かせます。
また、給与や家賃、税金などの固定費支払いに資金が足りない場合でも、売掛金を早期に現金化することで、支払いの遅延を避けることができます。これにより、信用低下や延滞金の発生といったリスクを回避できます。
資金調達のスピードを重視する企業にとって、ファクタリングは非常に有効な選択肢といえます。特に、急な入金が必要な状況や、季節変動で一時的に資金繰りが厳しくなる業種では、大きな助けとなるでしょう。
売掛金の回収リスクを軽減できる
ファクタリングのもう一つの重要なメリットは、売掛金の回収リスクを軽減できる点です。特に、償還請求権のないノンリコースファクタリングを利用した場合、売掛先が倒産しても返済義務が生じません。
売掛先の支払い能力に不安がある場合、ファクタリングを利用することで未回収リスクをファクタリング会社に移転できます。これにより、自社の財務リスクを大幅に軽減することが可能です。
また、回収業務の負担も軽減されるメリットがあります。特に3社間ファクタリングでは、売掛金の回収業務はファクタリング会社が担当するため、自社の管理コストや人的リソースを削減できます。
取引先の信用リスクを分散させることは、健全な経営を続けるために重要な戦略です。ファクタリングを活用することで、特定の取引先への依存度が高い場合でも、財務面でのリスクヘッジが可能になります。
審査がスピーディーで柔軟
ファクタリングの審査は、銀行融資などの他の資金調達手段と比べて特徴的です。最も大きな違いは、審査の対象が利用企業自身ではなく、売掛先の信用力が重視される点にあります。
これは、創業間もない企業や財務状況が芳しくない企業でも、売掛先の信用力が高ければファクタリングを利用できることを意味します。銀行融資では審査に通らないケースでも、ファクタリングなら資金調達が可能になることが多いのです。
また、審査期間も融資と比較して短いのが特徴です。多くのファクタリング会社は数日程度、早ければ即日での審査完了を実現しています。急ぎの資金需要にも対応しやすい点は、大きなメリットといえるでしょう。
売掛先の信用力を活用するという発想は、従来の資金調達の常識を覆すものです。自社の業績や財務状況に自信がなくても、優良な取引先との取引があれば、それを資金化するチャンスがあるのです。
ファクタリングを利用するデメリット
ファクタリングには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを正しく理解した上で、利用を検討することが重要です。
手数料の負担が大きい
ファクタリングの最も大きなデメリットは、手数料負担が発生することです。手数料率は案件によって異なりますが、2社間ファクタリングでは8〜18%程度、3社間ファクタリングでも2〜9%程度のコストがかかります。
この手数料は、実質的に売掛金の一部を失うことを意味します。例えば、100万円の売掛債権をファクタリングに出し、手数料が10%の場合、実際に受け取れるのは90万円になります。企業の利益率によっては、このコストが大きな負担となる可能性があります。
また、継続的にファクタリングを利用すると、この手数料負担が積み重なり、長期的な収益性に影響を及ぼす恐れがあります。特に、利益率の低いビジネスモデルでは、慎重な判断が必要です。
そのため、コストとベネフィットを比較検討することが欠かせません。例えば、ファクタリングで早期に資金を調達することで得られるメリット(仕入割引の活用や機会損失の回避など)が手数料を上回るかどうかを考慮すべきです。
取引先に通知される場合がある
3社間ファクタリングを利用する場合、取引先にファクタリングの利用が知られることになります。これにより、自社の資金繰りに問題があるという印象を与えてしまう可能性があります。
取引先によっては、資金繰りに不安を抱いている企業との取引を敬遠したり、取引条件の見直しを求めたりすることもあります。特に、長期的なビジネス関係を築いている重要な取引先の場合、この影響は無視できません。
また、ファクタリングの利用が他の取引先にも知られると、同様の心配を持たれるリスクもあります。業界内での評判や信用に影響する可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
そのため、取引先へのコミュニケーションを工夫することが対応策となります。例えば、ファクタリングを「資金効率化のための戦略的な選択」として説明したり、事前に丁寧な説明を行ったりすることで、マイナスイメージを軽減できる可能性があります。
まとめ
ファクタリングにおける支払いは、企業の資金繰りを大きく左右する重要な要素です。2社間と3社間の支払い方法の違いや支払い期日の決まり方、対応すべきリスクなど、本記事で解説した内容を理解することで、ファクタリングをより効果的に活用できるようになるでしょう。
ファクタリングは、早期資金化という大きなメリットがある一方で、手数料負担や取引先への影響などのデメリットも存在します。また、売掛金の回収及び支払い期日の管理に疎漏があると、大きなトラブルにつながります。自社の資金繰り状況や取引先との関係を考慮し、最適な選択ができるよう検討してください。資金繰りに悩む前に、複数のファクタリング会社に相談し、自社に最適な条件を提示してくれる業者を選ぶことをおすすめします。
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ファクタリングは資金調達に非常に有効ですが、売掛債権が必要であることや手数料の負担が重いことなど、状況によっては最適な方法とはいえない場合もあります。そのような場合は、無担保無保証で利用可能、また審査も柔軟でスピーディーなビジネスローンがおすすめです。
HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。
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