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倒産を防ぐために今すべきこと:赤字・借入金管理と成功する経営戦略

会社の経営において、「倒産」という言葉ほど避けたいものはありません。

赤字や借入金の増加、新技術開発の資金負担など、さまざまな要因が倒産の引き金となる可能性があります。

しかし、倒産は突然訪れるわけではなく、その兆候を事前に察知し、適切な経営戦略を実行することで防ぐことができます。

本記事では、倒産に至る原因や失敗例を具体的に解説し、倒産を回避するための実践的な戦略を紹介します。

大切な事業を守り、安定した経営を続けるために、ぜひ最後までご一読ください。

借金についての基本的な考え方

資金繰りは経営者の使命

資金繰りは、社長の宿命であり、使命である」とよく言われます。

実際、資金繰りの苦しみほど、経営者にとって精神的に堪えるものはないでしょう。

どんなに素晴らしいサービスや画期的な製品を持っていても、会社の資金が枯渇してしまえば、何も実行に移せません。

こうした事業資金を、経営者自身が手持ちの資金で賄えれば良いのですが、現実にはなかなかそうはいかないものです。

無借金経営の是非

世の中には「借金=悪」という考え方をする人が少なくありません。

しかし、この考え方は「無借金経営が本当に最善なのか」という問いに直結します。

無借金を支持する人の多くは、「利息や手数料を払うのは損だ」と考えています。

一方で、中小企業の経営者の多くは「無借金で手元資金が心細い」より、「借入金でも手元資金に余裕がある」ことを重視する傾向があります。

このように、無借金経営には一概に良し悪しを判断するのが難しい側面があります。

手元資金の余裕がもたらす利点

手元資金に余裕があれば、計画的に資金を活用することができます。

たとえば、新しい製品開発やマーケティング、人材採用、新設備への投資などが挙げられます。

企業が継続的に成長していくためには、手元資金の余裕が不可欠なものと言えます。

そのため、多少の借入金があったとしても、手元資金を確保することには大きな意味があります。

借金を悪とする議論の無意味さ

さらに、経営不振による赤字が膨らみ、人件費や賃借料などの固定経費を支払うのも困難な状況になると、資金繰りは経営者にとって最大の課題になります。

毎月のように届く多くの請求書を前に、ただ立ち尽くしているだけでは何の解決にもなりません。

このような状況下で「借金=悪」という議論を持ち出しても、現実には何の役にも立ちません。

借入は企業経営において重要な手段の1つであり、これを適切に活用することで事業の立て直しが可能になります。

 

金融機関からの借入と資本金について

資金調達の基本的な区分

企業経営において、借金=資金調達が必要だという前提で話を進めていきます。

前回のコラムでは、資金調達には大きく分けて3つの区分があると説明しました。

今回は、その中でももっともオーソドックスな「金融機関からの借入」について詳しくお話しします。

 

金融機関の種類と特徴

ここでいう金融機関には、以下のような種類があります。

  • 民間金融機関:大手都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合
  • 公的金融機関:日本政策金融公庫(金融公庫)、中小公庫、商工中金、農林中金

これらの金融機関には、それぞれ貸付金のメニューが用意されています。

自社の状況に適した金融機関を選び、さらにどの貸付金メニューが合うのかを相談しながら選定することが重要です。

 

借入前に必要な自社の経営状況の検証

借入を行う前には、借入主体である自社の経営状況を正確に検証する必要があります。

どの金融機関でも、まず提出を求められるのは決算書です。特に、経営状況の推移を確認するために、3~5期分の決算書が必要となる場合が多いです。

現在、「金融機関からの借入」は厳しい状況にあります。

たとえば、貸借対照表上で「債務超過」の状態であれば、多くの金融機関は門前払いとなります。債務超過は、かつての債務者区分において「重大な懸念のある先」「破綻先」とされるほど深刻な状態です。

そのため、決算書が債務超過状態である場合、「金融機関からの借入」は非常に難しいと言わざるを得ません。

 

金融機関借入が難しい場合の選択肢

金融機関からの借入が難しい場合は、「知り合い、事業協力者からの借入」にシフトすることを検討すべきです。

事業収益の回復を図り、債務超過を解消した後で、金融機関への借入申込を再検討する流れが現実的です。

 

債務超過の原因と改善のポイント

中小企業が債務超過に陥る原因の多くは、不況やコロナ禍などで短期的に赤字が大きくなり、累積してきた利益が一気に食いつぶされるケースです。

主な原因として以下の3つが挙げられます。

  1. 売上に見合った経費構造への転換が遅れた
  2. もともと薄利の商売であった
  3. 過小資本であった(資本金が小さすぎた)

1と2については、事業計画を改善することで対応が可能です。

しかし、3については収益力が低下している現状では、利益の積み増しで債務超過を解消するのは非常に厳しいと言えます。

 

資本金の重要性

現在の会社法では、資本金は1円でも会社設立が可能です。

しかし、資本金が少ないと、当期純損失が発生した際に、すぐに「債務超過」となり、金融機関からの借入が難しくなります。

たとえば、年商2億円、利益率1%の会社では、毎年200万円程度の利益を5年間積み重ねても1,000万円の利益繰越金にしかなりません。

この状況で売上が5%減少すると、一気に繰越利益が消失し、債務超過に陥るリスクが高まります。

一定の資本金があれば、繰越利益が減少しても債務超過を避けられるため、金融機関からの借入が可能となります。

また、「知り合い、事業協力者からの借入」を「出資」に変えることで、資本金を増やし、問題解決の選択肢を広げることもできます。

資本金を1,000万円以上にすると地方法人税(均等割り)の税率が上がるため、資本金を抑えたい中小企業も多いですが、金融機関借入を検討する場合は、一定額の資本金確保が重要なポイントとなります。

 

まとめ

本記事では、借金に対する基本的な考え方や金融機関からの借入、資本金の重要性について解説しました。

企業経営において、手元資金の余裕を確保するために、適切な資金調達方法を選ぶことは不可欠です。

また、債務超過や資本金不足といった財務的な課題を解決するためには、経営状況の正確な把握と戦略的な意思決定が求められます。

 

しかし、こうした資金調達や財務改善に関する課題は、専門的な知識や経験がなければ対応が難しいことも多いのが現実です。

 

そんな企業様に向けて、HTファイナンスがお手伝いいたします。

HTファイナンスでは、専門的な知見と30年の実績を活かし、企業ごとの状況に最適な資金調達プランをご提案いたします。

事業基盤の強化や安定した経営環境の実現に向けて、全力でサポートさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。

 

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監修者 三坂大作
筆者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
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