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請求書買取で資金調達!仕組みとリスクを徹底解説

売掛金の回収を待たずに、早期に資金を手にしたいとお考えの事業者の方は多いのではないでしょうか。資金繰りの悪化は、事業継続において大きな妨げとなります。そこで注目されているのが、請求書買取サービスです。

この記事では、請求書買取の仕組みや法律での規定、そのメリットとリスクを詳しく解説します。適切なサービス利用により、売掛金の早期現金化を実現し、財務体質の改善につなげることができるでしょう。

請求書買取とは

請求書買取とは、売掛債権を第三者に譲渡することで早期現金化を図るサービスのことをいいます。具体的には、企業が顧客に対して持つ売掛金という債権を、買取会社に売却することで、本来の支払期日よりも前に現金を得ることができるのです。

請求書買取の法律上の定義

請求書買取は、民法第466条第1項に定められている債権譲渡の規定に該当します。この規定により、債権者は自由に債権を譲渡することができると定められています。

ただし、債権譲渡を行う際には、債務者への通知や承諾が必要となる場合が存在します。また、譲渡対象となる債権の種類によっては、債権譲渡登記が必要になることもあるでしょう。請求書買取を行う際は、これらの法的要件を満たす必要があるのです。

請求書買取を利用するメリット

請求書買取を利用する最大のメリットは、売掛金を早期に現金化できることです。売掛金は支払期日まで現金化できないため、運転資金の確保に困ることがあります。しかし、請求書買取を利用すれば、支払期日を待たずに現金を得ることができるのです。

また、請求書買取は融資と異なり、債務として計上されません。そのため、財務体質の悪化を避けることができます。さらに、3社間取引では、取引先との直接的なやりとりを買取会社に任せられるため、債権回収の手間を省くこともできるでしょう。

請求書買取の取引形態

請求書買取には、主に2社間取引と3社間取引の2つの形態があります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

2社間取引の特徴

2社間取引は、サービス利用者と買取会社の2者間で行われる取引形態です。この方式では、取引先への債権譲渡の通知は必ずしも必要ありません。ただし、場合によっては債権譲渡登記が求められることがあります。

2社間取引の手数料は、一般的に10~20%程度と比較的高めに設定されています。その理由は、買取会社が取引先の信用リスクを負担するためです。手数料の具体的な率は、取引先の信用力や売掛金の額、期間などによって変動します。

この取引形態のメリットは、取引先への通知が不要な点にあります。一方で、手数料が高めであることや、債権譲渡登記の手続きが必要となる場合があることには注意しましょう。

3社間取引の特徴

3社間取引は、サービス利用者、買取会社、取引先(第三債務者)の3者間で行われる取引形態です。この方式では、取引先への債権譲渡の通知が必須となります。買取会社は、取引先から直接売掛金を回収することになります。

3社間取引の手数料は、一般的に1~10%程度と2社間取引に比べて低めに設定されています。これは、買取会社が取引先から直接回収することで、信用リスクが軽減されるためです。ただし、取引先の同意が得られない場合、この方式を利用することはできません。

3社間取引のメリットは、手数料が比較的低めに抑えられる点です。一方で、取引先への通知が必須であり、同意を得られない場合も想定しなければなりません。

取引形態の比較

2社間取引と3社間取引の主な違いを表にまとめると、以下のようになります。

2社間取引 3社間取引
参加者 サービス利用者、買取会社 サービス利用者、買取会社、取引先
取引先への通知 不要 必須
債権譲渡登記 場合により必要 不要
手数料 10~20%程度 1~10%程度

取引形態の選び方は、以下の事柄を踏まえて判断するとよいでしょう。

  • 取引先への通知の必要性
  • 許容できる手数料の水準
  • 債権譲渡登記の手続きの負担
  • 取引先の同意の見込み

請求書買取の法律での規定

ここでは、請求書買取に関連する法令や判例を見ていき、リスク回避のための注意点を解説します。請求書買取の仕組みを正しく理解し、適法な資金調達を実現するための情報をお届けしましょう。

請求書買取に関する法令

請求書買取は法律上で、民法466条1項に定められた債権譲渡の規定に見られます。この条文では、指名債権の譲渡性が認められており、債権者は自由に債権を他者に譲渡できると定めています。

また、民法467条1項では、債権譲渡の対抗要件として債務者への通知または承諾が必要とされています。請求書買取を行う際は、取引先への適切な通知や承諾の取得が債権譲渡取引の対抗要件として重要となります。

請求書買取と貸金業法の関係

請求書買取は、本来は貸金業法の規制対象外とされています。債権の買取であって、金銭の貸付けには該当しないためです。

ただし、買取会社が実質的に金銭の貸付けを行っていると判断される場合、貸金業登録が必要となります。著しく低額な買取や、回収不能時の買戻し特約などがある場合は、貸金業に該当する可能性があるといえます。

請求書買取に関する判例

2023年2月、最高裁は給与ファクタリングに関する重要な判決を下しました。この判決では、一定の条件下では給与ファクタリングが貸金業に該当し得ると示されました。

請求書買取においても、取引の実態により貸金業に該当する可能性があります。買取会社の選定や契約内容の確認において、この判例の考え方は参考にすることができるでしょう。

違法となる可能性のある取引事例

請求書買取を行う上では、以下のような取引には注意が必要です。

  • 売掛金に比べて著しく低額な買取価格での取引
  • 債権の回収が不能となった場合の買戻し特約付き取引
  • 貸金業登録を行わずに実質的な金銭の貸付けを行う取引

これらの取引は、貸金業に該当する可能性が高く、違法となるケースがあります。請求書買取を活用する際は、適法性に十分な注意を払う必要があるといえます。

請求書買取を利用する際のリスクと対策

請求書買取サービスにおいて、売掛債権を現金化し資金調達を行いますが、利用する際には各種のリスクを理解しておく必要があります。ここでは請求書買取の実務上の制約や、取引先の信用力が与える影響、債権譲渡登記の重要性などを解説します。

請求書買取の実務上の制約

請求書買取を利用する際の実務上の制約として、まず資金調達額が売掛金額を上限とする点が挙げられます。つまり、将来発生する売掛金を先取りすることはできないということです。

また、買取会社によっては特定の業種や取引先を対象外としていることがあります。サービス利用前に、自社の事業内容や取引先が買取対象として適切かどうかを確認しておくことが大切でしょう。

取引先の信用力が与える影響

請求書買取では、取引先(第三債務者)の信用力が債権の回収可能性を判断する際の基準となります。買取会社は取引先の信用調査を行い、与信判断をしたうえで買取可否や手数料率を決定します。

取引先の財務状況が悪化した場合、買取が難しくなったり、手数料率が上昇したりするリスクがあります。日頃から取引先の経営状況をウォッチし、リスクの高い先への与信を控えるなどの対策が有効でしょう。

債権譲渡登記の手続き

債権譲渡登記は、債権譲渡の対抗要件として機能し、二重譲渡のリスクを防ぐ重要な手続きです。登記を行うことで、譲渡債権の公示性が確保されます。

登記手続きには法務局への申請が必要で、一定の費用と時間がかかります。請求書の買取時には、買取会社が債権譲渡登記を代行してくれるケースが多いので、手続きの流れと必要書類について事前に確認しておくとよいでしょう。

複数の買取会社と取引関係を築く

請求書買取のリスクを低減するためには、複数の買取会社と取引関係を築いておくことが有効です。買取会社ごとに得意な業種や審査基準が異なるので、幅広い選択肢を持っておくことで、状況の変化に柔軟に対応できます。

また、買取申込み前に社内の関連部署間で売掛金の情報を共有し、請求漏れや入金済みの請求書が紛れ込んでいないかなどの確認を徹底することも大切です。

請求書買取サービスの選び方

請求書買取サービスを利用する際には、どの会社のサービスを使うかが重要になります。適したサービス提供会社を選ぶことで、資金調達を効率的にリスクを抑えて行うことができます。

請求書買取サービスの比較ポイント

請求書買取サービスを比較する際には、以下の点に注目する必要があります。

  • 手数料率:買取手数料の割合が低いほど、調達できる資金額が増加します。
  • 買取可能な債権種類:取引先との契約内容に応じて、適切な債権種類を取り扱っているか確認しましょう。
  • 買取限度額:資金ニーズに対して十分な買取限度額が設定されているかチェックします。
  • 審査スピード:迅速な資金化を実現するには、審査期間の短さが重要なポイントとなります。
  • サポート体制:専門スタッフによる相談対応や、オンラインでの手続き支援などを確認します。

各社の特徴を把握した上で、自社のニーズに合致したサービスを選びましょう。

信頼できる請求書買取会社の見分け方

請求書買取サービスを安心して利用するためには、信頼できる会社を選ぶ必要があります。

まず、会社の実績や規模を確認しましょう。長年の事業実績があり、多数の取引先を有している会社は、サービスの質が高い傾向にあります。加えて、財務状況が健全で、十分な資本を有しているかも重要なポイントです。

また、契約内容の透明性にも注意が必要です。手数料体系や買取条件が明確に開示されていることを確認し、不明瞭な点がある場合は事前に質問しておくことが大切です。

さらに、情報セキュリティ対策が充実しているかにも目を向けましょう。取引先の情報を適切に管理し、漏洩リスクを低減させる努力をしている会社を選ぶことが大切です。

請求書買取サービス利用前のチェックリスト

請求書買取サービスの利用を検討する際には、以下の点を事前にチェックしておきましょう。

  1. 売掛債権の内容:債権の発生源となる取引内容を整理し、買取対象となるか確認します。
  2. 債権譲渡の可否:取引先との契約で、債権譲渡が制限されていないかチェックします。
  3. 必要書類の準備:請求書や契約書など、買取に必要な書類を事前に揃えておきます。
  4. 手数料と買取額の試算:複数社の手数料率を比較し、想定される買取額を試算しておくと良いでしょう。
  5. 問合せ先の確認:サービス利用中に不明点が生じた際の、問合せ先を事前に把握しておきます。

請求書買取の現状と展望

ここでは、請求書買取が現状どれだけ利用されているのか説明します。また、政府のファクタリングに関する取り組みについても触れていきます。

請求書買取市場の現状

請求書買取サービス、いわゆるファクタリングは、近年注目を集めています。

国内の請求書買取市場は、2021年時点で約1.5兆円規模に達しており、年々拡大傾向にあります。中小企業を中心に、売掛債権の早期現金化ニーズの高まりを背景に、多くの事業者がファクタリングを活用しています。

市場には、銀行系のファクタリング専門会社や、独立系の事業者など、様々なプレイヤーが参入しています。サービス内容や手数料率は各社異なりますが、おおむね2社間取引で10-20%程度、3社間取引で1-10%程度の手数料が一般的といえます。また、貸金業との関連も一時問題視されましたが、国会質疑や判例の蓄積によって、ファクタリングは債権譲渡取引であるという認識は広がっています。

請求書買取に関する政府の方針

政府は、中小企業の資金繰り支援策の一環として、ファクタリングの活用を促進する姿勢を示しています。

経済産業省は、2020年に「ファクタリング・サプライチェーン・ファイナンス活性化に向けたアクションプラン」を発表し、ファクタリングの普及に向けた取り組みを進めています。具体的には、ファクタリング事業者の登録制度の整備や、取引の電子化・標準化などが推進されています。

一方で、金融庁は違法な貸金業に該当するようなファクタリングサービスについて注意喚起を行うなど、健全な市場育成に向けた監視も強化しています。

まとめ

本記事では、請求書買取の仕組みや法律上での規定、メリットとリスクについて詳しく解説してきました。請求書買取は、売掛債権を早期現金化できる点が大きな魅力ですが、一方で手数料負担や債権の譲渡可能性など、検討すべき点も多いサービスだといえます。

適切な取引形態の選択や、信頼できる買取会社を使用することにより、請求書買取のメリットを最大限に活かすことが可能です。請求書買取サービスを賢く利用し、事業の成長と安定を目指しましょう。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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