2025.06.13
不動産担保ローンの金利の相場はどのくらい?金利を抑える方法についても紹介
不動産を担保に事業資金を調達する場合、金利の状況や金融機関の特徴を把握しておくことが重要です。現在、金利は上昇傾向にあり、さらに銀行とノンバンクでは審査基準や対応の速さ、金利水準に差が生じています。そのため、自身の状況に合った最適な借入先を選ぶ必要があります。
この記事では、最新の不動産担保ローンの金利相場を金融機関別に紹介するとともに、金利の決まり方や変動要因を解説します。さらに、少しでも金利を抑えて借入するためのノウハウや、審査を有利に進めるポイントもお伝えします。資金調達の効率を最大化し、事業の発展につながる判断材料としてご活用ください。
不動産担保ローンの金利相場
不動産担保ローンを検討する際、まず気になるのが金利の相場です。金利は、借入コストに直結する重要な要素となります。
不動産担保ローンの金利
一般的に、銀行系の金融機関は、ノンバンク系よりも低金利である傾向がありますが、審査基準も厳格になります。
以下が、主要金融機関の金利です。ただし、実際の適用金利は、申込者の信用状況や担保物件の評価額によって個別に決定されるため、あくまで参考値としてご覧ください。
金融機関 | 金利帯 | タイプ | 融資可能額 | 借入期間 |
---|---|---|---|---|
東京スター銀行 | 1.25%~7.75% | 銀行 | 100万円~1億円 | 1年~30年 |
京葉銀行 | 1.6%~4.3% | 銀行 | 100万円~5,000万円 | 1年~20年 |
AGビジネスサポート | 2.49%~8.99% | ノンバンク | 300万円~3億円 | 6か月~35年 |
アサックス | 1.95%~6.9% | ノンバンク | 100万円~10億円 | 1年~35年 |
みずほ銀行 | 1.4%~3.8% | 銀行 | 500万円~2億円 | 1年~25年 |
オリックス・クレジット | 2.3%~7.5% | ノンバンク | 100万円~1億円 | 6か月~30年 |
上記データからわかるように、銀行系とノンバンク系では適用金利に差があります。一般的に、銀行は最低金利が低めに設定されていますが、審査基準が厳しく、融資実行までに時間がかかる傾向があります。一方、ノンバンクは、金利が若干高めでも審査がスピーディーで柔軟な対応が期待できます。
銀行とノンバンクの金利差
不動産担保ローンにおいて、銀行とノンバンクでは、金利に明確な差があります。銀行の場合、一般的に年1.2%~5%程度の金利帯である一方、ノンバンクは年1.9%~9%程度と幅広い金利設定となっています。
この金利差が生じる主な理由は、両者のビジネスモデルと資金調達コストの違いにあります。銀行は、預金などの低コストの資金を原資としているため、比較的低金利で融資を提供できます。対してノンバンクは、銀行からの借入や債券発行などで、より高いコストで資金を調達するため、必然的に金利は高くなります。
ただし、ノンバンクは審査基準の柔軟性やスピード面での優位性があり、急ぎの資金調達には非常に有効なオプションとなります。特に、銀行の審査では通りにくい業種や財務状況であっても、担保となる不動産の価値が十分であれば、融資を受けられる可能性が高まります。
金利上昇の傾向
2024年から2025年にかけて、日本の金融市場では金利上昇のトレンドが続いています。2023年末から、日本銀行が金融緩和政策の修正を進めていることが背景にあります。
具体的には、住宅ローンの変動金利が、2024年初頭の0.3~0.4%台から、2025年5月現在では0.6~0.7%台へと上昇しました。この金利上昇は、不動産担保ローンにも波及しており、多くの金融機関が金利の引き上げを実施しています。
金利上昇トレンドは、当面続くと予想されているため、不動産担保ローンを検討している場合は、今後の金利動向を注視することが重要です。金利上昇が予測される場合には、固定金利プランを選択するなど、将来的な金利リスクをヘッジする戦略も検討すべきでしょう。
不動産担保ローンの金利を決める要因
不動産担保ローンの金利は、さまざまな要因によって決定されます。これらの要素を理解することで、より有利な条件での借入が可能になります。
担保となる不動産の評価額
不動産担保ローンにおいて、担保となる不動産の評価額は、金利を決める重要な要素です。一般的に、評価額が高く担保価値が大きい物件ほど、金融機関にとってのリスクは低くなるため、金利も低く設定される傾向があります。
不動産の評価方法には、主に以下の3つがあります。
- 原価法:建物の建築費用と土地の取得費用に基づく評価
- 取引事例比較法:周辺の類似物件の取引価格を参考にした評価
- 収益還元法:物件から得られる将来の収益を現在価値に換算する評価
金融機関によって評価方法や基準は異なりますが、多くの場合、市場価値の60~80%程度が担保評価額として認められます。担保物件の評価を高める工夫をすることで、より低金利での借入が可能になることがあります。
借入者の信用力
不動産担保があるとはいえ、借入者自身の信用力や返済能力も、金利決定の重要な要素となります。具体的には、以下のような点が審査されます。
- 事業の安定性と収益性
- 過去の借入返済履歴
- 個人・法人の信用情報
- 財務状況(自己資本比率、債務比率など)
- キャッシュフローの状況
特に事業用の不動産担保ローンでは、担保物件の価値に加えて、事業の継続性や安定性が重視されます。財務諸表が健全で安定した事業収益がある場合、金融機関からの信頼度が高まり、金利面でも優遇される可能性が高まります。
決算書の内容を適切に整理して提示することで、自社の財務健全性や成長性をアピールし、審査担当者に良い印象を与えることができます。
金融機関の資金調達コスト
金融機関自身の資金調達コストも、提供する不動産担保ローンの金利に大きく影響します。銀行は、主に預金から資金を調達するため、預金金利に一定のマージンを上乗せした金利設定となります。
一方、ノンバンクは、銀行からの借入や社債発行などでより高いコストの資金を調達するため、必然的に融資金利は高くなる傾向があります。また、市場金利の動向も大きく影響し、長期プライムレートやTIBOR(東京銀行間取引金利=Tokyo InterBank Offered Rate)の上昇は、不動産担保ローンの金利上昇にも波及します。
そのため、金融機関同士を比較することが重要です。各金融機関の資金調達構造の違いにより、同じ市場環境でも金利設定に差が生じることがあります。
不動産担保ローンの金利体系
不動産担保ローンを選ぶ際には、金利体系の違いを理解することが重要です。自分のニーズに合った金利タイプを選ぶことで、長期的な借入コストを最適化できます。
変動金利と固定金利の違い
不動産担保ローンには、主に変動金利と固定金利の2種類の金利タイプがあります。それぞれに特徴があり、どちらが有利かは借入期間や今後の金利動向予測によって異なります。
変動金利は、市場金利の変動に合わせて一定期間ごとに金利が見直されるタイプです。一般的に、以下のような特徴があります。
- 当初の金利設定が固定金利より低め
- 市場金利の低下時にはメリットを享受できる
- 金利上昇時には返済負担が増加するリスクがある
- 通常、半年ごとに金利が見直される
一方、固定金利は借入期間中、金利が変わらないタイプです。特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 借入時点で将来の返済額が確定するため計画が立てやすい
- 市場金利が上昇しても影響を受けない
- 当初の金利設定は変動金利より高めになりがち
- 市場金利が下落しても恩恵を受けられない
現在のように金利上昇の傾向がみられる状況では、固定金利型を選択するほうが、安心感があるといえるでしょう。特に、長期の借入を検討している場合、将来の金利上昇リスクをヘッジする意味でも固定金利は魅力的な選択肢となります。
金利タイプの選び方
不動産担保ローンの金利タイプを選ぶ際は、次のようなポイントを考慮することが重要です。自身の事業計画や返済計画と照らし合わせて、最適な選択をしましょう。
短期間(1~3年程度)の借入を検討している場合は、変動金利でも金利変動の影響を受ける期間が限られるため、初期金利の低い変動金利が有利なケースが多いでしょう。一方、5年以上の中長期的な借入では、金利変動リスクを考慮する必要があります。
また、借入金額が大きい場合は、わずかな金利変動でも返済額への影響が大きくなるため、固定金利で安定させることが賢明かもしれません。ビジネスのキャッシュフローが安定している場合は、多少の金利上昇に耐えられるため変動金利も選択肢となりますが、季節変動が大きい事業では、固定金利で返済額を確定させておくメリットがあります。
自社の資金計画と金利変動リスクを総合的に判断することが、最適な金利タイプ選びのポイントです。不確実性が高いと感じる場合は、一部固定金利・一部変動金利のミックス型を検討するのも一つの戦略です。
金利の優遇条件の活用
多くの金融機関では、一定の条件を満たすことで、金利優遇を受けられる制度を設けています。こうした優遇条件を理解し活用することで、実質的な借入コストを抑えることが可能です。
代表的な金利優遇条件には、以下のようなものがあります。
- 同一金融機関での口座取引実績
- 給与振込や公共料金の自動引落設定
- クレジットカードやその他金融商品の利用
- インターネットバンキングの契約
- 担保評価額が高い場合の優遇
- 財務状況が良好な場合の優遇
これらの優遇条件は、金融機関によって異なりますが、複数の条件を満たすことで最大0.5%程度の金利引き下げが期待できることもあります。長期間の借入では、この差が返済総額に大きく影響します。
事前に各金融機関の優遇条件を確認して積極的に交渉することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。また、既存の取引関係がある金融機関では、その実績を基に交渉の余地が広がることも多いでしょう。
不動産担保ローンの金利を抑える方法
不動産担保ローンを利用する際、少しでも金利を抑えることができれば、長期的な返済負担を大きく軽減できます。
担保物件の価値を高める
不動産担保ローンでは、担保物件の評価額が高いほど金融機関にとってのリスクが低減するため、金利の引き下げにつながります。担保価値を高めるための具体的な方法を見ていきましょう。
まず、不動産の物理的状態を改善することが重要です。簡易的なリフォームやメンテナンスにより、建物の状態を良好に保つことで、評価額の低下を防ぐことができます。特に、外壁の塗り替えや内装の修繕は比較的コストが低く、効果が高い改善策です。
立地条件の良さをアピールすることも効果的です。最寄り駅からの距離や周辺環境、将来的な開発計画などの情報を整理して提示することで、物件の将来価値をアピールできます。商業用不動産の場合、安定した賃貸収入があることを示す資料を用意することも重要です。
プロの不動産鑑定士に依頼して評価書を取得することも検討価値があります。金融機関独自の評価よりも専門家による評価のほうが高くなるケースもあり、その評価書を審査時に提出することで、担保評価額のアップにつながる可能性があります。
返済能力を高く評価してもらう
不動産担保ローンでは、担保物件の価値だけでなく、借入者の返済能力も重要な審査ポイントとなります。返済能力を高く評価してもらうための方法を見ていきましょう。
まず、財務諸表の整備と透明性の確保が基本です。過去3年分の決算書類を整理し、安定した収益構造や成長性が伝わるように準備します。特に、粗利率や営業利益率などの収益性指標が業界平均を上回っていれば、積極的にアピールすべきポイントです。
事業計画書の提出も効果的です。今後の売上予測や収益見通しを、具体的な数字と根拠をもって説明することで、将来的な返済能力の高さをアピールできます。特に借入金の使途が明確で、その投資による収益向上が説得力を持って説明できれば、金融機関の信頼を得やすくなります。
取引先や販売先との契約書や発注書を提示することも有効です。安定した取引関係があることは、将来の収益確保につながるため、金融機関の安心材料となります。特に、大手企業や公的機関との継続的な取引実績があれば、積極的に提示するとよいでしょう。
金融機関と上手く交渉する
不動産担保ローンの条件は、実は交渉の余地があることが少なくありません。効果的な交渉により、金利を含む借入条件を改善できる可能性があります。
まず、複数の金融機関から見積もりを取ることが基本戦略です。競合他社の条件を伝えることで、より良い条件を引き出せることがあります。ただし、あまりにも強引な交渉は逆効果になる可能性もあるため、事実に基づいた冷静な交渉を心がけましょう。
既存の取引関係を活用することも重要です。取引口座を持っている銀行や、これまでの融資返済実績がある金融機関では、その信頼関係を基に交渉できる可能性が高まります。特に、過去に期日通りの返済実績がある場合は、その点を強調するとよいでしょう。
担当者との良好な関係構築に時間を投資することも長期的には大切です。融資担当者に自社の事業内容や成長戦略を丁寧に説明し、理解を深めてもらうことで、単なる数字だけでなく事業の将来性も含めて評価してもらえる可能性が高まります。
借り換え
既に不動産担保ローンを利用している場合、借り換えによって金利負担を軽減できる可能性があります。特に、現在の借入条件が市場の相場と比較して高い場合は、借り換えを検討する価値があるでしょう。
借り換えを検討すべきタイミングとしては、市場金利が大きく低下した時や、自社の業績や信用力が向上した時が挙げられます。また、担保物件の価値が上昇した場合も、より有利な条件での借り換えが期待できます。
借り換えによるメリットを最大化するためには、以下の点に注意が必要です。
- 現在の契約の繰上返済手数料の確認
- 新規借入に伴う諸費用(登記費用、保証料など)の計算
- トータルでの借入コスト削減効果の試算
- 残りの返済期間と借り換えによる効果のバランス
複数の金融機関から借り換え提案を受けて比較することで、最も有利な条件を見つけることができます。ただし、借り換えには新たな審査が必要になるため、現在の返済状況が良好であることが前提となります。
まとめ
不動産担保ローンの金利相場は、2025年5月現在、銀行系で1.25%~5%程度、ノンバンク系で1.95%~9%程度と、金融機関によって幅広い設定となっています。金利上昇トレンドが続く現在の市場環境では、金利タイプの選択や借入先の比較検討が特に重要です。
金利を抑えるためには、担保物件の価値を高める工夫や返済能力のアピール、複数の金融機関との交渉、そして借り換えの検討など、さまざまな方法があります。また、審査を有利に進めるためには、必要書類の事前準備や自社の状況に合った金融機関の選定が鍵となります。資金調達は、経営戦略の重要な一部です。金利相場の動向を把握しながら、自社に最適な不動産担保ローンを選択し、効率的な資金運用につなげていきましょう。
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不動産担保ローンは、低金利で大きな資金調達が可能ですが、担保物件が必要なことや審査に時間がかかるといったデメリットがあります。急ぎの資金調達を必要としていて、担保提供が難しい場合は、HTファイナンスの無担保無保証のビジネスローンが向いています。
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