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不動産担保ローンで借りられるのはいくらまで?

不動産担保ローンで借りられるのはいくらまで?

不動産担保ローンは、自社所有の不動産を担保として資金を調達できる融資方法です。ここでは、借入可能額の基本的な考え方について解説していきます。

借入可能額の一般的な目安

不動産担保ローンの借入可能額は、担保となる不動産の評価額に大きく左右されます。一般的な目安として、担保不動産評価額の6〜8割程度が借入可能といわれています。

例えば、5,000万円相当の土地を担保として設定する場合、おおよそ3,000〜4,000万円程度の借入が可能になります。ただし、この数値はあくまで目安であり、実際の借入可能額は金融機関の審査基準や申込者の条件によって変動します。

担保不動産評価額と借入可能額の関係

担保不動産の評価額は、借入可能額を決定する最も重要な要素の一つです。不動産の評価方法には、主に以下の3つがあります。

  • 原価法:建物の購入費用から耐用年数による消耗を差し引いて評価する方法
  • 取引事例比較法:類似物件の取引額を参考に評価する方法
  • 収益還元法:賃貸物件の場合に使用され、年間利益を周辺類似物件の利回りで割って評価する方法

土地の評価には、公示地価、基準地価、路線価などが参考価格として使用されることがあります。これらの評価方法や参考価格を基に、金融機関が独自の基準で担保不動産の価値を算出します。

しかし、借入可能額は担保不動産の評価額だけでなく、申込者の年収や職業、信用情報、他社からの借入金額と返済状況なども考慮されます。ビジネスローンの場合は、事業計画の内容も重要な審査項目となるでしょう。

借入可能額を最大化するための戦略

借入可能額を最大化するためには、綿密な準備と戦略的なアプローチが必要です。以下に、審査通過のためのポイントをまとめました。

  1. 必要書類の完全な準備
    • 本人確認書類
    • 決算書/確定申告書
    • 事業内容確認書
    • 取引先からの請求書
  2. 審査戦略の立案
    • ノンバンクの柔軟な審査を検討する
    • 借入希望額を控えめに設定する
    • 早期融資を希望する場合は審査期間の短い金融機関を選択する

金融機関によって評価基準が異なるため、担保不動産の評価は機関によって変動する可能性があります。そのため、事前に複数の金融機関で詳細な条件を確認することが重要です。

不動産評価額の算出方法

不動産担保ローンの借入可能額を知るためには、まず不動産評価額の算出方法を理解することが大切です。ここでは、建物と土地の評価方法、そして評価額に影響を与える要因について詳しく見ていきましょう。

建物評価の主要な手法

建物の評価には主に3つの手法が用いられます。それぞれの特徴と適用場面を理解することで、より正確な評価額の予測が可能になります。

1つ目は原価法です。この方法では、建物の購入費用から耐用年数による消耗を差し引いて評価します。さらに、立地や駐車場などの要素を追加調整することで、より精密な評価を行います。

2つ目は取引事例比較法です。この手法は、類似物件の取引額を参考に評価を行います。都市部の物件評価に適していますが、特殊な物件や取引が少ないエリアでは適用が難しい場合があります。

3つ目は収益還元法です。これは主に賃貸物件の場合に使用される方法で、年間利益を周辺類似物件の利回りで割ることで評価額を算出します。

土地評価の参考価格

土地の評価には、いくつかの基準となる価格が存在します。これらの価格を理解することで、より正確な土地の評価額を把握できるでしょう。

主な参考価格として、以下の3つがあります:

  • 公示地価:国土交通省が定める土地の価値
  • 基準地価:各都道府県が定める土地の価値
  • 路線価:地価変動を考慮した評価

これらの価格は、それぞれ異なる目的や基準で算出されているため、土地の評価において複合的に参考にすることが重要です。例えば、公示地価は一般的な土地取引の指標として広く利用されていますが、実際の取引価格とは異なる場合もあります。

評価額に影響を与える要因

不動産の評価額は、建物や土地自体の価値だけでなく、さまざまな要因によって影響を受けます。これらの要因を理解することで、より現実的な評価額の予測が可能になります。

主な影響要因として、以下のようなものが挙げられます:

  • 立地条件(駅からの距離、周辺環境など)
  • 建物の築年数と維持管理状態
  • 土地の形状や接道状況
  • 法規制(用途地域、建ぺい率、容積率など)
  • 将来的な開発計画や地域の発展性

これらの要因は、不動産の価値を大きく左右する可能性があります。例えば、駅に近い物件や、将来的に再開発が予定されている地域の不動産は、高く評価される傾向にあります。

また、建物の場合は築年数や維持管理状態が重要です。適切なメンテナンスが行われている建物は、築年数が経っていても比較的高い評価を受けることがあります。

土地評価においては、形状や接道状況も重要な要素です。整形地で道路に面している土地は、不整形な土地や袋地(道路に接していない土地)よりも高く評価されるのが一般的です。

借入可能額は何で決まる?

不動産担保ローンの借入可能額は、担保となる不動産の評価額だけでなく、様々な要素によって左右されます。ここでは、借入可能額に影響を与える重要な追加要素について詳しく見ていきましょう。

申込者の経済状況

申込者の財務状況は、不動産担保ローンの借入可能額を決定する上で極めて重要な要素です。金融機関は、申込者の返済能力を慎重に評価し、適切な融資額を決定します。

まず、申込者の年収が重要な判断基準となります。一般的に、年収が高ければ高いほど、借入可能額も増加する傾向にあります。これは、高い年収が安定的な返済能力を示すと考えられるためです。

また、職業も借入可能額に影響を与えます。安定した収入が見込める正社員や公務員は、比較的高い評価を受けやすいでしょう。一方で、フリーランスや自営業の場合は、収入の安定性や将来性をより詳細に審査される可能性があります。

加えて、申込者の資産状況も考慮されます。預金残高や投資資産などの流動性の高い資産は、返済能力の裏付けとなり、借入可能額を増やす要因となることがあります。

さらに、現在の負債状況も重要です。他の借入金の返済状況や、クレジットカードの利用状況なども審査の対象となります。過度な負債がある場合は、借入可能額が制限される可能性があるでしょう。

事業計画の内容(ビジネスローンの場合)

ビジネスローンとして不動産担保ローンを利用する場合、事業計画の内容が借入可能額に大きな影響を与えます。金融機関は、事業の将来性や収益性を慎重に評価し、融資の判断を行います。

事業計画は、融資の目的や資金の使途を明確に示す必要があります。例えば、新規事業の立ち上げ、既存事業の拡大、設備投資など、具体的な計画が求められます。金融機関は、これらの計画が実現可能で、将来的に利益を生み出す可能性が高いかどうかを判断します。

また、市場分析や競合他社との差別化戦略なども重要な要素です。自社の強みや独自性を明確に示し、市場でどのように競争力を維持・向上させていくかを説明することが求められます。

財務計画も事業計画の重要な部分です。売上予測、費用計画、利益計画などを具体的な数字で示し、返済計画との整合性を明確にしましょう。過去の業績データがある場合は、それを基に将来の予測を立てることで、より説得力のある計画となります。

さらに、リスク分析とその対策も事業計画に盛り込むべき要素です。想定されるリスクを洗い出し、それに対する具体的な対応策を示すことで、金融機関の信頼を得やすくなります。

信用情報と既存の借入金の状況

申込者の信用情報と既存の借入金の状況は、不動産担保ローンの借入可能額に直接的な影響を与えます。金融機関は、これらの情報を通じて申込者の信用力と返済能力を総合的に判断します。

信用情報は、過去の借入れや返済履歴を示す重要な指標です。例えば、過去に延滞や未払いがある場合、借入可能額が減少したり、最悪の場合は融資が難しくなる可能性があります。逆に、良好な返済履歴は信用力の証明となり、借入条件の改善につながることがあります。

また、既存の借入金の状況も慎重に評価されます。総借入額が高すぎる場合や借入金の返済が滞っている場合、新たな融資の承認が難しくなる可能性があります。金融機関は、申込者の年収に対する借入金の比率(総量規制)を考慮し、過度な借入れを避けるよう管理しています。加えて、不動産担保ローンは長期の返済が前提となるため、安定的な返済能力が求められるのです。

さらに、借入目的や資金使途も考慮されます。事業拡大や設備投資など、将来的な収益増加につながる目的の場合は、比較的評価されやすい傾向にあります。一方で、他の借入金の返済や運転資金の補填など、財務改善が主な目的の場合は、より慎重な審査が行われる可能性があります。

不動産担保ローンのメリット

不動産担保ローンには、事業資金調達において大きな利点があります。ここでは、その主要なメリットについて詳しく見ていきましょう。

高額融資が受けられる

不動産担保ローンの最大の魅力は、高額な融資を受けられる可能性が高いことです。通常、担保となる不動産の評価額の6〜8割程度までの借入が可能となります。

例えば、5,000万円相当の土地を担保とする場合、3,000万円から4,000万円程度の融資を受けられる可能性があります。これは、無担保ローンと比較すると格段に高額な融資額といえるでしょう。

ただし、借入可能額は不動産の評価額だけでなく、以下のような要素も考慮されます。

  • 申込者の年収
  • 職業
  • 信用情報
  • 他社からの借入金額と返済状況
  • ビジネスローンの場合は事業計画の内容

これらの要素が総合的に評価され、最終的な借入可能額が決定されます。そのため、申請前に自社の財務状況や事業計画を十分に精査しておくことが重要です。

金利の優位性がある

不動産担保ローンは、無担保ローンと比較して金利面でも優位性があります。担保を設定することで、金融機関にとってのリスクが低減されるため、より低金利での融資が可能となるのです。

具体的には、無担保ローンの金利が年利5〜15%程度であるのに対し、不動産担保ローンでは年利2〜5%程度で借入できるケースが多いといわれています。この金利の差は、特に長期の借入や高額の融資の場合、返済総額に大きな影響を与えます。

ただし、金利は金融機関によって異なり、また市場の状況によっても変動します。そのため、複数の金融機関に相談し、自社に最適な条件を探すことが賢明でしょう。

長期返済オプションを利用できる

不動産担保ローンのもう一つの大きな利点は、長期にわたる返済が可能な点です。一般的に、無担保ローンよりも長い返済期間を設定できるため、月々の返済負担を軽減することができます。

多くの場合、不動産担保ローンでは10年から30年という長期の返済期間を選択することが可能です。これにより、事業の成長に合わせて無理のない返済計画を立てることができるのです。

長期返済オプションを活用することで、以下のようなメリットが得られます:

  • 月々の返済額を抑えることができる
  • 資金繰りの余裕が生まれる
  • 事業拡大のための資金を確保しやすくなる

ただし、返済期間が長くなればなるほど、支払う利息の総額は増加します。そのため、自社の財務状況と将来の事業計画を踏まえて、最適な返済期間を選択することが重要です。

不動産担保ローンのリスク

不動産担保ローンは高額融資が可能な魅力的な選択肢ですが、同時に重大なリスクも伴います。ここでは、借り手が認識しておくべき主な注意点とリスクについて詳しく解説していきます。

担保物件喪失のリスク

不動産担保ローンの最大のリスクは、返済不能に陥った場合に担保物件を失う可能性があることです。これは借り手にとって非常に深刻な結果をもたらす可能性があります

担保物件喪失のリスクを理解するために、以下の点に注意が必要です。

  • 返済が滞った場合、金融機関は担保物件を競売にかける権利を持つ
  • 競売で得られた金額が借入額に満たない場合、差額を別途返済する必要がある
  • 担保物件が事業用や居住用の場合、事業継続や生活基盤に大きな影響を与える可能性がある

このリスクを軽減するためには、慎重な返済計画と安定した収入源の確保が不可欠です。また、返済に困難が生じた場合は早めに金融機関と相談し、リスケジュールなどの対応を検討することが重要です。

評価額が変動する可能性

不動産の評価額は時間とともに変動する可能性があり、これが借入可能額や返済条件に影響を与えることがあります。特に、以下のような状況が起こり得るため、注意が必要です。

  • 不動産市場の変動により担保物件の価値が下落する
  • 追加融資や借り換えの際に、評価額の低下により希望額を借りられない
  • 評価額の上昇により、有利な条件での借り換えチャンスを逃す

評価額の変動リスクに対処するためには、定期的に不動産市場の動向をチェックし、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。また、借入時には将来の市場変動を考慮に入れた余裕のある計画を立てることが賢明でしょう。

緻密な返済計画が必要

不動産担保ローンは通常、長期間にわたる大型の借入となるため、綿密な返済計画が必要不可欠です。適切な返済計画を立てることで、上記のリスクを大幅に軽減することができます。

効果的な返済計画を立てるためには、以下の点に注意を払う必要があります。

  1. 現在の収入状況と将来の収入見込みを正確に把握する
  2. 事業の成長予測や市場動向を考慮に入れる
  3. 予期せぬ事態に備えた資金的な余裕を持つ
  4. 返済期間中の金利変動リスクを考慮する

返済計画は単なる数字合わせではなく、事業の成長戦略と密接に連動させることが重要です。例えば、借入金を活用して事業拡大を図り、それによって返済原資を増やすような戦略的な計画が望ましいといえるでしょう。

また、定期的に返済計画を見直し、必要に応じて調整を加えることも忘れてはいけません。事業環境や経済状況の変化に柔軟に対応することで、長期的な返済の安定性を確保することができます。

まとめ

本記事では、不動産担保ローンの借入可能額や評価方法、審査のポイントについて詳しく解説しました。不動産担保ローンは高額融資が可能で、事業資金調達の有力な選択肢となります。

  • 借入可能額は担保不動産評価額の6〜8割程度が目安
  • 不動産評価には原価法、取引事例比較法、収益還元法などがある
  • 審査では申込者の財務状況や事業計画も重要な要素となる
  • 金融機関によって評価基準が異なるため、複数の機関で条件を確認すべき

不動産担保ローンの活用を検討されている経営者の方は、本記事の情報を参考に、自社の状況に合わせた最適な資金調達方法を選択してください。専門家のアドバイスを受けることも、より良い決断につながるでしょう。

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監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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