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ビジネスプロセスの継承とDX活用|企業競争力を高める業務改革

ビジネスプロセスの継承と組織の成長 

言語コミュニケーションによる知識・ノウハウの伝達 

企業が業務の「ビジネスプロセスの継承」をスムーズに進める必要があることは、前回のコラムで述べました。また、企業の活動主体が「人」である以上、本質的な欲求である「自己実現」を事業内で果たすためには、業務の属人化を完全に回避することは困難です。

人間は、新しい知識やノウハウを獲得した際に、それを未経験の他者へ言語を通じて伝達し、次のステップへと発展させることができます。例えば、生物学的に人間に近いとされるチンパンジーやサルは、鳴き声やジェスチャーで情報を伝達しますが、人間のように体系的な知識を共有し、蓄積することはできません。言語を用いた継承が可能だからこそ、次の世代はゼロから始めるのではなく、過去の成果を基にさらなる発展を遂げることができるのです。

この「言語を介した知識・経験・技術の継承」は、人類が高度な進化を遂げた大きな要因とされており、企業経営においても同様の重要性を持っています。組織内で適切に知識を蓄積・共有し、業務の標準化を図ることで、企業の成長を加速させることが可能になります。

企業における情報共有の現状と課題 

しかし、コンサルティングの現場においては、多くの企業がこの言語を活用した情報共有のメリットを十分に生かせていない実情があります。現代の情報技術の発展によって、企業は以前に比べて格段に情報を共有しやすくなっているにもかかわらず、業務マニュアルの整備が不十分なケースは少なくありません。

例えば、社員の退職時に十分な引継ぎが行われず、業務の流れが途切れてしまうことがあります。また、「ビジネスプロセスの見える化」や「標準化」の重要性は広く認識されているものの、実際には体系的な引継ぎ資料が整備されておらず、業務の属人化が続いている企業も多いのが現状です。

特に、長い業歴を持つ企業では、業務の棚卸しを行い、プロセスを標準化・共有化することに膨大な時間とコストがかかるため、対応が後回しにされがちです。しかし、企業の持続的な成長や生産性の向上を考えると、こうした作業は避けて通ることはできません。日常の業務の中で、重要なポイントを記録し、少しずつでも公知化を進めることが、将来的な業務の円滑な継承につながります。

DXによる業務継承の変革

デジタル技術がもたらす業務の標準化と効率化 

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の進化によって、業務の標準化や継承が格段に効率化される時代になりました。従来は、人によるコミュニケーションを中心に行われていた「ビジネスプロセスの継承」が、デジタル技術の活用によって大きく変革されています。

例えば、手書きの伝票をデジタル端末で処理するだけで、業務記録が自動的に蓄積されるようになります。さらに、入力時にミスや不備があれば、システムが警告を出すことで、エラーの発生を未然に防ぐことができます。このように、デジタルデバイスを業務プロセスに組み込むことで、日々の業務記録がデータベースに蓄積され、業務の可視化や標準化が容易になります。

近年では、外食業界でもパッドなどのデバイスを活用し、顧客が注文する際にデータがリアルタイムで記録・処理される仕組みが一般化しています。これにより、業務の属人化を防ぎながら、データに基づいた業務の最適化が可能になります。こうしたデジタル技術の発展は、業種を問わず多くの企業にとって、手の届く範囲にまで来ています。

データ活用による属人化の解消と自動化 <h3>

業務のデジタル化が進むことで、企業は「属人化」の問題を解消し、業務プロセスを自動化できるようになります。例えば、データベースに蓄積された情報を活用すれば、属人的な判断に依存せず、客観的なデータに基づいて事業戦略を策定することが可能になります。

また、適切な操作マニュアルを整備しておけば、従業員のスキルに関わらず、誰でも一定の品質で業務を遂行できるようになります。データ入力から蓄積、分析、評価までをデジタル技術が担うことで、「ビジネスプロセスの継承」がシステム化され、より精度の高い業務運営が実現できます。

こうした変革は、大企業だけでなく、中小企業にとっても大きなメリットをもたらします。データの蓄積と活用を基盤にした業務の標準化は、企業全体の生産性向上につながるだけでなく、急速に変化するビジネス環境にも柔軟に対応できる組織へと進化させるのです。

ビジネスプロセス継承がもたらす企業競争力 

継承プロセスの高速化と生産性向上 

これまで述べてきたように、「ビジネスプロセスの継承」は、企業の持続的な成長や競争力の強化に不可欠な要素です。特に、デジタル技術の進化によって、従来の属人的な業務継承の方法から大きく変革が進んでいます。

携帯電話やタブレット、パソコンの普及により、社員間のコミュニケーションはデジタルデバイスを通じて行われるようになり、テレワークの普及も進んでいます。このような業務環境の変化により、業務の継承プロセスもより高速化し、リアルタイムでの情報共有や記録の蓄積が可能になりました。

企業内で発生する業務データが即座に記録・共有されることで、業務の属人化が解消され、継承のスピードが飛躍的に向上します。これにより、従業員の入れ替わりによる業務の停滞を防ぎ、企業全体の生産性向上につなげることができます。

マニュアル化からデータベース化への進化

これまでの業務継承は、主に紙ベースや文書による「マニュアル化」が中心でした。しかし、デジタル技術の発展により、業務の記録がデータベース化され、より柔軟かつ高度な形で活用できるようになっています。

例えば、デジタルツールを活用することで、業務の手順や判断基準をリアルタイムでデータベースに蓄積し、それを基に分析・改善を行うことが可能になります。これにより、単なる「業務の引き継ぎ」ではなく、継承された業務をさらに最適化し、効率的に運用することができるのです。

また、こうして蓄積された企業内の業務プロセスに関するデータは、経営計画や事業戦略の策定に活用され、より精度の高い意思決定が可能になります。つまり、ビジネスプロセスの継承は、単なる業務の引き継ぎにとどまらず、企業の競争力を高める重要な資産へと進化しているのです。

次回のコラムでは、この「ビジネスプロセスの継承」を踏まえ、事業の推進主体である「人」の役割について考察していきます。すでに「ChatGPT」に代表される生成AIが登場し、業務の在り方を変革しつつある中で、人間の果たすべき役割とは何か?この近未来的なテーマについて、深掘りしていきたいと思います。

まとめ

本記事では、ビジネスプロセスの継承が企業の競争力向上においていかに重要であるかを解説しました。特に、デジタル技術の進化により、業務のマニュアル化からデータベース化へと移行し、業務継承のスピードと精度が飛躍的に向上しています。これにより、企業は属人化を解消し、生産性を向上させるとともに、持続的な成長を実現できる環境を整えられます。

しかし、デジタル化や業務の最適化を進めるためには、多くのリソースや戦略的な投資が必要です。適切な資金調達を行いながら、効果的な業務改革を進めることが、企業の成長を支える鍵となります。

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筆者 三坂大作
筆者 三坂大作
略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
 
 
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