2025.06.16
不動産担保ローンの担保評価額とは?高くなる不動産の特徴や借入上限との関係性について解説
事業資金の調達において、不動産担保ローンは、多額の借入れが可能な調達方法の一つとして有用です。自社ビルや所有する不動産を担保にする場合、担保価値の算出基準は借入可能な金額に大きく関わります。
担保価値は、市場価格とは異なる「担保評価額」で判断されますが、この評価額は、金融機関によって計算方法や基準が異なるため、同じ不動産でも評価額に差が出ることがあります。
本記事では、不動産担保ローンにおける担保評価額の基本的な考え方から、高く評価される不動産の特徴、借入可能額との関係性まで詳しく解説します。これにより、自社の不動産をどう活用すれば最適な資金調達ができるのか、その判断材料を提供します。
不動産担保ローンにおける担保評価額の基本
不動産担保ローンを理解する上で重要なのが、「担保評価額」です。これは、金融機関が融資の際に設定する、その不動産の価値を示す金額のことです。
担保評価額とは
担保評価額とは、金融機関が不動産担保ローンを提供する際に算出する、融資の基準となる不動産の価値のことです。一般的に、市場での売買価格(市場価格)とは異なり、金融機関が独自の基準で算出します。
この評価額は、万が一借り手が返済不能となった場合に、担保不動産を売却して回収できる金額を想定して算出されます。そのため、市場価格よりも保守的に(低めに)設定されるのが一般的です。
担保評価額は、融資可能額の上限を決める最も重要な要素となります。通常、担保評価額の70〜80%程度が融資の上限額とされることが多いものです。
例えば、市場価格が1億円の不動産であっても、金融機関の担保評価額が8,000万円と算定され、掛目(かけめ・後述します)が70%の場合、最大で借りられる金額は5,600万円(8,000万円×70%)となります。
市場価格と担保評価額の違い
担保評価額と市場価格(実勢価格)は、しばしば混同されますが、両者には明確な違いがあります。市場価格とは、その不動産が市場で実際に取引される価格を指します。一方、担保評価額は、金融機関が融資の際のリスク管理として独自に算出する価値です。
市場価格は需要と供給のバランス、不動産市況、立地の人気度など、さまざまな要因で日々変動します。これに対し、担保評価額は、より保守的な観点から算出され、将来的な価格下落リスクも考慮されています。
担保評価額は、次のような理由で市場価格より低く設定されます。
- 債務不履行時の競売価格は一般的な売買価格より低くなりやすい
- 不動産市場の変動リスクに備える必要がある
- 売却までの期間や費用を考慮している
- 金融機関のリスク管理方針による保守的な評価
一般的に、担保評価額は、市場価格の60〜80%程度に設定されることが多いですが、これは、不動産の種類や金融機関の方針によって大きく異なります。
一物五価の考え方
不動産の価値は、評価する目的や主体によって異なり、一つの不動産に対して複数の価格が存在します。これを「一物五価」と呼びます。金融機関は、これらの価格のうち、どれを重視するかで担保評価額が変わってきます。
不動産価格には、主に以下のような種類があります。
価格の種類 | 概要 | 担保評価での位置づけ |
---|---|---|
実勢価格(市場価格) | 実際の不動産市場での取引価格 | 参考にはするが、そのまま採用されることは少ない |
公示価格 | 国土交通省が毎年公表する標準地の価格 | 評価の基準として参考にされることが多い |
固定資産税評価額 | 固定資産税算出のための評価額 | 最低限の参考値として使用されることがある |
路線価 | 相続税算出のための国税庁による評価額 | 公示価格と並んで参考にされることが多い |
収益価格 | 不動産から得られる収益に基づく価格 | 収益物件の場合に重視される |
金融機関は、複数の価格指標を比較検討して担保評価額を決定します。例えば、都市銀行では、公示価格や実勢価格を重視する傾向がある一方、地方銀行では、地域の特性を考慮した独自の評価基準を持つことも多いものです。
担保評価額の算出方法
金融機関が不動産の担保評価額を算出する際には、いくつかの手法や基準が用いられます。これらを理解することで、自分の不動産がどのように評価されるかの予測がしやすくなります。
主な算出手法
担保評価額を算出する手法は、主に3つあり、不動産の種類や金融機関の方針によって使い分けられています。
まず「原価法」は、土地の価格に建物の建築費用から経年による価値減少(減価償却)を差し引いて算出する方法です。この手法は、特に建物の新しさが価値に直結する場合に有効です。
次に「取引事例比較法」は、近隣の類似物件の取引事例を参考に価格を算出します。市場の実態を反映しやすい手法ですが、十分な取引事例がない場合には、精度が落ちる可能性があります。
そして「収益還元法」は、不動産から得られる将来の収益を現在価値に換算して評価する方法です。賃貸物件や商業施設など収益を生み出す不動産に特に適用されます。
実際の評価では、これらの手法を組み合わせて総合的に判断されることが多くあります。例えば、オフィスビルの場合は収益還元法を中心に評価し、一般住宅では取引事例比較法が重視されることが多いでしょう。
担保掛目(かけめ)とは
担保評価額が決まった後、金融機関は、さらに「担保掛目」を適用して最終的な融資可能額を決定します。担保掛目とは、担保評価額に対する融資上限額の割合を示すもので、通常60〜80%程度の範囲で設定されます。
例えば、担保評価額が1億円の不動産に対して担保掛目が70%の場合、最大融資可能額は7,000万円となります。担保掛目は、金融機関のリスク判断によって以下のように変動します。
- 物件の流動性が高い(売却しやすい)場合:掛目が高くなる傾向
- 立地条件が良好な場合:掛目が高くなる傾向
- 特殊な用途の不動産:掛目が低くなる傾向
- 市場動向が不安定:掛目が低くなる傾向
掛目は、金融機関によって大きく異なるため、複数の金融機関に相談することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。特に都市銀行と地方銀行、信用金庫などでは、掛目の設定に差がある場合が多いものです。
金融機関による評価の違い
同じ不動産であっても、金融機関によって担保評価額は大きく異なることがあります。これは、各金融機関が持つ評価基準や方針、リスク許容度の違いによるものです。
都市銀行は、一般的に全国統一の評価基準を持ち、保守的な評価をする傾向があります。一方、地方銀行や信用金庫は、地域特性を考慮した評価を行い、場合によっては都市銀行より高い評価になることもあります。
また、不動産担保ローンを専門とするノンバンクは、独自の評価基準を持っており、銀行とは異なる視点で評価することがあります。特に、収益性を重視する傾向があり、収益物件では高い評価を得られる可能性があります。
評価額の違いは、以下のような要因で生じます。
- 金融機関の営業地域(地域に強い金融機関は地域特性を熟知している)
- 過去の融資実績と回収状況
- 金融機関の経営方針やリスク管理基準
- 審査担当者の経験や判断
不動産担保ローンを検討する際は、複数の金融機関から評価を受けて比較することで、より有利な条件を引き出せる可能性が高まります。
担保評価額が高くなる不動産の特徴
不動産担保ローンで、より多くの資金を調達するためには、担保不動産が高く評価されることが重要です。金融機関が高評価する物件には、いくつかの共通した特徴があります。
立地条件と市場流動性
不動産評価において、立地条件は最も重要な要素の一つです。金融機関は、担保物件を売却する必要が生じた場合のリスクを考慮するため、市場での流動性が高い物件を高く評価する傾向があります。
高評価につながる立地条件の特徴には、以下のようなものがあります。
- 主要駅や繁華街からのアクセスが良好
- 人口集中地域や人口増加エリア
- 生活利便施設(スーパー、病院、学校など)が充実
- 災害リスクが低い地域
- 法規制(用途地域、高さ制限など)が明確
特に、「駅徒歩10分以内」のような明確な基準を満たす不動産は、金融機関の評価基準において加点要素となることが多いでしょう。逆に、過疎地域や災害リスクが高いエリア、特殊な立地条件(高台で道路が狭いなど)は、減点要素となる傾向があります。
市場の流動性が高い物件ほど担保評価は高くなるため、汎用性の高い物件(標準的な間取りの住宅や、汎用性の高いオフィスビルなど)は評価されやすいでしょう。
建物の築年数や状態
不動産の建物部分については、築年数と現在の状態が評価に大きく影響します。一般的に、築年数が浅い物件ほど高く評価される傾向にありますが、適切なメンテナンスがされているかも重要です。
建物評価において重視される要素は、以下の通りです。
- 築年数(特に築10年以内は高評価になりやすい)
- 構造(鉄筋コンクリート造や鉄骨造は木造より評価が高い傾向)
- 定期的なメンテナンスや大規模修繕の実施状況
- 設備の更新状況(給排水、電気設備、空調など)
- 耐震性能(新耐震基準を満たしているか)
特に築年数が古い物件では、定期的なメンテナンスや耐震補強の実施が評価向上につながることがあります。例えば、築30年超のマンションでも、大規模修繕が計画的に実施され、耐震診断や必要に応じた補強工事が行われていれば、相応の評価を得られる可能性があります。
また、建物の図面や確認済証、検査済証などの書類が揃っていることも、正確な評価を受けるために重要です。これらの書類がない場合、評価が低くなるリスクがあります。
収益性や将来性
収益物件(賃貸アパート、賃貸マンション、商業ビルなど)の場合、その物件が生み出す収益性が評価に大きく影響します。特に、収益還元法による評価では、安定した賃料収入が見込める物件は高く評価されます。
収益性評価において重視される要素には、以下のようなものがあります。
- 安定した入居率(空室リスクの低さ)
- 長期契約のテナント構成
- 賃料水準の適正さと将来的な上昇可能性
- 管理費や修繕積立金の適切な設定
- 周辺エリアの開発計画や将来性
また、近隣で再開発計画がある場合や、新たな交通インフラ整備が予定されているエリアなど、将来的な価値上昇が期待できる物件は、評価が高くなる傾向があります。例えば、新駅設置予定地の近くや、大規模商業施設の出店計画がある地域などです。
収益物件の場合、賃貸借契約書や収支状況を示す資料を整えておくことで、より正確で有利な評価を受けられる可能性が高まります。特に、高い入居率と適正な賃料設定が維持できている実績は、評価において重要なポイントとなります。
担保評価額と借入上限額の関係
不動産担保ローンでどれだけの金額を借りられるかは、担保評価額と借入上限額の関係を理解することが重要です。この関係性を把握することで、より現実的な資金調達計画を立てることができます。
借入可能額の計算方法
不動産担保ローンの借入可能額は、基本的に「担保評価額×担保掛目」で算出されます。しかし実際の融資額は、この上限額に対して、借り手の返済能力や事業計画の妥当性などを考慮して決定されます。
一般的な借入可能額の計算式は、以下のようになります。
借入可能額の上限=担保評価額×担保掛目(60~80%)
例えば、担保評価額が1億円の物件で担保掛目が70%の場合、借入可能額の上限は7,000万円となります。ただし、この金額が実際に借りられるとは限りません。
金融機関は担保価値だけでなく返済能力も重視するため、次のような点も借入可能額を左右します。
- 事業の安定性と収益力
- 借り手の信用情報(過去の延滞歴など)
- 他の借入金額と返済状況
- 資金使途の妥当性と事業計画の信頼性
中小企業や個人事業主の場合、年間の返済額が年商の10%程度、または事業利益の30%程度を超えないことが一つの目安とされることもあります。これは、返済負担が事業運営に支障をきたさないようにするための基準です。
金融機関別の借入条件の違い
不動産担保ローンの条件は、金融機関によって大きく異なります。同じ不動産を担保にしても、金融機関によって担保評価額や掛目、金利などの融資条件に差が生じます。
主に、金融機関タイプ別に、以下のような特徴があります。
金融機関のタイプ | 担保評価の特徴 | 融資条件の特徴 |
---|---|---|
都市銀行 | 保守的な評価が多い 統一的な基準で評価 |
金利が低め 融資審査が厳格 長期の融資に対応 |
地方銀行 | 地域特性を考慮した評価 都銀より柔軟な場合あり |
地域密着型の審査 中長期の融資に対応 金利は中程度 |
信用金庫・信用組合 | 地域に密着した評価 関係性を重視する傾向 |
中小企業向けに柔軟な対応 審査に時間がかかる場合も 金利は地銀と同程度〜やや高め |
ノンバンク | 独自基準での評価 収益性重視の傾向 |
審査が比較的スピーディ 金利は高め 短中期の融資が中心 |
同じ物件でも金融機関によって借入条件が大きく変わるため、複数の金融機関に相談して比較検討することが重要です。特に、以下の点に注目して比較するとよいでしょう。
- 担保評価額(同じ物件でも評価が異なる)
- 担保掛目(60%〜80%の幅がある)
- 金利条件(変動/固定、優遇の有無)
- 融資期間(短期・中期・長期)
- 審査にかかる時間と必要書類
また、メインバンクとの取引実績がある場合は、担保評価においてもプラスに働くことがあります。長期的な取引関係がある金融機関であれば、事業の状況や経営者の人柄を理解しているため、より柔軟な対応が期待できます。
複数の担保物件を活用する場合
大きな資金調達が必要な場合や、単一の物件だけでは希望額に達しない場合、複数の不動産を担保として活用することも可能です。この方法は、「追加担保」や「複数担保」と呼ばれます。
複数担保を活用する際は、次のようなポイントに注意しましょう。
- 複数物件の合計評価額に対して融資を受けられる
- 物件ごとに担保設定順位を変えることも可能
- 金融機関によっては管理コスト増を理由に評価が低くなることも
- 物件間の相関性(同じエリアにあるなど)が高いと集中リスクとみなされる場合がある
例えば、自社ビルと経営者個人の所有物件を組み合わせる、または複数の賃貸物件をまとめて担保提供するなどの方法があります。複数の担保をうまく組み合わせることで資金調達の幅が広がるため、資金需要が大きい場合は検討する価値があります。
ただし、複数担保を設定する場合は、将来的な一部解除や入れ替えの可能性も考慮しておくことが重要です。特に、事業拡大などで追加融資が必要になった場合や、一部の物件を売却する場合などに備えて、柔軟性を確保しておくとよいでしょう。
担保評価額を高くするためのポイント
不動産担保ローンで、より多くの資金を調達するためには、担保評価額を少しでも高くすることが重要です。評価額を高める方法には、物件自体を改善するものから、申込み方法の工夫までさまざまなアプローチがあります。
物件状態の改善と資料準備
担保評価額を高めるために最も基本的なのは、物件自体の状態を良好に保つことと、適切な資料を準備することです。
物件状態の改善において効果的なのは、以下のポイントです。
- 建物内外の清掃と整理整頓(特に物件調査時)
- 簡易的なリフォームや修繕(壁紙の張替え、床の補修など)
- 設備の更新(給湯器、エアコン、キッチン設備など)
- 外観の改善(外壁塗装、エントランスの整備など)
- 耐震診断や耐震補強工事の実施(特に築年数が経過した物件)
また、物件の価値を正確に伝えるための資料準備が評価向上につながることもあります。準備しておくべき資料には、以下のようなものがあります。
- 登記簿謄本(不動産の基本情報)
- 建物図面や確認済証、検査済証
- 過去の修繕履歴や工事記録
- 収益物件の場合は賃貸契約書や収支状況
- 不動産鑑定評価書(可能であれば)
- 固定資産税評価証明書
特に古い物件の場合、適切なメンテナンスの記録や、耐震基準を満たしていることを示す資料があると、築年数による評価減を最小限に抑えられる可能性があります。
複数の金融機関への相談
同じ不動産でも、金融機関によって担保評価額は大きく異なります。より有利な条件を引き出すためには、複数の金融機関に相談することが効果的です。
複数の金融機関に相談する際のポイントは、以下の通りです。
- 都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど異なるタイプの金融機関に相談
- 物件タイプに強みを持つ金融機関を選ぶ
- 取引実績のある金融機関と新規の金融機関を比較
- 各金融機関の評価基準や重視するポイントを把握
- 競合見積もりがあることを伝えて条件交渉
金融機関ごとの特性を理解して戦略的に交渉することで、条件改善が可能です。例えば、商業施設などの特殊な物件は、ノンバンクや専門性の高い金融機関が高く評価することがあります。また、地域密着型の信用金庫は、地元の物件に対して、その地域特性を考慮した評価をすることがあります。
担保評価だけでなく、金利条件や融資期間、手数料なども含めて総合的に比較することが重要です。特に長期のローンを組む場合は、金利が0.1%違うだけでも、総返済額に大きな差が出ます。
事業計画や返済能力のアピール
不動産担保ローンは、担保価値だけでなく、借り手の返済能力も重要な審査ポイントです。そのため、事業の安定性や将来性、返済計画の妥当性をしっかりとアピールすることが、より良い条件を引き出すためのカギとなります。
効果的なアピールポイントには、以下のようなものがあります。
- 過去3〜5年の安定した業績と利益
- 具体的な事業計画と資金使途の明確さ
- 業界の成長性や自社の競争優位性
- 経営者の経験やスキル、事業への取り組み姿勢
- 返済シミュレーションの提示(無理のない返済計画)
資金調達の目的と効果を具体的に説明できると審査で有利になることが多くあります。例えば、「設備投資による生産性向上で○%の売上増加を見込む」「新規事業によりリスク分散と安定収益を確保する」など、融資が事業にもたらすプラスの影響を数字で示せるとよいでしょう。
また、財務状況に課題がある場合でも、その原因と改善策を明確に説明することで、金融機関の理解を得られることがあります。例えば、一時的な売上減少であれば、その理由と回復のための具体策を示すことが重要です。
担保評価額に関して注意が必要な不動産
不動産担保ローンを検討する際、一般的な物件と比べて担保評価額が低くなりやすい、あるいは融資そのものが難しくなる特殊な不動産があります。これらの特性を事前に理解しておくことで、現実的な資金調達計画を立てることができます。
評価が難しい不動産の特徴
金融機関が担保として評価しにくい、または評価が低くなりやすい不動産には、以下のような特徴があります。
- 特殊用途物件(工場、倉庫、ホテル、レジャー施設など)
- セットバック(建築基準法の接道義務未対応)がある物件
- 建築基準法に不適合となっている物件(既存不適格建築物)
- 狭小地や変形地、旗竿地などの特殊な形状の土地
- 再建築不可物件(現在の法律では建て直しができない物件)
- 過疎地域や人口減少が著しいエリアの不動産
これらの物件は、市場での流動性が低く売却難易度が高いため、金融機関は担保評価を保守的に行う傾向があります。例えば、特殊な用途に特化した建物は、他の用途への転用が難しいため、担保価値が大幅に割り引かれることがあります。
また、法律上の問題がある物件(違法建築や違法用途など)は、担保として認められないケースもあります。担保物件として検討する前に、法的な適合性を確認することが重要です。
共有持分や区分所有物件
不動産の所有形態によっても、担保評価や融資条件が変わってきます。特に、共有持分や区分所有物件は、単独所有の不動産と比べて評価方法が異なります。
共有持分とは、一つの不動産を複数人で共有している状態を指します。例えば、一つの土地を家族で共有している場合などです。共有持分を担保とする場合は、次のような注意点があります。
- 持分割合に応じた評価となるが、単純な按分より低くなることが多い
- 共有者全員の同意が必要な場合がある
- 処分の難しさから掛目が低く設定されることが多い
- 共有者の一人が破産した場合のリスクがある
区分所有物件(マンションの一室など)については、次のような注意点があります。
- 一般的な住宅用マンションは評価されやすい
- 管理組合の運営状況や修繕積立金の状況も評価対象となる
- 築古物件や管理状態が悪い物件は評価が低くなりやすい
- 投資用区分マンションは居住用より評価が低くなることがある
区分所有や共有持分物件は、所有形態の特性を理解した金融機関を選ぶことで、より適切な評価を受けられる可能性があります。例えば、マンション融資に強い金融機関や、不動産投資に理解のある金融機関を選ぶとよいでしょう。
借地権や底地の評価
土地の権利関係が複雑な物件、特に借地権や底地も、担保評価において特殊な扱いを受けます。
借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有する権利です。借地権付き建物を担保にする場合は、以下のような点に注意する必要があります。
- 借地権の種類(普通借地権、定期借地権など)によって評価が異なる
- 残存期間が短い借地権は評価が低くなる
- 地主との関係や契約更新の見通しも評価に影響
- 一般的に所有権より低い評価となる
底地とは、借地権が設定されている土地の所有権のことです。底地を担保にする場合の注意点は、以下のような点です。
- 借地権者の権利が強いため、担保評価が低くなりやすい
- 将来的な完全所有権化の見通しが評価に影響
- 借地契約の内容(期間、更新条件など)が重要
- 借地人との関係性も評価の対象となる
権利関係が複雑な物件は、専門的な知識を持つ金融機関に相談することが重要です。特に、不動産担保融資に強い地方銀行やノンバンクの中には、借地権や底地の評価に精通した担当者がいる場合があります。
また、権利関係を明確にするための資料(契約書、登記簿、借地権設定証明書など)を事前に整理しておくことで、スムーズな評価につながります。
まとめ
不動産担保ローンにおける担保評価額は、金融機関が独自の基準で算出する融資の基準となる価値であり、市場価格とは異なることを理解しておくことが重要です。担保評価額は、物件の立地条件、建物の状態、収益性などの要素に基づいて算出され、金融機関によって評価基準や掛目が異なります。
融資可能額を最大化するためには、物件の状態改善、適切な資料準備、複数の金融機関への相談、事業計画のアピールなど、さまざまなアプローチが有効です。特に、立地条件の良さや収益性の高さ、建物のメンテナンス状況は、評価額を左右する重要な要素となります。
不動産担保ローンを検討する際は、自社の財務状況や返済計画を踏まえた上で、複数の金融機関に相談し、最も条件の良い融資プランを選択することをおすすめします。また、専門家のアドバイスを得ながら、長期的な事業計画に合った資金調達を進めていきましょう。
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