• TOP
  • 新着情報
  • リスキリング補助金とは?申請方法も解説

リスキリング補助金とは?申請方法も解説

デジタル化が進展する中で、企業の経営課題として従業員のリスキリング(新しいスキルの習得)が重要視されるようになっています。しかし、教育訓練にはコストがかかるため、なかなか踏み出せないのが実情ではないでしょうか。そこで、この記事では、リスキリングを支援する様々な補助金・助成金・給付金制度について解説します。これらの支援制度を有効活用することで、従業員のスキル向上と企業の生産性アップを効率的に実現できるでしょう。

リスキリング補助金とは

リスキリングとは、新しい職業に就くため、または現職で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得することを指します。経済産業省によると、社会や技術の変化に対応し、新たな知識やスキルを習得する取り組みがリスキリングであると定義されています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルスによるオンライン化の進展に伴い、ITスキルの習得が不可欠となっています。リスキリングは、個人のキャリア形成や企業の競争力向上、生産性向上に大きく寄与するといえるでしょう。

リスキリングを支援する政府の動き

世界的には、2030年までに10億人規模のリスキリングが目標とされています。日本政府も、個人のリスキリング支援に5年間で1兆円を投入する予定です。

企業向けには、以下のような補助金や助成金が用意されています。

  • ものづくり補助金:中小企業のサービス開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援
  • IT導入補助金:中小企業のITツール導入費用を支援し、労働生産性向上を促進
  • 人材開発支援助成金:従業員の職業訓練費用の一部を助成
  • DXリスキリング助成金:東京都内の中小企業がDX関連職業訓練を実施する際に助成

個人向けには、教育訓練給付制度が利用可能です。受講費用の20~50%が支給され、資格取得後の雇用や賃金上昇に応じて追加支給もあります。

補助金・助成金・給付金の違い

リスキリング支援制度には、補助金、助成金、給付金があります。それぞれの違いを理解することが重要です。

種類 概要 特徴
補助金 国や地方自治体が政策推進のために企業に提供。審査あり。 支給は政策活動に即している場合に限定。
助成金 国や地方自治体が企業を支援。要件を満たせば原則支給。 補助金と異なり、審査で支給される可能性が高い。
給付金 個人を対象に国や地方自治体が提供。使用用途や受給条件は種類により異なる。

リスキリングの効果を高めるためには、従業員の学習意識を高め、習得したスキルを実務で活用する機会を設けることが重要です。企業と個人が協力し、政府の支援制度を有効活用しながらリスキリングに取り組むことが求められています。

企業向けリスキリング支援制度

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルスの影響により、企業にとって従業員のリスキリングが重要な課題となっています。政府や自治体は、企業のリスキリング支援のために様々な補助金・助成金制度を設けています。

ここでは、企業がリスキリングに活用できる主要な支援制度について、その概要と活用方法を解説します。活用することで、従業員の新たなスキル習得を効果的に進められるでしょう。

ものづくり補助金の活用

ものづくり補助金は、中小企業のサービス開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援する制度です。通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠など複数の枠があります。

従業員のリスキリングに関連する設備投資を行う際に、この補助金を活用できます。例えば、ITスキル習得のための教育システム導入や、データ分析ツールの購入、関連デバイスの購入などが対象となります。

IT導入補助金の活用

IT導入補助金は、中小企業のITツール導入費用を支援し、労働生産性向上を促進することを目的とした制度です。通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠など複数の枠があります。

リスキリングに必要なITツールの導入費用に、この補助金を活用できます。具体的には、以下のようなITツールが対象となります。

  • eラーニングシステム
  • オンライン会議ツール
  • 業務効率化ソフトウェア

人材開発支援助成金の活用

人材開発支援助成金は、従業員の職業訓練費用の一部を助成する制度です。人材育成支援コースや教育訓練休暇等付与コースなど、7つのコースがあります。

従業員のリスキリングに必要な職業訓練を実施する際に、この助成金を活用できます。例えば、ITスキル習得のための外部研修受講費用や、社内でのリスキリング研修の実施費用が対象となります。

DXリスキリング助成金の活用

DXリスキリング助成金は、東京都内の中小企業がDX関連職業訓練を実施する際に助成する制度です。資本金5,000万円以下、従業員数100人以下などの条件があります。

DX推進に必要なスキル習得のための職業訓練を実施する際に、この助成金を活用できます。対象となる職業訓練の例は以下の通りです。

  • AIやビッグデータ分析に関する研修
  • クラウドサービス活用のための研修
  • サイバーセキュリティ対策に関する研修

リスキリング補助金のメリット

リスキリング補助金は、企業、そして社会全体にとって大きなメリットがあります。ここでは、それぞれの観点からリスキリング補助金の利点を見ていきましょう。

企業にとってのメリット

企業にとって、リスキリング補助金を活用することで、従業員のスキルアップを効率的に進められます。補助金を受けることで、社員教育にかかる費用負担を軽減でき、より積極的に人材育成に取り組むことができるでしょう。

また、従業員のスキルが向上することで、生産性の向上や新たなビジネス機会の創出につながります。DXの推進に必要なITスキルを社内に蓄積できれば、競争力の強化にもつながるでしょう。

さらに、従業員のモチベーション向上も期待できます。スキルアップの機会を提供することで、従業員の仕事に対する満足度が高まり、定着率の向上にもつながりますし、新規人材採用に際しても有利にはたらくことでしょう。

社会全体にとってのメリット

リスキリング補助金は、社会全体にとっても大きな意義があります。企業や個人のスキルアップを支援することで、社会全体の生産性向上につながると言えます。

また、技術革新が進む中で、社会に必要とされる人材を育成することができます。情報通信技術の進化発展をベースに産業構造は劇的に変化しており、そうした変化に対応した人材の供給が可能となり、経済の発展に寄与すると考えられています。

さらに、失業率の低下にも貢献します。スキルアップによって、労働者の雇用機会が拡大し、社会の安定につながるでしょう。

以上のように、リスキリング補助金は、企業、個人、社会全体にとって大きなメリットがあるといえます。補助金を有効に活用し、スキルアップを図ることが重要です。

リスキリング補助金の注意点

リスキリング補助金を活用する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、申請手続きの煩雑さ、支給条件の厳しさ、そしてリスキリングの効果を高めるポイントについて解説します。

申請手続きの煩雑さ

リスキリング補助金の申請には、様々な書類の準備が必要です。例えば、事業計画書や経費明細書、研修実施計画書などの提出が求められます。これらの書類作成には時間と労力がかかるため、申請者にとって大きな負担となります。

また、申請書類の不備や誤記入があると、審査が遅れたり、却下されたりするリスクがあります。申請前に必要書類を確認し、慎重に作成することが肝心になります。場合によっては、専門家に相談することをおすすめします。

支給条件の厳しさ

リスキリング補助金の支給には、厳しい条件が設定されています。例えば、研修実施後の従業員の定着率や、生産性向上の達成度などが評価の対象となります。これらの条件を満たせない場合、補助金の支給が受けられないことがあります。

支給条件を確実にクリアするためには、補助金の申請前に研修内容の充実化と、受講者のモチベーション管理が重要です。会社としてリスキリングの目的を明確にし、従業員の理解と協力を得ることが欠かせません。適切な研修計画の立案と、着実な実行が求められるでしょう。

リスキリングの効果を高めるポイント

リスキリングの真の目的は、従業員のスキルアップと、それによる企業の生産性向上です。補助金の獲得はあくまで手段であり、本質ではありません。リスキリングの効果を最大化するためには、いくつかのポイントに留意する必要があります。

1つ目は、従業員の学習意欲を高めることです。リスキリングがキャリア形成に役立つことを丁寧に説明し、理解を得ましょう。アンケート調査で従業員のニーズを把握したり、資格取得のインセンティブを設けたりするのも効果的です。

2つ目は、習得したスキルを実務で活用する機会を設けることです。せっかく身につけた知識やスキルも、実践しなければ意味がありません。研修後は、関連する業務を担当させるなど、スキルを発揮できる場を意識的に提供することが肝要です。

リスキリング補助金を有効に活用するためには、申請手続きや支給条件の理解に加え、従業員の学習意欲の向上と、実務での活用機会の提供が不可欠です。補助金を目的化せず、あくまで従業員の成長と企業の発展につなげる視点を持つことが、リスキリング成功の鍵を握るでしょう。

リスキリング補助金の申請方法

リスキリングを行うにあたって、企業が活用できる補助金・助成金・給付金があります。ここでは、それらの申請方法について詳しく解説していきます。

企業向け補助金・助成金の申請手順

企業がリスキリングに活用できる主な補助金・助成金には、ものづくり補助金、IT導入補助金、人材開発支援助成金、DXリスキリング助成金などがあります。これらの申請手順は以下の通りです。

  1. 申請要件の確認

    各補助金・助成金には、企業規模や業種、事業内容などの要件が定められています。申請前に、自社が要件を満たしているか確認しましょう。

  2. 申請書類の準備

    申請に必要な書類は、補助金・助成金によって異なります。一般的には、事業計画書、財務諸表、見積書などが求められます。書類の不備がないよう、注意深く準備することが大切です。

  3. 申請の提出

    準備した申請書類を、指定された方法で提出します。オンライン申請の場合はWebサイトから、郵送の場合は指定の宛先に送付します。提出期限を確認し、余裕をもって申請しましょう。

  4. 審査結果の通知

    申請後、審査結果が通知されます。採択された場合は、指定の手続きに従って補助金・助成金を受給することができます。不採択の場合は、次回の応募に向けて事業計画を見直すとよいでしょう。

申請に必要な書類と注意点

補助金・助成金・給付金の申請には、各制度で指定された書類の提出が必要です。企業の場合は事業計画書や財務諸表など、個人の場合は受講証明書や領収書などが求められます。

申請にあたっては、提出期限や書類の不備がないよう十分に確認することが重要です。また、申請内容が制度の目的に合致しているか、審査基準を満たしているかを確認しておくことも必要でしょう。

申請後は、審査結果を待つ必要があります。採択の場合でも、資金を受給するまでに一定の期間があります。不採択の場合でも、次回に向けて事業計画の改善点を見出すチャンスと捉え、前向きに取り組むことが大切といえます。リスキリング補助金を有効に活用し、従業員のスキル向上と企業の競争力強化につなげていきましょう。

まとめ

本記事では、リスキリング補助金について、その仕組みや企業向けの支援制度、申請方法などを詳しく解説してきました。技術革新やDXの進展に伴い、企業にとって従業員のリスキリングが重要な課題となっています。

自社に合った制度を確認し、計画的に申請・活用していくことをおすすめします。リスキリング補助金を有効に活用していきましょう。

融資のご相談とお申し込みはこちらから

 

監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
前へ

返済不要の資金調達って?代表的な4つのメリット・デメリットを徹底解説!

一覧へ戻る

補助金と助成金の違いとは? 企業が知っておくべき活用ポイントと申請のコツ

次へ