2025.04.18
借り換えとは?各種ローンを借り換えする際の注意点とメリットを解説!
日々の事業運営において、資金繰りに悩むことは珍しくありません。融資の返済負担が重く、キャッシュフローを圧迫している場合は、特に深刻です。そんなとき、「借り換え」という選択肢があることをご存知でしょうか。
借り換えを行うことにより現在の融資条件を見直し、より有利な条件で新たな借入を行うことで、毎月の返済負担を軽減できる可能性があります。しかし、何も考えず借り換えをしてしまうと、タイミングや条件によっては、かえって状況を悪化させてしまうこともあります。
本記事では、事業融資における「借り換え」の基本から、メリット・デメリット、注意点まで徹底解説します。
借り換えとは
借り換えとは、既存の融資を新たな融資に切り替える手法です。より具体的に説明すると、現在借りている金融機関からの融資を、別の金融機関からの新たな融資に移行することを指します。
借り換えを行う目的
借り換えを行う主な目的は、返済負担の軽減にあります。低金利への移行や返済期間の延長によって、毎月の返済額を減らすことができるのです。
例えば、年利5%で3年返済の融資を、年利3%で5年返済の融資に借り換えれば、毎月の返済額は大幅に減少します。このような資金繰りの改善が、借り換えの最大のメリットといえるでしょう。
借り換えと一本化(おまとめ)の違い
ローンの見直しにおいて、「借り換え」と「一本化(おまとめ)」ということばがよく使われます。この二つには、明確な違いがあります。
借り換えは、1つの融資を別の金融機関の融資に移行することを指します。対して一本化(おまとめ)は、複数の融資を1つにまとめる手法です。
例えば、A銀行とB銀行から別々に借り入れをしている場合、これらをC銀行の1つの融資にまとめるのが「一本化」になります。これにより、返済管理が簡素化され、手数料の節約にもつながる場合があります。
ただし、実務上では明確に区別されないケースも多く、どちらも「借り換え」ということばで表現されることが少なくありません。本質的な目的を理解しておくことが重要です。
事業者が借り換えを行うメリット
事業融資における借り換えには、さまざまなメリットがあります。資金繰りに悩む事業者にとって、これらのメリットは非常に魅力的といえるでしょう。
毎月の返済負担が軽減される
借り換えの最大のメリットは、毎月の返済額が減少する可能性が高いことです。金利の低下や返済期間の延長によって、キャッシュフローの改善が期待できます。
例えば、1000万円の融資を年利5%で3年返済している場合、毎月の返済額は約30万円程度です。これを年利3%で5年返済に借り換えると、毎月の返済額は約18万円程度に減少します。
この差額の約12万円は、運転資金や設備投資、新規事業の資金として活用できるようになります。特に成長期の企業や、一時的な収益低下に直面している企業にとって、資金繰りがしやすくなるのは大きなメリットとなります。
追加融資を受けられる可能性がある
借り換えのもう一つの大きなメリットは、追加融資が受けられる可能性があることです。特に、既存の融資が「条件変更(リスケジュール)」状態にある場合に顕著です。
条件変更中は原則として新規融資が困難になりますが、借り換えによって正常な融資状態に戻すことで、追加の資金調達が可能になるケースがあります。
事業拡大や新規投資を検討している経営者にとって、資金調達の選択肢が広がることは、非常に大きなメリットといえるでしょう。
金利が低下する可能性がある
融資を受けた時期と現在では、市場金利が変動している可能性があります。金利低下局面であれば、借り換えによって金利負担を大幅に軽減できることがあります。
例えば、5年前に年利4%で融資を受けた場合、現在の市場環境では年利2%程度で借り入れできる可能性があります。この場合、100万円の融資あたり年間2万円の金利負担軽減につながります。
また、事業の成長や信用力向上によって、以前より低い金利での融資を受けられるケースも少なくありません。総返済額の削減という観点からも、借り換えは効果的な選択肢となります。
借り換えと条件変更の明確な違い
資金繰りに苦しんだとき、多くの経営者は「借り換え」と「条件変更(リスケジュール)」という選択肢に直面します。この二つは、似ているようで大きく異なる対応策です。
追加融資の可能性における違い
借り換えと条件変更の最も重要な違いは、追加融資の可能性です。借り換えの場合、新規融資として取り扱われるため、追加融資を受けることが可能です。
一方、条件変更(リスケジュール)は、既存融資の返済条件を変更するだけであり、原則として追加融資は困難になります。これは、金融機関が条件変更を「返済に問題がある状態」と判断するためです。
事業拡大や経営改善のために追加資金が必要な場合は、条件変更よりも借り換えを選択すべきでしょう。
信用への影響の違い
借り換えと条件変更では、事業者の信用情報への影響も大きく異なります。借り換えは通常の新規融資と返済として処理されるため、信用情報に悪影響を及ぼしません。
対照的に、条件変更は「約定通りの返済ができない状態」として信用情報に記録されます。これにより、将来的な融資審査において不利になる可能性があります。
長期的な事業継続を考えると、信用情報への影響は慎重に検討すべき点です。特に、今後も金融機関との良好な関係を維持したい経営者にとって、この違いは重要です。
比較項目 | 借り換え | 条件変更(リスケ) |
---|---|---|
新規融資 | 可能 | 原則不可 |
信用への影響 | なし(通常) | あり(信用低下) |
手続きの複雑さ | 新規融資の審査が必要 | 比較的シンプル |
適している状況 | 金利低減や追加融資が必要な場合 | 一時的な資金難で返済猶予が必要な場合 |
借り換えを行うリスク
借り換えには多くのメリットがある一方で、いくつかのリスクも存在します。これら借り換えを行うと、かえって経営状況を悪化させる恐れもあります。
審査基準の変化
借り換えを行う場合、新たな融資審査を受ける必要があります。この審査は、初回融資時よりも厳しくなっている可能性があります。特に金融環境や経済状況の変化により、審査基準が厳格化していることも少なくありません。
例えば、以前は黒字決算だけで融資が受けられたとしても、現在は将来の事業計画や担保、保証人などの条件が厳しくなっている可能性があります。
また、条件変更履歴がある場合や、業績が悪化している場合は特に注意が必要です。事前に融資可能性を確認しておくことで、審査不通過によるリスクを回避できます。
返済期間の延長
毎月の返済額を減らすために返済期間を延長する借り換えは、キャッシュフロー改善に効果的です。しかし、返済期間が長くなると、総返済額(元金+利息)は増加する傾向にあります。
例えば、1000万円を年利3%で3年返済する場合の総返済額は約1047万円ですが、同じ条件で5年返済にすると総返済額は約1078万円となります。この差額の約31万円が、返済期間延長によるコスト増加分です。
キャッシュフロー改善と総返済額のバランスの双方を比較して、長期的な資金計画に基づいて判断することが重要です。特に、余剰資金が発生した場合の繰上返済の可否なども確認しておくとよいでしょう。
事業融資における借り換えの種類
事業融資の借り換えには、融資元となる金融機関によってさまざまな種類があります。それぞれに特徴があり、事業の状況に応じて、最適な選択肢を検討する必要があります。
銀行系(信金・信組含む)による借り換え
銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関による借り換えは、比較的低金利で融資を受けられる点が大きな魅力です。プロパー融資(金融機関が独自の判断で行う融資)と、信用保証付き融資のどちらも借り換え対象となります。
銀行系の借り換えでは、財務状況や事業計画の審査が厳格であるため、安定した業績を維持している企業に適しています。また、長期的な資金計画を立てやすい点も特徴です。
特に、メインバンク以外の金融機関への借り換えを検討する場合、新たな取引関係構築の機会にもなります。これにより、融資リスクの分散や緊急時の資金調達先の確保という副次的なメリットも期待できます。
日本政策金融公庫による借り換え
日本政策金融公庫の融資は、創業間もない企業や特定の政策目的に合致する事業に対して、優遇された条件で融資を行う特徴があります。借り換えにおいても、同様の特別融資制度が適用される場合があります。
公庫融資の借り換えは、特に民間金融機関からの借入が困難な状況にある中小企業や個人事業主にとって、重要な資金繰り改善の選択肢となります。審査基準が民間銀行と異なるため、銀行融資が難しい場合でも可能性があります。
ノンバンクによる借り換え
ノンバンク(貸金業者)による借り換えは、銀行や公庫と比較して審査が柔軟である点が特徴です。財務状況に課題がある場合や、急ぎの資金需要がある場合に選択されることが多いでしょう。
ただし、金利が銀行融資より高い傾向にあるため、返済計画は慎重に立てる必要があります。ノンバンク融資は、一時的な資金繰り改善や、他の融資への橋渡し的な役割として活用するのが一般的です。
特に条件変更中の融資がある場合や、銀行融資の審査に通らない状況では、短期的な選択肢として検討してもよいでしょう。ただし、長期的には金利負担が大きくなる点に注意が必要です。
借り換えを行う手順
借り換えを検討する際には、具体的な手順と必要書類を理解しておくことが重要です。
事前準備と情報収集
借り換えの第一歩は、現在の借入状況を正確に把握することです。すべての借入先、借入額、金利、返済期間、毎月の返済額などを整理しましょう。
また、自社の財務状況も客観的に分析しておく必要があります。最新の決算書や試算表、資金繰り表などを用意し、現在の経営状況を把握します。
さらに、複数の金融機関の融資条件を比較検討することが重要です。金利だけでなく、手数料、担保・保証人の有無、審査期間なども含めて総合的に判断しましょう。
必要書類の準備
借り換え融資の申込みには、通常の融資と同様にさまざまな書類が必要です。主な必要書類は、以下の通りです。
- 決算書(過去3期分)
- 試算表(直近のもの)
- 事業計画書
- 資金繰り表
- 借入返済予定表(現在の融資の状況が分かるもの)
- 納税証明書
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
- 確定申告書(個人事業主の場合)
これらの書類は最新のものを用意し、整理された状態で提出することが、審査にプラスに働きます。特に事業計画書は、借り換えによって、どのように経営改善を図るのかを具体的に示すことが重要です。
審査から実行までの流れ
借り換え融資の審査から実行までの一般的な流れは以下の通りです。
- 金融機関への事前相談
- 融資申込書と必要書類の提出
- 金融機関による審査(企業訪問や面談を含む場合あり)
- 融資承認
- 契約書類の作成と締結
- 新規融資の実行
- 既存融資の一括返済
審査期間は金融機関によって異なりますが、一般的には2週間から1ヶ月程度かかります。時間的余裕をもって計画的に申込みを行うことが大切です。
また、借り換え実行日の調整も重要です。既存融資の返済日と新規融資の実行日をうまく調整し、一時的な資金不足が生じないようにしましょう。
借り換えを成功させるための交渉
借り換えを有利な条件で成功させるためには、金融機関との効果的な交渉が不可欠です。適切な準備と交渉術を身につけることで、より良い条件を引き出せる可能性が高まります。
交渉前の情報収集
金融機関との交渉前には、十分な情報収集と分析が必要です。自社の強みや成長性、業界動向、競合他社との比較など、融資審査においてプラスとなる情報を整理しておきましょう。
また、現在の市場金利や他の金融機関の融資条件なども調査しておくことで、交渉の基準となる情報をもつことができます。
さらに、自社の将来性を示す具体的な事業計画やプロジェクト情報があれば、それらも整理しておきましょう。説得力のある資料の準備が、交渉を有利に進める鍵となります。
面談での具体的な説明
金融機関との面談では、単に借り換えを希望するだけでなく、その理由や経営改善への展望を具体的に説明することが重要です。
特に、借り換えによって毎月の返済負担が軽減されることで、どのように事業に好影響があるのかを具体的に説明できると効果的です。例えば、新規設備投資や人材採用、新サービスの開発など、前向きな投資計画があれば積極的に伝えましょう。
また、金融機関担当者との信頼関係構築も重要です。定期的なコミュニケーションを心がけ、経営状況を正直に開示する姿勢を示すことで、長期的な信頼関係を築くことができます。
複数の金融機関へのアプローチ
より有利な条件を引き出すためには、複数の金融機関に同時に融資相談を行うことも効果的です。比較検討することで、各金融機関の特徴や強みを理解でき、自社に最適な選択ができます。
ただし、複数の金融機関に同時に正式な融資申込をすると、信用情報機関への照会記録が複数残り、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、正式申込前の事前相談の段階で比較検討することをおすすめします。
最終的に借り換え先を決定する際には、金利だけでなく、担保・保証人条件、融資期間、手数料、融資実行までのスピードなど、総合的な判断基準で選択することが大切です。
経営者が借り換えで取るべき具体的アクション
借り換えを検討している経営者が、具体的にどのようなアクションを取るべきかをまとめます。計画的な準備と実行が、借り換え成功の鍵となります。
専門家への相談と協力体制の構築
借り換えを効果的に進めるためには、専門家の知見を活用することが重要です。特に税理士や融資コンサルタント、中小企業診断士などの専門家は、金融機関との交渉や必要書類の作成をサポートしてくれます。
専門家に相談する際は、自社の財務状況や借入状況、経営課題を整理して伝えることで、より適切なアドバイスが得られます。
また、専門家だけでなく、社内の財務担当者や役員とも協力体制を構築し、組織的に借り換えを進める体制を整えることが大切です。
複数の金融機関の比較検討
借り換えの成否は、金融機関選びにかかっているといっても過言ではありません。地域金融機関(地銀・信金・信組)、メガバンク、政府系金融機関(日本政策金融公庫など)、ノンバンクなど、さまざまな選択肢があります。
各金融機関の特徴や得意分野、審査基準の違いを理解し、自社の状況に合った金融機関を選ぶことが重要です。金利だけでなく、融資期間、担保・保証人条件、手数料なども含めて総合的に比較検討しましょう。
また、現在の取引金融機関にも借り換えの意向を伝え、条件改善の交渉をすることも選択肢の一つです。複数の選択肢をもつことで交渉力が高まることを理解しておきましょう。
長期的な資金計画の策定
借り換えは一時的な資金繰り改善策ではなく、長期的な経営戦略の一環として位置づけることが重要です。借り換えによって生まれる資金的余裕をどのように活用するのか、具体的な計画を立てましょう。
例えば、返済負担軽減で生まれた資金を設備投資や人材採用、新規事業開発など、将来の成長につながる分野に投資する計画を立てることで、借り換えの効果を最大化できます。
また、業績悪化などの不測の事態に備えた資金計画も重要です。余裕をもった返済計画の策定により、将来的な資金繰り悪化リスクを軽減することができます。
まとめ
事業融資の借り換えは、返済負担の軽減や追加融資の可能性など、多くのメリットがある資金繰り改善策です。しかし、単に借り換えを行えばよいというわけではなく、計画的な準備と実行が成功の鍵となります。
借り換えを検討する際は、現在の借入状況を正確に把握し、複数の金融機関の条件を比較検討することが重要です。また、単なる返済負担軽減だけでなく、生まれた資金的余裕をどのように活用して事業成長につなげるかという視点も欠かせません。経営改善と借り換えを組み合わせることで、真の資金繰り改善が実現します。
専門家のアドバイスを活用しながら、自社に最適な借り換え先を選定し、長期的な視点で経営を安定させていきましょう。資金繰りの改善は、事業発展の基盤づくりにつながる重要なステップです。
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