2025.05.30
返済不要の資金調達って?代表的な4つのメリット・デメリットを徹底解説!
資金繰りを支える方法として、返済不要の資金調達手段は大きな注目を集めています。ファクタリング・クラウドファンディング・助成金・補助金・出資といった選択肢があるなか、どの方法があなたの事業に最適なのかを本記事でしっかり把握しましょう。
返済不要の資金調達は、融資とは異なり返済義務が発生しないため、キャッシュフローや信用情報への影響を抑えられる点がポイントです。事業拡大や新企画の立ち上げなど、資金利用の目的に応じて最適な方法を見つけることが重要になります。
ただし、どの手段にもメリットとデメリットが存在します。なぜ返済不要で資金を得られるのか、その仕組みや申請手順を理解し、失敗リスクを最小限に抑えましょう。ここでは代表的な選択肢と注意点を中心に、資金調達のヒントをお伝えします。
返済不要の資金調達って?
まずは、返済不要の資金調達とはどのような意味を持つのか、全体像をチェックしておきましょう。
文字だけ見ると、なんだか少し怪しいイメージを持つ方も多いかもしれません。
大まかに説明すると、
- 「自分のものを買い取ってもらう」
- 「応援してくれる人から無償で資金提供をしてもらう」
これらをビジネスとして仕組み化することで、返済不要の資金調達は可能となっています。
「返済不要の資金調達」とは、融資のように借金をして返済する必要がない形で資金を確保する方法の総称を指します。代表的なものには、ファクタリングやクラウドファンディング、公的機関の助成金・補助金、そして出資などが挙げられます。どれも返済負担を減らす仕組みである一方、活用する際には審査や手数料、投資家からの要望など、それぞれの特徴がある点を理解しましょう。
これらの資金調達手法は、事業のステージや目的に応じて効果的に選ぶことが重要です。たとえば、急を要する資金繰りであればファクタリング、プロジェクトの共感を広く得たいならクラウドファンディングが向いている場合があります。一方、新規事業の研究開発や地域活性の取り組みなどは助成金・補助金の要件に合致するケースが多いですので、申請の手間や審査時間も踏まえて検討しましょう。
返済不要とはいえ、しっかりと制度設計された方法を利用することが大切です。申請要件や契約内容を誤解してしまうと、予定していた資金が得られなかったり、思わぬ制約が生じたりする可能性もあります。各手段のメリット・デメリットを深く理解しておくことで、資金調達後の経営リスクをしっかりとコントロールできるでしょう。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化する仕組みで、返済の負担がない資金調達手段の一つです。
具体的には、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、その対価として現金を受け取る形をとります。銀行融資と異なり、担保や保証人が不要となる場合が多く、信用情報にも影響しにくい点が魅力です。売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が肩代わりする保証型ファクタリングなど、契約形態もさまざま存在します。
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという取引形態があります。2社間の場合は売掛先の同意を得ずに現金化できる一方、手数料が高めになる傾向があります。3社間では売掛先も含めた契約となり、透明性が高い反面、現金化までに時間がかかるなどの特徴があるため、状況に応じた選択が必要です。
また、ファクタリングは売掛金の内容や売掛先の信用力が大きく影響を与える点にも注意が必要です。売掛先の与信状況によっては契約が難しくなることがあり、手数料率も高まる傾向があります。正しい理解と信頼性のあるファクタリング会社の選定が、スムーズな資金調達の鍵といえます。
ファクタリングのメリット
ファクタリングの大きな利点は、売掛金を早期に現金化できる点にあります。通常の回収サイクルを待たずに資金を手に入れることで、急な支払いに対応したり、運転資金を確保したりすることが可能です。また、借り入れではなく売掛債権の売却という扱いになるため、信用情報への影響が軽微であることも多くの企業にとってメリットになります。
さらに、売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が負担する保証型ファクタリングを選択すれば、売掛金の回収リスクを大幅に低減できます。これにより、本業に集中しやすくなり、キャッシュフローの安定を通じて長期的な事業計画を立てやすくなるでしょう。特に不況期や取引先の幅が限られる企業にとって、リスクヘッジとしても有効です。
このように、ファクタリングはスピード重視の資金調達であり、企業としての未来の資金計画を円滑に進めるための選択肢となり得ます。金融機関からの借り入れを躊躇している事業者や、売掛先との決済サイクルにゆとりが持てず立替費用が増えているケースなどでは、大きな恩恵を受けられる可能性があります。
ファクタリングのメリットは以下の5点です。
- 手早い現金化が可能(最短即日~1週間程度)
- 信用情報に悪影響を与えない
- 売掛金の未回収リスクを回避できる
- ファクタリングの利用を知られることがない(2社間ファクタリングのみ)
- 審査に通りやすい
1,手早い現金化が可能
ファクタリングの1番のメリットは、最短即日での現金化が可能ということでしょう。
銀行融資やその他の返済不要の資金調達方法は、審査や集金に時間を要するため、即日での現金化は難しいです。
カードローンは即日入金が可能となりますが、返済義務は生じてしまいます。
即日入金可能かつ返済の必要がない資金調達手段はファクタリングだけであり、魅力的なサービスといえるでしょう。
2,信用情報に悪影響を与えない
ファクタリングは、銀行融資やビジネスローン等の「借入」とは異なるため、負債が増えることはありません。
売掛金を早期現金化しているだけなので、信用情報においても記録が残らないです。
そのため、利用者の信用力に影響を与えることもなく、資金調達が可能です。
信用情報の悪化は企業イメージを下げかねません。
そのようなリスクを回避しながら資金調達できる点もメリットといえるでしょう。
3,売掛金の未回収リスクを回避できる
ファクタリング契約のほとんどが「償還請求権のない」契約となっています。
償還請求権とは、万が一売掛先から入金がなかった際に、ファクタリング会社が利用者に売掛金を請求することができる権利のことです。
償還請求権のない契約がほとんどなので、売掛先の倒産などにより売掛金の回収ができなくなってしまった場合でも、ファクタリング会社へ売掛金を支払う必要はありません。
経営状況が悪化している売掛先等からの売掛金の未回収リスクを回避できるという点でも、ファクタリングは重宝されています。
4,ファクタリングの利用を知られることがない
ファクタリングの利用を知られることがない点も、メリットといえるでしょう。
資金調達をしていることが知られると、「資金繰りの悪化」を疑われるかも知れません。
ファクタリングであれば、第三者に利用を知られることなく資金調達が可能です。
5,審査に通りやすい
審査に通りやすいという点でも、ファクタリングは重宝されています。
銀行融資やカードローンは利用者に返済能力があるのかを重要視します。
それに対し、ファクタリングは「売掛先の信用力」が重要視されるため、利用者の財務状況は審査にさほど影響しません。
他の方法での資金調達が不可能だった場合でも、利用できる可能性が高いという点はメリットといえるでしょう。
ファクタリングのデメリット
一方で、ファクタリングには手数料が発生するデメリットがあります。売掛債権を額面通りに受け取れるわけではなく、契約形態や売掛先の信用力に応じて数%から十数%の手数料が差し引かれる場合があるため、企業の収益が減少する可能性があります。
また、売掛先の信用状況が低いと、契約そのものが難しくなるケースがある点も注意が必要です。3社間ファクタリングでは売掛先からの同意が得られず、結局成立しない場合もあります。2社間でも、ファクタリング会社のリスク判断によっては内容変更や高い手数料を提示される場合があるため、事前に見積もりを確認しておくことが大切です。
さらに、ファクタリングを多用しすぎると、本来の事業売上をファクタリング手数料が圧迫してしまう懸念もあります。安易に利用を続けるのではなく、事業管理の観点からキャッシュフローや費用対効果を検証し、必要なタイミングでのみ活用することが望ましいでしょう。
ファクタリングのデメリットは以下の3点です。
- 手数料がかかる
- 売掛金以上の資金調達はできない
- 売掛金の全額を売却することはできない
1,手数料がかかる
ファクタリングは、支払期日前の売掛債権を買い取ってもらう代わりに、手数料の支払いが発生します。
手数料は売掛金の1.0%~30.0%と決して安い額ではないため、利用時には注意が必要となってきます。
2,売掛金以上の資金調達はできない
売掛金以上の資金調達ができないという点も、デメリットといえるでしょう。
ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらうサービスであるため、売掛金の範囲内でしか資金調達ができません。
売掛金以上の多額な資金が必要な場合には不向きなサービスといえます。
3,売掛金の全額を売却することはできない
ファクタリングは売掛債権の70%~80%を掛け目としている会社が多いです。
売掛金全額の売却ができない上に、手数料も支払わなければならないため、思っていたよりも資金調達可能な額が少なくなってしまうデメリットがあります。
ファクタリングがおすすめなケース
ファクタリングは、売掛金の回収を待てず、すぐに資金が必要な事業者に特に向いています。たとえば、注文が増えているが購入資材の支払いを先行で行わなければならないケースなど、キャッシュフローのギャップに悩む企業は、ファクタリングにより早期資金調達を図れます。
また、銀行融資の審査に時間がかかる場合や、すでに融資枠を使い切っている企業にとってもファクタリングは有力な手段です。借り入れではなく売掛債権の売却ですから、金融機関の与信枠に影響を与えにくく、複数の資金調達手段を組み合わせてリスクを分散することが可能になります。
さらに、取引先との交渉においても、ファクタリングを理解している企業であればスムーズに進めやすいでしょう。評価の高い取引先を抱えている事業者ほど有利な条件を得られやすいので、売掛先が信頼できる場合には積極的に導入を検討してみる価値があります。
ファクタリングが難しかった実例等
ファクタリングを利用しようとしても、売掛先の信用リスクが高いとファクタリング会社が敬遠し、結果として契約が難航するケースがあります。売掛先の支払履歴が悪かったり、与信審査で低評価だったりすると、手続きそのものが進まないリスクを抱えます。
また、契約書の内容が複雑で、ファクタリング会社と細かい調整を要する場合も少なくありません。特に3社間ファクタリングでは、売掛先を交えて書類を作成するため、意見の相違や確認作業に時間がかかり、結果的に資金化が遅れることがあります。
実際に、急いで資金を必要としていた事業者が、書類不備や契約交渉の難航によって資金調達が間に合わず、結果的に資金ショートを起こす例も報告されています。ファクタリングを利用する際は、余裕をもったスケジュールで準備し、売掛先との連携をしっかり図ることが大切です。
※ファクタリングについて基礎から知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『ファクタリングの仕組みとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説』
クラウドファンディング
インターネット上で不特定多数の人から支援金を集める仕組みであるクラウドファンディングは、アイデアやコンセプトを広く周知できる方法です。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の支援者から小口の資金を集める手法で、新商品やサービスのプロモーションにも役立ちます。単に資金だけでなく、プロジェクトへ共感する人からのアドバイスや応援メッセージなど、コミュニティづくりの効果も期待できます。個人や団体、企業のどんなプロジェクトでも参加しやすい点が特長です。
仕組みとしては、プロジェクトの概要や目標額、支援者へのリターン内容などをクラウドファンディングサイトで公開し、一定期間内に資金が集まれば成立するという流れになります。成立しなかった場合には支援金が支援者に返還される「オール・オア・ナッシング」型や、調達できた金額だけ受け取れる「オール・イン」型など、募集形態や目的に応じた選択が可能です。
ただし、プロジェクトを成功させるためには、魅力的な企画書やリターン設定を行うだけでなく、積極的な宣伝活動やSNSを通じた拡散が欠かせません。特に初期段階では自社や個人のつながりを活かして反応を高める工夫が必要で、支援者とのコミュニケーションを丁寧に行うことで信用や共感を広げることが大切です。
クラウドファンディングのメリット
まず、クラウドファンディングでは多くの人々にアイデアを訴求できるため、資金調達とマーケティングを同時に行える利点があります。出資者は単なる投資というよりも、プロジェクトのファンやサポーターとして関わるため、プロジェクト終了後も継続的な応援を受けやすいのが特徴です。
また、成功すれば新商品のプロモーション効果が大きく、SNSやニュースサイトなどで取り上げられるケースも少なくありません。限られた販促費しかなくても、話題性を獲得しやすいため、スタートアップ企業や個人事業主でも大きなチャンスを得られます。特にユニークなプロジェクトや地域を盛り上げる企画などは、広い共感を呼びやすいでしょう。
さらに、事前にユーザーや支援者の声に触れられることも重要なメリットです。公開の段階でアイデアの改良点や新しい要望を把握し、商品力やサービスの質を高める機会として活用できます。実際の市場投入前にリスクを軽減しながらプロジェクト案をブラッシュアップできるのはクラウドファンディングならではといえます。
クラウドファンディングのメリットは以下の2点です。
- 信用調査がいらない
- 宣伝効果になる可能性がある
1,信用調査がいらない
クラウドファンディングでは、利用者の信用情報は全く重要視されません。
資金提供するかどうかは、閲覧者個人の判断に委ねられるため、そもそも信用情報の審査自体の必要性がないのです。
例え利用会社が赤字経営だろうと、起業間もない会社であろうと、そのプロジェクトや企画が魅力的であれば、資金調達成功の可能性は高くなります。
融資が受けられない場合でも、商品開発やプロジェクトに対する熱意があれば多額の資金を調達できるチャンスがあるというのはメリットといえるでしょう。
2,宣伝効果になる可能性がある
クラウドファンディングは、インターネット上に開示したプロジェクトや企画に賛同してくれる人から支援金を集めるサービスです。
たくさんの人が利用しているサイトであれば、不特定多数の人の目に留まることも多いです。
うまく行けばプロジェクト開始前の宣伝も可能というメリットがあります。
クラウドファンディングのデメリット
一方で、クラウドファンディングは魅力的な企画でないと十分な支援が集まりにくいという課題があります。支援者は共感や期待を感じるかどうかで出資を判断するため、プロジェクトの見せ方を誤ると集客力が大きく損なわれるリスクがあります。
さらに、リターンの内容を充実させる必要があるため、その準備や発送作業、サポーターへの報告などに時間とコストがかかります。リターンの規模が大きくなるほど負担も増え、想定以上の作業量に追われてしまうこともあり得ます。
また、プロジェクトが不成立となると、支援金を受け取れないだけでなく、プロジェクト自体が世間に認知されなかったという印象が残ります。今後の活動にも影響が出る可能性があるため、立ち上げ前にどのように宣伝を行うか、利害関係者とどのように協力するかを慎重に設計する必要があります。
クラウドファンディングのデメリットは以下の3点です。
- 資金調達に時間がかかる
- 目標金額に達しないことが多い
- 公表した目的以外に資金を使うことはできない
1,資金調達に時間がかかる
クラウドファンディングでの資金調達は、とにかく時間がかかります。
クラウドファンディングのサイトに情報を開示してから、その情報を見てもらえるようにSNS等で宣伝する時間も必要です。
資金が集まったとしても、入金までに約1ヶ月~2ヶ月かかってしまうことが多いです。
目標金額に達しないことが多い
自分のプロジェクトに賛同してくれる人が何人いるのか、どれくらい資金提供してもらえるのかは全て閲覧者個人に委ねられています。
利用者がインフルエンサーや有名な人であれば集客も見込めますが、そうでない場合はなかなか難しいのが実情です。
また、目標金額に達成しなかった場合は「未達成」として、支援金は支援者に返金しなければなりません。
とにかく魅力的かつ、たくさんの人から賛同を受けられるようなプロジェクトでなければ、資金調達は難しいでしょう。
公表した目的以外に資金を使うことはできない
クラウドファンディングで得た資金は、公表していた目的以外に使うことはできません。
資金調達完了後には、その資金をどのように使用したのかを報告する義務があるからです。
集まった資金を自由に使えないという点は、デメリットといえるでしょう。
クラウドファンディングがおすすめのケース
上記のようなメリット・デメリットのあるクラウドファンディングですが、
- 魅力的な企画やプロジェクトの提案ができる場合
- 資金調達に必要な時間的猶予が長い場合
- 商品やプロジェクトの宣伝も一緒にしたい場合
このような場合におすすめの資金調達方法です。
デザイン性の高い新製品や、社会性の強いプロジェクトなど、話題性や共感を得られる内容を持つ場合にクラウドファンディングは特に有効です。単に資金を集めるだけでなく、支援者とのネットワーク構築を重視する方にとって、大きなメリットがあります。
また、宣伝効果も同時に狙いたい場合には、事前にSNSアカウントを整備し、クラウドファンディング特集を行うメディアなどにアプローチしておくと効率的です。個人でも実行しやすい点も利点であり、初期リスクを抑えつつプロジェクトへの期待値を高められます。
特にスタートアップやクリエイター、地域活性化を目指す方などにとっては、幅広い層から支援を募るチャンスとなります。支援者とのコミュニケーションを大切にすることで、資金とファンベースの両方を築き上げていくことができるのがクラウドファンディングの強みと言えるでしょう。
クラファンの資金集めが難しかった実例等
クラウドファンディングを立ち上げたものの、プロジェクト内容が認知されずに支援者が集まらなかったケースは少なくありません。特にSNSでの告知やターゲットへのアプローチが不十分だと、魅力的なプロジェクトであっても目標金額に達しないことがあります。
また、リターンの設計が曖昧で支援者にとって魅力を感じにくいものだったために失敗する例もあります。返礼品が単に商品やサービスの値引きだけでは支援者の心を動かしきれない場合もあり、プロジェクトストーリーや特別感を重視することが成功へのカギとなります。
さらに、プロジェクトの進行管理を怠り、支援者を不安にさせる運営を続けてしまった結果、賛同が得られなくなるパターンも存在します。定期的なアップデートや達成状況の報告が行われないことで支援者が離れていき、最終的に目標金額に至らない事態となるのです。
助成金・補助金
公的機関からの助成金・補助金は返済の必要がない資金調達方法として魅力的です。
国や自治体の予算を活用する助成金・補助金は、大きなプロジェクトや社会的意義のある研究開発などを行う事業者にとって心強いサポートとなります。返済不要である一方、受給には要件が厳しく設定されており、書類作成や審査に時間を要するのが特徴です。
助成金・補助金は、そのテーマや対象となる事業が国や地域社会にとって有益かどうかを審査されるため、自社の活動方針と募集要件との整合性が重要になります。合致すれば相当額の資金を得られる可能性があるため、企業としての負担軽減が期待できます。
ただし、申請から採択までに長期間を要することが多く、資金調達を急ぐ場合には向かない可能性もあります。また、複数の書類や証拠資料の提出が必要だったり、研修を受講するなどの条件が課されるケースもあるため、事前準備を徹底して行う必要があります。
助成金・補助金のメリット
最大のメリットは返済が不要である点です。借入と異なり、将来的に金利や元本返済の負担が発生しないため、企業のキャッシュフローを圧迫しません。事業計画の投資が長期的視野に基づいて行いやすく、企業の成長戦略に沿った資金活用が見込めます。
また、助成金・補助金を受けることで、社会的信用が高まるケースもあります。特定の国策や地方自治体の施策に合致していると判断されるわけですから、追加のスポンサーシップや投資を獲得しやすくなる場合もあるでしょう。新技術や新サービスの開発においても、大きな後押しとなります。
さらに、非返済型の支援であることから、事業の拡大や新規分野への進出においてリスクを抑えたチャレンジが可能になります。特にスタートアップや中小企業にとっては、資金面での負担を軽減しつつ、高リスク・高リターンの取り組みに挑戦できる貴重な手段となっています。
助成金・補助金のデメリット
助成金・補助金には募集要件が細かく定められており、合致しない場合は受給が難しいのが最初のハードルとなります。書類作成に時間と労力がかかり、専門家に依頼することも少なくありません。また、競争率が高いため、応募しても不採用となる可能性が高い点にも注意を要します。
さらに、申請から審査、採択、交付決定までに長い期間を要することが多く、資金調達を急ぐ企業には向かない場合があります。特に融資とは違い、承認がなければ1円も得られないため、タイミングを誤ると計画に支障をきたすかもしれません。
また、受給後に実績報告や利用状況の報告が義務付けられる場合があるなど、一定の管理コストが発生します。適切に報告を行わないと、受給した資金の返還を求められるケースもあるため、終始注意深い管理が必要です。
助成金・補助金のデメリットは以下の4点です。
- 受給条件が厳しい
- 受給までに時間がかかる
- 整備コストが必要となる場合がある
- 期限を過ぎると申請ができない
1,受給条件が厳しい
近年、不正受給が増加傾向にあるため、国や自治体も条件を厳しくせざるを得なくなっています。
そのため、必要書類も多くなってきているのが現状です。
申し込みをしたとしても、条件をクリアできない場合は受給できないのでハードルは高いといえるでしょう。
2,受給までに時間がかかる
受給までに時間がかかる点もデメリットです。
必要書類の準備にも時間がかかる上に、審査から入金までにも約1~2ヶ月かかってしまいます。
早急に現金を手にしたい人には不向きなサービスとなっています。
3,整備コストが必要になる場合がある
審査の通過率を高くするために、整備コストがかかる場合がある点もデメリットとなります。
審査には専門知識が必要となることもあるため、専門家へ依頼しないといけないことも。
また、労働環境を整えるための整備コストも必要となることもあります。
助成金受給よりも整備コストがかかってしまっては受給する意味がありません。
整備コストとのバランスを考慮する必要がある点もやや手間といえるでしょう。
4,期限を過ぎると申請することができない
国や自治体のサービスなので期限にも厳格です。
いくら受給条件がそろっていたとしても、申請期間を1日でも超過してしまうと受給することはできなくなります。
融通が利かないという点もデメリットです。
助成金・補助金がおすすめのケース
上記のようなメリット、デメリットがある助成金・補助金ですが、
- 受給条件に該当している場合
- 申請の手間を考慮した上で、受給を希望する場合
- 企業資金の補填にあてたい場合
にはおすすめのサービスとなっています。
国や自治体の政策に合致した事業を行っている企業や、地域の課題解決に取り組むNPO法人などは、助成金・補助金の対象となりやすい傾向があります。新規性の高い技術開発や環境配慮型のビジネスなども、審査機関や公的機関から評価されるケースが多いでしょう。
また、新規プロジェクトや研究開発など、長期的視点での投資が必要な場面では返済不要のメリットが大きく活かせます。特に将来の社会的インパクトを期待される分野であれば、高額の助成金を狙うことも可能です。
こうしたメリットを十分に享受するには、募集要領や審査基準を十分に読み込み、締め切り期間までに準備を終える計画性が不可欠です。複数の助成金・補助金を同時に検討する場合は、専門家に相談しながら要件を整理して申請手続きの効率化を図ると、採択確率を高められるでしょう。
助成金・補助金が難しかった実例等
助成金・補助金の申請は、書類不備や要件の誤解などで不採択となる例がよくあります。申請に必要な書類は多岐にわたり、記入ミスや証拠資料の不備など細かなポイントを見落とすと、そのまま審査落ちとなる可能性が高いです。
さらに、申請期間内に全ての要件を満たす準備ができず、期限ギリギリで書類を提出した結果、内容の詰めが甘く審査員から十分な評価を得られなかったというケースも見受けられます。時間に余裕を持ち、専門家の確認を受けるなどの対策を取ることが重要です。
採択後も、使途不明金や報告漏れなどが発覚し、交付金の返還を求められる場面があります。こうした事態は資金計画を大きく崩すおそれがあるため、助成事業の管理は常に慎重に行い、会計報告や成果物の提出を確実に実施することが求められます。
出資
外部投資家からの出資を受けることで、借り入れを伴わない資金調達が可能になります。
出資による資金調達は停止条件式ではなく、投資家と企業が合意に基づいて資金を受け取り、出資比率に応じて株式などの持分を渡す形をとります。いわゆる返済義務がないため、キャッシュフローを圧迫する心配が少ない点が魅力です。
特にスタートアップ企業やベンチャー企業が、ビジネスモデルに将来性を見込んだ投資家からまとまった資金を集め、事業成長を加速させるケースが多く見られます。投資家からの経営支援やネットワークを得られれば、更なる企業価値の向上が期待できます。
ただし、出資を受けるということは投資家に一定の意思決定権を持たれる可能性があり、自社の経営方針に口出しされるケースもあります。短期間で高いリターンを求められることもあるため、自社の成長戦略と投資家の方針が一致しているかを十分に確認する必要があります。
出資のメリット
まず、出資による資金は返済義務がないため、借入金のように利息や借入返済スケジュールを気にする必要はありません。このため、事業拡大に必要な投資を行いつつ、手元資金を経営や開発などのコア業務に集中させやすいというメリットがあります。
また、投資家によっては業界に精通した人脈やノウハウを提供してくれるため、資金だけでなく経営サポートも得られます。IPO(株式公開)を目指す企業の場合、投資家の存在が企業の知名度向上や信頼性を高める要因になることがあります。
さらに、投資家と協力して次の資金調達ラウンドへと繋げることで、大きなスケールでの事業拡大を視野に入れられるのも出資の魅力です。事業のポテンシャルを理解し、長期的にサポートしてくれる投資家との出会いが、会社の成長を大きく後押しすることがあります。
出資のメリットは以下の2点です。
- 経営に関する助言をもらうことができる
- 人脈が広がる可能性がある
1,経営に関する助言をもらうことができる
基本的に出資者はエンジェル投資家であることが多いです。
エンジェル投資家は現役の経営者であることも多く、優れた経営手腕を持っている可能性が高いです。
投資家も投資した会社が成長することで、自分にも利益があるため惜しみなく助言してくれることでしょう。
起業や自社経営をする上で、最も大切である知識・経験・ノウハウのアドバイスをもらうことができるのはメリットといえるでしょう。
人脈が広がる可能性がある
人脈が広がる可能性があるという点もメリットです。
投資をしてくれている方と実際に会ったり、話したりする機会もあります。
その中でまた新たな人脈が生まれ、事業拡大のチャンスとなる可能性も十分あり得る話です。
経営をする上で質の良い人脈は重要ですので、その可能性があるのはメリットといえます。
出資のデメリット
出資を受ける場合、株式の一部を投資家に渡すことから、経営権が分散するリスクが挙げられます。投資家の意向を無視できない場面が増え、意思決定に時間がかかる場合があるため、自社独自の方向性を貫きにくくなる可能性があります。
また、短期的に高リターンを期待する投資家から出資を受ける場合、事業戦略が大きく変わってしまうこともあります。将来的に急激な成長や売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資家が多いため、経営陣が描く長期ビジョンと投資家の方針がすれ違うと、企業の方向性に齟齬が発生しやすい点に注意が必要です。
さらに、出資契約を結ぶ過程で相応の時間と手続きが必要となり、投資家との交渉に十分なリソースを割かなければならない可能性もあります。投資家との折衝に追われて本業がおろそかにならないよう、バランスを取りながら進めることが大切です。
出資のデメリットは以下の3点です。
- 出資してくれる人を探すのが難しい
- 経営に過剰に関与される可能性がある
- 目標の資金調達額に達しない可能性がある
1,出資してくれる人を探すのが難しい
エンジェル投資家は簡単に見つけられるものではありません。
自社の事業内容や商品などで投資者の心を惹きつける必要があり、投資する価値があると判断されなければ投資してもらえません。
まず見つけるまでに多くの時間と労力が必要になるという点は、デメリットといえるでしょう。
2,経営に過剰に関与される可能性がある
エンジェル投資家の中には、全く口を出さない人もいれば、ことあるごとに口出ししてくる人もいます。
多額の投資をしてもらっている場合は、投資家の意見に反対するのも難しいでしょう。
必要以上に口を挟んでくる投資家の場合は、自社経営なのに自分の思ったような経営が行えなくなる場合もあるので、注意が必要です。
3,目標の資金調達額に達しない可能性がある
出資で得られる資金は、投資者がいくら投資してくれるかに大きく左右されます。
うまく行けば目標よりも多く資金調達することもできます。
しかし、投資家の心を惹きつけることができなければ、多大な投資をしてもらうことは難しいでしょう。
目標額に到達しない可能性もあるため、注意が必要です。
出資がおすすめのケース
上記の様なメリット・デメリットがある出資ですが、
- 起業間もなく、経営ノウハウのアドバイスも欲しい場合
- 人脈や事業拡大のチャンスを広げたい場合
- 投資家の心を惹きつける自信がある場合
におすすめの資金調達といえるでしょう。
出資は、大きなイノベーションを起こすためにまとまった資金が必要なスタートアップや、将来的にIPOを狙う企業などに向いています。市場を大きく拡げられるビジネスモデルを構想しており、短期間で資本を確保して急成長したい場合には最適かもしれません。
また、業界で実績のある投資家と組むことで、製品・サービスの開発スピードを上げると同時に、販路やパートナーシップの拡大を狙えるという利点があります。事業規模を国内外で急拡大させたい際や、新技術分野の研究開発に大きくリソースを投下したい場合には非常に心強い手段となるでしょう。
さらに、投資家からのアドバイスや支援を望んでいる場合は、出資により直接的な関係を築くことで、経営上のさまざまな課題を解決しやすくなります。資金調達だけでなく、人脈形成やノウハウ提供を通じて企業価値を高めたい企業にも、出資という選択肢は有力です。
出資での資金集めが難しかった実例等
ビジネスモデルが明確でなかったり、マーケット規模の小さい事業だと投資家から不安視され、出資交渉がまとまらないケースがあります。投資家は将来的なリターンを重視するため、市場分析や将来予測など説得力のある資料を準備することが不可欠です。
また、経営陣やチームのスキルセットが不十分と判断された場合や、競合優位性が不透明な場合にも断られやすいです。投資家はリスクを低減するために綿密な調査を行いますので、経営資源の強みを具体的に示すことが重要になります。
さらに、投資家が求める条件と企業側が望む条件が折り合わず、協議が難航して時間切れになることもあります。たとえ資金調達が優先度の高い課題であっても、条件面で大きく妥協しすぎると後々の経営にマイナスとなる可能性があるため、双方の合意点を見つけるための交渉力が求められます。
まとめ
返済不要の資金調達方法には、さまざまなメリット・デメリットが存在します。それぞれの特徴を理解し、最適な手段を選択しましょう。
ファクタリングなら、売掛金を早期に現金化してスピーディな資金繰りを可能にしつつ、クラウドファンディングは製品・サービスの宣伝効果と支援コミュニティの獲得を狙えます。また、助成金・補助金は公的機関からの信用補完と大きな金額の調達が期待でき、出資による資金調達では投資家の経営ノウハウやネットワークを得られる可能性があるでしょう。
一方で、それぞれ時間や手数料、審査基準といった面で条件が異なるため、事業計画や資金繰り計画に合わせて慎重に選ぶことが大切です。短期的な資金ニーズに対応したいのか、長期的な成長を見据えるのか、どのような形で投資や支援を受けたいのかを検討すると、最適な手段も明確になるはずです。
最終的には、自社の事業の将来像と資金ニーズを合わせ、複数の手段を組み合わせるケースもあります。目的や時期に応じたベストな選択肢を見つけるためには、専門家や支援サービスを活用しながら情報収集し、適切に計画を立てていくことが望まれるでしょう。
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